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文献名1霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
文献名2第1篇 千軍万馬よみ(新仮名遣い)せんぐんばんば
文献名3第7章 思はぬ光栄〔437〕よみ(新仮名遣い)おもわぬこうえい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-07-15 19:01:54
あらすじわけのわからない事態がつぎつぎに起こり、中依別は、照彦がいなくなってしまった失態を、門番の固虎、赤熊に着せようとして詰問し始めた。竹山彦は、照彦を逃がした失態の責任は、中依別が取るべきである、として、中依別に辞職を促した。蟹彦は竹山彦の審判に喝采し、馬鹿口をたたいて中依別を罵り始めた。竹山彦は蟹彦をたしなめ、罰として門番を罷免し、常世神王の側付きに任命する、とおかしなことを言い出した。その場はひとまず、蟹彦・赤熊の二人は門番として戻ることになった。すると、間の国から本物の遠山別が、月・雪・花の三人娘を連れて帰って来た。
主な人物 舞台常世城 口述日1922(大正11)年02月21日(旧01月25日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年8月20日 愛善世界社版63頁 八幡書店版第2輯 413頁 修補版 校定版67頁 普及版29頁 初版 ページ備考
OBC rm1007
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本文  ロッキー山の山颪  篠つく雨に百川は
 漲り溢れ轟々と  西北指して流れ行く
 その水音も高野川  常世の国の神人の
 心も騒ぐ荒波に  常世神王始めとし
 鼻の潰れた鷹取別や  激しき憂目を美山別
 立帰つたるその後に
 中依別は門番の蟹彦、赤熊を庭前に呼出し、
『ヤア、蟹彦、赤熊、その方は門番として今日の不体裁、照彦を取遁がせし罪に依つて、唯今より暇を遣はす。一時も早くこの場を立去れ』
竹山彦『これはこれは、中依別殿の御言葉とも覚えぬ。今日の不始末は、些々たる門番の知る所にあらず。大切の玉を取遁がせしは、監督の任に当らるる貴下中依別にあらずや。蟹彦、赤熊が如き門番に当り散らさるるは、吾々として一円合点ゆかず。貴下は先ず良心あらば責任をもつて自ら退職せられよ』
蟹彦『イヤア、偉いえらい、流石は竹山彦の御大将、それでこそ人民の水上に立ち、人を治むる寛仁大度の御仁徳、蟹彦実に恐れ入る。ヤアヤア中依別、良心あらば貴下先づ責任を以て退職せられよ』
竹山彦『コラコラ蟹彦、門番の分際として声名高き中依別の上役に向つて無礼であろうぞよ』
蟹彦『これはこれは竹山彦の御大将様、中依別は常世城に、大勢上役の坐します中より別て、イヤハヤもう話にも、杭にもかからぬ奴でござる。どうぞ公明正大なる御判断のほど願ひ奉ります』
『門番に似合はぬ面白いことを申す奴、併しながら今迄は、頭を振り、尾を掉り、喪家の狗の如く、唯々諾々として上長と仰ぎし中依別に対し、余りと云へば余りの現金ではないか』
『ヤア、何も彼も世の中は時の天下に随へといふ事があります。旗色の好き方につくのが当世、もはや竹山彦の一声にて日ごろ傲慢不遜なる中依別が退職となりしは、この蟹彦一人ではござらぬ、城内一同の下役共は一人も残らず手を拍つて喜ぶことと存じます。イヤもう気味のよい事で、余り麦飯……ドツコイ……むぎ道な事をいたした罰で、あは喰つて貴方様に一時も早くいねだとか米だとか言はれたその時の面付、見られたざまぢやありませぬわ。そばに見て居る私は、イヤもううどんでも呑み込んだ様に、つるつると咽の溜飲が下りました。何時迄も驕る何たらは久しからずとかや。是も世間のみせしめ、中々以てよりによつた中依別のがらくた役人、籾から米を取つた後の粕役人、この蟹彦が一つ鼻息したら十間先へペロペロペロと散るやうなざまになりました。どうぞ竹山彦の御大将、一時も早く御英断を願ひます。私一人が喜ぶのではなく、城中もこれからは皆の役人共が喜んで勇んで、寝転んで、ころこんで、滑つて跳ねて、尻餅搗いて、涎をくつて……』
『コラコラ、止度もなく何をべらべら囀るか。控へて居らう』
『ハイハイ、かにして下さいませ。あまり逆上て、蟹が一寸泡を吹いたのでございます。泡に就て思ひ出した。あは喰つたのは中依別、哀れなものぢや。こんな毒性な目に遇はぬ昔がまだよかつたに、アンポンタンの真黒気の黒焼奴が、案外はやく失策つた。昼行灯の餡ころ餅、暗夜に間に合ふのは提燈、行灯の明り。常世の城に昼行灯は、イヤもう一寸も御用はありますまい。イヽヽ因縁か因果か、いんちき野郎が陰気陰鬱なその陰険な陰謀を企んだ因縁に依つて、今この通り夢にも知らぬ大鉄槌を頭上から痛々しくも下され、これ迄の位置をすつかりと返上し、何時にない曲けた顔していとしいことだ。早く帰して下さいな。古も今も悪人の栄えた例はない。猪武者の中依別、一時も早く家に帰つて隠居でもしたがよからう。いらざる事に肝煎致したその罰で、居るに居られぬこの場の仕儀、曲津の容器、色は真黒けの黒助』
『アハヽヽヽ、よう貴様は泡を吹く奴だ。よしよし、中依別も唯今限り常世城の規則に照し、退職を命ずる。就てはその部下の蟹彦も罪は同然』
『モシモシ、そりやちつと違ひは致しませぬか。オイ赤熊、俺が御払ひ箱となつたら貴様も同然だぞ』
赤熊『チヨツ、何を吐しよるのだ、受売ばつかりしよつて、偽物を売つたつて買手がないぞ。ウヽヽ運の悪い貴様だ。動きのとれぬ御仰せ、うぢうぢ致さず早く帰れ。常世城の鉄門はこの方一人で大丈夫だ。貴様のやうな泡吹き野郎がけつかると、俺までが、しまひにはいねと云はれて、そば杖を喰はねばならぬ。エヽヽきびの悪い。早く帰るがよからうぞよ』
蟹彦『オイ、そんな偉さうなことを申すと、もう斯うなつては友達でもない、赤の他人だ。エヽヽ遠慮会釈があるものか。貴様の腸を抉つてえらい目に遇はしてやるのだ。今まで偉さうな面構をして居つたが、もう叶ふまい。高野川にでも身を投げて死んで了へ』
竹山彦『コラコラ両人、此処を何と心得て居る、勿体なくも常世城の常暗の御城内だ。面黒い事を吐かずに早く狐の尾を下げて、コンコン今後はきつと慎みます、クワイクワイ改心改良仕ると四這になつて謝れ。然らば竹山彦が暫らくの猶予を与へる。その間によつく胸に手を当てて去就を決するがよからう。不届きな奴、門番を免職さして中依別の後釜に据ゑてやらうか。常世神王の御側附に致してやらうか』
蟹彦『あゝモシモシ、竹山彦の御大将、ソヽヽそれは本当でございますか。叱られて上の役になると云ふことは、根つから葉つから蕪から訳が解りませぬ。今後はもつともつと不都合を致してドツサリ叱らるることですな。私が今日より中依別、ヤア、有難いありがたい、夢に牡丹餅食つたやうだ』
赤熊『コラコラ、貴様は改心致さぬと今後は赦さぬぞ。中依別の後釜に赤熊を命ずるぞよ』
『ナヽヽ何を吐しやがる。自分のことを自分が命ずる奴が何処にあるか。コン畜生、貴様狐に魅まれてそんなうさ言を吐きやがるのだな。俺が一言云つたつて、さうきつう根にもつて、コンコン吐すに及ばぬではないか』
竹山彦『矢釜敷いワイ。ぐづぐづ吐すと常世神王の御脇立にして了ふぞ。中依別の後の役を仰付けるぞ』
蟹彦『ナンダか狐に魅まれたやうだな。斯んな結構なやうな、怪体なやうな、こんがらがつた、混沌としたことが又と世にあらうか』
『何はともあれ、両人は元の如く赤門に退つて門番を致せ。追つて沙汰を致す』
 二人は、
『ハイハイ、しやちこばりました。しやつちけのうございます』
と云ひながら、元の門番の溜り所に腑に落ちぬやうな面構をして帰り行く。門外にはかに騒がしく、人馬の物音手に取る如く聞え来る。
蟹彦『オイオイ又だ。照彦の奴、蒸返しに来やがつたのだらう。豪い勢だ。今度は沢山の手下を伴れて居るらしい。一つ貴様と俺と、とつときの智慧と力を放り出して、照彦をふん縛つて神王様の前へ突き出したら、御褒美が頂けようも知れぬぞよ』
赤熊『オケオケ、そんなことしたら何時迄も門番だ。貴様は門番に適当な奴だ。貴様に限ると一口言はれたが最後、門附になつて一代浮ぶ瀬はありはしないぞ。こんな失敗があつた御蔭で、中依別は気の毒だが、吾々は常世神王の御側附、一段下つた所で中依別の後釜だ。傘屋の丁稚ぢやないが、骨折つて叱られるより優しだ。貴様も割とは気の利かぬ奴ぢや。とつくりと思案をしたがよからうぞ』
 この時門外より声高く、
『ヤアヤア遠山別、月、雪、花を召伴れ立帰つたり。一時も早くこの門開け』
と呼はる声に両人、
『何が何だか一寸も聞えはしない。戸を開けだとか、遠山あけだとか、何の事だい、遠の昔に俺の耳は遠山別になつて了つた』
 門を叩き、
『開けよあけよ』
と叫ぶ声、ますます激しくなり来る。
蟹彦『豆腐屋でも遠山でも、左官でも構ふものかい。この門開けて堪らうかい。この方は勿体なくも常世神王の御脇立だ。中依別の後継ぎだ。遠山が何だ、豆腐のやうな腰しよつて偉さうに云ふない。御役が違ふぞ。仕損ふな』
 中門の方より、馬鹿役人の粕熊馳せ来り、
『ヤア、ギヤアイ、赤よ、蟹よ、竹山さまが赤蟹にちよつと来いて仰有るぞ』
二人『赤蟹なんて莫迦にしやがる。まるで二つ一だ。オイ粕熊の粕野郎、そら何吐す。常世神王の御脇立様に向つて、一寸来いだの赤蟹だのと、貴様は狐にでも魅まれよつたな』
 折しも六時を報ずる常世城の鐘の音は、コーンコーンコーン、コンコンコンと響き渡る。
(大正一一・二・二一 旧一・二五 外山豊二録)
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