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文献名1霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
文献名2第1篇 千軍万馬よみ(新仮名遣い)せんぐんばんば
文献名3第13章 蟹の将軍〔443〕よみ(新仮名遣い)かにのしょうぐん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-07-15 22:15:22
あらすじ淤縢山津見は固虎を案内者としてロッキー山に向かった。ロッキー山に着いてみると、多数の魔軍は武装を整え、今や出陣せんとする真っ最中であった。淤縢山津見は固虎を偵察に使わした。偵察に赴いた固虎は、城門で蟹彦にばったりと出くわした。蟹彦はやはり門番から上役に変えられて、将軍となっていたのであった。蟹彦は、出陣の理由を語って聞かせた。天教山から伊弉諾命が黄泉島に現れ、黄泉比良坂に向かって軍勢を率いて出陣してきたので、常世の国にとって重要な地点である黄泉比良坂を守るために、ロッキー山の「伊弉冊命」が出陣を命じたのだ、と語った。さらに蟹彦は、ロッキー山の伊弉冊命は実は、大自在天の妻・大国姫命であり、ロッキー山の日の出神は、大自在天・大国彦命が化けているのだ、と明かした。そうして、広国別が常世城で常世神王に化けているのだ、と語った。そして、蟹彦は、実は聖地エルサレムの家来・竹島彦命であり、大自在天常世神王の命によって、わざと横歩きをして門番と化けていたのだ、と素性を明かした。蟹彦の竹島彦命は、今回の出陣の第一隊の大将を命じられている、という。そして、今回の戦いには松・竹・梅の三宣伝使が三個の桃の実としてどうしても必要であり、三個の桃の実がなければ、この戦いは勝ち目がないのだ、と秘密を明かし、出陣の準備に行ってしまった。固虎は淤縢山津見のところへ戻って、委細を詳しく報告した。淤縢山津見は、ロッキー山の秘密が珍山彦の神懸りで託宣されたとおりであるので、驚き、かつ託宣を疑っていた自分を恥じた。ロッキー山からは、蟹彦を大将とした第一隊の軍勢が次々と出陣していく。次に美山別を大将に第二隊が出て行く。また、国玉姫、田糸姫、杵築姫を偽の三個の桃の実に扮して、桃の実隊を組織している。二人が軍勢の様子を見ていると、木霊の中に宣伝歌が聞こえてきた。
主な人物 舞台ロッキー山の山麓 口述日1922(大正11)年02月22日(旧01月26日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年8月20日 愛善世界社版107頁 八幡書店版第2輯 429頁 修補版 校定版111頁 普及版49頁 初版 ページ備考
OBC rm1013
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本文  固虎は淤縢山津見神の案内者として、山道を攀ぢ、谷を渡り、間道を経てロッキー山の山麓に着きしが、数多の魔軍は武装を整へ、今や出陣せむとする真最中なり。淤縢山津見は偵察の為に固虎を遣はして、ロッキー山の城塞に向はしめ、城門に入らむとする時、ピタリと蟹彦に出会せり。
蟹彦『オー固虎、数多の軍勢を引率れて、『目』の国カリガネ半島へ宣伝使を捕縛すべく出陣したではないか。その後一向何の消息も聞かぬので、如何なつたことかと思つてゐたが、唯一人此処へ出て来たのは何か様子があらう。常世城へも帰らず、一体引率した軍隊は如何したのだい』
固虎『何うも斯うもあつたものか。戦ひは多く味方を損ぜざるを以て最上とする。何も知らぬ数多の戦士を傷つけるよりは、高の知れた宣伝使の三人や五人、計略を以て常世城へ誘き寄するに如かずと、取置きの智慧を出したのだ。マア見て居て呉れ、此方の働きを』
『門番の成上り奴が、あまり偉さうに法螺を吹くない』
『門番の成上りはお互ひだ。併し斯く騒々しく数多の戦士を集めて、日の出神は如何する積りだい』
『そんな間の抜けた事を云つて居るから困るのだ。貴様は未だ知らぬのか。余程薄のろだな。常世の国の、眼とも鼻とも喉首とも譬へ方ない大事の黄泉島に、天教山より伊弉諾神が現はれ給うて、この醜けき汚き黄泉国を祓ひ清め、常世の国まで進み来らむと、智仁勇兼備の神将を数多引率して、黄泉比良坂に向つて攻めかけ来り給うたと云ふ事だ。さうなれば常世の国は片顎を取られたやうなもので、滅亡をするのは目のあたりだと云ふので、伊弉冊大神様、日の出神の御大将が此処に数多の戦士を集め、是より常世城の軍隊と合し、黄泉比良坂に進軍せむとさるる間際なのだ。貴様も早く軍隊を引率れて黄泉比良坂の戦に参加せなくては、千載一遇の好機を逸するぞ。愚図々々いたして悔を後世に胎すな。千騎一騎のこの場合、手柄をするなら今この時だ』
『神様の夫婦喧嘩といふものは、大袈裟なものだな。犬も喰はない夫婦喧嘩に大勢のものが、馬鹿らしくつて往けるものか。若も戦に行つて生命でも取られて見よ。数万の戦士は、何奴も此奴も可愛い女房や子に別れねばならぬ。たつた一つの夫婦喧嘩に使はれて、大勢のものが後家にならねばならぬとは、合点の行かぬ世の中だ』
『貴様は余程よい薄馬鹿だ。ロッキー山や、常世城の秘密は、うすうす判つて居りさうなものぢやないか。知らな云うてやらう。伊弉冊命と名乗つてござるのは、その実は大国姫命だ。そして日の出神と名乗つて居るのは、その夫神の大国彦命だよ。固虎もそれが判らぬ様ではダメだよ』
『初めて聞いた。貴様の話は益々合点がゆかなくなつて来た。それなら常世神王は誰だい。蟹公知つてるだらう』
『常世神王は広国別だよ。一旦死んだと云つて常世の国の一般のものを誑かし、自分が大国彦様と相談の結果、広国別が常世神王になつて居るのだ。これには深い仔細がある。その秘密の鍵を握つた蟹彦は、常世神王の内々の頼みに依つて、今まで故意と門番になつてゐたのだよ』
『それなら貴様は、元は誰だい』
『馬鹿だな、未だ分らぬか。俺はわざと身体を歪めて横に歩き、顔にいろいろの汁を塗つて化けてゐたのだが、もとを糺せば聖地ヱルサレムの家来であつた竹島彦命だよ。是から吾々は先頭に立つて、黄泉比良坂に向ふのだ。併し軍機の秘密は洩らされない、他言は無用だ。併し乍ら、ロッキー山の伊弉冊大神さまは全くの贋物だ。吾々も本物に使はれるのは、たとへ敵にもせよ気分がよいが、生地をかくした鍍金ものだと思ふと、何だかモー一つ力瘤が這入らぬやうな心持がするよ』
『貴様、今度は誰が大将で往くのだ』
『定つたことだ、これだよ』
と自分の鼻を押へて見せる。
『弱い大将だな。今度の戦ひは馬ーの毛だ。何分大将が間抜けだから仕方がない』
『馬鹿を云ふな。大将は馬鹿がよいのだ。あまり智慧があつて、コセコセ致すと大局を誤る虞があるので、この薄のろの竹島彦が全軍統率の任に当つて居るのだ。これでも三軍の将だぞ。あまり馬鹿にしては貰ふまいかい。併し固虎、五人の宣伝使を何処に置いたのだ。松、竹、梅の三人の桃の実がなければこの戦ひは勝目がないと、伊弉冊命様の……ドツコイ大国姫命の御命令だ。早く三人を貴様の手にあるなら御目にかけて、抜群の功名をなし、手柄者と謳はれるがよからう』
『よし、今見せてやらう』
『俺に見せる必要はないから、早く伊弉冊の贋の大神さまに御目にかけるのだよ。ヤア鳴雷、若雷、早く来れ』
と馬に跨り法螺貝を吹き立てながら、ブウブウと口角蟹のやうな泡を飛ばして進み行く。
 固虎は蟹彦の偽らざる此の物語を聴いて胸を躍らせながら、淤縢山津見に一切を報告したるに、淤縢山津見は太き息を吐き、
『アヽさうか。疑はれぬは神懸りだ。蚊々虎の神懸りを実の事を云へば、今まで疑つてゐたのは恥かしい。審神は容易に吾々の如き盲では出来るものではない。併し乍ら之を思へば、珍山彦の神変不思議の力には感嘆せざるを得ない。先づまづ暫らく身を潜めて、様子を窺ふことにしよう』
と、樹木茂れる森林の中に両人は姿を隠し時を待ちゐる。蟹彦の竹島彦が一隊を引率し、威風凛々として四辺を払ひ出陣した後に、又もや法螺貝の音、太鼓の響、ハテ訝かしやと木の間を透して打眺め、固虎は頓狂な声にて、
『ヤア、また第二隊が出て行き居るぞ。第二隊の大将は誰だか知らむ』
淤縢山津見『御苦労だが、敵近く寄つて様子を査べ報告して呉れないか』
『畏まりました』
といふより早く固虎は、猿が梢を伝ふが如く、しのびしのび敵前近く進み行く。美山別は陣頭に立ち采配を打揮ひながら、
『進め進め』
と号令してゐる。左右の副将は土雷、伏雷の猛将である。花を欺く松、竹、梅の三人に扮したる国玉姫、田糸姫、杵築姫は馬上に跨りながら、桃の実隊として美々しき衣裳を太陽に照されながら、ピカリピカリと進んで来る。数多の軍勢は足音を揃へて、種々の武器を携へ繰出す仰々しさ。固虎は直様引返し、淤縢山津見に詳細の顛末を報告したり。
『ヤア、御苦労ご苦労、ロッキー山の軍人はあれでしまひか』
『ナニ、ほんの一部分です。必要に応じて未だ未だ出すかも知れませぬ』
『ウン、油断のならぬ醜神の仕組、吾々も一つ考へねばならぬワイ』
 このとき木霊に響く宣伝歌の声、二人は思はず其の声に聞耳澄ました。忽ち東南の風吹き荒んで音騒がしく、宣伝歌は風の音に包まれにける。
(大正一一・二・二二 旧一・二六 外山豊二録)
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