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文献名1霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
文献名2第3篇 邪神征服よみ(新仮名遣い)じゃしんせいふく
文献名3第33章 鰤公〔463〕よみ(新仮名遣い)ぶりこう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-07-31 22:18:24
あらすじ男たちは石凝姥神と一緒に浮橋を渡り、久しぶりに故郷の対岸に帰ってくることができた。男たちの中の鰤公は、一同を代表して石凝姥神に願い出た。鰤公によると、アルタイ山には蛇掴という悪神が棲んでおり、蛇を食べているのだが、蛇が足りないときには人間を食らう。そのため村人たちは手分けして蛇を獲っているのだが、寒いときにはたいへんな苦労を強いられている、という。石凝姥神は、そんなことはなんでもない、アルタイ山に登ってその魔神を退治してやる、と請け負った。男たちは石凝姥神を自分の村に案内していく。村は鉄谷村という。村は何ゆえかどの家も灯りがついておらず、やや高いところに一柱だけ火がまたたいていた。そこは鉄谷村に酋長・鉄彦の屋敷であった。石凝姥神は門外から声を張り上げて宣伝歌を歌い始めた。中から現れた門番の時公は、酋長の娘・清姫が、蛇掴の餌食になろうとしている、と状況を説明した。そして、鰤公の娘もすでに蛇掴に食われてしまったのだ、と語った。鰤公はそれを聞いてその場に倒れてしまった。石凝姥神は門をくぐって進み入った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月27日(旧02月01日) 口述場所 筆録者藤津久子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年8月20日 愛善世界社版256頁 八幡書店版第2輯 484頁 修補版 校定版263頁 普及版117頁 初版 ページ備考
OBC rm1033
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本文  海月なす漂ふ国を固めむと、心も堅き石凝姥の、神の命の宣伝使、其言霊に川の辺の、四五の土人は堅き頭を宇智の川、浮木の橋を危なげに、やうやう西へ打渡り、
甲『アヽ三五教の宣伝使様、お蔭で三年振りに故郷に帰る事が出来ました。これも全く、あなた様のお蔭でございます。私の村へ一寸御立寄りを願ひたいのは山々ですが、そこには一寸、エヽ一寸……』
石凝姥『何だ、云ひ憎さうに、明瞭と云はぬかい』
『オイ鰤公、貴様俺に代つて申上げて呉れないか』
鰤公『ソンナ甘い事を云ふな。此鰤公だつて久し振りに川を渡つて、やつと安心したとこだ、ソンナ事明瞭と云はうものなら、それ又アルタイ山の魔神さまにはブリブリと怒られて、ドンナ災難が俺の頭にブリ懸つて来るか、分つたものぢやないワ。さうすれば家の嬶めが三年振りに折角帰つて来て、好い男振りを拝んで、ヤレヤレ嬉しやと思つて居たのに、お前さまは馬鹿だから、ソンナ大事な事を喋つて、こんな目に遇ふのだと云つて、ブリブリ怒られて、大きな尻を俺の方へブリブリと振られやうものならつまらぬからなア』
石凝姥『オイ、貴様達は訳の分らぬ奴だな。何がブリブリだ』
乙『イヤ最う毎日日日、大雨がブリブリで、宇智川はドえらい洪水で御座います。家の嬶もブリブリで腹立て、涙の雨がブリブリになると困りますから、どうぞ是だけは御許し下さいませ』
『貴様たち、愚図々々云つて秘密を明さぬならば、こちらにも考へがあるぞ。又石の玉を御見舞ひ申さうか』
と云ひながら、直ちに土を握つて団子を造り息を吹きかけたるを、
甲『マアマア待つて下さいませ。そんな石玉を貰つたら、私の頭は一遍にポカーンと割れて了ふ、堪つたものぢやない。胆玉までが潰れて睾丸が縮んで了ひます』
石凝姥『それなら素直に、何だか秘密らしい貴様の口振り、白状せぬかい』
『ハイハイ、仕方がありませぬ、さつぱりと申し上げます。エヽ実は、誠にそれは、ほんにほんに、真に、エー、アルタイ山の、アヽ間の悪い曲神が、マアマア、マアで御座いますが』
『貴様の云ふ事は益々分らぬ、真面目に申さぬか。また石玉を呉れるぞよ』
『オイ、鰤公、貴様も俺ばかりに云はさずに、ちつとは責任を分担したらどうだ』
鰤公『エー仕方がない。どんな事があつても、三五教の宣伝使様引受けて下さいますか』
石凝姥『何でも引受けてやる、驚くな、尋常に真実を申せ』
『アルタイ山には蛇掴と云ふ、それはそれはえらい悪神が棲んで居ります。其神は毎日日日大きな蛇を十二匹宛餌食に致して居ります。其蛇がない時には此処ら辺の村々に沢山の子分を連れて来て、嬶や娘を代りに奪つて喰ひますので、大事な女房や娘を食はれては堪らないので、村々の者が各自手分けをして毎日十二匹の太い蛇を獲つて、之をアルタイ山の窟に供へに行くのです。夏は沢山に蛇が居つて取るのも容易ですが、斯う寒くなると残らず土の中へ這入つて了ふので、之を獲らうと思へば大変な手間が入りますし、之を獲らねば女房子をいつの間にやら奪つて食はれるなり、イヤもう此辺の人民は、大蛇獲りにかかつては命がけで御座います。若しもこんな事をあなたに申し上げた事が、アルタイ山の魔神の蛇掴の耳へでも入つたら、それこそ此村は全滅の憂目に遇はねばなりませぬから、どうぞ助けて下さいませ』
『ヤア、何事かと思へばソンナ事か、よしよし。此方がこれからアルタイ山に登つて其蛇掴の魔神を退治てやらう。貴様等は案内せよ』
一同『案内は致しますが、三年振りで漸う帰つたばかし、どうぞ一度吾家へ帰つて妻子に面会した上案内さして下さい』
『三年も居らなかつたのだから、屹度お前等の女房子は喰はれて了つたかも知れないよ』
 一同声を揃へてワアワアと泣き伏すあはれさ。
石凝姥『オー心配するな、滅多にそんな事はあるまい。とも角貴様等の村に暫らく逗留して様子を窺ふ事としよう』
と一同と共に彼等が部落に進み行く。
 この部落を鉄谷村と云ふ。一行が此村の入口に差掛つた頃は、既に烏羽玉の闇の帳は下され、空には黒雲塞がり咫尺を弁ぜざる闇黒界となりぬ。
 七八十軒もある鉄谷村は、何故か、どの家にも一点の燈火もついて居ない。微に鼻をすする音や泣き声が聞えてゐる。鰤公の一行はあまりの暗さに吾家さへも分らず、一歩々々杖を持たぬ盲目の様な足付をして探りさぐり進んで行く。やや高き所に忽然として一柱の火光が瞬き始めた。石凝姥その他の一行は其火を目当にドンドンと進んで来て見れば、此処は鉄谷村の酋長の鉄彦の屋敷である。何だか秘密が潜んでゐる様な気がする。石凝姥神は門前に立つて声朗かに宣伝歌を歌ひ始めた。門内より雷の如き声を張り上げて、
『ヤア、此門前に立ちて三五教の宣伝歌を歌ふ奴は何者だツ。酋長様の御家の一大事、そんな気楽な事を云つてゐる場合ではあるまい。何処の何奴か知らぬが、悪戯た真似を致すと笠の台が飛んで了ふぞ』
 門外より鰤公声を張上げ、
『ヤア、さう言ふ声は門番の時公ではないか。俺は三年前に宇智川の向岸に渡つたきり、丸木橋が落ちたものだから、今日まで帰らなかつたので村の様子はちつとも知らぬが、酋長の家の一大事とは何だい』
時公『何だも糞もあつたものか、蛇掴の曲神さまに酋長の娘清姫さまを今晩中にアルタイ山の砦に人身御供に上げねばならぬのだ。あんな美しい可惜娘を蛇掴の曲神の餌食にするのかと思へば、俺はもう気の毒で惜しうて何どころではない。貴様それにも拘はらず、蛇掴の嫌ひな宣伝歌を歌ふとは何の事だい。貴様の娘も今年の春だつたか、食はれて了うたのだよ』
 鰤公は、
『エーツ』
と云つた限り、其場にドツと倒れ伏し人事不省となる。
甲『オイ、俺は貴様のよく知つて居る吉公だが、門を開けて呉れ。屹度酋長がお喜びになる事は請合だ。俺は救ひの神様をお迎へして来たのだから、清姫さまも屹度お助かりになるだらう。早く開けないかい』
『マア何は兎もあれ、開けて見ようか』
と時公はやや不安にかられながら、白木の門をガラガラと開ける。石凝姥神は、
『御免』
と云ひつつ門を潜つて進み入る。
(大正一一・二・二七 旧二・一 藤津久子録)
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