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文献名1霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻
文献名2第2篇 天岩戸開(二)よみ(新仮名遣い)あまのいわとびらき(二)
文献名3第10章 深夜の琴〔506〕よみ(新仮名遣い)しんやのこと
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-11-12 00:34:59
あらすじ初公は一弦琴の音を聞いて、酋長の館に若い女性がいるのではないかと勘ぐる。蚊取別は夜も更けたことで、休もうと一同に提案し、皆眠りに就くことになった。蚊取別は一弦琴の主が気にかかり、ふすまの外で歌う女の声にそっと聞き入っている。果たしてそれは、蚊取別の妻・祝姫であった。祝姫は、白瀬川の滝で邪神にさえぎられて行き悩んでいた自分を、酋長・夏山彦が助けてくれたのだが、夏山彦は自分に思いを架けており、そのために悩んでいることを歌に歌いこんでいた。祝姫は、悩みを解くために早く夫・蚊取別に会いたい、と歌って歌を終えた。蚊取別は祝姫の歌を聞き終わると、寝室に戻って宣伝使たちの間にごろりと横になった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月09日(旧02月11日) 口述場所 筆録者藤津久子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年9月30日 愛善世界社版87頁 八幡書店版第2輯 657頁 修補版 校定版91頁 普及版37頁 初版 ページ備考
OBC rm1210
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本文  夏山彦は一同に向ひ、
『最早夜も深更に及びましたれば、緩りと御寝み下さいませ。また明朝、緩々と御話を承はりませう』
と一同に会釈し一間に姿を隠した。
初公『蚊取別さま、この度は夢ぢやなからうなア。アイタヽヽヽ』
蚊取別『アハヽヽヽ、矢張り痛いか、痛けりや本当だ。安心して寝むだら宜からう』
初公『あの一絃琴の音はどうだ。小督の局が居るのぢやなからうかな。
 「峰の嵐か松風か、恋しき人の琴の音か、駒を留めて聞くからに、爪音しるき想夫憐」
と云つた奴だナア』
蚊取別『馬鹿云ふな。夫れは何十万年未来の世の出来事だ。今は天の岩戸隠れの神代だぞ』
初公『過去現在未来を一貫し、時間空間を超越するのが神界の経綸ぢやないか。己が斯うして夏山彦の館に一絃琴を聞いて彼是噂して居た事を何十万年の未来の世の狂人が、霊界物語だと云つて喋べる様になるのだ。是も神界の仕組だよ。さうだから、ちつとでも今の間に善い事をして未来の人間に持て囃される様にならねば困る。天の岩戸開きの神業に奉仕するのは、末代名の残る事だ。それを思うと一分間でも無駄に光陰を費やすと云ふ事は出来ないワ』
蚊取別『喧しう云はずに寝る時分には寝るものだ。最早子の刻だ。三人の宣伝使が御疲れだから、貴様一人寝るのが厭なら、門へ出て其辺を迂路付いて来い』
初公『子の刻だから寝ると云ふのか、妙なコヂツケだな』
蚊取別『コヂ付けでも何でもない。開闢の初めから定まり切つた言霊の規則だよ。戌の刻限は、人間のいぬる時だ。ぬるの言霊は寝るのだ。亥の刻限にはゐと云うて休む時なのだ。ゐも又寝るのだ。子の刻にはねるものだ。戌亥子の三時は人間が一日の疲れをすつかり休めて華胥の国に遊楽する刻限だ、即ち寝る時だよ。十分体が休まつて、ウーシとなると明日の働く元気が身体一面に、ウーと張り切りシーと緊り、トーと尖つて芽をふき、ラーと左旋運動を起す。それが寅の刻だ。丑寅の刻に元気を付けて、ウーと太陽が卯の方に上る時に人間も起き出で、日天様を拝し顔を洗ひ嗽ひをし、身魂を清めてそれから飯を食ひ、辰の刻が来れば立つて働く。巳の刻が来れば、霊魂にも体にも、みが入つて一日中の大活動時機となる。午の刻になれば日天様は中天に上られ、人間の体も完全に霊と体との活用がウマク行はれるのだ。未になれば火の辻と云うて、火と水との境目だ。それから段々下ると申の刻、そこら一面に水気が下つて来る。酉の刻になれば一日の仕事を取り纏べて、其辺中を取片付け、御飯をとり込んでまた神様にお礼を申し、皆揃うて戌の刻になるといぬるのだよ』
初公『お前は割とは難かしい事を知つて居る宣伝使だねえ』
蚊取別『根ツから葉ツから蕪から菜種迄、宇宙一切万事万端解決が着かねば、宣伝使にはなれないのだよ。牛の尻ぢやないが、牛の尻にならぬと世界を助け廻る事は出来ぬ。兎も角宣伝使が尤も慎むべき寅の刻、オツトドツコイ、虎の巻は何事も省ると云ふ事が一等だ、卯の刻ではない、己惚心を出してはならぬぞ。自分は足らはぬ者ぢや、力の弱い者だ、心の汚れた者だ、罪の塊だと、始終心に恥ぢ、悔い、畏れ、覚り、省みる様にならなくては神様の御用は出来ない。辰と緯との機の仕組、神の因縁を良く諒解し、一方に偏らず、其真ん中の道を歩み、巳の刻ではない、身魂を磨き身を慎み、身贔屓身勝手は捨て改め、猥りに人を審判かず、心は穏かに春の如く、午の刻、否うまく調和を取つて神に等しき言霊を使ふのが本当の神の使だよ』
初公『蚊取別さまの御話で大体甲子(昨日)から随いて歩いて、漸く十二分の干支九(会得)が出来た。然し一絃琴の音が益々冴えて来たぢやないか。寝よと云つたつて、琴の音に耳を澄まされ子る事は出来はしない。ことの外真夜中過ての一絃琴だ。一言禁止する訳には行こうまいかな』
蚊取別『ハテナ、あの琴の音はどうやら、秘密が潜むで居るワイ。此処に来たのも何か神様の一つの絃に操られて来たのだらう』
 一絃琴の音はピタリと止むだ。高光彦を始め初公は漸く眠りに就いた。蚊取別は一絃琴の耳に入りしより何となく胸騒ぎ、心落着かず眠り兼ね寝床の上に双手を組むで思案に暮れて居た。又もや微に聞ゆる琴の音、微かに歌ふ声、蚊取別は眠られぬ儘に、琴の爪音を探りさぐり近付いて襖の外に息を殺し静かに聞き入つた。一室に女の歌ふ声、
『世は烏羽玉の暗くして  黒白もわかぬ人心
 此世の曲を天地の  神の伊吹きに祝姫
 山の尾の上や川の瀬に  威猛り狂ふ曲神を
 言向け和し宣り和め  神の恵みを四方の国
 百人千人に白瀬川  言の葉車の滝津瀬と
 逸れど曇る世の中は  何の効果もナイル河
 滝の涙も涸れ果てて  緑の色も褪せにけり
 夏山彦の神館  百日百夜のもてなしも
 早秋月の滝の水  乾くよしなき今の身は
 生きて甲斐なき宣伝使  北光彦の媒介に
 蚊取の別の妻となり  比翼連理の片袖も
 今は湿りて濡衣の  乾くよしなき浅猿しさ
 シナイ山より落ちかかる  秋月滝に身を打たれ
 醜の魔神にさやられて  神に受けたる玉の緒の
 息も絶えなむ時もあれ  情も深き夏山彦の
 貴の命に助けられ  病き悩む現身を
 これの館に横たへて  朝な夕なの慈み
 身も健かになりぬれば  愈此家を立ち出でて
 天が下をば駆巡り  三五教の御教に
 常夜の暗の戸をあけて  荒振る神や醜神の
 魂照さむと思ふ間  思ひがけなき夏山彦の
 貴の命の横恋慕  夫ある身も白瀬川
 流す浮名の恐ろしく  操破らぬ祝姫
 アヽさりながらさりながら  世人の口の怖ろしく
 戸もたてられぬ我思ひ  義理と情にほだされて
 操の松も萎れ行く  嗚呼如何にせむ蚊取別
 夫の命が此噂  聞し召しなば如何にせむ
 夏山彦は名にし負ふ  心目出度き貴の司
 神ならぬ身の祝姫  夫持つ吾と知らずして
 恋の小田巻繰返し  返し重ねて朝夕に
 心の丈を割りなくも  口説き給ふぞ悲しけれ
 此の世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直し聞き直し
 世の過ちを宣り直す  三五教の守り神
 百の神たち我胸の  暗き帳を引きあけて
 心を晴らせ八重雲を  伊吹き祓ひて日月の
 光照らさせ給へかし  蚊取別てふ背の君は
 今は何処に荒野原  独り苦しき漂浪の
 旅を続かせ給ふらむ  逢ひたさ見たさ身の詰り
 只一言の言霊の  夫の命に通へよや
 峰の嵐や松風に  寄せて妾が琴の音を
 夫の命に送れかし  夫の命に送れかし』
と静かに歌つて居る。蚊取別は思はず、ウンウンと溜息つきながら足音高く我居間に立帰り、四人と共に床の上にコロリと伏し、夜の明くるを今や遅しと待ち居たりける。
(大正一一・三・九 旧二・一一 藤津久子録)
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