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文献名1霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
文献名2第2篇 洗礼旅行よみ(新仮名遣い)せんれいりょこう
文献名3第7章 布留野原〔533〕よみ(新仮名遣い)ふるのはら
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-12-03 17:47:04
あらすじ一行七人は北へ北へと進み、フル野ケ原に進み入ってきた。ここで一行は野宿をすることになった。日の出別命はすぐにごろりと横になり、寝についてしまう。一同は日の出別命の豪胆さと刹那心に感心していたが、言い争っているうちに日の出別命の姿は消えてしまった。六人は騒いでいると、血なまぐさい風がさっと吹いてきた。生い茂る茅の中から、黒い顔がぬっと現れて六人に笑い、吠えだした。岩彦は化け物に対して憎まれ口をたたき、尻を叩いて挑発する。化け物は、岩彦の尻に食いつこうと言うと、岩彦は腰を抜かして動けなくなってしまう。鷹彦は岩彦をたしなめてからかっている。そのうちに、化け物は挨拶をして消えてしまった。化け物が去ったので、腰が立った岩彦はまた調子に乗って法螺を吹いている。どこからともなく、化け物が三五教の宣伝歌で、またしても岩彦の脂を絞ってやろうか、と歌っている。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月17日(旧02月19日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年10月30日 愛善世界社版85頁 八幡書店版第3輯 62頁 修補版 校定版85頁 普及版35頁 初版 ページ備考
OBC rm1307
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本文  誠の神の言霊に  雲霧開く日の出別
 珎の御言の宣伝使  天教山を立出でて
 遠き海原うち渡り  いよいよここにフサの海
 タルの港に上陸し  心も漸つとシヅの森
 木蔭に憩ふ折柄に  闇に聞ゆる人の声
 眠覚ませば岩彦が  部下に仕ふる宣伝使
 一二三四五つ六つ  むつみ合うたる其仲も
 時に浪風立騒ぎ  黒白も分ぬ暗まぎれ
 闘ふ間に日の出別  神の真道を言別けて
 漸く一同シヅの森  岩に等しき岩彦の
 固き心をなごめつつ  一度に開く梅ケ香の
 神の教に服従はせ  音に名高きフル野原
 さやる魔神を言向けて  亀の齢の何時までも
 動かぬ神代を築かむと  心の駒に鞭ちて
 雀の群に翔け下る  鷹の勢勇ましく
 草生ひ茂る広野原  タルの大河右に見て
 北へ北へと進み行く。
 一行七人は脚に任せてフル野ケ原を奥深く進み入る。又もや真黒の暗の帳はおろされて、四辺暗澹たる光景となりて来たりぬ。東北の風はヒユーヒユーと草野を撫でて吹き来り小雨さへ混り居る。
鷹彦『昨夜は、シヅの森で、乱痴気騒ぎをおつぱじめ、日の出別の宣伝使の居中調停の効果によりて、まづ平和克復の曙光を認め、今日は天地にかはる大変動、三五教を仇敵の如く見做して居た、ウラル教のヘボ宣伝使は、今日は同行七人の三五教、変れば替るものだワイ。サア今晩は、このフル野ケ原の草を衾に、平和の夢を結ばうぢやないか。モシモシ日の出別の宣伝使様、此フル野ケ原は、一時雨が降つては、また一時晴れるといふ芸当を繰返すのですから漫然安眠も出来ますまいが、蓑笠を被つて、一夜を明かす事に致しませうか』
『アヽそれも宜からう。先づ今晩はゆつくりと足を伸ばして寝ませう』
岩彦『それは有難い、併し乍らこのフル野ケ原は、妖怪変化の隠顕出没常ならざる、魔窟ケ原であるから、あまり安眠も出来ますまい。併しコンパスを休養させる為に、横に立てつて、空の黒雲と睨みつこでも致しませうか』
梅彦『アヽモウ草臥れた。タルの河の河縁を伝うて来たお蔭で、草鞋に泥埃の寄生虫が群生して、十足ぶりの重みを感じた。アーア疲労れた時に休む程楽なものはない。可愛い子には旅をさせとやら、本当に、風吹き荒ぶ埃道を、目的場所もなしにテクツク位苦しい事はない。其苦しみを癒やす為に、足を伸ばして休む時の楽しさ、少々小雨が降つた位はナンの苦にもなるものでないわ』
亀彦『わしも一つ島から長い間、船に揺られて、サツパリ足の魂が、どつかへ移住したと見えて、ナンダか、他人の足の様な心持がして仕方がない。マアゆつくりと今夜は此処で休息さして貰はう』
『サアサア皆の者、休眠まうぢやないか』
と言ひ乍ら、日の出別は雑草の上にコロリと横たはり、鼾声雷の如く、忽ち華胥の国に遊楽するものの如くなりけり。
鷹彦『アア、何と罪のない豪胆な宣伝使だらう。昨日まで極力反対して居た吾々を側に置いて、何の懸念もなく、率先して他念もなく寝に就く。其度量の大きいのには、吾々も舌を巻かねばならぬ。人間は斯うなくてはならない、猜疑心や、嫉妬心や、疑惑があると、つひ他人の事が気になつて、安心の出来ぬものだ。疑心暗鬼を生ずと言つて、人は自分の心で自分を苦めるのだ。ウラル教は六人連で旅をしても、夜中に何が襲来するか知れないと云つて、交代で一人宛、其傍に哨兵を立たせて置く。之れを思へば、実に三五教は淡泊なものだ。博愛の教だ。……オイ貴様達も安心して寝たがよからう』
駒彦『ソラさうだ、昨日の敵は今日の味方、鬼の囁き、虎の嘯きと聞えしは、松吹く風となりにけりだ。サアサア皆一同に心のキルクを抜いて、今日は一蓮托生、枕を並べて討死……オツトドツコイ打揃ひ寝に就かうぢやないか』
岩彦『サアお前達は皆寝め、この岩彦は日の出別の宣伝使の保護の任にあたらねばならぬ。是が俺の真心だから……』
鷹彦『真心とは真赤な詐りだらう。マ心のマは悪魔の魔だらう。貴様はまだ安心が出来ないと見えて、熟睡して居る間に、日の出別命に喉笛でもかかれはせぬかといふ猜疑心があるのだよ』
岩彦『ナニ決して決して、さうではないよ。此フル野ケ原には、沢山の大蛇が居るといふ事だ。人の匂がすれば嗅ぎつけて、何時やつて来るか知れぬ。それだから拙者が保護の任に当るのだよ』
鷹彦『ナニソンナ心配は要らぬ。早く寝んだがよからうぞ』
梅彦『オイオイ、大変だ大変だ』
鷹彦『何が大変だ』
梅彦『日の出別の宣伝使のお姿が見えぬぢやないか』
 此一言に『アツ』と言ひ乍ら、附近を見れば影もない。
岩彦『それ見ろ、やつぱりフル野ケ原は妖怪窟だ。日の出別の宣伝使を、大蛇の奴、忍術を使つて、そつと呑んで仕舞よつたのだらうも知れぬぞ』
鷹彦『ナーニ、ソンナ事があるものか。あの方は神様の化身だから、変幻出没自由自在だ。吾々の様な罪悪の凝結とは違つて、浄化して御座るのだから、透つて見えないのだらう』
 此時何とも知れぬ血腥き、湿潤ある、蒸暑い風がサツと吹いて来た。
音彦『ヤア此風はナンダ、怪体な調子だぞ。どうしてもフル野ケ原式だ』
鷹彦『恐怖心に駆られて、全身細かく、ブルブルブル野ケ原の野宿といふ体裁だ。アハヽヽヽ、臆病風がソロソロ吹き出したワイ』
音彦『向うから悪魔の奴、魔風を吹かしよるから、此方も負けぬ気になつて、言霊の一二三四五六七八九十百千万億病風だ』
鷹彦『何を洒落るのだ、それそれ又雨だ』
音彦『あめが下に住居する吾々が、雨が怖くて此世に居れるか。雨より恐いは、アーメニヤのウラル彦様だ。吾々が斯うして、飛行宣伝中に宙返をうつたと云ふことが聞えたら、それこそ大変だ。到底旧のアーメニヤの城内に、格納して貰ふ事は最大難事だよ』
鷹彦『まだ貴様は、アーメニヤが恋しいのか』
音彦『ナーニ、アーメニヤが恋しいのぢやない、肝腎の力に思うた日の出別神様が、雲煙となつて磨滅して了つたものだから、心細くなつて来たのだ。それで今度はアーメニヤの盤古神王のお咎が恐ろしくなつて来たのだ。俺だつて日の出別の宣伝使にしやツついてさへ居れば、心が大丈夫だが、コンナ魔窟に放擲されて、チツトは愚痴も出ようまいものでもなからうぢやないか』
亀彦『さうぢや、同感々々、誰だつて人の心は九合八合だ。今此処で捨てられたら、それこそ一升の恨だ。オイオイ一斗の者、一石も早く在処を探ねて見ようぢやないか。桝々斗り知られぬ宣伝使の変幻出没、こりやマア、どうしたら宜からうかな』
 此時ボンヤリとした、薄暗い、生茂る茅の中から、ズズ黒い大きな顔がヌツと現はれて、
化物『キエーヘヽヽヽ、キヤーハヽヽヽ、キヨーホヽヽヽ、キューヽヽヽヽ』
音彦『音高し音高し、静かにめされ化物殿』
化物『キヤーヽヽヽヽ、キユーヽヽヽヽ』
音彦『オイオイ皆の奴、呪文を唱へるのだ。向うがキユーキユーだから、此方は窮々如律令だ。サア言うたり言うたり』
 一同声を揃へて、
『窮々如律令、窮々如律令』
化物『ワハヽヽヽ、苦しいか、恐ろしいか、キユーキユー言つてゐよるナア。キヤヽヽヽヽ、キヤハヽヽヽヽキヨホヽヽヽ』
岩彦『ナーンダ、脱線だらけの鵺的言霊を陳列しよつて、……ソンナものは何時迄置いといても、売約済の札は付かんぞ。モツト舶来の精巧無比、天下一品といふ言霊を陳列せぬかい』
化物『ウーン、ウンウン』
梅彦『ナアーンダ、屈みよつたな』
岩彦『どうだ、俺の言霊には、化チヤン往生しただらう。それだから此方が、ウラル教の宣伝使長に選ばれたのだ。ウラル彦の眼力は実に天晴れなものだらう』
音彦『あまり吹くない。何時だつて尻の約りが合うた事が、一度でもあるかい。貴様の言霊で化物が閉息したと思へば当が違うぞ。あの声を聞いたか、ウンウンウンといつただらう、萱ん穂の中で、団尻を引捲つて、ウンと瓦斯や残滓物を放出して、それから第二の作戦計画にかからうと云ふ手段だよ』
岩彦『何程ウンウン言つたつて、運は天に在りだ、一つ是から運比べをやるのだ』
 と言ひ乍ら、岩彦は尻ひきまくり、化物の屈んだ方に向つて、
岩彦『ヤア、折悪しくウンの持合せがない、仕方がないワ、此方の臀肉を喰へ、お尻が呆れるワ』
と三つ四つ叩いて見せる。
音、梅『アハヽヽヽ、こいつあ面白い、洒落てけつかるワイ』
 草原より再び化物はニユーツと首を出し、
『ヤア岩彦、有難い、お前の尻を是から頂戴する。そこ動くな』
岩彦『ヤア、バババケ公、嘘だ嘘だ、一寸愛想に行つて見たのだ。お前はウンウンと言つて糞をこいたが、俺は嘘をこいたのだ。コンナ事を、真面目に聞く不風流な奴があるかい。お前もよつぽど原始的な化チヤンだナア』
化物『オ……オ……俺は原始的だから、お前の様な風流の持合せはないワイ。何事も神の道は正直が一番だ。お前も苟くも天下の宣伝使、滅多に戯談や嘘偽を云ふ筈はあるまい。言行一致だ。サアサア宣言を履行して貰はうかい』
鷹彦『アハヽヽヽ、此化州、あぢな事を言ひよる。オイオイ化州、コンナ岩公の様な分らずやに相手になるな、見逃せ見逃せ』
化物『それでも岩公の奴、確に尻をまくつて、喰へと言つたのだ。お前たちの耳にも新なる所、斯く的確な意思表示をやつた以上は、何処までも強制執行をやるのだ』
岩彦『執行とはナンダ、執拗ぢやないか、良い加減に砕けぬかい』
化物『砕ける砕ける、お前の骨が、木葉微塵に砕けるぞ。当つて砕けと云ふことがあるぢやないか、お前も立派な一人前の男だらう。当つて砕けたらどうだい』
岩彦『イヤ俺は一人前ぢやない、四人前だ』
化物『四人前なら猶更の事だ、余人はいざ知らず、汝一人に限つて絶対的に実行をするのだ。そこ動くな』
岩彦『動けと云つたつて、動くものかい。岩サンは其名の如く、恬として動からざる事、磐石の如しだ』
化物『さうだらう、腰を抜かしよつて、減らず口を叩くない』
鷹彦『アーア、此睡たいのに、気楽な化奴がやつて来よつて、種々の余興をやるものだから可笑しくつて、碌に眠る事も出来やしないワ』
岩彦『オイオイ鷹彦、何が余興だ。俺の身にも一つなつて見い』
鷹彦『アハヽヽヽ、貴様あまり頑固だつたから、一寸神様に釘を打たれて居るのだ。ナアモシ、化神さま……』
化物『さうだ、鷹彦の仰有る通、俺の聞く通りだ。一分一厘間違のない話だ』
岩彦『オイ鷹彦、岩いでもよい事を言ふな、貴様は化の奴に共鳴しよつて、本当に怪しからぬ奴ぢや』
鷹彦『アハヽヽヽ、貴様又昨夜の様に夢でも見とるのぢやないか』
岩彦『さうかなア、夢なら結構だが……ヤアどうしても夢の様に思はれぬぞ。起きてはテクテクと曠野を渉り、寝てはコンナ恐ろしい夢を見せられては堪つたものぢやないワ』
化物『ヤア岩チヤン、永々お邪魔を致しました。夢でもない、現でもない、本当のフル野ケ原の化チヤンだ。ユメユメ疑ふこと勿れ、アリヨース』
と云つた限り、『ブスツ』と屁の様な怪しき音と共に消えて了つた。
音彦『ヤアヤア怪つ体な事があつたものだ。今の出よつたお化は、ナンデも雪隠のお化と見える。糞を垂れる終局の果てには鼬の最期屁ぢやないが、ブスツと音をさせて屁古垂れよつた』
岩彦『ワハヽヽヽ、妙なものだ。俺の腰もモウ大丈夫だ。オイどうだ、貴様、俺が腰を抜かしたと本当に思うて居つたのだらう、ソンナ弱い事で宣伝使が勤まるかい。キヤハヽヽヽ、キユフヽヽヽ、キヨホヽヽヽ』
鷹彦『オイオイ岩公、ソンナ言霊を使うと、第二の妖怪変化のお見舞だぞ』
岩彦『ようかいも神界もあつたものかい。吾輩の勢力範囲内に立入つて、何をようかい(容喙)するのぢや、権利侵害罪で起訴するぞ』
鷹彦『起訴するとは、奇想天外だ、天涯万里の雨がフル野ケ原、どうで碌な事はないからマアマア楽んで、ゆつくりと夜を日に継いで旅行するのだなア』
 此時何処ともなく、化物の声にて、
『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 化物此処に現はれて  嘘と糞とを立別ける
 嘘で固めた岩公の  岩より固い頑固者
 荒肝取られて腰打つて  骨を一々刻まれた
 様な苦しい思ひして  涙をソツと押隠し
 泰平楽の減らず口  此行先の荒屋に
 又もや俺が待受けて  どつと脂を搾つてやろか
 アハヽヽヽ、オホヽヽヽ、イヒヽヽヽ』
岩彦『エヽ、五月蝿い、又しても又しても。併し今度の笑方は正式だ、最前の様な、キューキューキューと吐かしよると気持が悪い……オイ化チヤン、笑ふなら、今の流儀だよ』
 再び中空より、化物の声、
『岩に松さへ生えるぢやないか、喰つて喰はれぬ事はない。アハヽヽヽ、ウフヽヽヽ、マハヽヽヽ、イヒヽヽヽ』
鷹彦『オイ岩公、喜べ、あの笑声は何と思ふ、アーウマイ、アウマイと笑つただらう、巧妙いこと吐かしよるナア』
岩彦『アーア、ウン……ウン、マーマ、イーイ、イーワイ』
(大正一一・三・一七 旧二・一九 松村真澄録)
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