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文献名1霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
文献名2第2篇 洗礼旅行よみ(新仮名遣い)せんれいりょこう
文献名3第9章 火の鼠〔535〕よみ(新仮名遣い)ひのねずみ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-11-26 16:57:40
あらすじ日は西山に傾き、暗澹としてきた。荒野を吹く風は刻々に激しくなる。鷹彦によると、この岩窟は琵琶の湖の底を通って、コーカス山にまで通じているという。岩窟の入口は隠されているが、子の刻になると、日の出別命が真っ赤な鼠を遣わして、入口を知らせる手はずになっている、という。またしても日の出別命の姿は見えなくなってしまった。駒彦は昨日の化け物の仮装をして岩彦を驚かそうとしたり、一同は馬鹿なことをやってはしゃいでいる。そこへ一天にわかに暗く、雲の渦は逆巻き、暴風に激しい雨が降り注いできた。そこへ日の出別命が岩窟上に現れた。そして岩上の潅木を截ち切ると、腰の細紐でもって弓矢をこしらえ、岩山に向かってはっしと射掛けた。そして、今の矢を探すことで、岩窟の入口がわかるのだ、と矢の探索を一同に命じた。一同が原野に矢を探しに出ると、日の出別命は火打石を取り出して、暴風に向かって火を放った。火はたちまちごうごうと四方に燃え広がった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月17日(旧02月19日) 口述場所 筆録者谷村真友 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年10月30日 愛善世界社版110頁 八幡書店版第3輯 71頁 修補版 校定版111頁 普及版46頁 初版 ページ備考
OBC rm1309
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本文  日は西山に傾きしと見えて、さしも陰鬱なる天地に一層の暗澹を加へ、荒野を吹捲る風の音は刻々に激しくなり来たりぬ。
鷹彦『サア、これから愈魔窟の探険だ。充分の食料を用意して了はないと、此岩窟は琵琶の湖の底を通つてコーカス山に貫通して居るのだから、三日、五日、十日位の旅では予定の探険は出来ない。先づドツサリと此袋にパンでも格納して、プロペラーに勢ひを付けて、身魂の基礎工事をしつかり撞固め、気丹田を練つて進む事としよう。中途になつて腹の虫が汽笛を鳴らすと困るから準備が肝腎だ』
岩彦『ヨウ、エライ決心だ、モウ直に行くのか』
鷹彦『ナニまだまだ時機が早い、子の刻限だ。此六ツの岩穴は全部塞いであるから一寸やそつとには分らぬ。まして斯う夜中になつて来ては猶更の事だ。日の出別命の宣伝使によつて子の刻になれば、真赤気の鼠が現はれて案内する事となつてるから、マア夫迄待つ事にしよう』
音彦『サア、是れからが正念場だ。仮令百千万の悪魔、邪神、一団となつて攻め来る共この音チャンは言霊の神力に依つて、木つ葉微塵に打ち伸ばし、叩き潰して仕舞ふは訳はない』
鷹彦『オイコラ音公、今からさう逆上るな、キニーネでもあれば頓服でもさせてやるけれど生憎持合せがなくて仕方がない』
音彦『ナーニ悪魔を頓服させるのだ。ヤア此辺が穴恐ろしい穴の口らしいぞ。刻限の来る迄は、稲荷サンの昼寝とやらうかい』
亀彦『何だ、怪つ体な事を言ふぢやないか、稲荷の昼寝とは何の事だい』
鷹彦『アハヽヽヽ、穴のふちにころりだ。それにしても、日の出別の宣伝使の姿が又もや紛失して仕舞つたぢやないか、一行中の大巨頭が居らなくなつては、指揮命令がうまく行かない。何程岩公が万丈の気焔を上げた所で風の如うなものだ。危機一髪の、ハツハツになつて、直にベソをかくのだから頼りないものだ』
岩彦『オイオイ、お手際拝見してから後に言うて貰はうかい、貴様の気焔とは訳が違うのだ。朝つぱらは滅茶矢鱈にはつしやいで、昼前になるとヤアモウ機械の油が切れたの一歩も行進が出来ないなぞと、弱音を吹きよるからコンナ弱い奴を途連れにして居ると、同行者も並大抵の事ぢやない。忌憚無く駄法螺は噴火口から天を焦す如うに噴出させるなり、序に運の悪い先ばしりの糞をプンプンと振れ撒きよるなり、嗚呼糞慨の至り屁口千万だ』
鷹彦『オイオイ、ソンナ馬鹿話を言つてる処ぢやないぞ。それ見ろ、茅原の中を昨夜出た奴が………』
岩彦『ヤ又出よつたな。今度は化の奴、位置を変更しよつて、味方の間近く攻寄つたりと云ふ光景だ。オイ化サン、昨日の岩公とチツト岩公が違うのだい。此醜の巌窟をよく見よ。俺の腕は正に斯の通りだ。何時でも愚図々々と洒落た事をしよると已むを得ない、直接行動を取るから覚悟致せ』
化物『アハヽヽヽ、俺だ俺だ、岩公の胆試しに一寸化けて見せてやつたのだよ』
岩彦『さういふ貴様は一体誰だ』
化物『人をこまらす駒サンだ。それでも貴様此暗に俺の顔が見えるのかい』
岩彦『オツト待つた、見えるでもなし、見えぬでもなし、何だか亡国的悲調を帯びた異声怪音が耳に映ずるのだ。俺の耳は重宝なものだぞ、耳で見て目で聴くのだから化物よりも上手を越す宣伝使さまだ。馬鹿な真似をして後でベソをかくな。何だ蝗か、ばつたの様に草叢にもぐり込んで、あつちやに飛び、こつちやに飛び、飛びあるきよつて、それだから飛沫ものと云ふのだ。まるで際物師の如うな芸当をやらかして、胆力無双の岩さまを恐喝しようと思つたつて其手は喰はぬぞ』
駒彦『アー俺も此岩窟へ探険と出かくれば、ドンナ奴が出て来るか分らないから一寸化物の予習を遣つてみたのだ。どうぞ今後は御贔屓にお引立を願ひまして、引続き不相変予習を願ひます』
岩彦『洒落どころかい、戦場に向つて何をソンナ気楽な事を言つて居るのだ。ソンナ事では屹度途中に屁子垂れる事は確定的事実だ。貴様のしくじる事は既に已に閻魔の登記簿にチヤンと印紙を貼つて登録済になつて居るのだ』
駒彦『オイオイ、貴様何を言つて居るのだ。登録済だの登記簿だのつて、ソンナ言葉は基督降誕後二十世紀の人間のぬかす事だ。今は紀元前五十万年の昔だぞ』
岩彦『過去、現在、未来を超越した霊界の物語だ、ソンナ事は当然だよ。チツポケな時代だとか、言葉だとかに囚はれて居る様な小人物で無限絶対無始無終の神界の経綸が分つてたまるものかい。学、古今を圧し、知識東西を貫くと云ふ三五教の新宣伝使だよ。貴様もちつと文明の空気を吸ふたが好からう』
駒彦『何だ、不分明の事をよう囀る奴だ。今日の原始時代に、文明の糞のつて尻があきれるワイ』
岩彦『文明の逆転旅行と云ふ事を知らぬのか。是れでも、マア見て居れ、地上の人間が豆の様な胆玉になつた二十世紀と云ふ非文明の世の中が出て来ると、何処かに妙な奴が現はれて屹度吾々が今採りつつある行動を、寝物語にほざく奴が出来て来るかも知れぬのだ。その時にまた歴史は繰返すと云うてその時代の人間が、これは非文明とか、非真理とか、屁理窟に合うとか合はぬとかほざく様なものだ。マアマア黙つて時の移るを待つたが好からうぞい』
 またもや一天俄に暗く逆巻く雲の渦、暴風しばく雨の槍衾に包まれにけり。
音彦『ヤヽヽヽ、又どつさりとあめ利加がフラン西とけつかるワイ。鼠の奴早く遣つて来て岩窟を吾々に明示して呉れないと、こつちの方が先に濡れ鼠になつちまふわ』
駒彦『其態はなんだ、猫に追はれた鼠のやうな腰付をしよつて、ニヤンチウ不格好な情ないていたらくだい』
鷹彦『オイオイ言霊の奏上だ。貴様等は暇だと直にはしやぎよつて騒がしくて仕様がない。篏口令の代りに間断なく祝詞奏上宣伝歌の合唱を厳命する』
岩彦『言はしておけば際限もなき其暴言、貴様の言ふ事を聞くものは、この広い天地の間に鼠一匹あるものかい。あまりメートルを上げ過ぎると汽缶が破裂するぞ』
 此時日の出別命は又もや忽然として岩上に現はれける。
一同『弥陀の来向だ、生神の顕現だ、有難い有難い』
岩彦『モシモシ日の出別命様、ドウゾ早く火鼠の御出現遊ばすやうに斡旋の労を執つて下さいナ』
『ヨシヨシ、今だ』
と云ひながら、日の出別命は岩上に密生せる灌木を幹打ち切り末打断ちて、腰の細紐を解きこれを縛つて弓を拵へ、茅の茎を切つて矢を作り、東西に延長せる岩山に向つて、発矢と射放ちける。
『サアよほど天も紅くなつて来た。いま私の射放つた矢を拾つて来い。さうすれば入口がはつきりと判るのだ』
鷹彦『これから十万年未来に於て、大国主神が矢を拾ひに原野に往つた様な古事ではない未来の事実だ。拾ひには行きませうが、其時のやうに原野に火をかけて焼かれては困りますぜ』
日の出別『マア吾々の命のまにまに探して来るのだよ』
岩彦『サアサ、是れから流れ矢の探索隊編成だ。何れ日の出別と云ふから、火を出して焼くには違ひない、さうすると、内はホラホラ外はスブスブと鼠の先生が遣つて来ると云ふ段取だナ。全隊進め、オ一二三』
と暗雲に駆け出したり。
 日の出別は直ちに燧石を取り出し折柄吹き来る暴風に向つて火を放てば、忽ち轟々たる音を立て火は四方に燃え拡がりぬ。嗚呼鷹彦以下の運命は如何に成り行くならむか。
(大正一一・三・一七 旧二・一九 谷村真友録)
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