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文献名1霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻
文献名2第1篇 正邪奮戦よみ(新仮名遣い)せいじゃふんせん
文献名3第2章 途上の変〔569〕よみ(新仮名遣い)とじょうのへん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-01-16 01:17:51
あらすじ田加彦と百舌彦は、顕恩郷を治める婆羅門教の鬼雲彦の軍勢を恐れるが、太玉命は一笑に付し、舟を用意させて一同渡河することとなった。向こう岸からは雨のように矢が降り注ぎ、百舌彦は胸を射抜かれて水中に倒れ落ちた。田加彦は驚いて河中に身を躍らせてしまった。船頭を失った舟は岩に激突し、宣伝使たちは河に投げ出されてしまった。太玉命は一人、顕恩郷の川岸に流れ着き、宣伝歌を歌いながら顕恩郷内に進んで行く。すると闇の中に大火光が落下し、一人の容貌端麗なる神人が電光のような火気を放出しながら現れた。神は、天照大神の第四子・活津彦根神と名乗った。そして、たったひとり婆羅門教の根拠に進み来るのは無謀の極みであり、引き返すように、と太玉命に警告した。太玉命は、大神より委託された任務をあくまで遂行する決意を表し、それを引き留めようとする神は悪神の変化であろう、と厳しく問い詰めた。活津彦根神は汝の勝手にするがよい、と言い残して消えてしまった。続いて、鳶彦が手下の一隊を引き連れて太玉命を取り囲み、襲い掛かるが、太玉命は懐より太玉串を取り出して左右左に打ち振ると、幻影のように消えてしまった。さらに、悪神は命の妻子の幻影を現し、松代姫と照妙姫が婆羅門教のとりこになったかのように装い、情を持って命の顕恩郷侵入を思いとどまらせようとした。しかし命は、松代姫や照妙姫が、敵のとりこになって自分の情けを当てにするような卑怯な言動はありえない、として悪神の計略を見破り、太玉串を打ち振ると、活津彦根神が現れて幻影を消し去った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年04月01日(旧03月05日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年12月5日 愛善世界社版19頁 八幡書店版第3輯 287頁 修補版 校定版19頁 普及版8頁 初版 ページ備考
OBC rm1502
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本文  太玉命、安彦、国彦、道彦は河向ふの騒々しき物音に頭を傾け暫らく思案に暮れけるが、
太玉命『田加彦、百舌彦、その方は顕恩郷の様子を熟知するものならむ、彼の騒々しき物音は何物なるか、逐一陳弁せよ』
百舌彦『あの物音は察する処、顕恩郷の大将鬼雲彦の部下の軍勢、此方に向つて攻め来り、貴下等を召捕らむとの計画なるべし。一時も早く吾等を助け、此場を立ち退き給へ。三五教の神司ともあるべき御身が名もなき邪神に亡ぼされむは心許なし、早く此場を』
と頻りに促す。
道彦『ナニ、敵を看て矛を収め、旗を捲いておめおめと遁走するは男子の本分に非ず。吾等には退却の二字なし、只進の一字あるのみ。如何なる強敵現はれ来るとも吾等は神の愛護により怯めず臆せず、ステツプを進めて敵の牙城に進撃せむ。生死勝敗は問ふ処に非ず』
と勇みの顔色物凄し。
安彦『ヤア敵の先鋒隊は蟻の如く黒山を築き向ふ岸に現はれたり。サア之からは吾々が神力を試す時節の到来、田加彦、百舌彦、船の用意をせよ』
百舌彦『船の用意は何時でも出来て居ますが御覧の通りの大敵、仮令鬼神を挫ぐ神勇ありとも多勢に無勢、殊更味方は身に寸鉄を帯びず、敵は凡有精鋭の武器を持つて押し寄せ来る、勝敗の数戦はずして明かなり。時を移さば彼等は此濁流を渡り吾等を生捕にせむは火を睹るよりも瞭なり。退いて徐に策を講じ、捲土重来の期を待たせ給へ』
 太玉命は大口を開けて高笑ひ、
太玉命『アハヽヽヽ、運は天にあり、吾は善言美詞の言霊の力を以て、寄せ来る敵を片つ端から言向和し、昔の顕恩郷に回復せむ。先んずれば人を制するとかや、此期に及んで躊躇逡巡するは御神慮に反す』
と言ふより早く身を躍らして船に跳び込んだ。五人は止むを得ず太玉命に従いて船中の人となつた。さしもに広きエデンの河の殆ど中流に進みし時、向岸より雨と降り来る急箭に百舌彦は胸を射抜かれ忽ち水中に顛落した。田加彦は此態を見て大に驚き、ザンブと許り水中に身を躍らして飛び込んだ。残り四人の宣伝使は此河の水心を知らず、船は忽ち流れのまにまに下方に向つて濁流に押されて矢を射る如く流れ行く。敵の矢は雨の如く注ぎ来る。忽ち船は河中の岩石に衝突し木葉微塵に粉砕された。
 太玉命は辛うじて向岸に着いた。安彦、国彦、道彦は濁流に呑まれた儘行衛不明となつて仕舞つた。嗚呼三人の運命は如何に?
 太玉命は濡れたる衣を絞り日に乾かし、悠々として宣伝歌を歌ひ顕恩郷の敵の巣窟に向つて単騎進入するのであつた。日は西山に傾いて黄昏の空暗く一点の星さへ見えぬ闇夜は刻々と身辺を包んで来た。宣伝歌の声は暗を縫うて遠近に響き渡る。此時天地も割るる許りの音響聞ゆると見る間に眼前に落下した大火光がある。不図見れば眉目清秀容貌端麗なる一柱の神人、身体より電光の如き火気を放出し乍ら太玉命に向ひ、
『吾は天照大神の第四の御子、活津彦根神なり。汝大胆にも唯一人悪逆無道の婆羅門が根拠に進入し来る事、無謀の極みなり。岩石を抱いて海中に投ずるよりも危し。一時も早く、もと来し道へ引返せよ』
太玉命『汝は活津彦根神とは全くの詐りならむ。鬼雲彦に憑依する八岐大蛇の変化か金毛九尾の変身か、悪鬼の変化ならむ。吾は苟くも大神の神使、この顕恩郷をして昔の天国楽土に復帰せしむるは吾大神より委託されたる一大使命なり。不幸にして神軍利有らずとも、そは天命なり、要らざる構ひ立て聞く耳持たぬ』
と暗の道を一目散に前進する。活津彦根神は、
『然らば汝の勝手にせよ』
と云ふかと見れば姿は忽ち消えて、山の尾上を渡る嵐の音のザワザワと聞ゆるのみなり。太玉命は漸く暗に慣れ、朧気乍らも探り探り進む事を得た。
 この時雲の扉を開いて十三夜の月は輝き初めた。太玉命は敵の城砦を指して又もや宣伝歌を歌ひつつ進み行く。向ふの方より数十の黒き影現はれ来り、前後左右より一柱の太玉命を取り囲み、
鳶彦『ヤア我こそは大国別の命の従者にして、鳶彦と言ふ顕恩郷きつてのヒーロー豪傑、汝無謀にも唯一柱顕恩郷に進み来るとは生命知らずの大馬鹿者、サア尋常に手を廻せ』
と言ふより早く槍の切突を月光に閃かし乍ら四方よりつめ掛来る。進退維谷りし太玉命は懐中より柄の短き太玉串を取り出し、左右左と打ち振れば豈図らむや鳶彦以下の黒影は拭ふが如く消え失せて塵だにも留めざりける。
太玉命『アハヽヽヽ、何事も悪神の計画は斯くの如く脆きものだ、吾が所持する太玉串の神力に依つて斯くも消え失せたるか。アヽ有難い有難い、三五教の大神!』
と大地に平伏してその神恩を感謝するのであつた。太玉命は不図頭を上ぐれば此はそも如何に、コーカス山に残し置きたる妻、松代姫を始めエデンの園を守る最愛の一人娘、照妙姫は高手小手に縛しめられ猿轡を箝まされ、鬼の如き番卒数多に引き立てられ命の前を萎々と稍伏し目勝ちに通り過ぎむとす。太玉命はハツと驚き、二人の顔を息を凝らし目を見張り眺めて居た。松代姫、照妙姫は猿轡を箝められたる為めにや、此方に向つて目を瞬き、何事か訴ふるものの如くであつた。この時黒頭巾を被りたる大の男、田蠑の如き目を剥き出し、
『ヤア其方は三五教の神司太玉命に非ずや、汝速に此河を渡り再び顕恩郷を窺はざるに於ては汝の妻子を赦し遣はさむ。之にも屈せず益々顕恩郷に向つて進入するに於ては、汝が最愛の妻子を今此場に於て嬲殺しにして呉れむ、返答如何に』
太玉命『サアそれは……』
男『サア、サア如何じや、返答聞かせ』
太玉命『サア、それは……』
男『サア、サアサア』
と掛合ふ。この時如何しけむ、松代姫の猿轡はサラリと解けた。
松代姫『ヤア貴方は吾夫太玉命に在さずや、妾は今やバラモン教の兇徒に捕へられ、無限の苦を受け今又斯くの如き憂目に会ふ。如何に夫にして勇猛絶倫に在せばとて、顕恩郷には鬼雲彦を始め、無数の強神綺羅星の如く固く守り居れば到底衆寡敵せず一時も早く自我心を折り、当郷を退却し妾母子の命を救はせ給へ』
とワツと許りに泣き伏しにける。照妙姫の猿轡も如何しけむバラバラと解けたりける。
照妙姫『アヽ恋しき父上様、妾は敵の為めに無限の苦を嘗め、譬へ方なき侮辱を受け悲哀に沈む今の境遇、何卒妻子をお救ひ下さいませ』
と又もや其場に泣き倒るるにぞ、太玉命は合点行かずと双手を組み稍少時思案に暮れて居た。松代姫、照妙姫は頻りに両手を合せ、
『吾夫よ、吾父よ、一時も早く貴方は我を折り、バラモン教の命に従ひ妾を助けて此顕恩郷を退かせ給へ』
と前後より命に取り縋り泣き叫びける。
男『サア、太玉命、汝が所持する太玉串を吾等に渡し降参致せば、汝が妻子の生命を助けて遣はす。如何じや、妻子は殺され吾身を捨てても神の道を進まむとするか、返答聞かせ』
と詰め掛る。太玉命は心に思ふ様、
『焼野の雉子、夜の鶴、子を憐まざるはなしと聞く、况して最愛の妻諸共に非業の最後を遂ぐるをみすみす見捨てて敵城に進むは如何に神命なればとて忍び難し。さりながら松代姫は斯くの如き悪魔にオメオメと捕縛せらるるが如き卑怯者に非ず。又吾が娘の照妙姫はかかる女々しき言を吐く娘に非ず、まさしく之妖怪変化の所為ならむ』
と又もや神言を奏上し、太玉串を懐中より取り出して左右左と打ち振つた。忽ち雷鳴轟き電光石火、四辺眩き以前の神人此場に下り来るよと見る間に松代姫、照妙姫を始め数多の敵の影は煙の如く消え失せ、野路を吹き渡る風の音のみザワザワと聞ゆるのであつた。
太玉命『アハヽヽヽ、又欺しやがつたな』
(大正一一・四・一 旧三・五 北村隆光録)
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