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文献名1霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻
文献名2第1篇 神軍霊馬よみ(新仮名遣い)しんぐんれいば
文献名3第9章 法螺の貝〔599〕よみ(新仮名遣い)ほらのかい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-01-27 17:09:08
あらすじ鬼雲彦は、鬼彦の帰りを待ちわびていた。そこへ、偵察隊が戻って来て、鬼彦らが三五教に帰順したことを伝えた。鬼雲彦は驚愕するが、そこへ鬼彦らが戻って来て復命したので、安心する。しかし鬼彦らは雲を掴むような大法螺の報告をする。鬼雲彦は不審に思い、囚人駕籠を改めると、駕籠には自分の妻子の死体が乗せられていた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年04月14日(旧03月18日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年12月25日 愛善世界社版118頁 八幡書店版第3輯 444頁 修補版 校定版122頁 普及版52頁 初版 ページ備考
OBC rm1609
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本文  三五教の宣伝使  万代祝ふ亀彦が
 言霊の息にあふられて  雲を霞と逃げ散りし
 鬼雲彦は命辛々本城へ  韋駄天走りに駆け戻り
 赤白青の鬼共を  一間に集めて鬼彦や
 鬼虎、石熊、熊鷹が  行方を探す大評定
 バラモン教の祭壇を  半祭つた其儘に
 厭な便りを菊月の  苦しみ藻掻く九月九日
 何を夕のすべもなく  半円の月は御空に輝けど
 心の空は掻き曇る  鬼に責められ村雲に
 包まれきつた鬼雲が  心の中ぞ哀れなる。
 鬼雲彦は奥の一間を開放し、上段に胡坐をかき、象牙のやうな角をニユウと立て、鰐口を開いて一同に向ひ、
『今日は実に目出度き菊見の宴、バラモン教が祭典日に犠牲を奉らむと、神饌の蒐集に遣はしたる鬼彦以下は何処へ姿を隠せしぞ。今に及びて帰り来らざるは何か非常事の出来せしならむ。斯くなる上は油断は大敵なるぞ、一々武装を整へ如何なる敵の来るとも怯めず屈せず克く戦ひ克く防ぎ、敵を千里に追ひ散らし、バラモン教が神力を天下に現はせよ』
と下知したるに、満座の中より現はれ出でたる一寸坊子、福助のやうな不恰好な頭をぐらつかせながら、危なき足許ひよろひよろと鬼雲彦が前に現はれ来り、
一寸坊子『申上げます、鬼彦其他の勇将は心機一転して三五教に寝返りを打ち、綾の高天に馳上り、日ならず大軍を率ゐて当山を十重二十重に取り巻き、鬼雲彦の大将を初め一人も残さず木端微塵に攻めつけ、大江山を三五教の牙城とせむとの敵の計略、一日も早くこの場を立ち去るか、但しは味方の全軍を率ゐて聖地に向つて進軍するか、時遅れては一大事、先ンずれば人を制す、一刻も早く進退を定めさせられよ』
と述べ立つるにぞ、鬼雲彦は両手を組み青息吐息の連続的発射に余念なかりき。時しもあれや、表門にガヤガヤとさざめく人声、鬼雲彦は自ら立つて表門に立ち現はれ、屹と目をすゑ眺むれば、こは抑如何に、鬼彦、鬼虎、熊鷹、石熊の四天王は数多の従卒に網代の駕籠を舁つがせながら意気揚々と帰り来る。鬼雲彦はハツと胸を撫で下ろし、
『ヤア天晴れ天晴れ、汝は鬼彦、鬼虎、熊鷹、石熊、よくも無事で帰りしぞ。獲物は何うぢや』
 鬼彦は肩を怒らし、鼻を蠢かしながら、
『鬼雲彦の御大将に申上げる、抑々吾等従卒を引率し、由良の港の秋山彦が館に立ち向ひ、さしもに固き大門も右手を延ばしてウンと一声向うへ押せばガラガラガラ、力余つて鬼彦は押した途端に門の中へ四五間ばかりドツと飛び込みし時の危さ否面白さ、続いて入り来る数多の従卒、四方八方に手分を致して玄関、納戸、水門、物置、柴部屋より鬨を作つて乱れ入る、さしもに豪傑無双の素盞嗚尊も国武彦其他従ふ奴輩も肝を潰して右往左往に逃げ惑うと見えしが忽ち勢力を盛返し、千引の岩を手玉に取つて大地も割れむ許りドスン、ドスンと岩石の雨、忽ち秋山彦の門前は直径一里もあらむと云ふ岩の山を築いたり、されども少しも怯まぬ味方の勇士鬼彦は真先に立ち、さしもに固き岩山を片足揚げてポンと蹴ればガラガラガラ、又もや左の足を揚げてポンと蹴つた途端に秋山彦の館は中天にクルクルと舞ひ上る。吾は之にも飽き足らず、数万貫の大岩石を手毬の如くヒン握り、海原目蒐けて雨や霰と投げつくれば、さしもに深き千尋の海も、ドボンドボンと音立てて水量まさり、遂には大なる一つ島が現はれたり。ヤア開闢以来斯る勇士が天にも地にもあるものか、斯く迄強き豪傑が、何として鬼雲彦如き大将に盲従するや、吾と吾身を顧みればいやもう馬鹿らしくなりにけり。さはさりながら今日はバラモン教の祭典日、如何に豪傑なればとて神様には叶はぬ、一度礼を申上げむと唯今立ち帰りし処で御座る』
 熊鷹は又もや大手を振り大地に四股踏み鳴らしながら、
『某は鬼彦の絶対無限の神力に驚きもせず、神素盞嗚尊と渡り合ひ、千引の岩をもつて互に挑み戦へば、尊は吾の猛威に辟易し、二三歩よろめきわたる隙を窺ひ、飛鳥の如くつけ入つて有無を云はさず鉄より固き両腕を後に廻し踏縛り、網代の駕籠に押し込みて番卒に固く守護させ置き、強力無双の国武彦の所在は何処と尋ねる中、現はれ出でたる大の男、之こそ確に国武彦、熊鷹が力を見せて呉れむと云ふより早く拳固を固めて、縦横無尽に打ち振り打ち振り、国武彦の横面目蒐けてポカンと一つ擲るや否や、首は中天に舞ひ上り、日本海の彼方にザンブと許り音を立てて水煙、姿も水となりにけり』
 鬼虎は又もや四股踏み鳴らし、
『某は秋山彦の館に向ひ、様子如何にと眺むれば、四天王の一人鬼彦並に熊鷹の両人は神素盞嗚の大神や、国武彦を向うに廻し、獅子奮迅の勢凄じく、丁々発止と秘術を尽す上段下段、下を払へば中天に飛び上り、上を払へば根底の国に身を潜め、天地四方を自由自在に飛び廻る、電光石火の大活動目覚しかりける次第なり。吾も四天王の其一人、目に物見せむと云ふより早く、臀部を捲つてポンと一発発射すれば雲煙濛々として四辺を包み、黒白も分らぬ真の闇、自縄自縛、これや耐らぬと臍の下より息を固めフツと許り吹き放てば、こは抑如何に、今迄此処に華々しく戦ひたる敵も味方も影もなく、大江山の此方を指して駕籠も人数も何も彼も宙を駆けつて散つて行く、あゝ有難や有難や、バラモン教の神力は斯迄尊きものなるか、此勢をばいかして大江山の本城に立ち帰り、鬼雲彦の大将に尻を捲つて屁を放れば、館諸共中天に舞ひ上り真逆様に和田の原、忽ち船と早変り、転宅などの面倒は要らぬ、サアサア一つ捲つて見ようか、鬼雲彦の御大将』
と肩を怒らし雄猛びをする。四天王の一人と聞えたる石熊は、又もや腕を振り胸をドンドンと打ちながら、
『某は当城より御大将の命令を受け、数多の木端武者を引き連れ、秋山彦の館に至つて見れば、今三人が申上げたる通りの乱痴気騒ぎの真最中、人の手柄の後追ふも面白くなしと股を拡げて朝鮮国へ一足飛に飛び行けば、神素盞嗚の大神の隠れ場所なる慶尚道の壇山に某が片足を踏み込み館も何も滅茶苦茶、留守居の神はこれに恐れて雲を霞と逃げ散れば、一歩跨げてウブスナ山脈の斎苑の宮居を足にかけ、コーカス山も蹂躙り、背伸びをすれば、コツンと当つた額の痛さ、よくよく見れば天に輝く大太陽、これ調法と懐中に無理に捻込み帰つて見れば、夢か現か幻か、合点の行かぬ此場の光景、木端武者等が寄合つて吾等が行方を詮議の最中、面白かりける次第なりけり、アハヽヽヽ』
と法螺を吹いて、一同を煙に捲きけり。鬼雲彦は四人の顔を熟々眺め、
『ヤアヤア、汝等四人狂気せしや、空々漠々として雲を掴むが如き注進振り、何は兎もあれ網代駕籠を此場に引き据ゑよ、吾一々敵の首を実見せむ』
鬼彦『いや、決して決して空々漠々ではありませぬ、何れも副守護神の御詫宣、肝腎要の御本尊は既に三五教に帰順致して御座る』
『ナニ、三五教に帰順致したとな、それや何故ぞ』
鬼彦『これはこれは失言で御座いました。にとがとの言ひ過り、三五教に帰順したのではない、三五教が帰順したので御座る。アハヽヽヽ』
 鬼雲彦は得意満面に溢れ、網代駕籠の戸を荒々しく引き開け眺むれば、こは抑如何に、最愛の妻の鬼雲姫は五体ズタズタに斬り放たれ血に塗れ、真裸の儘縡ぎれ居る。又もや四つの駕籠より現はれ出でたる血塗ろの男女、見れば最愛の吾伜及び娘なり。息子娘は数十箇所の傷を身に負ひながら、虫の泣くやうな声を絞り、
『父上様残念で御座います』
と一言残しその場にバタリと倒れ全身冷えわたり、氷の如くなりにける。月は皎々と輝き初め四辺は昼の如くに明るく、寝惚け烏は中天に飛び狂ひ阿呆々々と鳴き立つる。アヽ此結果は如何に。
(大正一一・四・一四 旧三・一八 加藤明子録)
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