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文献名1霊界物語 第19巻 如意宝珠 午の巻
文献名2第3篇 至誠通神よみ(新仮名遣い)しせいつうしん
文献名3第9章 身魂の浄化〔654〕よみ(新仮名遣い)みたまのじょうか
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ荒鷹と鬼鷹は、旅の途上、峠の巌に腰を掛けてこれまでの経緯を思い出し話し合っていた。二人は、ウラナイ教の拠点・高城山に、最近立派な雲が棚引くようになったのを見て、様子を探りに行こうと麓の千代川の郷の、鳴石の傍らまでやってきた。二人は石の傍らで休息したが、石が温かいのに気づいて、その上に座った。すると、岩が鳴動を始め、次第に音響が大きくなってきた。二人は驚いて、岩から飛び降りた。二人は岩から煙が立ち上る様を驚いてみていたが、すると一人の女神が現れた。荒鷹と鬼鷹は、岩が名高い鳴き岩であることに気づき、その上に座ってしまったことを謝罪して平伏した。女神は二人に対して、「しばらくであった」と声を掛けた。女神の傍らの二人の稚児は、荒鷹と鬼鷹の額に、小さな紫の玉を打ち込んだ。すると荒鷹と鬼鷹の心は、穏やかになり春のように和らいだ。女神は荒鷹に隆靖彦、鬼鷹に隆光彦と名を賜った。二人はお礼を言った。そして女神が丹州であることに気づいた。二人は丹州の本当の神名を請うたが、女神はまだそれを明かすときではない、と告げると、煙となって消えてしまった。二人は鳴き石に礼拝すると、高城山に向かって進んでいった。すると馬公と鹿公に行きあたった。馬公と鹿公は、二人を荒鷹・鬼鷹とは気づかず、丹州だと勘違いしている。荒鷹と鬼鷹は、宣伝歌にこれまでの経緯を説明して歌った。道すがら、馬公と鹿公は、高城山の言霊戦は、主人の失態を取り戻すためなので、自分たちに譲って欲しいと隆靖彦、隆光彦に頼んだ。隆靖彦、隆光彦は後ろで見守ることなり、馬公、鹿公が高城山の館に挑むこととなった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年05月08日(旧04月12日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年2月28日 愛善世界社版139頁 八幡書店版第4輯 81頁 修補版 校定版141頁 普及版64頁 初版 ページ備考
OBC rm1909
本文の文字数8763
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本文  心の暗の空晴れて、世界に鬼は梨の木の、峠の巌に腰打掛け、雪雲の空を眺めて、雑談に耽る二人の男あり。
荒鷹『アヽ思ひまはせば今年の春の初、鬼熊別の部下となつて、三岳山の岩窟に数多の手下を引連れ、善からぬ事計りを得意になつて、自己保存は人生の本領だと思ひ詰め、利己主義の行動を以て金科玉条として居たが、まだ天道様は吾々を捨て給はざりしか、音彦、加米彦、悦子姫様の一行に救はれ、飜然と悟り、三五教に入信さして頂き、鬼熊別の本城に逆襲し、言向和さむと心力を尽して見たが、まだ鬼熊別の大将は、神の救ひのお綱が掛つて居なかつたと見え、吾々の熱誠なる言霊の忠告を馬耳東風と聞き流し、終には鬼雲彦の後を追うて何処ともなく遁走して了つた。仮令三日でも同じ鍋はだの飯を食つた間柄だから、我々としては何処までも、誠の道に救はねばならないのだが、何処へお出でになつたか行衛は知れず、三五教へ這入つてから、此れと云ふ様な神様に御奉仕も出来ず、困つたものだ。竹生島へ行つて見れば、英子姫様は神業を完成遊ばして、素盞嗚大神様と共に、フサの国斎苑の御住居へお帰り遊ばした後なり、三五教の方々には、散り散りバラになつて別れて了ひ、殆ど方向に迷ふ今日の有様、せめては高城山の松姫でも言向和して、一つ功を立てねばなるまい………ナア鬼鷹』
鬼鷹『オーそうだ。此処も所は違ふが、ヤツパリ大枝山だ。あの向うに見えるは確かに高城山だ。何時も悪神の邪気に依つて黒雲が山の頂を包んで居たが、今日は又どうしたものだ。何時にない立派な雲が棚引いて居るではないか。何でも三五教の誰かが征服して、結構な神様を祀り、神徳が現はれて居るのではなからうかな。万一さうであるとすれば、結構は結構だが、吾々はモウ此自転倒島に於いて活動する所が無くなつた様なものだ。兎も角高城山を一度踏査して実否を探り、万々一三五教に帰順して居たとすれば、モウ仕方がない。どつと張り込んで此海を渡り、竜宮の一つ島へでも往つて、一働きしようぢやないか』
荒鷹『オウそれが上分別だ。併し第一着手として、高城山の探険と出かけやうぢやないか』
鬼鷹『高城山に立派な雲が棚引いて居るが、あれ見よ、真西に当つて又もや弥仙山の麓の様に紫の雲が靉靆いて居るぢやないか。玉照姫様に匹敵した男神様が御出現遊ばしたのではあるまいかなア。併し何は兎も角高城山へ打向ひ、其次に紫の雲の出処を調べる事としようかい。サアサア行かう』
と板を立てた様な坂道を下り、西へ西へと駆出した。満目蕭然として地は一面の薄雪の白布を被つて居る。仁王の様な足型を印し乍ら、高城山の山麓、千代川の郷、鳴石の傍までやつて来た。
荒鷹『一方は樹木鬱蒼とした箱庭式の小山に、卯の花の咲いた様に、白雪が梢に止まり、時ならぬ花を咲かせ、前は何とも知れぬ綺麓な水の流れた大堰川、こんな佳い景色は大枝の坂を越えてこのかた、見た事も無い。一つ此辺で休息した上、ボツボツと高城山に向ふ事にしようかい』
鬼鷹『何だか妙な声がし出したぢやないか。別に人間らしい者も居らず、獣とても居ないやうだ。狐や狸の足型は薄雪の上に残つて居るが、併し狐の声でもなし、人間の声でもなし、合点のいかぬ響きがするぢやないか。兎も角此処に大きな岩がある。どこもかも薄雪だらけだが、此岩に限つて一片の雪もたまつて居ない、さうして又カラカラに乾いて居る。幸ひ此岩の上で、楊柳観音ぢやないが、一つ瞑目静坐し心胆を錬つて見たらどうだ』
 荒鷹は打首肯き乍ら、平坦な巌の上にドツカと坐つた。
荒鷹『オイ兄弟、大変此岩は温かいぞ。お前も一寸此処に坐つて見よ』
鬼鷹『ヤア本当に温かい岩だなア。地上一面冷たい雪が降り、冷酷な世界の人情は此通りと、天地から鑑を出して、俺達に示して御座るのに、こりや又どうしたものだ。僅か一坪ばかりの此岩の上許りは、冷酷な雪もたまらず、春の様な暖かみを帯びて居る。是れを見ても、どつかに暖かい人間も、チツとは残つて居ると云ふ神様の暗示だらうよ』
 忽ち膝下の平面岩は鳴動を始め、刻々に音響強大猛烈の度を加へて来た。二人は驚いて足早に飛び下り、七八間此方に引き返し、岩石を見詰めて居た。忽ち岩石は白煙を吐き出した。続いて紫の雲細く長く、白煙の中に棹を立てた様に天に冲し、蕨が握り拳を固めたやうな恰好になつては、二三十間中空に消え、又同じく現はれては消え、幾回となく紫の円柱が立昇り、生々滅々して居る。二人は『ヤアヤア』と声を張り上げ驚くばかりであつた。猛烈なる大爆音は次第々々に低声となり、遂にピタリと止まつた。白煙は依然として盛に立昇つて居る。此時金の冠を戴き、種々の宝玉を以て造られたる瓔珞を身体一面に着飾り、白き薄衣を着したる、白面豊頬の女神、眉目の位置と謂ひ、鼻の附具合と云ひ、唇の色紅を呈し、雪の如き歯を少しく見せ、ニヤリと笑ひ乍ら現はれ給うた。
荒鷹『ヤア音に名高い川堰の鳴石であつたか。それとは知らずに御無礼千万にも、吾々の汚れた体で踏みにじり、誠に申訳のない事を致したワイ。キツと鳴石の霊が現はれて、何か吾々に対して厳しい御託宣を下されるのであらう。何はともあれお詫をするより仕方がない』
と荒鷹は薄雪の積もる大地にペタリと平太張つて、謝罪の意を表した。鬼鷹も同じく大地に鰭伏し慄うて居る。忽ち虚空に音楽聞え、蓮の葉の様な大花弁がパラパラと降つて来た。四辺はえも云はれぬ芳香に包まれた。荒鷹は頭を地に附け乍ら、少しく首を曲げ、一方の目にて恐る恐る岩上の女神を眺めた。女神は二人の美しき稚児を左右に侍らせ、例の白烟の中に莞爾として立現はれ、白に稍桃色を帯びたる繊手を差し延べて、此方の両人に向ひ手招きして居る。
荒鷹『オイ鬼鷹、ソウツと頭を上げてあの女神を拝んで見よ。何だか吾々両人に対して御用が有りそうだぞ』
 此声に鬼鷹はコワゴワ乍ら、女神の方に眼を注いだ刹那、鬼鷹は『アツ』と叫んで、又もや大地に頭を摺付けた。何時の間にやら両人の体は何者にか引きずらるる様な心地し、以前の平岩の前に安着して居た。女神は淑やかに、
『荒鷹どの、鬼鷹どの、しばらくで御座つたなア』
 此声に両人は一度に頭を擡げ、熟々と女神の姿を打眺め、腑に落ちぬ面色にて頭を掻いて居る。女神は二人の稚児に、懐より麗しき玉を持たせ、何事か目配せした。二人の稚児は両人の前に進みより、小さき紫の玉を両人の額に当て、コンコンと打ち込んだ。二人は『アイタタ』と云ふ間もなく、痛みは止まつた。二人の稚児は忽ち女神の両脇に復帰し、さも愉快げに笑つて居る。此時より荒鷹、鬼鷹の二人は何となく心穏かに春の様な気分が漂うた。
女神は静に、
『唯今より荒鷹、鬼鷹では有りませぬ。隆靖彦、隆光彦と名を与へます。どうぞ今後は誠の神人となつて、神業に参加して下さい。妾の顔を覚えて居ますか』
 荒鷹はやつと安堵の態、
『隆靖彦の名を賜はり、有難き、身に取つての光栄で御座います』
隆光彦『私の如き曇り切つた身魂に対し、隆光彦と御名を下さいましたのは、何ともお礼の申様が御座いませぬ。失礼乍ら貴神様は吾々と共に三岳山の岩窟にお住居遊ばした丹州様では御座いませぬか』
 女神は莞爾として首肯く。
隆靖彦『アヽ是れで世界晴れが致しました。モウ此上は高城山の松姫を言向け和し、瑞の御霊の大神様の御神業に奉仕し、天地に蟠まる八岐の大蛇を言向け和す御神力は、十分に与へられた様な心持になりました。有難う御座います』
 隆光彦も無言の儘、頭を下げ感謝の意を表示する。
隆靖彦『あなた様は今まで丹州と身を変じ、吾々の身魂を研く為に、種々雑多と御苦労を遊ばした神様、どうぞ御名を現はし下さいませ』
女神『今は我名を現はすべき時にあらず。自然に貴方等の身魂に感得し得る所まで磨いて下さい。妾の素性が明瞭お分りになつた其時は、貴方等の身魂は天晴れの神人となられた時です。それまでは、あなた方の為に懸案として暫く留保して置きませう』
と云ふかと見れば、三柱の姿は煙となつて消えて了つた。鳴石は依然として小さき唸りを立てて居る。
隆靖彦『なんと不思議な事が有つたもんですなア。吾々に不思議な女神さまが現はれて、隆靖彦だとか、隆光彦だとか、身分不相応の神名を下さつたが、実際に於て責任を尽す事が出来るであらうかと、又一つ心配が殖えて来たやうだ』
隆光彦『そうだ、私も同感だ。併しあの女神様は何処となく丹州さまにソツくりだつた。お前もさう思つただらう』
隆靖彦『ヤア私はあまり勿体なくて、とつくりと顔を、ヨウ拝まなんだよ。何とはなしに目がマクマクして、面を向ける事が出来なかつた。そうして何だか心の底から恥しくつて、自分の今迄の罪悪を照される様な気がして、随分苦しかつた。是れはヒヨツとしたら夢ぢや有るまいかなア』
隆光彦『ナニ、夢所か本当に顕はれ給うたのだ。斯うなつた以上は、層一層言行を慎んで立派な宣伝使にならなくちや、今の女神様に対して申訳が無からう。併し乍ら此の鳴石は依然として唸つて居るぢやないか。又々どんな神様が出現遊ばすか分らないよ。モウ暫く此処に祝詞を奏上して待つて居たらどうだらう』
隆靖彦『ヤア此上立派な神様に出られてたまるものかい。モウ此れで結構だ。恥かしくつて仕方がない。サアサア早く高城山へ行かう』
 二人は鳴石に恭しく礼拝し、足早に大川の堤を伝つて上り行く。忽ちドンと突き当つた二人の男、驚いて、
二人『ヤアこれはこれは誠に無調法致しました。あまり俯むいて道を急いで居ましたので、女神様の御通りとも知らず、衝突を致しまして、申訳が御座いませぬ。どうぞお許し下さいませ』
隆靖彦『ヤアお前は、馬公に鹿公ぢやないか。エライ勢ひで何処へ行く積りぢや』
馬公『ハイ吾々の大将、紫姫、青彦の両人さま、大失敗を演じ、聖地にも居れないと云ふ立場になつて苦んで居られます。私等両人はあまりお気の毒で、見て居る訳にも行かず、そつと館を飛び出し、江州の竹生島へ参つて、英子姫様にお目にかかり、お情を以て、素盞嗚大神様に両人のお詫をして頂かうと思ひ、取る物も取敢ず参りました。どうぞ丹州さま、何とか、あなたもお力添をして下さいませぬか、お頼み申します』
隆靖彦『私は丹州さまぢやない。お前さんと一緒に、鬼ケ城の言霊戦に向つた大悪人たりし、荒鷹で御座いますよ』
馬公『モシモシ丹州さま、ソラ何を仰有います。眉目清秀、厳として冒す可らざるあなたの御容貌、女神の姿に化けて居らつしやるが、適切りあなたは擬ふ方なき丹州様、そんな意地の悪い事を仰有らずに、気を許して、打解けて下さいな』
鹿公『ヤア不思議だ。此処にも丹州さまそつくりの方が又現はれた。一目見た時から変つたお方ぢやと思つて居たが、ヤツパリ神様の化身で御座いましたか。どうぞ唯今申した通りの始末ですから、宜しく御神力を以てお助け下さいませ』
隆光彦『イエイエ決して決して、私は丹州さまでは御座いませぬ。荒鷹の兄弟分鬼鷹と云ふ、三岳山の岩窟に於て、悪ばかり働いて居つた男で御座いますよ』
馬、鹿『なんと仰有つても、鬼鷹、荒鷹の様な粗雑な容貌ぢや有りませぬワ。彼奴ア、一旦改心はしよつたが、又地金を出して、どつかへ迂路つき、此頃は鬼雲彦や鬼熊別の後を追うて、悪の道へ逆転旅行をやつて居るだらうと、吾々仲間の評定に上つて居る位な男です。そんな善悪不可解の筒井式の男の名を騙つたりなさらずに、本当の事を言つて下さい。私達は千騎一騎の場合で御座います』
隆靖彦『世間の眼識は違はぬものだなア。何程改心してもヤツパリどつかに、副守が割拠して居つたと見えて、三五教の御連中からは、今、馬公、鹿公の言つた様に見られて居つたのだなア。アーア仕方のないものだ。どうぞしてあの時の姿になつて、此両人の疑を晴らしたいものだ。斯うなると、麗しき容貌になつたのが、却て有難迷惑だ。ナア鬼鷹否々、隆光彦さま…』
隆光彦『アヽさうですなア。併し、馬公さま、鹿公さまにまで疑はれる程、霊魂が向上し、体の相貌までが変つて来たと云ふ事は、実に尊いものだ。ヤツパリ人間は霊魂が第一だ。……モシモシ馬さま鹿さま、決して嘘は申しませぬ。たつた今、何とも知れぬ立派な女神様から、玉を頂いたが最後、斯んなに変化して了つたのだ。名も隆靖彦、隆光彦と頂いたのだが、つい今の先まで依然として、荒鷹、鬼鷹の姿で居つたのだ。どうぞ疑を晴らして下さい』
 馬、鹿の二人は疑団の雲に包まれ、両人の姿を頭の上から足の爪先まで、念入りに見詰めて居る。
『バラモン教の総大将  鬼雲彦の部下となり
 三岳の山の岩窟に  心も荒き荒鷹や
 生血を絞る鬼鷹と  現はれ出でて四方八方の
 老若男女を拐はかし  無慈悲の限りを尽したる
 鬼熊別と諸共に  大江の山や鬼ケ城
 三岳の山に山砦を  構へて住まへる折もあれ
 天津御空の雲別けて  降りましたか地を掘りて
 現はれましたか知らねども  何とはなしに威厳ある
 丹州さまがやつて来て  俺の乾児にして呉れと
 頭を下げて頼まれる  二人は素より神ならぬ
 身の悲しさに丹州を  奴隷の如く酷き使ひ
 紫姫の主従を  ウマウマ岩窟に騙し込み
 馬公、鹿公二人をば  地獄に等しき岩穴へ
 情容赦も荒縄に  縛つてヤツと放り込みし
 天地容れざる大悪の  罪をも憎まず三五の
 神の教の宣伝使  音彦、加米彦現はれて
 悦子の姫を守りつつ  深き罪をば差し赦し
 神の教に導きて  忽ち変る神心
 人を悩める鬼ケ城  悪魔の砦に立向ひ
 聞くも芽出たき言霊の  清き戦に参加して
 神の尊き事を知り  三五教の神の道
 四方の国々弘めむと  心を配る折柄に
 弥仙の山の山麓に  神の知らせか紫の
 雲立昇る麗しさ  吾々二人は何となく
 雲に引かるる心地して  木の花姫の斎りたる
 御山の麓に来て見れば  豈計らむや丹州の
 威厳備はる御姿に  再び驚き畏みて
 踵を返し須知山の  峠の上に来て見れば
 常彦さまや滝、板の  二人の姿に驚きつ
 一言二言云ひかはし  丹州さまの仰せをば
 畏み仕へ東路を  指して山坂打渉り
 荒波猛る琵琶の湖  英子の姫の隠れます
 竹生の島に往て見れば  藻抜けの殻の果敢なさに
 駒の首を立て直し  彼方此方と彷徨ひつ
 吾信仰も堅木原  足並揃へて沓掛の
 郷を踏み越え懺悔坂  漸く登り梨の木の
 峠に立ちて眺むれば  遥に見ゆる西の空
 高城山の頂きに  五色の雲の棚引きし
 其光景に憧憬れつ  薄雪踏み締め来て見れば
 風の音高く鳴石の  上より昇る白煙
 また立昇る紫の  雲に心を奪はれつ
 両手を合せ拝む内  煙の中より現はれし
 荘厳無比の女神さま  二人の稚児を伴ひて
 吾れにうつしき宝玉を  授け給うと見る間に
 鬼をも欺く醜体の  二人は忽ち此通り
 白衣の袖に包まれて  容貌忽ち一変し
 隆靖彦や隆光彦の  教の司と名付けられ
 やうやう此処に来て見れば  顔見覚えた馬公や
 鹿公二人に巡り会ひ  俄に変る吾姿
 如何程言葉を尽すとも  諾なひまさぬは道理なれ
 アヽ然り乍ら然り乍ら  吾れはヤツパリ荒鷹に
 鬼鷹二人の向上身  どうぞ疑晴らしませ
 人は心が第一よ  霊魂研けば忽ちに
 鬼も変じて神となり  心一つの持方で
 神も忽ち鬼となる  さは然り乍ら人の身の
 如何に霊魂を研くとも  神の力に依らざれば
 徹底的に魂は  清まるものに有らざらむ
 自力信仰もよけれども  唯何事も人の世は
 他力の神に身を任せ  心を任せ皇神の
 救ひを得るより途はない  人の賢しき利巧もて
 誠の道を究めむと  思うた事の誤りを
 今漸くに悟りけり  吁馬公よ鹿公よ
 人間心を振棄てて  唯何事も惟神
 神の他力に打任せ  誠の信仰積むがよい
 吾れは是れより高城の  山の麓に現はれし
 ウラナイ教の宣伝使  松姫さまを言向けて
 誠の道に救はむと  思ひ定めて進み行く
 紫姫や若彦の  二人の心は察すれど
 人間心の如何にして  救ふ手段がありませうか
 魂を研いて今は唯  花咲く春を待てばよい
 神素盞嗚大神の  無量無限のお慈悲心
 如何でか見捨て給はむや  アヽ惟神々々
 御霊幸はひましまして  紫姫や若彦に
 如何なる罪の有りとても  心平らに安らかに
 直日に見直し聞直し  宣り直しませ素盞嗚の
 大神様に祈ぎ奉る  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 誠一つの麻柱の  道を貫く吾々は
 神の救ひは目の前  必ずともに二人共
 心を痛め給ふまじ  女神の姿と現はれし
 吾々二人は先頭に  高城山に向ひ行く
 馬公、鹿公両人よ  執着心を振り棄てて
 吾等と共に言霊の  清き戦に加はりて
 太しき功績を立て給へ  いざいざさらば、いざさらば
 一時も早く片時も  疾く速けく参りませう
 神は汝と倶にあり  神の恵は海よりも
 深しと聞けば高城の  山は如何程嶮しとも
 悪魔の勢強くとも  神の光を身に受けて
 常世の暗を照し行く  三五教の吾々が
 身の上こそは楽しけれ  アヽ惟神々々
 御霊幸はひ坐しませよ』
と宣伝歌を歌ひつつ、一行四人は一歩々々、ウラナイ教の松姫が館を指して近付きぬ。
馬公『モシモシ最前のお歌に依つて、私達もスツカリと信仰の妙味と効果が、心底から諒解出来ました。併し乍ら吾々両人は、紫姫様のお供を致し、比沼の真奈井の貴の宝座へ参拝の途中、あなた方に拐はかされ、其お蔭にて尊き三五教の信者となり、御主人の紫姫様は、世にも尊き宣伝使とまでお成り遊ばし、吾々両人は昼夜感涙に咽び……アーア吾々主従は何とした果報者だ……と喜んで居りましたが、計らずも紫姫様は若彦さまと共に、大神様の御不興を蒙り、少しの取違より、今は三五教を除名され、神様に対しては申訳なく、其罪万死に値すると言つて、日夜紫姫様のお歎き、家来の吾々両人、これがどうして見て居られませう。そこで吾々は紫姫様にお暇を願ひ、一つの功名を立て、大神様に誠を現はし、其功に依りて御主人の罪を赦して戴かうと思ひ、それとはなしにお願致しましたが、どうしても紫姫様は吾々に暇を下さらないので、血を吐くやうな思ひをして、心にも有らぬ主人に対し罵詈雑言を逞しうし、ヤツと勘当されて此処までやつて来ました。モウ斯うなる上は、仮令失敗を致さうとも、御主人の御身には何の関係も及ぼさないなり、万々一吾々が功名手柄を現はした時には御主人様に帰参をお願致し、さうして紫姫様の名誉を回復したいばつかりで、両人申合せ、何とか良い御用をして見たいと思つて、此処まで参りました。併し乍らあなたは既に高城山を言向け和さむと御決心なされた以上は、吾々はお供の身の上、仮令成功を致しましても、それが御主人様のお詫の材料にはなりませぬ。あなたは既に其れだけの御神徳をお頂きになつたのだから、此言霊戦はどうぞ、私に譲つて下さいますまいか』
鹿公『いま馬公の申した通りの事情で御座います。どうぞ、吾々の切なる胸中をお察し下さいまして、今回は吾々にお任せ下さいませ。万々一失敗を致しました時は、第二軍として、あなた方御両人が、弔戦をやつて下さいませぬか』
と涙をハラハラと流し、真心を面に現はして頼みゐる。
隆靖彦『吾々も入信以来、一つの功労もなく、せめては頑強なる松姫を言向け和し、神様にお目にかけたいと思つてやつて来たが、武士は相身互だ。それだけの事情を聞いた以上は、強つて断る訳にも行かぬ。ナア隆光彦さま、此言霊戦は馬公、鹿公に手柄を譲りませうか。己の欲する所は人に施せとの御神勅を思ひ出せば、無情に撥ねつける訳にもゆきますまい』
隆光彦『あなたの仰有る通りです。馬公、鹿公、御苦労乍ら華々しくやつて見て下さい。私は彼の川縁の景色の佳い所で、あなたの武者振を拝見致します』
馬、鹿『それは早速の御承諾、有難う御座います。何分身魂の磨けぬ吾々の言霊戦、蔭乍ら御保護を御願ひ致します』
隆靖彦『天晴れ功名手柄を現はして下さい』
隆光彦『大勝利を祈ります』
 馬、鹿の両人は『有難う』と感謝の意を表し、二人に別れ、松姫の館を指してイソイソ進み行く。
(大正一一・五・八 旧四・一二 松村真澄録)
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