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文献名1霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻
文献名2第1篇 千辛万苦よみ(新仮名遣い)せんしんばんく
文献名3第4章 砂利喰〔678〕よみ(新仮名遣い)じゃりくい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-05-02 01:21:24
あらすじ三人は高熊山の岩窟に詣でて心を洗い魂を清め、進んでいった。戸隠岩の麓に着いて路傍の石に腰を掛けて休息を取った。するとそこから一丁ばかり先に、五六人の怪しい男たちがたむろして、こちらを窺っている。玉治別は、盗人を改心させるには、盗人の中に入らなければならない、と二人に言う。玉治別が玉公親分となりすまし、竜公・国公を子分として男たちのところへ行くと、自分は三国ケ岳の鬼婆の片腕だと名乗った。盗人たちは、仲間に入ってくれと言うが、玉治別は、追いはぎなどは小さい盗人のすることだ、と言って、自分に付いて来るようにと男たちを誘う。玉治別は、黄金の玉と紫の玉があれば三千世界のことが思いのままになる、その玉を取りに行くのだ、と言って盗人たちを自分の子分にしてしまった。盗人たちが言うには、自分たちの頭がいて、今三五教の本山に、徳公と名乗って入り込んでいるのだ、と明かした。玉治別は、徳公なら知っているが、あの程度の者を頭に頂いているよりも、自分たち宣伝使にしたがった方がよいと、正体を明かして盗人たちを諭す。盗人たちは玉治別の説得に、一も二もなく、神様の道に仕える事を誓った。このとき、宣伝歌の声が聞こえてきた。宣伝歌は、一行が高春山に乗り込んで活躍する様を歌っていた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年05月16日(旧04月20日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年4月5日 愛善世界社版80頁 八幡書店版第4輯 294頁 修補版 校定版84頁 普及版36頁 初版 ページ備考
OBC rm2104
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本文  梅照彦が朝夕に  神の教を宣り伝ふ
 珍の館を後にして  ここに三人の宣伝使
 玉照彦の生れませる  高熊山の巌窟に
 心を洗ひ魂清め  神国守に送られて
 来勿止館の門前に  暇を告げてスタスタと
 足に任せて進み行く  天狗の岩にて名も高き
 境峠を打渡り  小幡の川の上流を
 尻を捲つて対岸  青野ケ原を右左
 眺めて進む法貴谷  戸隠岩の前に着く。
 三人は激湍飛沫の音高き谷川に沿へる、樹木鬱蒼たる谷道をエチエチ登つて、漸く戸隠岩の麓に着き路傍の岩に腰打掛け、息を休めてゐる。其処より一丁許り離れた坂道に五六人の怪しき男の影、何か頻りに囁いてゐる。
玉治別『竜国別、国依別の兄貴、何だ、向ふの方に怪体な奴が囁いてゐるぢやないか。此の山道に何をして居るのだらうかな』
国依別『あれは泥棒の群だ。往来の人の衣類持物を、すつかり脱がせる追剥商売が現はれたのだよ。最前も真裸体になつて女が泣きもつて通つただらう。あれは屹度的さんにやられたのに違ひないぞ。俺達も斯うして蓑笠を着て歩いて居るものだから、彼の女も吾々を同類と見よつたか、恐さうにキヤーと云つて一目散に遁げたぢやないか』
竜国別『それに間違ひは無い。吾々も屹度脱がされるのだな。一つ此処で何とか考へねばなるまいぞ』
玉治別『なアに、往くとこ迄行つて見な分るものか、刹那心だ。取越苦労をするに及ばないぞ、万々一先方が泥棒だつたら、此方が率先して泥棒の仮声を使ひ、泥棒仲間に交つて、彼奴等をうまく改心させるのだな。木花姫命様は三十三相に身を現じ盗人を改心させようと思へば自分から盗人になつて、一緒に働いて見て「オイ、盗人と云ふものは随分世間の狭いものの怖ろしいものだ。斯んな詮らない事は止めて天下晴れての正業に就かうぢやないか」と云つて、盗人を改心させなさると云ふことだ。酒飲みを改心させるには、自分も一緒に酒を飲み、賭博打を改心させるには自分も賭博打ちになつて、さうして改心させるのが神様の御経綸だ。吾々も一つ先方が盗人だつたら、此方も盗人に化けて、手を曳合うて仲間入りをなし、さうして改心させれば良いのだ』
国依別『なんぼ何うでも、盗人だけは断然止めたいなア』
玉治別『ナニ、心から盗人になれと云ふのぢやない。盗人を止めさせるための手段だから構はぬぢやないか。それが観自在天の身魂の働きだ。万一先方が盗人であつたら、此の玉治別が俺は盗賊の親方だと云つて威喝するのだから、お前達は俺の乾児に化けて居るのだぞ。さうして竜国別とか、国依別とか、斯んな道名を唱へては先方に悟られるから、此処で名を暫く改へて竜公、国公、玉公親分で行くことにしよう。先方から「オイ旅人一寸待つた、持物一切渡して行かつせエ」なんて言はれてからは面白くない。先んずれば人を制すだ。泥棒と見込みがついたら、一つ俺の方から口火をつけるのだ。オイ竜公、国公、玉公親分さんに従いて来い』
竜国別『到頭宣伝使を泥棒の乾児にして了ひやがつたなア』
国依別『エーこれも仕方がない。観自在天の御化身になると思へば、辛抱も出来ぬことはない、サア玉公親分、先へ行つて下さい』
 玉治別は先に立ち大手を振り乍ら、五六人の男の車座になつて道を塞いで居る前に近づき見れば、今剥ぎ取つたらしい女の衣服が傍に在るに気が付いた。的切り此奴は泥棒と、玉治別はわざと大きな声で、
玉治別『オイ竜、国、早く来んかい。彼処に五六人の男が居る。彼奴の着物をフン奪つて真裸にしてやるのだ』
と進んで行く。五六人の泥棒は此声を聞いて何れも呆気にとられてゐる。
玉治別『コレヤ木端泥棒、俺を誰だと思つて居るか。三国ケ岳の鬼婆の片腕と聞えたる大泥棒の玉公親分さんぢやぞ。サア持物一切此方にすつぱりと渡さばよし、愚図々々吐すと何奴も此奴も一蓮托生、素首を引抜いて了ふぞ』
甲『喧しう云ふない。俺だつて同じことだ。商売の好みで、俺達の着物だけは堪へて呉れ』
玉治別『堪へて呉れとぬかしやア話の次第によつては堪へぬ事も無いが、何うだ、一枚だけ俺に渡さないか。大難を小難にして赦してやるのだから』
乙『モシ親方、一寸待つて下さい。今吾々が集会を致しまして、ヌースー会社の創立委員となり、株式募集の協議の最中でございます。貴方もどうぞ沢山株を持つて下さい、品に依つたら社長さまに推薦するかも知れませぬから』
玉治別『俺は株は持つてはやらうが、一番の親方だから株代は払はないぞ。優先株を八百万株ばかり俺に献上致せ。さうすれば徹胴敷設でも何でも、うまく認可してやらう』
甲『そんな認可をして貰つたつて、此の泥棒会社に用は無い。徹胴の刃過(鉄道の認可)や無銭出ン話(無線電話)や田紳(電信)の御かげで、吾々の商売の大変邪魔になつて居るのだから、そんなものは要らないわ』
玉治別『貴様は矢張狐鼠盗人だな。通行人の着物位脱がして虐めて何になるかい。モツト羽織袴を着たり、洋服をつけて立派に万年筆の先で、一遍に難渋万、難迫万、難船万と云ふ泥棒をせぬのかい。徹胴敷設をすればレールをかぢり、道路を開鑿すれば砂利をかぢり、軍艦を拵へては鋼鉄をかぢり、缶詰を請負うては石を詰込み、斯う云ふ立派な智慧を出してヌースー式をやるのだ。さうすれば別に斯んな山奥に隠れて、慄うて居らないでも好いのだ、白昼に堂々と大都会のまん中を自動車を飛ばし、白首を乗せて天下の馬鹿者どもを睥睨しつつ、葉巻を燻らして大きな面をしていけるのだぞ。モウ斯んな仕様もない小盗人は廃めて、世界一の宝を手に入れる商売に乗り替へたら何うだい。軍艦かぢりよりも、レール喰ひよりも、砂利喰ひよりも何万倍とも知れぬ結構な商売があるのだぞ』
甲『エヽそんな商売が、親方何処にありますか』
玉治別『あらいでかい。俺にまア二三日ついて歩いて見よ。斯うして俺は乞食のやうな風に化けて居るが、其実は立派なものだぞ。今の世の中は家を飾り、衣服を飾り、身体中金ピカに扮して居る奴は、却て内実が苦しいものだ。家の中は火の雨が降つて居る。俺達は斯うして表面は汚い風をして居る代りに、かかりものが沢山はかからず、大変気楽で、世界の者の知らぬ結構な宝を手に入れて、毎日日日嬉し嬉しの花を咲かして楽しんで居るのだ。一つ貴様も俺の乾児になつたらどうだ。随分小盗人も苦しいものだらうが』
甲『お察しの通り随分苦しいものです。併し、しようことなしに、斯んな商売をやつて居るのです』
乙『三国ケ嶽の鬼婆アさまは、何でも蜈蚣姫とか云うたさうですな。蜈蚣の精から生れたのぢやありませぬか』
玉治別『なアに、そんなことがあるものか、随分あの婆アさまは俺の親方で自慢するぢやないが偉いものだよ。世界中の金銭を自由にして居るのだ。それだからお銭(足)が、たんと有るので蜈蚣姫と言ふのだよ』
丙『アーそれで蜈蚣姫と云ふのですか。何を云つても金銭の世の中ですから、せめて蜈蚣姫の乾児になりとして欲しいものですな』
玉治別『俺が蜈蚣姫の代理を勤めて居る玉公と云ふものだ。此処に二人、怪体な面をして来て居る奴は、竜公、国公と云つて、随分貴様の様に奴甲斐性の無い、小さい小盗人をチヨコチヨコやつて居つた奴だが、到頭往生しよつて俺の乾児になつたのだ。金銭よりも何よりも、モツトモツト立派な宝が発見されたのだ。それを俺達は二人の乾児を伴れて取りにゆくのだ、それは立派なものだぞ。紫の玉に黄金の玉だ』
乙『へーい、それは立派なものでせうなア』
玉治別『その玉さへあれば、三千世界の事は何でも彼でも、自分の心の儘になるのだ。貴様も俺の乾児にしてやるから、御供をしたらどうだい。さうして名は何と云ふか』
甲『ハイ私は遠州と申します、それから此奴が駿州、此奴が甲州、武州に三州と云ふものです。モー一人の奴は雲助上がりだから雲州と云ふ名がつけてあるのです』
玉治別『さうか、よし、それでは小盗人は今日限り廃めるか、何うだ』
 遠州始め一同は、
『ヘイヘイ誰が斯んな小さい商売を、アタ恐い、致しますものか。貴方の御供を致しまして、これから其玉を取りに参りませう』
玉治別『オイ此処に居る竜州と国州は、貴様等の兄貴分だから、よく言ふ事を聞かねばならぬぞ。それも承知か』
遠州『私は承知致しました。一同の奴も異議はありますまい』
玉治別『さうか、それならよし。今日からこの玉州さんの新乾児だ、オイ竜州、国州、俺は今俄に腹を痛めずに、これだけ大きな子を生んだのだから、貴様達は子守役になつて世話をしてやつて呉れよ』
竜国別『エー仕方が無い。国、何うするつもりだい』
国依別『どうすると云つたところで、行きつきばつたりだ。まア行くとこ迄行つて玉を掠奪した上のことだ。オイオイ貴様等は俺の弟分だ。俺達二人の言ふ事を神妙に聞くのだぞ。どんな用があつても直接に、お頭領の玉州さんに口を利いちやならない。この国州や竜州に相談をかけ、指揮を仰ぐのだぞ』
遠州『ハイ委細承知致しました。併し乍ら私の大親分に天州と云ふ奴があります。此の天州は今三五教の本山へ、何か結構な玉があるに違ひないといつて、信者に化込んで這入つて居ります。それは徳公と云ふ智慧も力も立派に備はつた大親分です』
玉治別『ナニ、あの徳公が貴様の親分と云ふのか。彼奴は聖地で門掃をして居つた奴ぢや。あんな奴を親分に仰ぐ貴様だから知れたものだ。実の所は俺は泥棒でも何でもない、三五教の誠一つの教を宣伝する玉治別のプロパガンデイストだ。さうしてこの御二方は竜国別、国依別と云ふ立派な宣伝使だ。サアこれから其方等が、すつぱりと改心をして、誠の道に復帰るか、さうでなければ、其方達に言霊を発射して、ビリツとも出来ないやうに、五年でも十年でも固めて置くがそれでもよいか』
一同『エー貴方は、さうすると三国ケ嶽の鬼婆の乾児ではないのですか』
玉治別『定つた事だよ。誰が泥棒商売のやうな、世間の狭い引合はぬことをするものかい。俺達は人を相手にせず、天を相手にすると云ふ、実に武勇絶倫なる不世出の英雄豪傑だ』
甲『泥棒の親分でさへ結構だと思つてゐるのに、三五教の宣伝使とは思ひもよりませなんだ。併し泥棒より幾千倍、イヤ天と地との差異ある神様の御道、どうぞ吾々を可愛がつて救うて下さいませぬか』
玉治別『ヨシヨシ救うてやる。その代りに吾々の指揮命令に盲従を続けるのだよ』
 此時空中に涼しき宣伝歌と思はるる曲が聞えて来た。
 三千世界の梅の花  一度に開く時来り
 本霊を曇らせし  憐れな世人を悉く
 誠の神の御教に  救ふ時とは成りにけり
 この谷道に現はれし  遠州、武州を始めとし
 甲州三州其他の  曲津をことごと言向けて
 神の誠の教を説き  いよいよ吾等が睦び合ひ
 力を協せて高春の  山の尾の上に巣を造る
 アルプス教の司神  鷹依姫が本城に
 どつと乗り込み如意宝珠  黄金の玉や紫の
 玉をマンマと手に入れて  三千世界を神の世に
 立直さむは目の当り  遠州駿州甲州武州
 雲州三州諸共に  来れや来れいざ来れ
 敵は幾万あるとても  何の懼るることやある
 直日の剣抜きつれて  群がる奴輩悉く
 神の誠の言霊に  縦横無尽に攻めなやめ
 勝鬨上げて神界の  堅磐常磐の御使と
 千代万代に名を揚げて  尽きぬ生命を何時迄も
 生かして通る神の道  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  鷹依姫の手に持てる
 宝珠の玉を取り還し  此世を救ひの神として
 吾等と倶に抜群の  功名手柄をしよぢやないか
 アヽ惟神々々  御霊幸はひましませと
    ○
 さしもに嶮しき山坂を  先に立つてぞ進み行く
 瑞の御霊の三柱に  五つの身魂を加へつつ
 三五の月照る夜半ごろ  別院村を乗り越えて
 大槻並や能勢の里  乗せて馳行く口車
 摂津の国の多田の里  波を湛へし津田の湖
 畔にこそは着きにける
    ○
 此の物語長けれど  眠りの神に誘はれて
 横に寝乍ら根の国や  華胥の国に進み行く
 アヽ惟神々々  御霊幸はひましませと
 後振り返り眺むれば  外山の霞晴渡り
 高春山の頂きに  豊二照らす朝日影
 上るを待つて此の続き  いと細やかに伝ふべし。
(大正一一・五・一六 旧四・二〇 外山豊二録)
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