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文献名1霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻
文献名2第1篇 暗雲低迷よみ(新仮名遣い)あんうんていめい
文献名3第3章 不知火〔695〕よみ(新仮名遣い)しらぬい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-05-26 10:36:39
あらすじ黒姫は今度は、テーリスタンとカーリンスの主人だった鷹依姫に疑いをかける。朝参の後に竜国別の家に立ち寄り、鷹依姫に対して、テーリスタンとカーリンスに盗み出させた黄金の玉を返せ、と詰め寄る。鷹依姫は必死に抗弁するが、黒姫はあくまで鷹依姫を疑って聞かない。鷹依姫は居丈高に尋問する黒姫の態度に、腹立たしくなり泣いている。そこへ竜国別が帰ってきた。そこへテーリスタンとカーリンスが入ってきた。カーリンスは竜国別らに、黒姫が黄金の玉を紛失し、自分たちが池に身投げした黒姫を助けたのがあべこべに、玉盗人の疑いをかけられてしまっている顛末を語った。竜国別は黄金の玉が紛失したこと、黒姫がその疑いをテーリスタン、カーリンス、鷹依姫にかけていることを知ると、ご神前にお伺いを立てに行った。戻ってきた竜国別は、「時節を待て」という神示があったことを告げた。黒姫はあくまで鷹依姫を疑い、憎まれ口を叩いた後、懐剣を抜いて自害しようとする。するとテーリスタンとカーリンスは突然、玉を盗んだのは自分たち二人であり、玉はすでにバラモン教の蜈蚣姫に渡したのだ、と狂言を始めた。黒姫、鷹依姫、竜国別は、てっきり真犯人が自白したと思い、二人を相手に大喧嘩を始める。そこへ言依別命が館の前を通りかかり、騒ぎを聞きつけた。言依別命が訳を尋ねると、黒姫はテーリスタンとカーリンスが黄金の玉を盗んだことを白状したのだ、と説明した。言依別命はテーリスタンとカーリンスが、黒姫の疑いが鷹依姫や竜国別に飛び火するのを防ぐために、自ら濡れ衣を着たことを悟って二人を褒めた。言依別命は一同に対して、玉が紛失した責任はすべて自分が負うので、もうこれ限りこのことは水に流してくれ、と言ってその場を祓い清めた。黒姫は言依別命が玉の紛失を追及しないので肝を抜かれて唖然としている。この後、黒姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの五人は、神界の仕組の糸に操られて、黄金の玉探索という名目で四方の国々を訪ね、悪魔退治の旅を行うことになるのであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年05月24日(旧04月28日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月30日 愛善世界社版35頁 八幡書店版第4輯 392頁 修補版 校定版36頁 普及版17頁 初版 ページ備考
OBC rm2203
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本文  黒姫は錦の宮の朝参を済ませ、帰途竜国別の家に立ち寄り、奥の一室に入り鷹依姫と、ひそひそ話を始めかけた。
黒姫『鷹依姫さま、世の中に宝と云うたら何が一番だと思ひますか』
鷹依姫『私は如意宝珠よりも、黄金の玉よりも、紫の玉よりも、天地の誠が一番の宝だと考へて居ります』
『ア左様か、それは御尤も。併し貴女はその宝を如何しました』
『何分にも曇つた身魂で御座いますから、誠の宝が手に入らいで、神様に対しはづかしいことで御座います。神様は誠の玉を早く取れよと突き出して御座るのですが、何うも人間は身魂の曇りが甚いのでお貰ひ申す事が出来ませぬ。何とかして早く誠と云ふ宝を手に入れたいと朝夕祈つて居ります』
『お前さまはさうぢやありますまい。誠の玉よりも、黄金の玉が結構なのでせう。三五教の唯一の宝、黄金の玉を、貴女こつそりと何処へ隠しましたか』
『エ、何とおつしやいます。合点の行かぬお言葉、黄金の玉が何うなつたと仰有るのですか』
『白々しい、呆けなさいますな。心に覚えが御座いませう。何とお隠しなさつても、此黒姫の目でちやんと睨んだら外れつこはありませぬ。既にテーリスタンや、カーリンスがお前さまの命令で、黄金の玉を盗んだと云はぬばかりの口吻をして居ますよ』
『あの、テー、カーの二人がそんな事を云ひましたか。何を証拠にそんな大それた嘘を云ふのでせうか』
『ヘン、貴女よく呆けますねえ。松の根元から掘り出しなさつた、あの黄金の玉ですよ。貴女が高春山でアルプス教の教主と云うて威張つて居られた時、徳公を聖地に入り込ませ、玉の在処を考へさして居つたぢやありませぬか。あの徳と云ふ奴は蜈蚣姫に在処を知らした奴だ。それが又お前さまの三五教へ偽帰順と共に、素知らぬ顔をして入つて来て居ませうがな。真実は彼奴の手引きで、テー、カーの両人が私の保管して居る黄金の玉を、お前さまの指図で盗つたに違ひありませぬ。私も、もう命がけだ。お前さまの生首を引き抜いて、私も潔く死んで仕舞ふのだ、さあ何うだ』
と藪から棒の詰問に、鷹依姫は呆れ果て、茫然として顔を真蒼にし、黒姫を凝視めて居る。
『悪事千里と云うて、悪い事は出来ますまいがな。併し神様は屹度赦して下さいますから綺麗薩張と白状なさいませ。お前さまは可愛い一人の息子の竜国別さまに毒茶を呑ませ、熱湯を浴びせるやうなものだ。私も仮令一日でも大切な玉が紛失して居つたと云ふことが、皆さまに知れては大変だから、何処迄も秘密を守つて、お前さまが盗んだとは云はないから、サア、ちやつと出して下さい。お前さまの身のため、竜国別さまのためだ。随分温順さうな顔をして居つて、貴女も敏腕家ぢやなア。黒姫も其腕前には感心致しましたよ。ホヽヽヽヽ』
と嫌らしく笑ふ。鷹依姫は当惑顔、涙をぼろぼろと流し、
『あゝ神様、何卒此黒白を分けて下さいませ。私は今、大変の難題を蒙つて居ります』
と手を合す。黒姫は声を尖らして、
『鷹依姫さま、馬鹿な真似をなさいますな。そんな嘘を喰ふ黒姫とは、ヘン、些と種が違ひますぞや』
『黒姫さま、そりや貴女本気で仰有るのですか。夢にも思はぬ難題を私に持ちかけ、自分が監督不行届の罪を塗りつけようと遊ばすのか。私もかう見えても一度は一教派の教主をして来たものだ。滅多な事を仰有ると了簡なりませぬぞや』
『了簡ならぬとは、そりや誰に云ふのだえ。此方からこそ了簡ならぬ。何と図太い胆玉だなア』
『黒姫様、貴女は何か私に恨があつてそんな難題を吹きかけるのでせう。それならそれで宜敷い、私にも考へがある。お前さまの様に子のないものならそれで宜いが、私には天にも地にも一人の可愛い伜がある。そんな難題を吹つかけられて何うして伜が世の中に立つて行けませう。竜国別の母親は聖地に於て宝を盗んだと云はれては、伜どころか先祖の名迄汚すぢやありませぬか。何を証拠にそんな無茶な事を仰有るのだ。私は高姫様のやうに、呑んだり吐いたり、そんな芸当はよう致しませぬ。お前さまは私が腹にでも呑んで居るやうに思うて居るのでせう』
『そりや貴女の腹にありませう。人の腹は外からは分りませぬからなア』
『そんなら私は潔白を示すために腹を切つてお目にかける。その代り、もし呑んで居なかつたら何うして下さる』
『玉を隠すのは腹ばつかりぢやありませぬ。土の中でも、倉の中でも、川の中でも、どつこへでも隠せるぢやありませぬか。そんなあざとい事を云うて、黒姫をちよろまかさうと思つても、いつかな いつかな、此黒姫は些と違ひますから、お前さまの口車には乗りませぬぞい。オホヽヽヽ』
と頤をしやくり、肩を四角にし、舌端を唇の所へ少し出して、目までしばづかせて見せた。鷹依姫は無念さ、口惜しさに声をあげて泣き立てる。
『泣いて事が済むと思うて居なさるか、なぜ堂々と仰有らぬのだ。泣いて威さうと思つたつて、女郎の涙も同然、そんな手を喰ふ私かいな』
と又頤をしやくつて馬鹿にする。鷹依姫は腹立たしさに益々泣き入る。声を聞きつけて今門口に帰つて来たばかりの竜国別は走り来り、
『お母さま、何処ぞ悪う御座いますか、何うなさいました。ヤア黒姫さま、お早う御座います。母は何処か悪いのですか』
 黒姫は憎々しげに、
『よう、お前は竜国別、悪けりやこそ泣くのぢやないか。息が詰つて、ものの答が出来なくなつたものだから泣き入るのだよ。お前の親で云ふぢやないが、ほんとに、驚いた悪党だ』
『黒姫さま、私の母が悪党だとは、そりや又何うした訳で』
 黒姫はにつこと笑ひ、
『同じ穴の狐、ようここまで信頼したものだナア。お前と云ひ、テーリスタンと云ひ、カーリンスと云ひ、これだけマア悪の四魂が揃へば、どんな悪事でも出来ますワイ。油断も隙もあつたものぢや御座いませぬワイなア。オホヽヽヽヽ』
と腰から上を揺つて見せる。
 斯かる処へテーリスタン、カーリンスの両人はバラバラと入り来る。竜国別はこれを見て、
『オイ、テー、カーの二人、何だ其顔は、貴様、喧嘩でもしたのか』
カーリンス『イヤもう大変な事です。黒姫の奴、玉を盗られ、せう事なしに池へ身を投げ、それを吾々が助けてやつたら、あべこべに鷹依姫さまと共謀して黄金の玉を盗んだと云ふのです。黒姫さまも大切な玉の監督の役目を仕損じたのだから、何どころぢやありますまい。お察しはするが、併し吾々二人を始め、鷹依姫さままでを泥坊にするとは余りぢやありませぬか。私も終にはテーリスタンを疑ひ出し、テーリスタンは私を疑ふと云ふので、暫く大喧嘩をやつてこんな態になつたのです。併し何うしても吾々二人を始め、鷹依姫さまは潔白です。何とかして黒姫さまの疑を解きたいものです』
竜国別『そりや大変だ。何は兎もあれ大切な御神宝、こりや此儘にしては置かれぬ。神様に伺つて来るから、それ迄待つて居て下さい。お母さま、御心配なさいますな。貴女の潔白は私が承知して居ます』
黒姫『何と云つてもお前達三人を共謀者と認めます。竜国別はあんな事を云つて尻こそばゆくなつて逃げたのだらう。オホヽヽヽ、どれもこれも、心に覚えがあると見えて、あの詮らなささうな顔ワイな。思ひ内にあれば色外に現はる、神様は正直だ。余り可笑しさを通り越して阿呆らしいワイのう。オホヽヽヽ』
と身体を揺り嘲弄する。暫くあつて竜国別は宙を飛んで帰つて来た。
黒姫『竜国別、何うだつたかナ』
『神様に御神籤を伺ひましたら、時節を待てと仰有いました』
『あゝさうだらう、神様が何そんな事を仰有るものか。お前の心に覚えのある事を…誰人が阿呆らしい。神様だつて返答なさるものかい。テツキリお前達が私を失策らさうと思つて隠したのか、但しは蜈蚣姫と気脈を通じて御神宝を盗み出す考へだらう。そんなあざとい事をしたつて、その悪が何処迄やり貫けるものぢやありませぬワイ。併し乍ら何うでも此玉の在処が知れぬと云へば、私は死なねばならぬ。私許りぢやあるまい、鷹依姫さま、竜国別さま、お前も腹でも切つて言ひ訳をなさらにやなるまい。さあ私から自害をするから、お前達も冥途の伴をなさいませ』
と懐剣を引き抜き吾喉に当てむとする時しも、テーリスタン、カーリンスの二人は肩を揺り、
『オイ黒姫、態見やがれ、其実は鷹依姫さま、竜国別さまも知つた事ぢやないワ。このテーリスタン、カーリンスの御両人様が盗み出して、とうの昔に蜈蚣姫の手に秘蔵されてあるのだよ。欲しけりや蜈蚣姫に頼んで返して貰へ。アハヽヽヽ、小気味のよい事だ』
と大声に罵り出した。黒姫はかつとなり、
『こりやテー、カーの両人、この黒姫の目は間違ひなからう、大それた奴だ。さあ早く其玉を蜈蚣姫の手から取り還して来い。神罰が恐ろしいぞや』
テ、カ『神罰が恐ろしいやうな事で、誰がそんな玉盗人をするものか。馬鹿々々』
と連発する。黒姫、竜国別、鷹依姫の三人は一斉に立ち上り、
『極悪無道の蜈蚣姫に款を通ずる両人、もはや了簡ならぬぞ』
と茲に五人は入り乱れて大喧嘩をおつ始めた。
 言依別命は錦の宮の拝礼を終り、静々と此前を通り、騒々しき物音に何事ならむと奥へ入り来り見れば、此の騒ぎ。
言依別命『これこれ皆さま、宣伝使や信者の身を以て何喧嘩をなさるのか』
黒姫『言依別命様、此奴両人、私が保管して居る玉を盗んだのはテー、カーだ。蜈蚣姫に渡してやつたのだ。馬鹿者よと云うて、私等を嘲弄する不届きな奴で御座います』
言依別命『テーリスタン、カーリンス、お前は実に感心な奴だ。さうなくてはならぬ、三五教の信者の亀鑑だ。誠の玉を能くも手に入れたなア』
 テー、カーの二人は嬉し涙に暮れて、
『ハイハイ』
と云つたきり畳に食ひついて泣いて居る。
黒姫『モシモシ言依別命様、お前様は何と云ふ事を仰有る。こんなドラ盗人を褒めると云ふ事がありますか。何うかして居ますなア』
言依別命『アヽ、黒姫、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンス殿、何事も神様の御計らひだ。御心配なさいますな、神様に深き思召のある事でせう。只今限り玉の事は云はないがよい。互に迷惑ですから、何事も私に任して置いて下さい』
黒姫『玉がなくてもかまひませぬのか』
言依別命『責任は私が負ひます。皆さま、これきり忘れて下さい』
と懐より幣を取り出し、
『祓ひ給へ清め給へ』
と云ひながら左右左に打ち振り、
『さあ皆さま、これですつかり解決がつきましたよ』
 黒姫は坐つたまま左の腕を突つ張り、体を斜にして言依別命の顔を穴のあくほど凝視め、鼈に尻を抜かれたやうなスタイルで、
『ヘー』
と長返事しながら落着かぬ面色である。
言依別命『サア皆さま、お宮へ参拝しませう』
と先に立つ。一同は漸く胸を撫で下し、錦の宮に参拝せむと竜国別の家を立ち出でた。
 初春の太陽は六人の頭を煌々と眩きまでに照し給うた。
 黄金の玉も如意宝珠  紫玉も又宝珠
 金剛不壊の神玉も  如意の宝珠と称ふなり
 中にも別けて高姫が  腹に呑み居し神玉は
 神宝の中の神宝なり  言依別命より
 委託されたる黄金の  玉の在処を失ひし
 黒姫心も落着かず  テーリスタンやカーリンス
 鷹依姫まで疑ひて  色々雑多と気を焦ち
 ヤツサモツサの最中へ  言依別が現はれて
 一先づその場は事もなく  治まりつれど治まらぬ
 心の空の雲霧を  払ふ術なき折柄に
 十字街頭に高姫が  錦の宮に参詣の
 折も折とて出会し  黒姫始め外四人
 高姫宅に招ぜられ  尊き神の御宝を
 紛失したる責任を  問ひ詰められて黒姫は
 いよいよ爰に決心の  臍を固めて聖域を
 あとに眺めつ黄金の  玉の在処を探らむと
 鷹依姫や竜国別  テーリスタンやカーリンス
 五人は各自に天の下  四方の国々隈もなく
 探ね行くこそ神界の  深き経綸と白雲の
 余所に求むるあはれさよ  さはさりながら此度の
 玉の在処は言依別の  神の命の胸の内
 神の命令を畏みて  心に深く秘めおきし
 此神策は神ならぬ  人の身として知るよしも
 泣々出て行くあさましさ  これより五人は神界の
 仕組の糸に操られ  悪魔退治の神業に
 知らず識らずに奉仕する  奇き神代の物語
 口述進むに従ひて  次第々々に面白く
 深き神慮を覚り得む  あゝ惟神々々
 御霊幸はへましませよ。
(大正一一・五・二四 旧四・二八 加藤明子録)
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