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文献名1霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻
文献名2第3篇 黄金化神よみ(新仮名遣い)おうごんけしん
文献名3第12章 銀公着瀑〔704〕よみ(新仮名遣い)ぎんこうちゃくばく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-05-30 02:11:15
あらすじ鷹鳥山中腹には、高姫、若彦、玉能姫の三人が籠もっていた。三人は谷川に降り立って禊を修していると、中空から二十四五の男が落ちてきて滝壺に落ち込んだ。若彦は男を救いあげた。天の数歌を唱えて魂呼びをすると、男は息を吹き返した。男は三五教に助けられたことを知ると、銀とだけ名乗った。玉能姫に素性を尋ねられて、銀公は自分は無住所如来だ、と出任せを言う。しかし玉能姫は、以前にバラモン教徒に襲われそうになったことがあり、銀公の顔を覚えていた。若彦も銀公の顔を認め、三五教の言霊で清めてやろう、という。三五教の言霊に恐れをなした銀公は、金助が黄金仏像になった一件を明かした。若彦が外に出て山頂を見ると、確かに光が煌煌と輝いている。若彦は驚いて鷹鳥姫を呼んだ。若彦を留守に残して、鷹鳥姫と玉能姫は山頂に向かった。金の仏像は二人を見ると、鷹鳥姫を掴んで、自分のところに来るにはまだ早い、と言って山の中腹に投げ返した。仏像は玉能姫は東に行け、と言って東の方向に投げてしまった。すると仏像はたちまち爆音とともに消えてしまった。後には肉体に戻った金助が、山を降って鷹鳥姫の庵を尋ね、銀公と共に三五教に帰順した。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年05月26日(旧04月30日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月30日 愛善世界社版153頁 八幡書店版第4輯 436頁 修補版 校定版157頁 普及版71頁 初版 ページ備考
OBC rm2212
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本文  鷹鳥山の中腹の岩の根に庵を結び、三五教の教の御柱を築かむと立籠りたる鷹鳥姫、若彦、玉能姫の三人は、何か心に期する所あるものの如く、谷川に下り立ち、禊身を修して居る時しも、中空を掠めて鳩の如く降り来れる一人の男、滝壺にザンブとばかり落ち込んだ。三人は俄の出来事に驚いて目を瞠り、滝壺を熟視すれば、水面の蜒りに揺られて浮き上り来る男の姿、
『こは大変』
と若彦は身を躍らし滝壺に飛び入り、小脇に引抱へ漸くにして救ひ上げた。これは二十四五歳の元気盛りの男の姿。種々と耳近くに口を寄せ、
『オーイ オーイ』
と魂呼びの神術をなし、天の数歌を力限りに唱ふれば、漸くにして息吹き返し、四辺をキヨロキヨロ見廻しながら、三人を見て、
『此処は何処で御座います。私は何時の間に此様な所へ来たのでせうか、見知らぬお方ばかり………貴方様は何と言ふお方で御座います』
若彦『此処は鷹鳥山の中腹、三五教の教の射場(教場)、鷹鳥姫の御住家だ』
『何卒怺へて下さいませ。生命ばかりはお助けを願ひます』
『生命を助けてやつたお前さまを、誰が又生命をとるものか。ちと気を落ち着けなさい。お前さまは何と言ふ名だ』
『ハイ、私は名は確か……銀と言つた様に覚えて居ます』
『アハヽヽヽ自分の名を、銀といつた様に覚えて居るとは、ちつと可笑しいぢやないか。今見て居れば天から降つて来た様だが、一体何処の国から来たのだ』
『ハイ、一寸待つて下さい。さう短兵急にお尋ねになつても、魂が何処か宿替したと見えて、はつきりとお答へが出来ませぬ』
『ア、さうだらう、無理もない。大空から降つて来たのだもの。まアゆつくり着物を着替へさして上げるから、此処で休んで気を落着け、其上で物語をしたが宜からう。鷹鳥姫さま、どうも妙な事があるものですなア』
鷹鳥姫『何れ日の出神様の御子さまが沢山あると言ふ事だから、妾等が誠を憐み給うて天から応援に来て下さつたのかも知れませぬぜ。兎も角大切に扱はねばなりますまい。さアさア玉能姫さま、貴方は衣服を着替へさして上げなさい』
 玉能姫は、
『アイ』
と答へて若彦の着替を持ち出し、男に着替へさせ、手を引きながら一室に連れ込み静かに寝させ、男の濡れた衣を絞り木の枝に懸けて乾かさうとして居る。
若彦『コレ、玉能姫、其着物の裏に何か標はついて居ないか。よく調べてお呉れ』
と言ひすて再び鷹鳥姫と共に以前の滝壺の傍に至り、天津祝詞を奏上し頻りに水垢離にかかり始めた。
 玉能姫は衣を干しながら詳細に何か標は無きやと探す中、「銀」と言ふ印に目が付いた。
『ハア……最前銀と言ふ様に思ひますがと彼の方が言つたのは、矢張り現でもなかつたらしい。それにしても天上から彼の淵へ天降つて来るのは何か理由がなくてはなるまい。一つお気の鎮まつた折を考へて詳しく尋ねて見よう』
と独語ちつつ男の横臥せる枕許に進み寄り見れば、以前の男は床上に起上り、不思議さうに四辺をキヨロキヨロ見廻して居る。
『モシモシ貴方、お気分は如何です』
『ハイ、大変に気分が良くなりました。然し此処は何と云ふ所で御座いますか』
『此処は鷹鳥山の三五教の射場です。貴方は天から真逆様に滝壺へ降つて御座つたが、一体何処から御出でになつたのです』
銀公は三五教の射場と聞いて心に打驚き、
『ヤア、大変だ。知らず識らずに黄金像に撥ね飛ばされて、敵の中へ落ち込み敵に救はれたのか。こりや迂濶バラモン教だなどと言はうものなら大変だ。何とかよい考へはあるまいか』
と腕を組んで思案に暮れて居る。
『何卒仰有つて下さいませ。今貴方のお召物を絞つて干します時に、銀と云ふ標が付いて居ました』
と聞いて銀公は一層心に打驚きしが、さあらぬ態にて、
『私は無住所如来と言つて、天にも住み、地にも住み、時としては地中にも住む者で御座います。銀の字の印のついたのは銀河を渡る時、棚機姫様に余り着物が古くなつたので替へて貰つたのです。此処は矢張り地上ですか。天上の国から見れば、お話にならない穢しい所ですな』
『天上の国はそれ程綺麗ですか』
『ヘエヘエ、それはそれは比較になりませぬ』
『貴方は何か、天からお降りになつたと言ふお証を持つて居られますか』
『ハイ持つて居ましたが、中空に於て悪魔の群に出会し盗られて了ひ、その為めに通力を失つて不覚をとり、此処に顛落したのです。然し無住所如来の私、無は即ち有、有即ち無、何処も彼処も吾々の自由自在の遊楽地ではありますが、余り地上は穢れて居るので住むべき所がなく、本当の……今は無住所如来になりました。アハヽヽヽ』
と空惚ける。玉能姫は怪訝な顔してマジマジと銀公の顔を凝視め、
『ヤア、お前は………』
と頓狂な声を出し倒れむばかりに驚いた。男は此声に、
『発見されたか、一大事』
と一生懸命に駆け出さうとする。玉能姫はグツと襟首を後より掴んで其場に引き据ゑ、
『汝はバラモン教のカナンボールが部下の者、銀公と言ふ悪者だらう。いつやら妾が清泉へ霊水を汲みに行つた時、四五の同類と共に妾に向つて無理難題を吹き掛け、手籠に致した奴であらうがな』
『ソヽヽヽヽ、そんな事があつたか存じませぬが、余り事件が多いので、ねつから記憶に浮びませぬワ』
『事件が多いとは悪事の数々を重ねたと云ふ事だらう。サア、もう斯うなる上は此儘では帰さぬ。飽までも言霊を以て責悩めて上げねばなりませぬ。マア気を落着けてお坐り下さい』
 銀公は口の中で、
『此奴一人なら……どうなつとして逃げてやるのだが、まだ外に大将が二人、信者の奴が沢山にウロウロと出入りをして居るから、逃げる事も出来ず、ハテ、困つた事だなア』
と終ひの一句を思はず高く叫んだ。玉能姫は之を聞き、
『困つた事だとは、そりや何をおつしやる。善言美詞の言霊を手向けてやらうと云ふのだよ』
『そんなら血を出すのだけは堪へて下さいませ。言霊には誠に困ります』
バラモン教で言霊と云へば、如何なものだなア』
『ハイ、バラモン教の言霊は、例へば此処に一人の道を破つた者が現はれたとすれば、其処に居る全部の人が、五十人あらうが千人あらうが、一人々々悉く手頃の石を以て頭を小突いて血を出します。それを贖罪の証とするのです。此処にも余程沢山のお人が居られますが、一つ宛やられても大変だから、之だけは特別を以て御免除を願ひます』
『ホヽヽヽ、三五教の言霊は善言美詞の祝詞を奏上して、神界へお詫する事です』
『お蔭で私の頭も助かりました』
とやつと安心の態にて額を撫でて見て居る。
 鷹鳥姫、若彦二人は禊身を終り、数多の信徒と共に悠々として此場に入り来り、
鷹鳥姫『アヽお前さま、気分は如何だなア』
銀公『ハイ、思ひも寄らぬ御厄介をかけまして、其上着物まで拝借致しまして、又言霊までお許し下さいまして、こんな有難い事は御座いませぬ』
若彦『三五教の言霊はバラモン教とは些つと違ふのだよ。さう御遠慮には及びませぬ』
『ハイ有難う御座います。然し三五教の言霊を聞きますと、矢張り石で小突かれた様に頭が痛くなり、胸が苦しくなりますから………御厄介になつた上に御厄介になるのも済みませぬから、之ばかりは御辞退申します』
 若彦は一寸見て、
『ヤア、お前はバラモン教の銀公ぢやないか。随分玉能姫を苦しめた者だねえ。玉能姫を苦しめて呉れたお礼に、善言美詞の言霊で御礼を申し上げようか』
『さう現銀に仰有らないでも宜いぢやありませぬか。金…金…金公がそれはそれは偉い事ですぜ』
鷹鳥姫『あの金公が、何ぞ又悪い事を企らんで居ると云ふのかい』
『いいえ、悪い事を企らむ様な奴なら、ちつとは気が利いて居るのだが、薩張り此頃は呆気て仕舞つてカンカンになりました。終には私を中天に捲き上げて斯んな目に遇はしたのですよ』
『これ若彦さま、此男は妙な事を云ひますな』
『そりや、あんな妙な事があるのだもの』
若彦『どんな事があるのだ。さつさと云つて見なさい』
『金の奴、俄に黄金仏になつて仕舞ひ、訳の分らぬお経を百万陀羅囀るのです。あいつの身体から光が現はれて、空の雲まで色が変つて居ませうがな。一寸外へ出て、空を見て御覧』
 若彦は妙な事を云ふ奴だと呟きながら戸外に飛び出し眺むれば、鷹鳥山の山頂に光煌々として輝き、空の色まで金色に照して居る。若彦は慌しく入り来り、
『鷹鳥姫さま、大変です。金色燦然として四辺眩ゆきまで照り輝く、異様の神人が現はれたと見えます。而も鷹鳥山の山頂に………こりや屹度三五教の為めには大吉瑞でせう。オイ銀公さま、お前さまも行かないか』
銀公『又空中滑走をやらねばなりませぬから、近寄つてはいけませぬ。然し貴方等はお出でなさいませ。そして肩や背中を撫でておやりなさいませ。金像がプリツと肩を動かしたが最後、中天の空まで……飛行機ぢやないが……上りつめ、又滝壺へ真逆様に陥ち込むと云ふ芸当が演ぜられます。私はもう懲りこりしました。金像の金の字を聞いても胆が潰れます』
若彦『お前は金銀を得むが為めに今迄利己主義の行動を続けて来た男だから、閻魔さまでも忽ち地蔵顔になると云ふ金の顔を見るのは余り悪くはあるまい。サアサア行かう、お前のやうな者を留守させて置けば、如何な事するか分つたものぢやない。留守の間に赤鼬でも這はされたら大変ですよ』
『滅相な、生命を助けて貰つた恩人の館に、赤鼬を這はして済みますか。いたちて神妙にお留守をいたちます。何卒早く貴方等、探険にお出でなさいませ』
鷹鳥姫『如何しても銀公さまが動かぬと云ふのだから、若彦さま、お前さまは此処に銀公さまの監督がてら留守して居て下さい。玉能姫さまと二人、探険に行つて参ります』
と欣々として山頂の光を目標に登り行く。鷹鳥姫、玉能姫の二人は鷹鳥山の光目標に登り見れば、銀公の云うた金像は背の高さ五丈六尺七寸もあらうかと思はるる許りに伸長して突立ち、二人の姿を見るより、鷹鳥姫を左手に引掴み、
『オイ、まだ俺の所へ来るのは早い、もとへ帰れ』
と猫の首筋を掴んだ様に鷹鳥山の中腹目蒐けてポイと放つた。右の手に玉能姫を同じく提げノソリノソリと五歩六歩東に向つて歩み出し、
『お前は彼辺へ行け』
と又ポイと投げた。忽ち金像は煙となつて、巨大な爆音と共に消えて了つた。後に金助の肉体は、
『アヽア、偉い神さまになつたと思へば、矢張り元の金助か。こりや、マア、如何した訳だらう。何は兎もあれ、もう斯うなる以上は三五教の信者だから、鷹鳥姫さまの庵を訪ねて帰順の意を表し、使つて貰はうか』
と独語しつつ山頂を降り行く。
 茲に金助は鷹鳥姫の庵に来り、銀公と共に改心の意を表し、若彦の股肱となつて神業に参加する事となつた。あゝ此金助を包み居たる黄金の立像は何神の化身であらうか。
(大正一一・五・二六 旧四・三〇 北村隆光録)
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