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文献名1霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻
文献名2第4篇 混線状態よみ(新仮名遣い)こんせんじょうたい
文献名3第16章 蜈蚣の涙〔728〕よみ(新仮名遣い)むかでのなみだ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-07-06 18:44:20
あらすじ蜈蚣姫と高姫は、バラモン教のために三五教と闘う苦心を明かしながら、打ち解けて話しにふけっている。そのうちに、高姫が連れている二人の男は誰かと蜈蚣姫が聞いた。高姫が、一人はバラモン教の友彦だと答えると、蜈蚣姫は驚いた。友彦は、過去に蜈蚣姫の娘と駆け落ちしていたという。高姫に呼ばれた友彦は、ここがバラモン教の蜈蚣姫の館だと知ると、途端に青くなってしまった。友彦はおそるおそる高姫の後について蜈蚣姫の間に進む。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年06月13日(旧05月18日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年4月19日 愛善世界社版261頁 八幡書店版第4輯 591頁 修補版 校定版265頁 普及版123頁 初版 ページ備考
OBC rm2316
本文のヒット件数全 23 件/高姫=23
本文の文字数4274
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本文
 バラモン教の御教を  自転倒島に広めむと
 はやる心の鬼ケ城  鬼熊別の妻となり
 朝な夕なに仕へてし  蜈蚣の姫は一心に
 バラモン教の回復を  心に深く誓ひつつ
 三国ケ岳に立籠り  千々に心を悩ませて
 三五教の神宝  黄金の玉を奪ひ取り
 筐底深く納めつつ  得意の鼻を蠢かせ
 又もや第二の計画に  取りかからむとする時に
 天の真浦の宣伝使  お玉の方に看破され
 難攻不落と誇りたる  三国ケ岳の山寨も
 木端微塵に砕かれて  無念の涙遣る瀬なく
 瞋恚の炎を燃やしつつ  心も固き老の身の
 企を通す魔谷ケ岳  スマートボールを始めとし
 数多の教徒を呼集へ  鷹鳥山に立て籠る
 三五教の宣伝使  鷹鳥姫の神策を
 覆さむと朝夕に  心を砕き身を砕き
 尽せし甲斐も荒風に  散りて果敢なき夢の間の
 願は脆くも消え失せて  歯がみしながら執拗に
 又もや此処を飛出し  曇りし胸も明石潟
 朝夕祈る神島や  家島を左手に眺めつつ
 身も魂も捨て小舟  此世の瀬戸の浪を越え
 大島、小島、小豆島  浪打ち際に漂着し
 三つの宝の所在をば  探らむものと国城の
 山を目蒐けて一行の  頭の数も四十八
 醜の岩窟に陣取りて  手下を四方に配りつつ
 山の尾上や河の瀬を  隈なく探し求めつつ
 此岩窟を暫時の間  仮の住家と繕ひて
 時待つ折しも高姫が  神の仕組も白浪の
 上を辷つて上陸し  又もや此処に出で来る
 不思議の縁に蜈蚣姫  心の角を生しつつ
 肩肱怒らし剛情の  日頃の固意地どこへやら
 解けて嬉しきバラモンの  道の友なる高姫
 聞くより顔色一変し  打つて変つた待遇に
 仕済ましたりと高姫は  後を向いて舌を出し
 素知らぬ顔にて奥の間へ  進み入るこそ可笑しけれ
高姫『久し振で御座いましたなア。貴女が魔谷ケ岳に時めいて居られました時、妾も鷹鳥山に庵を結び、バラモン教に最も必要なる、如意宝珠の玉を尋ねあてむものと、三五教の馬鹿正直の信徒を駆使し、一日も早く手に入れて、大自在天様に献納仕度いと明けても暮れても心を悩ませ、何うかして貴女に面会の機会を得度いものと考へて居りましたが、何を云うても人目の関に隔てられ、思ふに任せず、遇ひたさ見たさを耐へて今日が日迄暮して来ました。天運循環と云ひませうか、今日は又日頃お慕ひまうす貴女に、斯様な安全地帯で拝顔を得たと云ふのは、是全く大自在天様の高姫が誠意をお認め遊ばして、こんな嬉しい対面の喜びを与へて下さつたのでせう。妾は余り嬉しうて何からお話をしてよいやら分りませぬ』
蜈蚣姫『時世時節で、今日はバラモン教となり、明日は三五教と変ずるとも、心のドン底に大自在天様を思ふ真心さへあれば、人間の作つた名称雅号は末の末です。大神様はキツとお互の心を鏡にかけた如く御洞察遊ばして、目的を遂げさせて下さるでせう「雪氷、雨や霰と隔つとも、落つれば同じ谷川の水」とやら、機に臨み変に応じ円転滑脱、千変万化、自由自在の活動をなすだけの用意がなければ到底神業に参加する事は出来ませぬ。メソポタミヤの本国には綺羅星の如く立派な神司は並んで居りますが、何れも猪突主義の頑愚度し難き、時勢に合ない融通の利かぬ者計りで、お前さまのやうな豁達自在の活動をする人は一人もありませぬので、あゝバラモン教も立派な教理はありながら、之を活用する人物がないと明け暮れ心配して居りました。然るに貴女のやうな抜目のない宣伝使が、バラモン教の中に隠れて居たかと思へば、勿体なくて嬉し涙が零れます。神様は何時も経綸の人間を拵へて神が使うて居るから、必ず心配致すな、サアと云ふ所になりたら、因縁の身魂を神が引き寄せて御用を勤めさせて、立派に神政成就をさして見せる程に、何処に何んな者が隠してあるか分りは致さぬぞよ。敵の中にも味方あり味方の中にも敵があると仰有つた神様の御教示は争はれぬもの、もう此上は何事も心配致しませぬ。何卒高姫さま、是からは打ち解けて姉妹となり、神業に参加しようではありませぬか』
高姫『何分不束な妾、行き届かぬ事ばかりで御座いますから、何卒貴女の妹だと思うて、何かにつけて御指導を願ひます』
蜈蚣姫『互に気の付かぬ事は知らせあうて、愈千騎一騎の活動を致し、夫の汚名を回復致さねば、女房の役が済みませぬからなア。高姫様、貴女の夫美山様に対し申訳がありますまい』
高姫『妾の夫美山別は御存知の通り人形のやうな男で、妾が右へ向けと云へば「ハイ」と云うて右を向き、左と云へば左を向くと云ふ、本当に柔順しい結構な人ですから、妾が願望成就、手柄を表はして見せた所で、余り喜びも致しますまい。その代り失敗しても落胆もせず、何年間斯う妾が家を飛び出し、神様の御用をして居ましても、小言一つ云はないと云ふ頼りない男ですから、まどろしくて最早相手には致しませぬ、生人形を据ゑて置いたやうな心組で居りますよ、ホヽヽヽヽ』
蜈蚣姫『妾もそんな柔順な夫に添うて見度う御座いますわ。なんと高姫さま、貴女は世界一のお仕合せ者、さういふ柔順な男計り世の中にあつたら、此頃のやうな女権拡張だの、男女同権だのと騒ぐ必要はありませぬ。妾の夫も柔順しい事は柔順しいが、柔順やうが些と違ふので困ります、オホヽヽヽ』
高姫『斯んな所で旦那様のお惚気を聞かして貰うちや遣り切れませぬわ、ホヽヽヽヽ』
と嫌らしく笑ふ。
蜈蚣姫『高姫さま、笑ひ所ぢやありませぬ。此長の年月、妾は今日迄笑ひ声を聞いた事もなし、妾も嬉しいと思うた事は唯の一ぺんも御座いませぬ。メソポタミヤの顕恩郷は、素盞嗚尊の家来太玉神や、八人乙女に蹂躙され、止むを得ず鬼雲彦の棟梁様は遥々海を渡り、大江山に屈竟の地を選み館を建て、立派に神業を開始し遊ばした所、部下の者共が余り心得が悪いのと利己主義が強いため、丹波栗ぢやないが、内からと外からと瓦解され、お痛はしや折角心を痛めて造り上げた立派な大江城を捨て、伊吹山に逃げ去り、此処で又もや素盞嗚尊の一派に悩まされ、やみやみとフサの国へ逃げ帰り、素盞嗚尊の隠れ家を脅かさむと、鬼雲姫の奥さまと共に帰られました。アヽ思へば思へばお気の毒で堪りませぬ。それにつけても妾の夫の鬼熊別は、副棟梁として鬼ケ城に砦を構へ、鬼雲彦様の御神業を誠心誠意お助け致して居りましたが、是れ又脆くも三五教の宣伝使や、味方の裏返りの為、破滅の厄に遇ひ、アヽ痛ましや鬼熊別の我夫は、棟梁の後を追うて波斯の国に帰つて仕舞ひました。其時夫は妾の手を握り「これ女房、私は棟梁様の御為に波斯の国へ別れて行くが、何卒お前は三国ケ岳に立て籠り、会稽の恥を雪ぎ宝の所在を探し出し、功名手柄を現はして帰つて呉れ」と云うて、涙をホロリと流された時は、妾の心は何んなで御座いましたらう。天にも地にも身の置き所が無いやうな心持が致しました。人間として難き事天下に二つある。其一つは天国に昇る事、も一つは立派な家来を得る事で御座います。バラモン教もせめて一人立派な家来があれば、斯んな惨めな事にはならないのですが、アヽ思へば思へば残念な事だ』
と皺面に涙を漂はせ、遂には声を放つて泣き伏しにける。
高姫『そのお歎きは御尤もで御座います。併し乍ら日の出神の生宮、オツトドツコイ大自在天様の御眷族の憑らせ給ふ真の生宮高姫が現はれて、貴女と相提携して活動する上は、最早大丈夫で御座います。何卒お力を落さず、もう一働き妾と共に遊ばして下さいませ。あの玉さへ手に入らば、バラモン教は忽ち暗夜に太陽の現はれた如く、世界に輝き渡るは明かで御座いますから……、蜈蚣姫さま、此岩窟は大江山の鬼ケ城とはどちらが立派で御座いますか』
蜈蚣姫『とても比べものにはなりませぬ。三国ケ岳の岩窟に比ぶればまアざつと三分の一位なものです。妾も立派な鬼ケ城を追はれ、だんだんとこんな狭い所へ入らねばならないやうに落ちて仕舞ひました。思へば思へば残念で耐りませぬ。それでも何とかしてこの目的を遂げたいと朝夕神様を祈り、何卒御大将御夫婦が御健全で此目的を飽迄も遂行遊ばすやうに、又我夫の無事に神業に奉仕するやうにと、夢寐にも忘れずに祈願致して居ります。是からは貴女と二人で腹を合せ、飽迄も初志を貫徹せねばなりませぬ』
高姫『左様で御座います。何分に宜敷く御指導を願ます。併し乍ら此立派な岩窟に似ず今日はお人が少い事で御座いますな』
蜈蚣姫『ハイ、今日は神前の間で祭典を致して居りますので、誰も此処には居りませぬ。あの通り音楽の声が聞えて居るでせう。あれが祭典の声です』
高姫『妾も一度参拝させて頂き度いもので御座います』
蜈蚣姫『何卒後で緩りと参拝して下さいませ。中途に入りますと皆の者の気が散り、完全にお祭が出来ませぬから、……時に高姫さま、貴女のお連れになつた二人の男は、ありや一体何者で御座いますか』
高姫『ついお話に身が入つて貴女に申上げる事を忘れて居ましたが、彼はバラモン教の宣伝使の友彦と云ふ男、も一人は妾の召使の貫州と云う阿呆とも賢いとも、正とも邪とも見当の付かない男で御座います』
蜈蚣姫『何と仰せられます。バラモン教の友彦が来たとは、それは又妙な神様のお引合せ、……余り姿が変つて居るので見違へて居つた。アヽさう聞けば鼻の先に赤い所があつたやうだ。彼奴は私の一人娘をチヨロまかし、手に手を取つて何処ともなく姿を隠した男、廻り廻つてこんな所へ来るとは是又不思議、あれに尋ねたら定めて娘の消息が分るであらう。……コレコレ高姫さま、此事は秘密にして置いて下さい。妾が直接に遠廻しに聞いて見ますから』
と心臓に波を打たせながら、そはそはとして居る。高姫は此場を立つて次の間に現はれ両人に向ひ、
高姫『友彦さまに貫州、退屈だつたらう。蜈蚣姫さまが一寸奥へ通つて呉れと仰有るから通つて下さい。此処もバラモン教の射場だから……、友彦さま、お前は親の家へ戻つたやうなものだ。久し振りで蜈蚣姫様に御面会が出来るから喜びなさい』
友彦『何と仰有る。此処が蜈蚣姫様のお館ですか、そりや違ひませう。世界に同じ名は沢山御座います。まさか本山に居られた、副棟梁の鬼熊別の奥さまの蜈蚣姫さまではありますまい』
高姫『さうだとも さうだとも、チツとは不首尾な事があらうが辛抱しなくては仕方がない。逃やうと云つたつて逃げられはせぬワ。お前も可愛い娘の婿だから、さう酷くも当らつしやるまい。安心して妾に伴いて御座れ』
 友彦は顔色忽ち蒼白となり、恐る恐る高姫の後について奥の間に進み往く。
(大正一一・六・一三 旧五・一八 加藤明子録)
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