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文献名1霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻
文献名2第2篇 千差万別よみ(新仮名遣い)せんさばんべつ
文献名3第7章 猫の恋〔789〕よみ(新仮名遣い)ねこのこい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-10-27 18:03:26
あらすじ玉照姫は、初稚姫、玉能姫、お玉の方に紫の玉を守らせて、ひとまず館に帰った。幹部たちも解散した。高山彦は旅装を整え、アールとエースを従えて館を立ち居でようとしたときに、夜叉のように髪を振り乱して追いかけてきた黒姫に、ばったり出くわした。高山彦は裏口へ回って逃げようとしたが、黒姫は癪を起こしてその場に伸びてしまった。これを見捨てるわけにもゆかず、仕方なく高山彦はアールとエースと共に黒姫を介抱した。黒姫は気を取り戻した。高山彦は、玉探しのためにこれまでの縁をあきらめてくれ、と改めて懇願した。黒姫は高山彦につらつらと恨み言を述べ、懐剣を抜いて喉に当てて見せた。高山彦は意に介さず行こうとするが、黒姫はアールとエースにも命じて高山彦に食らいついて放さない。高山彦は黒姫の執着心をたしなめ、改心して皆に愛されるようになって欲しいと説示し、アールとエースに命じて出立しようとする。そこへ玉治別がやってきた。あくまでしがみつく黒姫に、高山彦はついに当て身を食わせて気絶させた。高山彦は玉治別に、気絶から回復させるツボを教えると、アールとエースを従えて行ってしまった。玉治別は教えられたツボを押して黒姫を回復させると、黒姫に説諭した。黒姫は回復させてくれたことを玉治別に感謝し、また一切の執着を捨てるべく、錦の宮に向かって共に拍手祈願をした。ちなみに、言依別命は国依別を連れて、南米と高砂島に渡り、鷹依姫と竜国別の行方を尋ねるかたがた、宣伝の旅に出ることになった。高姫は春彦と常彦を連れて、四個の玉を見つけ出そうと言依別命を追って高砂島に行くことになった。杢助は初稚姫、玉治別、五十子姫、亀彦、音彦、黄竜姫、蜈蚣姫を率いて、波斯の国のウブスナ山脈の斎苑の館を指して行くことになった。黒姫は、高山彦が竜宮島または筑紫島に行ったと聞いて、二人の従者を引き連れて追っかけて行くことになった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年07月24日(旧06月01日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年6月20日 愛善世界社版133頁 八幡書店版第5輯 291頁 修補版 校定版139頁 普及版60頁 初版 ページ備考
OBC rm2707
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本文  玉照姫は紫の宝珠を初稚姫、玉能姫、お玉の方に守らせ乍ら、我館に帰らせ給うた。幹部を始め一同は更めて天津祝詞を奏上し一先づ各自の宿所に帰る事となつた。
 高山彦は一旦館へ立ち帰り旅装を整へ、アール、エースの二人と共に早々館を立ち出でんとする時しも、髪振り乱し夜叉の如くに帰つて来た黒姫と門口でピツタリ出会した。南無三宝一大事と高山彦は裏口より駆出さんとする。黒姫は此場に倒れて癪を起してフン伸びて仕舞つた。流石の高山彦も之を見捨て逃げ出す訳にもゆかず、
高山彦『エース、水だ。…アール、癪だ』
と呼ばはり乍ら介抱して居る。
 黒姫は目の黒玉を何処かへ隠して仕舞ひ、白目ばかりになつて「フウフウ」と太い息をして居る。エース、アールは口に水を含んで無性矢鱈に面部に吹き付ける。高山彦は口を耳にあてて反魂歌の「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、百、千、万」を数回繰返した。黒姫は「ウン」と呻き乍ら、
黒姫『ア、何方か知りませぬが、よう助けて下さつた』
と四辺をキヨロキヨロ見廻して居る。
高山彦『ア、黒姫、気がついたか。マアマア之で安心だ。これから高山彦はお前と縁を断り、竜宮の一つ島か、但は筑紫の島へ玉探しに行くから、これまでの縁と諦めて下さい』
 黒姫は怨めしさうに、
黒姫『高山さま、お前も余りだ。妾の今卒倒したのもお前の心が情無いからだよ。刃物持たずの人殺、冥土の鬼にエライ成敗を受けなさるのが…妾や…それが悲しい。神の結んだ縁ぢやもの、何卒モ一度思ひ直して下さいませ』
高山彦『何と言つても男の一旦口から出した事、後へひく訳にはゆかぬ。先は先として一先づ此場は離別を致す。黒姫、さらば……』
と立ち去らんとする。黒姫は隠し持つたる懐剣、ヒラリと引き抜き、
黒姫『高山彦さま、永らくお世話になりました。妾の恋は九寸五分、最早此世に生て望みなし。妾は此処で潔く自害を致し、貴方を怨める魂魄凝つて鬼となり、屹度素首引き抜いて見せませう。アヽ惟神霊幸倍坐世
と喉にピタリと当てて見せた。
高山彦『自殺は罪悪中の罪悪だ。これ黒姫さま、何程九寸五分だつて胸の方では喉は斬れませぬよ。随分芝居がお上手ですね。そんな事にチヨロマカされる高山彦では御座りませぬワイ。アツハヽヽヽ』
黒姫『エー、残念や、口惜しい。そんなら本当に斬つて見せようか。斬ると云うたら屹度斬つて見せませう』
高山彦『一旦断つた此縁、再びきられる道理があらうか。最早お前と俺との二人の間には何の連鎖もない。赤の他人も同様だ。勝手にお斬りなさいませ』
黒姫『そりや聞えませぬ高山さま、天ケ下に他人と云ふ事は無いもの……と三五教の御教、お前はそれを忘れたか。憐れな女を見殺しにする御所存か、それ程情ないお前ではなかつたに、如何なる天魔に魅られたか。お前の言葉は鬼とも蛇とも悪人とも譬方なき無情惨酷さ、死んでも忘れは致しませぬぞや』
高山彦『イヤ、もう神界の為めには家を忘れ、身を忘れ、妻子を忘れるとかや。男子は戦場に向ふ時には三忘が肝腎だ。……黒姫、さらば……』
と行かんとする。
黒姫『コレコレ、アール、エースの両人、高山さまの足に確り喰ひついて居るのだよ。屹度放しちやなりませぬぞえ』
 二人は高山彦の両足に喰ひ付き乍ら、
アール『アヽア、犬も喰はぬ夫婦喧嘩の犠牲に供せられ、随分勤め奉公も辛いものだなア』
高山彦『こりやこりや、アール、エースの両人、早く放さぬか』
黒姫『決して放しちやなりませぬぞ。コレコレ高山さま、男は閾を跨げるや否や七人の敵があると云ふ事を知つて居ますか』
高山彦『アハヽヽヽ、イヤもう御親切な御注意、有難う御座います。誠一つの心で居れば、世界は敵の影を見たいと言つても見る事は出来ない。山河草木、人類鳥獣魚鼈に至る迄、皆我々の味方ばかりだ。人を見たら泥坊と思へ等と云ふ猜疑心に駆られて居る人間の目には、何も彼も敵に見えるだらうが、我々は神様にお任せした以上一人の敵も無い。お前に添うて居れば此世の中で敵を作るばかりだから……何卒心配して下さるな。お前もこれから改心をして、世間の人に可愛がられて呉れ。それが高山彦の別れに臨みお前に与ふる大切な餞別だ。高姫さまにも何卒よく言うて置いて下さい。必ず必ず執着心を出してはなりませぬぞ。今日から心を改めて本当の生れ赤子になり、仮にも竜宮の乙姫等と大それた事を言はない様にしなさい。左様なれば是にて……黒姫さま、お暇致します』
黒姫『高山さま、そりや貴方、本性で仰有るのか。芝居ぢやありますまいなア』
高山彦『本性で無うて何とせう。夫婦の道は人倫の大本だ。それを別れようと言ふ高山彦の胸の裏、些とは推量して呉れ。……さあアール、エース、これから行かう。……黒姫さま、これにて暫くお別れ致します』
と慌しく駆出す。
 斯かる処へ走つて来た玉治別、
玉治別『ヤア、高山さま、愈御出でですか』
高山彦『ハイ、何分宜しう願ひますよ』
黒姫『何と言つても放しはせぬ』
と獅噛みつく。高山彦は「エー面倒」と当身を一つ喰はすや否や、黒姫は「ウン」と其場に大の字に倒れて仕舞つた。
玉治別『何と高山さま、乱暴な事を致しますな』
高山彦『斯うして置かねば仕方が無いから……此間に私は身を隠すから、後は頼みますよ。斯うして此処を拇指でグツと押して貰へば息を吹き返す……玉治別さま、此処だよ。何卒二十分ばかり待つとつて下さい』
玉治別『承知致しました』
 「左様ならば」と高山彦は二人を伴ひ、足早に何れへか姿を隠した。玉治別は時期を見計らひ高山彦に教はつた局を拇指に力を入れてグツと押した。「ウン」と息吹き返した黒姫は四方をキヨロキヨロ見廻し、
黒姫『アヽ残念や、到頭逃げられたか。エー仕方がない。……お前は玉治別さま、ようマア助けて下さつた』
玉治別『高山彦の奴、怪しからぬ乱暴な男だ。永らく添うて来た女房に当身を喰はして息を止め、筑紫の島へ逃げて行くとは不届き千万な者だ。お前さまも是で目が醒めただらう。虎、狼と一緒に寝る様なものだ。私もお前さまを活かさうと思つて、何程骨を折つたか分りませぬ。到頭局が分つて活を入れた時、貴女がもの言うたのも皆神さまのお蔭、アヽ勿体ない。是から一切の執着を捨てて大神さまに感謝祈願の祝詞を奏上しませう』
 「ハイ、有難う」と黒姫は玉治別と相並び、拍手の声も淑やかに錦の宮の方面に向つて感謝祈願の言葉を奏した。
 因に言ふ、錦の宮の神司は従前の通り玉照彦、玉照姫の二人相並ばれて御神業に奉仕され、英子姫選ばれて言依別命の不在中教主の役を勤めらるる事となつた。そして東助は教主代理兼総務となつて聖地に仕へた。
 高山彦、秋彦、テールス姫、夏彦、佐田彦、お玉の方は聖地にあつて幹部の位置を占め神業に従事しつつあつた。玉能姫は生田の森の館に帰りて駒彦と共に神業に従事する事となつた。又言依別命は国依別と共に南米、高砂島に渡り、鷹依姫、竜国別の行衛を探ね、旁宣伝の為めに出張さるる事となつた。
 高姫は言依別命の後を追ひ四個の玉を取り返さんと、春彦、常彦の二人を引き率れ、高砂島に行く事となつた。杢助は初稚姫、玉治別、五十子姫、亀彦、音彦、黄竜姫、蜈蚣姫其他を率ゐ、波斯の国のウブスナ山脈斎苑の館を指して行く事となつた。梅子姫はコーカス山に二三の供者を従へ途々宣伝をし乍ら登らせ給ふ。黒姫は高山彦が竜宮島又は筑紫の島に逃げ去りしと聞き、一方は玉の詮議を兼ねて夫の行衛を捜査すべく聖地を後に、三人の供者を従へ出発する事となつた。
(大正一一・七・二四 旧六・一 北村隆光録)
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