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文献名1霊界物語 第27巻 海洋万里 寅の巻
文献名2第4篇 竜神昇天よみ(新仮名遣い)りゅうじんしょうてん
文献名3第12章 湖上の怪物〔794〕よみ(新仮名遣い)こじょうのかいぶつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-11-02 18:36:44
あらすじ言依別命は、国依別らの身に変事があったとは思わず、一心不乱に神言を奏上しながら、千畳敷の岩石が散乱する谷間にやってきた。そこには山と山との間に紺碧の淵が広がり、風もないのに波騒いでいた。若彦は波が騒いでいるのを見て、国依別が途中の太平柿を取って竜神の機嫌を損ねたのではないかと心配になる。言依別と待っていると、常楠が息せききってやってきた。常楠はさいぜんの出来事を包み隠さず報告した。そこへ、国依別とチャール、ベースが宣伝歌を歌いながら登ってきた。国依別はまた茶目っ気を出して軽口を叩いている。すると一陣の暴風が水面から吹き起こり、巨大な岩石を巻き上げる勢いになってきた。国依別は大木の幹に抱きついて必死に祈念していた。言依別をはじめその他の人々は、暴風にも裾もふかれず端座していた。一同は国依別の様子を見てからかっている。国依別以外の人々には、暴風を感じていないようであった。言依別命は国依別をたしなめた。夜が更けてきた。一同が月に祈願を凝らしていると、雨つぶてがばらばらと降ってきた。湖面は鉢のように窪みがいくつも生じてきた。雨が止まると湖底に火柱のようなものが横たわって輝き始めた。四方の山々から怪音が響き出し、四辺は真っ暗となって見えなくなってしまった。湖面を渡ってくる白色の長大な怪物があった。白髪・髭を長く垂らして金色さんぜんたる角を生やし、口は耳まで裂け、金色の牙をむき出していた。怪物は、竜神の眷属・竜若彦神であると名乗った。ハーリス山の竜神・大竜別命、大竜別姫命は、言依別命らが玉照彦・玉照姫の神命によって琉球の玉を受け取りに来たことを喜んでいる、と伝えた。しかし言依別命幕下の国依別が、柿を盗んで喰ったために、眷属たちは大いに立腹し、琉球の玉を引き渡すことは考え直さなければならないと大評定の真っ最中であると伝えた。国依別は自分が交渉しようと前に出ると、竜若彦命に対して、怪物の姿で現れて脅したことを非難した。また柿については、竜神が食べるわけでもないのに、人間に食べることを禁じて、天与の珍味を木に腐らせたことを、天恵を無視する大逆と非難した。国依別が背水の陣で自棄になって力限りに天の数歌を歌うと、竜若彦命と名乗る竜神は次第に容積を減じて小さくなり、消えてしまった。国依別は、竜神が執着心から難癖をつけて少しでも長く玉を手元に置いておこうとしていることを見抜き、水底に向かって、玉が三五教に渡るべき時節が来たことを告げ、大喝した。国依別の面はこのとき、崇高な威厳に満たされていた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年07月25日(旧06月02日) 口述場所 筆録者谷村真友 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年6月20日 愛善世界社版203頁 八幡書店版第5輯 315頁 修補版 校定版209頁 普及版89頁 初版 ページ備考
OBC rm2712
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本文  言依別は若彦と共に、途中に国依別の身に対し、斯かる変事ありとは夢にも知らず一心不乱に神言を奏上し乍ら、千畳敷の岩石、彼方此方に伍列する谷間に、漸く辿り着き、目を放てば紺碧の淵、際限もなく山と山との谷間に押し拡がり、風も無きに波高く立ち騒いで居る。一見して実に凄惨の気に襲はるる如くである。言依別は後振り返り、
言依別『若彦さま、ここは琉と球との宝玉を持つて居る竜神の棲処でせう』
若彦『ハイ左様で御座います。今日は大変に浪が荒れて居ります。屹度途中に於て国依別、常楠が、何か神慮に叶はぬ事を行つたのではあるまいかと、気に掛つてなりませぬ。………アレアレ御覧なさいませ。此無風地帯に浪は増々荒くなつて来たではありませぬか。アレアレ山の如き波が立つて来ました』
言依別『成程、此湖水は余程趣きが違つて居ります。此波の立つ様子から考へても、貴き竜神が潜伏して居られるのは明かであります。併し乍ら国依別や常楠其他の方々は、如何なつたのでせうか。大変に遅いぢやありませぬか』
若彦『途中に於て、竜神の守護すると云ふ太平柿が、枝もたわわに実のつて居りましたが、大方彼の柿でも国依別さまが取つて喰ひ、竜神の怒りに触れて、一騒動をオツ始めて居るのではありますまいかと気が気でなりませぬ』
言依別『あの男は茶目式で、揶揄専門より外に芸能のない男だ。然し淡白で正直で面白い奴だから、人の恐れる柿を取つて見ようなぞと、痩我慢を出したのかも知れませぬよ。常楠翁は実に真面目な人だから、矢張国依別の巧い口に乗せられて、犠牲を喰つて居るのでせう。何は兎もあれ一同無事な様に此処で祈願を致しませう』
と両手を合せ、湖面に向つて両人は天津祝詞を奏上し、天の数歌を唄ひ上げて稍時を費やした。
 木の間を漏れて笠が揺ついて来る。よくよく見れば常楠は只一人、息せききつて登り来り、二人の前に手を突いて、
常楠『ドウも御待たせ致しました。嘸御退屈で居らせられたでせう。これには少し訳が御座いますので、ツイ時間を潰しました。どうぞ御赦しを願ひたう御座います』
言依別『大方国依別が、竜神の柿を採つて喰つたのぢやありませぬか』
常楠『ハイ其為めに大変な珍事突発致し、イヤもう気を揉みましたが、稍安心する事が出来ましたので、取るものも取り敢ず、此処迄急いで登つて参りました』
と息をつぎつぎ苦しさうに物語る。言依別は膝を進め猶も次から次へと、詳細に尋ねた。常楠は有りし事ども一切包まず隠さず物語つた。
 三人は又もや国依別の無事を祝し、再び感謝祈願の祝詞を奏上しつつあつた。其処へ以前の歌を歌ひ乍ら、意気揚々として国依別は、チヤール、ベース外五人を引き連れ、三人の前に現はれ、頭を掻き乍ら、
国依別『イヤどうも、長らく御待たせ申して申訳が御座いませぬ。様子は残らず常楠翁から御聞取の事と存じますれば、何も申上げませぬ。これにて私も副守護神の茶目坊が悉皆退散致しまして、本当に真摯な、率直な、清廉な、潔白な、勇壮活溌な人物に生れ代りました』
若彦『アハヽヽヽ、国依別さま、茶目坊は……益々猛烈なつたぢやありませぬか』
国依別『灯火の滅せんとするや其光殊に強し……とか云つて、副守の奴、今や滅亡の断末魔の悲痛の叫びで御座います。実に悲痛こい守護神で、国依別も誠に迷惑千万。チヤール、ベースの両人も、鰒の如く腹膨れ、臨月の女房が三ツ児腹を抱へた様な体裁、ウンウンキヤアキヤア唸り通し、揚句にや皮癬掻いて、おまけに疳瘡で、陰金たむしで………』
若彦『国依別さま、又脱線しましたぞ。好い加減に茶目坊を追ひ出しなさらぬか』
国依別『何程チヤール、ベース坊を追ひ出さうと思うても、私に引付いて生命の親ぢやと思うて、副守が放れぬのですから仕方がありませぬ……なア、チヤール、ベース、若彦さまの仰有る通り、モウ私の副守護神になる必要はないから、トツトと離れて下さい』
常楠『オホヽヽヽ、何とまア、戦場に臨んで気楽な事を言うて居る方だ事』
国依別『強敵を前に控へて横笛を吹き、悠揚迫らざる其態度、これで無くては本当の言霊戦に参加し、大勝利を羸ち得る事は不可能でせう。アハヽヽヽ』
 此時一陣の暴風水面より吹き起り、巨大なる岩石迄空中に巻き上げる勢となつて来た。「コリヤ大変」と国依別は、大木の幹に抱付き、一生懸命に声迄震はせて祈念して居る。何故か言依別、若彦、常楠其他一同は、さしもの暴風に裾さへも吹かれず依然として其場に端坐して居た。
言依別『国依別さま、強敵を前に控へて、余裕綽々たる貴下の態度、実に感じ入りました』
 若彦可笑しさを耐へて「キユーキユーキユープー」と吹き出して居る。常楠は真面目な顔をして控へて居る。
国依別『綽々として根つから余裕は有りませぬ。神直日、大直日に見直し聞直して下さいませ。どうぞ此烈風を止まるやうに御祈念して下さい。あのやうな大岩石が頭上に落下しようものなら、それこそ五体は微塵になりませう。何だか体躯の筋肉が細密に活動し初めました』
若彦『国依別さま、何処に烈風が吹いて居りますか。少し風が欲しい位だ。余り暑いからなア……貴下の目には風が吹くやうに見えますか』
国依別『アヽどうしても……コリヤ……私はどうかして居るワイ。ほんに矢張風は吹いて居りませぬなア。大方過去か未来の烈風の惨状が時間空間を超越して、私の目に映つたのでせう』
若彦『何処迄も徹底した何々ですな、アハヽヽヽ』
と笑ふ。
 言依別命は厳然として、
言依別『サア、国依別さま、是からが正念場だ。今晩は此谷間の湖水を眺めて祈願を凝らし、竜神の宝玉を受取らねばならない、大切な用でありますぞ。是限り真面目になつて善言美詞の一点張り、気を付けなされませ』
国依別『ハイ』
と淑やかに夢から覚めたる如く、両手を突き真面目くさつて、頭を下げて居る。一同は三間計り距離を隔てて、谷川の湖辺に伍列する岩影に身を忍ばせ、暗祈黙祷し乍ら時の移るを待つ事とした。
 夜は追々と更けて来る。西から東から延長した、山と山との谷間は、二十三夜の利鎌の様な月、漸く雲を押し分けて昇つて来た。一同は月光に向つて祈願を凝らし居る際、礫の雨、まばらにパラパラと石を撒くやうに降つて来た。湖面を見れば幾つともなく、水鉢を並べた様に水面に凹みを印し、円き波紋は互に重なり重なりて、時計の蓋の生地の様に見えて来た。暫くにして大粒の雨は止まつた。湖底に得も言はれぬ蜒々たる火柱の如きもの横たはり輝き初めた。一同は声を潜めて、此光景を見守つて居る。微妙の音楽に引かへ、四辺の谷々山々より何とも云へぬ殺風景な怪音が一時に響いて来た。大地は唸りを立てて震動し、一同の体迄がビリビリと響き出した。忽ち四辺は暗澹として咫尺を弁ぜざるに立至つた。
 其時忽然として波の上を歩み乍ら、此方に向つて進み来る白色の長大なる怪物がある。近づくに従つてよくよく見れば、頭髪飽迄白く背後に垂れ、髯は臍の辺まで垂らし、顔は紅の如く目は鏡の如く、金色燦然たる二本の角四五寸許りのもの、額の左右に行儀よく並立し、耳迄引裂けたる鰐口に金色の牙を剥き出し、何とも言へぬ妙な石原薬鑵声で、
怪物『我こそはハーリス山の竜神、大竜別命、大竜姫命の一の眷属、竜若彦神であるぞよ。其方事聖地に於て、玉照彦、玉照姫命より神命を奉じ、琉、球の宝玉を大竜別命、大竜姫命より受取らんと、遥々此処に来れる事、大神様に於ても止むを得ずとして、御満足遊ばして御座る。併し乍ら言依別命の幕下に仕ふる、国依別命、竜神の柿を盗み喰ひし其為めに、我眷属共大に立腹致し、斯かる天地の道理を弁へざる家来を持つ言依別に渡す事は、一つ考へねばならぬと大変な大評定で御座る。も一度聖地へ帰り、出直して修行を一から行り替へ、改めて二つの宝玉を御迎ひに参つたがよからうぞ』
若彦『それ見よ、国依別さま、お前一人で皆の者が総崩れになつたぢやないか。それだから一匹の馬が狂へば千匹の馬が狂うと云ふのだ』
国依別『八釜敷う云ふな。俺が竜若彦に直接談判をやつて、見ん事受取つて帰る。……コラコラ竜若彦とやら、汝は三五教の宣伝使に向つて、礼儀を知らず不届きな奴だ。種々と化様もあらうに、其方の失敬千万なる顔は一体何だ。人に対する時は最も美はしき顔色を以て、笑顔を十二分に湛え、挨拶するが神の礼儀なるに、鬼面人を驚かすと云ふ、其方の遣り方、国依別中々承知仕らぬぞ。これに返答有らば承はらう。……又竜神の柿を採り喰ひしを、汝は非常に罪悪の如く今申したが、彼の柿なるもの、竜神の平素食す可きものなるや返答聞かう。柿は人間の喰うべきもの、人間に次いでは猿、烏の食す可き物だ。人にも喰はさず、棚にも置かず、あたら天与の珍味を毎年木に腐らし、天恵を無視する大逆無道、国依別…サアこれより言霊の神力を以て、汝等は申すに及ばず、大竜別命、大竜姫命を言向け和し、天晴、琉、球の玉を奉らせ呉れん。此方の言に向つて一言の弁解あるか……一二三四五六七八九十百千万………』
と国依別は自暴自棄になり、背水の陣を張つて力限りに言霊を奏上した。竜若彦命と称する怪物は、次第々々に容積を減じ、遂には豆の如くになつて消えて了つた。国依別は、
国依別『アハヽヽヽ、コレ若彦さま、御心配御無用になされませ。これより国依別、飽迄も言霊を以て奮戦し、目的の琉、球の宝玉を受取つて見せませう。最早吾々に渡す可き時機が到来したのだ。さうでなくては大神の直司なる、玉照彦様、玉照姫様が何しに教主に御命令あるものか。此竜神執着心未だ晴れやらず、小さき事にかこ付けて、すつた揉んだと一日なりとも永く手に持たんと、吝嗇な奴根性から申して居たのである。………ヤアヤア湖底にある竜神、よつく聞け。三五教の神の司言依別命、国依別命、若彦、常楠の四魂揃うて玉受取りに向うたり。時節には叶ふまい、速かに我前に持来り目出度く授受を終れツ』
と大喝した。此時の国依別の顔面は、四辺を射るが如く崇高なる権威に、何処となく充されて居つた。
(大正一一・七・二五 旧六・二 谷村真友録)
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