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文献名1霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻
文献名2第4篇 南米探険よみ(新仮名遣い)なんべいたんけん
文献名3第22章 高砂上陸〔822〕よみ(新仮名遣い)たかさごじょうりく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-12-15 18:48:57
あらすじ高姫が甲板に来ると、常彦と春彦が手をつないで、歌い踊っている。二人は高姫に勘当されたお祝いに踊っているのだ、と高姫に答える。調子に乗っていると、春彦は足を踏み外して海に落ちてしまった。常彦は声を限りに助けを求めると、船客の一人が綱に板切れをつけて放り投げ、春彦を助け上げた。常彦がよく見れば、それは国依別であった。国依別は高姫に悟られないようにと、常彦に釘を刺し、姿を隠した。高姫は、自分に懸っている日の出神が春彦を助けたのだ、と意気を上げている。常彦はそんなはずはないと高姫に反論したが、高姫は怒って常彦の胸倉をとり、喉を締め付けた。常彦は悲鳴を上げる。春彦は高姫の足をさらえた。今度は高姫が海中に落ちてしまった。常彦と春彦は、高姫に綱を投げて助け上げたが、高姫は日の出神に感謝する。高姫の傲慢な物言いに二人はあきれてしまうが、高姫がまた胸倉を取ったことで、また険悪になってしまう。船が陸に着いた。高姫は面を膨らして一番に飛び出して行った。常彦と春彦もそっと後を追った。船長のタルチールは息子に船を与えて船長とすると、言依別命と国依別と一緒に宣伝歌を歌いながら高砂島に進み入った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月10日(旧06月18日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年8月10日 愛善世界社版274頁 八幡書店版第5輯 451頁 修補版 校定版284頁 普及版123頁 初版 ページ備考
OBC rm2822
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本文  高姫は大勢の船客の中に只一人、面をふくらして坐つて居たが、余り気分がすぐれぬので、再び見晴らしよき甲板に姿を現はした。そこには常彦、春彦の両人が切りに手をつないで、歌を歌ひ踊り狂うて居る。
 高姫は目に角を立て、大きな声で、
『コレ常公、春公、千騎一騎の此場合、何を気楽さうにグヅグヅ踊つて居るのだい。チト確りしなさらぬかい』
常彦『ハーイ、何分五六七の世の末迄勘当を受けたり、勘当をした祝に、空散財をやつて居りますのだ。お前さまもそこで一組、品よう踊つて御覧なさい。随分見晴らしのよい此甲板の上で、ソヨソヨ風を受け乍ら踊つてゐるのは素的滅法界面白いものですよ。アハヽヽヽ』
春彦『高姫さま、そんな六かしい顔をせずに、長い海の上の道中だ。チツとは気楽になりなさい。苦んでくらすのも、喜んでくらすのも、泣くのも怒るのもヤツパリ一日だよ。ヤア面白い面白い、ヤア常彦、サア踊つたり踊つたり』
と又もや無茶苦茶に、妙な手つきし乍ら、ステテコ踊を始め出した。高姫は目に角を立て足ふみならし、
『コレ常公、春公、誰が勘当すると云ひました。決して高姫は申しませぬよ。あれはお前に憑依してゐた副守護神が、妾の口を借つてあんな事を云つたのだ。海洋万里の航海に杖柱と頼むお前達を勘当して如何なるものか。よう考へて御覧なさい』
春彦『何と云つても、こつちは荒男の二人連、お前さまは何程強相な事を云つても、大体が女だから、心淋しくなつて来たので、又そんな事を云つて旧交を温めようとするのだらう。其手には吾々だつて、さう何遍も乗りませぬよ、御生憎さま、
 今は他人ぢやホツチツチ  一家になつたらかもてんか
 ウントコドツコイ高姫さま  ヤツトコドツコイ常彦さま
 ゴテゴテ云ふと鬼の蕨がお見舞申す  頭のてつぺを春彦さま
 アヽドツコイドツコイドツコイシヨ』
と調子に乗つて踊り狂ひ、春彦は甲板をふみはづし、逆まく波にザンブと許り落込んで了つた。常彦は甲板の上を右に左に真青な顔をして、キリキリと狂ひ廻つた。高姫は、
『コレ常彦、何程キリキリ舞を致しても、此荒波に落ち込んだが最後、到底命は助かりませぬ。諦めなさいよ。それだから、余り慢心をいたすと、先になりてからジリジリもだえを致し、キリキリ舞ひをして騒いでも後の祭り、そこになりてから何程神を祈りたとて、神はモウ知らぬぞよとお筆に書いてありませうがなア。これを見て御改心なされ。日の出神の生宮に腮をはづきなさるから、こんな目に会うのですよ、サアこれから私に絶対服従をなさるか。お気に入らねば又春彦の様に神様に取つて放られますよ』
 常彦は耳にもかけず、一生懸命に気をいらち、声を限りに、
『助けてやつてくれーい』
と叫んで居る。船客の一人は長き綱に板片を括りつけ、春彦の波に漂ひ居る方に向つて、ハツシと投げた。春彦は手早く其板に喰ひ付いた。船客は力限りに其綱を引寄せ、漸くにして春彦を船中に救ひ上げた。常彦は大に喜び、直に甲板を下り、春彦を救ひ上げたる船客の側に走り寄り、心の底より涙を流して感謝する。よくよく見れば、其船客は国依別であつた。
常彦『ヤアあなたは国依別さま、よくマア助けてやつて下さいました』
 国依別、手を振り乍ら、
『モウチツと小声で言つて下さい。高姫さまの耳に這入ると困るから………サア春彦をお前に任すから、介抱して上げて呉れ。そして高姫に国依別が此船に乗つてゐると云ふ事は云ふでないぞ』
常彦『決して決して、これ丈御世話になつたあなたの御頼み、首が千切れても秘密を守ります。サア早くあなたの居間へ御隠れ下さい。高姫が下りて来て見つかると、又一悶錯が起りますから………』
 国依別は怱々に姿を隠した。そこへ高姫がノソリノソリと現はれ来り、矢庭に春彦の横面を三つ四つ打叩き、
高姫『コリヤ春彦、しつかりせぬか。気を確かに持て、日の出神の生宮が綱をかけて助けてやつたぞよ。モウ大丈夫だ』
 春彦は波にさらはれ、半死半生の態になつてゐたが、高姫に擲り付けられて、漸く気を取直し、
春彦『ヤア高姫さま、ヨウマアお助け下さいました。オウお前は常彦、エライ御世話になりましたなア』
常彦『ナアニ、俺が助けたのぢやない。あの国イ……ドツコイ国人が俄に綱を投げて、お前を救つて下さつたのだよ』
春彦『其お方はどこに居られるか、命の親の恩人、御礼を申さねばならぬから、一寸知らして呉れ』
常彦『其方はどつかへ姿を御隠しになつた。キツト神様に違ない。神様にお礼を申せば良いのだよ』
高姫『春彦を助けた方は、お姿は見えなくなつただらう。そら其筈よ。日の出神様が人間に姿を現はし、竜宮の乙姫さまが海の底からお手伝ひ遊ばして、高姫の家来だと思つて、春彦を助けて下さつたのだ。甲板の上から此高姫はヂツとして調べて居つた。それに間違ひはあろまいがな。……常彦、それだから、どこまでも此生宮に従うて居りさへすれば、どこへ往つても大安心だと、いつも云うて聞かしてあるぢやないか』
常彦『ヘン、甘い事を仰有りますワイ。春彦を救けて呉れたのは日の出神ぢや有りませぬぞ。国……国……国治立尊様が御眷属を使うて救けて下さつたのだ。日の出神の生宮は神の罰が当つたのだからと云つて、袖手傍観の態を取つてゐ乍ら、日の出神さまと竜宮さまがお助け遊ばしたなどと、甘い事仰有いますワイ。自分の悪い事は皆人にぬりつけ、人の手柄は皆自分の手柄にせうと云ふ、抜目のない高姫さまだから、恐れ入ります。アハヽヽヽ』
春彦『どちらに助けて貰うたのか、テンと訳が分らぬよになつて来た。兎も角どちらでもよい、助けて呉れた神様に、これからは絶対服従をするのだ』
高姫『日の出神に救はれたのだから、其生宮たる高姫にこれからは唯々諾々として、一言の理屈も言はず、仮令水火の中をくぐれと云つても、命の恩人の云ふ事、神妙に聞きなされよ。又慢心して一言でも口答へをするが最後、取つて放かされますで……』
常彦『アハヽヽヽ、どこ迄も高姫式だなア。言依別様や、国依別さまが愛想をつかして、聖地を脱け出しなさつたのも無理はないワい。本当に我の強い悪垂れ婆ぢやなア』
 高姫、常彦の胸倉をグツと取り、
『コラ常、云はしておけば際限もない雑言無礼、モウ了見は致さぬぞや』
と喉をギユウギユウとしめつける。数多の船客は総立となつて……乱暴な婆アもあるものだ……と呆れて見てゐる。常彦は苦しき声を絞り乍ら、
常彦『ハヽ春彦、タヽヽヽ助けて呉れ』
と声もきれぎれに叫んだ。春彦は矢庭に高姫の両足をさらへた。高姫はモンドリ打つて、海中にザンブと計り落ち込んだ。
 常彦は最前国依別が残しておいた板片に括つた綱を高姫目蒐けてパツと投げた。高姫は手早く板子にすがりついた。春彦、常彦は一生懸命に綱を手ぐり、漸く救ひ上げた。
高姫『アヽ日の出神さま、ようマアお助け下さいました。有難う御座います』
と手を拍つて拝んでゐる。
常彦『コレコレ高姫さま、日の出神ぢやない、吾々両人が此綱を投げて、お前の生命を助けたのだよ』
高姫『ソリヤ何と云ふ大それたことを云ふのだい。人間がすると思うてゐると、量見が違ひますぞえ。皆神からさされてをると云ふお筆を何と心得なさる。日の出神さまが臨時にムサ苦しいお前の肉体を使うて御用をさして下さつたのだ。其日の出神様は直に此高姫の肉体へお鎮まり遊ばして御座るから、此高姫の肉の宮を拝みなさい。アーア神界の事の分らぬ宣伝使は困つた者だ。何から何まで実地教育をしてやらねばならぬとは、此の高姫も骨の折れた事だワイ』
 常彦、春彦は余りの事に呆れ果て、両人口をポカンと開けて、
『アハー』
と頤が外れるような欠伸をしてゐる。
高姫『コレコレそんな大きな口を開けると、頤が外れますぞえ。余りの大きなお仕組で、開いた口がすぼまらず、頤が外れたり、逆様になつて、そこらあたりをのたくらねばならぬぞよと、変性男子のお筆に立派に書いてあるだないか、チト改心なされ。神様の結構な御用をさせられ乍ら、高姫を助けてやつたなぞと、夢にも慢神心を出してはなりませぬぞ。罪の重いお前等二人が沈む所を、此の高姫の肉体を神が使うてまぢなうて下さつたのぢや。高姫を助けたのぢやない。つまり高姫の犠牲的行動に依つて、お前達の海におちて死ぬ所を助けて頂いたのだ。あゝ何と、神界の御仕組は人民では見当の取れぬものだワイ。サア常彦、春彦、是れで改心が出来たでせう。此上は何事も高姫の云ふ通りにするのですよ』
常彦『ヘン』
春彦『ヒン、馬鹿にしてゐるワイ。俺が両足をかつさらへて放り込んでやつたのだ。余り憎らしいから……それに神がしたのだなどと、都合の良い弁解して呉れるワイ。斯う云ふ時には高姫さまの御託宣も満更、無用にはならぬ。ハヽヽヽヽ』
高姫『蛙は口から、とうとう白状しよつたなア。お前が此の生宮の足をさらへて、海へ投げ込んだのだなア。まてまて、懲しめの為制敗してやらう』
と又もや胸倉をグツと取り、締めつけようとする。
常彦『オイ高姫さま、日の出神が憑つたぞよ。お前の両足をさらへて、海の中へ放り込んでやらうか、それが厭なら、胸倉を放してお詫をしたがよからうぞ』
 高姫は此の言葉に驚き、胸倉取つた手を放し、面ふくらし乍ら、又もや甲板さして上り行く。船は漸くにしてテルの港に安着した。高姫は衆人を押分け、厚かましく、いの一番に船を飛び出した。春彦、常彦は稍遅れて上陸した。高姫は一生懸命にテルの都を指して走り行く。常彦、春彦の両人は見えつ隠れつ、高姫の後を追うて行く。
 船長のタルチールは副船長たる吾子のテルチルに船を与へ、且つ之を船長となし、言依別命、国依別と共に宣伝歌を謡ひ乍ら、高砂島の何処ともなく、進み入つた。惟神霊幸倍坐世
(大正一一・八・一〇 旧六・一八 松村真澄録)
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