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文献名1霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
文献名2第2篇 石心放告よみ(新仮名遣い)せきしんほうこく
文献名3第6章 玉の行衛〔828〕よみ(新仮名遣い)たまのゆくえ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-12-23 17:26:33
あらすじ休息中も高姫は言葉を和らげて、常彦・春彦が船中で言依別一行から聞いたという玉のありかを聞き出そうとする。常彦ははぐらかしながら、高姫のころころ変わる態度を皮肉っている。高姫はしきりにお世辞を言うが、常彦は、玉のありかを漏らしたら、高姫は手のひらを返して自分たちを見捨てるだろうからと警戒する。常彦は高姫をからかった挙句、春彦と二人で走って逃げてしまった。高姫はそれを追いかけて転倒してしまう。高姫が血を流して倒れているところに四五人の男たちが通りかかり、高姫を気の毒がってお土で手当てをしてくれた。高姫は、日の出神の生き宮を助けた功徳を与えてあげたのだから感謝しろ、と男たちに言う。男たちは高姫の傲慢にあきれ、早く玉を供えに行こうと言う。高姫は玉と聞いて、男たちの一人に金を払って情報を得る。男たちは、アリナの滝の鏡の池に玉を供えに行く途中だった。高姫は、常彦が言っていた玉のありかはてっきりここだと思い定め、一目散にアリナの滝へ駆け出した。木陰で休んでいた常彦と春彦はそれを見て、後を追いかけていく。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月11日(旧06月19日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年9月3日 愛善世界社版83頁 八幡書店版第5輯 495頁 修補版 校定版84頁 普及版38頁 初版 ページ備考
OBC rm2906
本文のヒット件数全 1 件/五六七の世=1
本文の文字数5311
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本文  高姫は言葉を軟らげ、
『コレコレ常彦さま、ヤツパリお前は私が三五教の宣伝使の中でも、一番気の利いた立派な方だと思うて連れて来たが、……ヤツパリ此高姫の目は違ひませぬワイ。ようマア目敏くも、言依別や、国依別の船に乗つてるのが気がつきましたなア』
常彦『蛇の道は蛇ですからなア。どうも言依別や国依別の臭が船に乗つた時から、鼻について仕方がないものですから、一寸考へてゐましたが、いよいよ此奴ア変だと思うてかぎつけました』
春彦『まるで犬の様な鼻の利く男だなア。蛇の道は蛇でなくて、猪の道は犬ぢやないか。さうして本当に言依別さまや国依別が立派な玉を持つて御座つたのか』
常彦『貴様が海へ踊つて落込んだ時に、綱を投げて呉れた船客が国依別だつたのだ。つまりお前は国依別さまに生命を助けて貰うたのだよ』
春彦『アヽさうか、それは有難い。一つ御礼を言うぢやつたに、お前が云つて呉れぬものだから、つい御無礼をした。ヤツパリ国依別さまは親切だなア。二つ目には足手纏ひになるの、エヽ加減にまいて了はぬと、あんなヒヨツトコは邪魔になるとか仰有る生神もあるなり、世は種々だ。そして立派な玉をお前は拝見したのか』
常彦『天機洩らす可からずだ。大きな声で云ふない。そこに高姫さまが聞いて御座るぢやないか。高姫さまの御座らぬ所で、トツクリとお前丈に一厘の秘密を知らしてやるワ。オツと了うた、余り大きな声でウツカリ喋つて了つた。……モシ高姫さま、今私が何を言うたか聞えましたか。余りハツキリとは聞えては居やせぬだらうな。聞えたら大変ぢやからなア。アヽ桑原々々、慎むべきは言葉なりけりぢや、アハヽヽヽ』
高姫『コレ常彦さま、お前、そんなにイチヤつかすものぢやありませぬぞえ。トツトと有体に仰有い。そしたら此高姫は云ふに及ばず、錦の宮の教主となり、お前を総務にして立派な神業に使つて上げます。五六七の世でも出て来て見なさい。それはそれはあんな者がこんな者になつたと云ふ御仕組ですから、それで神には叶はぬと仰有るのぢやぞえ』
常彦『ハヽア、さうすると最前アンナ、カナンに化けたのも、強ち徒労ではありませぬな。私がアンナ、春彦はカナン、私はアンナ者がコンナ者になり、春彦は立派な人間になつて、高姫さまでも何人でも、到底カナンと云ふ立派な人間になると云ふ前兆ですか、ハツハヽヽヽ。これと云ふのも国依別さまが御親切に、玉の所在を決して他言はならぬと固く戒めて仰有つて下さつたのは、本当に有難い。よく私の魂を悟つて下さつた。士は己を知る者の為に死すとか云つて、自分の真心を見ぬいてくれた人位、有難く思ふものはない。私も男と見込まれて、大事の秘密の玉の所在を知らされ、実物迄拝見さして頂いたのだから、此首が仮令千切れても、国依別さまが云つてもよいと仰有る迄申されませぬワイ。アヽ云はな分らず、云うてはならず、六かしい仕組であるぞよ……とお筆先に神様が仰有つてゐるのは、大方こんな事だらう。お筆先の文句がキタリキタリと出て来て、身に滲みわたる様で御座いますワイ』
高姫『お前は言はねばならぬ人には隠して云はぬなり、言うて悪い人には言はうとするから、国依別さまが厳しく口止めをしたのだよ。よう考へて御覧なさい。私の供になつて来て居るお前に秘密を明かすと云ふ事は、つまり高姫に知らせよと云ふ謎ですよ。此事を詳しう高姫に伝へてくれと云つたら、却て心易う思ひ、忘れて了ふだらうから、言ふな……と云つておけば、大事な事と思ひ、お前が念頭にかけ、コッソリとお前が私に云うだらうと、先の先まで気をまはし、お前に言うたのだよ。国依別も中々偉いワイ。よう理窟を云ふ男だが、どこともなく香ばしい所のある男だと思うた。……コレコレ常彦、言ひなさい、キット後は私が引受けますから……』
常彦『メッサウな、そんな事言うてなりますかいな。お前さまは私を、甘くたらして云はさうと思ひ、巧言令色の限りを尽して、うまく誘導訊問をなさるが、マア止めておきませうかい。こんな所でお前さまに言はうものなら、あとは尻喰ひ観音、そこに居るかとも仰有らせないだらう。マア言はずにおけば常彦の御機嫌を損はぬ様に親切に目をかけてくれるに違ひない。言ひさへせなきや、桜花爛漫と常彦の身辺に咲き匂ふといふものだ。言うたが最後、明日ありと思ふ心の仇桜、夜半に嵐の吹かぬものかは……と忽ち高姫颪に吹きおろされ、ザックバランな目に遇はされるに定つてる。花は半開にして、長く梢に咲き匂ふ位な所で止めておきませうかい。イッヒヽヽヽ。アヽこんな愉快な事が又と再び三千世界にあらうかいな。三千世界一度に開く梅の花、開く時節が来たら秘密の倉を開けて見せて上げませう。それも一寸でも私の御機嫌を損ねたが最後駄目ですよ』
高姫『コレ常彦、情ない事を云うておくれな。なんぼ私だつてさう現金な女ぢやありませぬぞえ。今の人間は思惑さへ立ちや、後は見向きもせぬのが多いが、苟くも、善一筋の誠生粋の大和魂の根本の性来の、而も日の出神の生宮、変性男子の系統、これ丈何もかも資格の揃うた高姫がそんな人間臭い心を持ち、行ひを致さうものなら、第一神様のお道が潰れるぢやありませぬか。変性男子の身魂に対しても、お顔に泥を塗るやうなものなり、日の出神さまに対しても申訳がありませぬ。さうだから大丈夫ですよ。先で云ふも今云ふも同じことだ。さう出し惜みをせずと、お前の腹の痛む事ぢやなし、一口、かうだとお前の口に出して呉れたら良いぢやないか。サア常彦、ホンにお前は気の良い人だ。そんなにピンとすねずにチヤツと仰有つて下さいナ』
常彦『猫があれ程好な鼠を生捕にしても中々さうムシヤムシヤと食ひはしますまい。くはへては放り上げ、くはへては放り上げ、追ひかけたり押へたり、何遍も何遍もイチヤつかして、終局には嬲殺にして、楽んで食ふように、此話もさう直々に申上げると、大事件だから値打がなくなる。マア楽しんで私に従いて来なさい。其代りに或時期が来たら知らして上げますから、一つ約束をしておかねばなりませぬ。高姫さま、物を教へて貰ふ者が弟子で、教へる者が先生ですなア』
高姫『きまつた事だよ。教へる者が先生だ。さうだからお前達は私の弟子になつて居るぢやないか』
常彦『あゝそれで分りました。其御考へなれば、行く行くは玉の所在を教へて上げませう。其代り今日から私が先生でお前さまは弟子だよ。サア荷物を持つて従いて来なさい』
高姫『コレ常彦、おまへは何と云ふ事を云ふのだい。天地顛倒も甚しいぢやないか。誰がお前の弟子になる者があるものか。苟も日の出神の生宮ですよ。余り馬鹿にしなさるな』
常彦『これはこれは失礼な事を申し上げました。そんならどうぞ何もかも教へて下さいませ。私は教へる資格がありませぬから、モウ此れ限り何も申上げませぬ。教へて上げやうと云へばお目玉を頂戴するなり、其方が宜しい。モウ此れ限り、夜前あなたの仰有つた様に此国の人を弟子にして、半鐘泥棒や蜥蜴面の吾々に離れて活動して下さい。……なア春彦、半鐘泥棒や蜥蜴面が従いて居ると高姫さまのお邪魔になるから、これでお別れせうかい』
春彦『何が何だか、俺やモウサツパリ訳が分らぬ様になつて来たワイ。……オイ常彦、そんな意地の悪い事言はずに、男らしう薩張と高姫さまに申し上げたら如何だ』
高姫『コレコレ春彦、流石はお前は見上げたものだ。さうなくては宣伝使とは言へませぬワイ。……コレ常彦、言はな言はぬで宜しい。お前の行く所へ従いて行きさへすればキット分るのだから……』
常彦『ソラ分りませう。併し乍ら私は出直してくる共、お前さまの従いて厶る限りは、玉の在る方面へは決して足は向けませぬワ。そしたら如何なさる。オホヽヽヽ』
高姫『エヽ気色の悪い、しぶとい奴だなア。ヨシヨシ今に神界に奏上して、口も何も利けぬ様に金縛りをかけてやるから、それでも宜しいか』
常彦『どうぞ早うかけて下さい。お前さまに玉の所在を言へ言へと云うて迫られるのが、辛うてたまらぬから、物が言へぬようにして下されば、それで私の責任が逃れると云ふものだ。どうぞ早うかけて下さいな。不動の金縛りを……』
と云ひ乍ら、舌を一寸上下の唇の間に挟んで高姫の前に頤をしやくり、突き出して見せる。
高姫『エヽどうもかうも仕方のない、上げも下ろしもならぬ動物ぢやなア』
常彦『オイ春彦、駆足々々。高姫さまをまくのだよ』
と尻引まくり、一生懸命に地響きさせ乍ら、降り坂を駆出した。高姫は後より一生懸命に二人の姿を見失はじと追つかけて行く。
 高姫は高い石に躓きパタリと大地に倒れ、額をしたたか打ち、血をタラタラ流し、且つ膝頭を打つて、頭を撫で足を撫で、身を藻掻いてゐる。二人は高姫が必ず追つかけ来るものと信じて、一生懸命に南へ南へと走り行く。
 ここを通りかかつた四五人の男、高姫の疵を見て気の毒がり、傍の交り気のない土を水に溶かし、額と足とに塗りつける。高姫は、
『何方か知りませぬが、ようマア助けて下さいました。これも全く日の出神さまのお神徳で厶います。貴方方も結構なお神徳を頂きなさつたな。高姫と云ふお方は、誠に結構な身魂であるから、此身魂に水一杯でも、茶一滴でも供養した者は、大神様のお喜びによつて、家は代々富貴繁昌、子孫長久、五穀豊饒、病気平癒、千客万来の瑞祥が出て参ります。皆さま、結構な御用をさして貰ひなさつた。サア、是から、三五教の神様に御礼をなさい。私も一緒に御礼をしてあげます』
甲『何と妙な事を言ふ婆アぢやのう。人に世話になつておいて、反対にお礼をせい、御礼をして上げるのと、訳が分らぬぢやないか。大方これはキ印かも知れぬぞ。うつかり相手にならうものなら大変だ。イヽ加減にして行かうぢやないか』
高姫『コレコレ若い衆、キ印ですよ。三千世界の大狂者の大化物の変性男子の系統の生神様ぢや』
乙『それ程エライ生神さまが、何で又道に倒れて怪我をなさるのだらう。此点が一寸合点が行かぬぢやないか』
高姫『そこが神様の御仕組だ。縁なき衆生は度し難しと云ふ事がある。日の出神様が、一寸此肉体を道に倒してみせて、ワザとお前等に世話をさせて、手柄をさして、因縁の綱を掛け、結構にして助けてやらうと遊ばすのだ。分りましたかなア』
乙『根つから分りませぬワイ。……オイ皆の連中、早く玉を御供へに往かうぢやないか。結構の玉を供へたら、結構にしてやらうと云ふ神があるから、早く何々迄急がうぢやないか』
丙『随分沢山にお参りだから、ヤツと玉もいろいろと寄つて居るだらうなア』
乙『ソリヤお前、一遍俺も参つて来たが、それはそれは立派な玉が山の如くに神さまの前に積んであつたよ。金剛不壊の如意宝珠に黄金の玉、竜宮の麻邇宝珠の玉とか云つて、紫、青、白、赤、黄、立派な玉が目醒しい程供へてあつたよ』
高姫『コレコレお前、其玉はどこに供へてあるのだ。一寸云つて下さらぬか』
乙『其玉の所在ですかいな。ソリヤ一寸何々して貰はぬと、何々に何々が納まつて居ると云ふ事は云はれませぬなア』
高姫『そんならお金を上げるから仰有つて下さい』
乙『私も実は貧乏で困つてをるのだ。金儲けになる事なら云つてあげようかな。ここに五人も居るけれど、玉の場所を知つた者は俺丈だから儲け放題だ。一口にナンボ金を出しますか』
高姫『一口に一両づつ上げよう。成る可く二口位に詳しう云つて下さいや』
乙『中々一口や二口には云ひませぬで、一口云うたら一両づつ引替に致しませう。それも先銭ですよ』
高姫『サア一両』
と突き出す。
乙『ア……』
高姫『後を言はぬかいな』
乙『モウ一両だけ、一口がとこ云つたぢやないか。モ一両下さい。其次を云うて上げよう』
高姫『あゝ仕方がない、……それ一両』
と又突き出す。
乙『リ……』
と云ひ乍ら、又一両を呉れと手を突き出す。
高姫『何と高い案内料ぢやなア。モチト長く言うてお呉れぬかいな』
乙『元からの約束だ、ア……と云へば一口かかる。リ……といへば又一口ぢやないか』
高姫『エヽ欲な男ぢや。……それ一両、今度はチト長く言うて呉れ』
 乙は又一両懐にねぢ込み、
乙『今度は長く言ひますよ。……ナーー……』
 かう云ふ調子に『アリナの滝の水上、鏡の池の前に沢山の宝玉が供へてある』と云ふ事を教へられ、高姫は勢込んでテルの国のアリナの滝を指して、一生懸命に駆けり行く。
 道傍の木蔭に休んで居た常彦、春彦は、高姫の血相変へて行く姿を眺め、
『オイオイ高姫さま、一寸待つて下さいなア』
と呼びかけた。高姫は後を一寸振向き、上下の歯を密着させ、ニユツと口から現はし、頤を二三遍しやくつて、
高姫『イヽヽ、大きに憚りさま。玉の所在は日の出神さまから知らして貰ひました。必ず従いて来て下さるなや』
と一生懸命に走り行く。常彦は、
常彦『本当に玉が此国に隠してあるのかな。こりや一つ高姫さまの後から従いて行つて、白玉でも黄玉でも、一つ拾はぬと、はるばる出て来た甲斐がないワ。……オイ春彦、急げ』
と尻ひつからげ大股にドンドン、髪振り乱し砂煙を立て乍ら、高姫の通つた後を一目散に走り行く。
(大正一一・八・一一 旧六・一九 松村真澄録)
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