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文献名1霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
文献名2第3篇 神鬼一転よみ(新仮名遣い)しんきいってん
文献名3第15章 ヨブの入信〔837〕よみ(新仮名遣い)よぶのにゅうしん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグニユージランド(ニュージーランド) データ凡例 データ最終更新日2022-01-02 18:19:15
あらすじ高姫に対して憤っていた船客の一人は、ヨブという名前で、去年船中で鷹依姫一行が海中に没したのを見て、高姫に対して非常な怒りを覚えたことを明かした。そして、今高姫の高潔な姿を見て、弟子になりたいと申し出た。高姫は一度断るが、ヨブは熱心に頼み込んだ。常彦と春彦も賛成し、ヨブは高姫に同道することになった。それにあたって高姫は、執着心を去るために必要最低限の路銀のみ携帯するように言い渡した。ヨブは、船中に居た同郷の島の知人に手持ちの路銀のほとんどを与え、貧しい人たちに施すようにと頼んだ。知人たちは後に故郷に戻ると、ヨブから預かった金を島の貧しい人たちに残らず与えた。高姫たちは、ヨブの無欲に感心し、常彦はヨブの入信を祝う歌を歌った。そこにはかつての高姫の所業も歌いこまれていたが、船中の人々はそれを聞いて、かえって高姫一行の公平無私な態度に感歎した。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月12日(旧06月20日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年9月3日 愛善世界社版216頁 八幡書店版第5輯 545頁 修補版 校定版222頁 普及版101頁 初版 ページ備考
OBC rm2915
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本文  高姫の偽らざる告白に船客の一人は、今迄の憤怒の情は何処へやら消え失せ、今度は全く高姫に対する同情者となつて了つた。丙は高姫に向ひ、
丙『私はカーリン島(今のフオークランド)のヨブと云ふ者で御座います。去年の此頃、此カーリン丸に乗り、ゼムの港に往来する途中、最前話しました様な、親子主従の溺死を目撃し、夫から何となく憐れを催し、能く探つて見れば、自転倒島の高姫さまから追ひ出されて、ここまで遥々やつて来た憐れな人だと聞いてから、おのれ高姫見つけ次第素首抜かずにおくものかと、親の仇敵ででもあるかの様に、力瘤を入れて憤怒の情に堪へ兼ねてゐましたが、今御本人の高姫さまに出会ひ、聞くと見るとは大変な違ひ、あなたの潔白なる御精神には、此ヨブも感嘆致しました。話と云ふものは両方聞かねば一方計り聞いては分らぬものです。どうぞ高姫さま、不思議な御縁で此船の中でお目にかかりました。これを機に私を貴女の御弟子にして下さいませぬか。私は両親もあり、兄も妹も御座いますが、幸ひ部屋住の身で何処まで行つても、神さまの為なら親兄妹も何も申しませぬ。どうぞ私を何処までもお供をさして下さいませ。又路銀に御困りなら、二年や三年の路銀は丁度ここに携帯致して居りますから、どうぞお供にお願致します』
高姫『それは誠に結構な思召しで御座いますが、まだ貴方には執着心がありますから、到底御辛抱は出来ますまい。又御縁がありましたら、其時に御世話になりませう。併しどうぞ三五の道の信者におなり下さいませ』
ヨブ『私は素より三五教の信者で御座いますよ。別に教会とか、教典とか又は経文とか、形式的の道は踏んで居りませぬが、誠の宗教は決して教会や儀式などから生れるものでは御座りませぬ。どうぞ左様な結構なお道を世界に宣伝し、同じ人間と生れて、一生を暮すならば、世界の人民を助け、喜ばれて此世を過ごし度う御座います。どうぞお気に入りますまいが、貴女のお弟子にして下さいませ』
高姫『一寸御様子を見れば、随分あなたは新しい学問をしてゐるお方のやうだ。余程お悧巧な方とみえますから、到底私のやうな無学文盲な昔人間の云ふことはお気に入りますまいから……』
ヨブ『誠の道は学問や智慧で分るものではありませぬ。私は貴女の言心行一致の誠に感心をしたので御座います。今の世の中は口と心と行ひと全然反対な者ばかり、どうぞ誠の人を見つけて、世界の為に尽し度いと、寝ても醒めても神様に祈願を籠めてゐました。今日も今日とて大悪人と思ひつめてゐた、貴女の言心行一致の執着心のない信仰心の強いのを実地拝見致しまして、何とも愉快でたまりませぬ。貴女の弟子になることが出来ませねば、せめて荷持になりと連れて行つて下さいませ。此宇都の国から巴留の国(現今のブラジル)の海岸は、私は詳しく存じてゐますから、どうぞ道案内旁御供をさして下さる様に御願致します』
高姫『私一量見では参りませぬ。ここに同行致してをります常彦、春彦の御意見を伺ひまして、其上で御返事を致しませう。……なア常彦、春彦、あなたも今お聞きの通り、此方の仰有ること如何思はれますか。どうぞ御意見を腹蔵なく今此処で仰つて下さいませ』
常彦『それは誠に結構だと思ひます。……なア春彦、お前も賛成だらう』
春彦『私もズツト賛成です。ヨブさまがここへ加はつて下されば、丁度神様を一霊とし、吾々が四魂となつて、御用を致しますのに、大変な好都合で御座います』
高姫『あゝ御二人共御同意下さいましたか、それは誠に喜ばしいこつて御座います。……モシモシ ヨブ様、お聞の通りで御座いますから、どうぞ宜しくお願ひ致します』
ヨブ『ハイ早速の御聞済み、これに越したる悦は御座いませぬ。どうぞ末永く御使ひの程御願致します』
高姫『併し乍らあなた最前路銀を沢山持つてると仰せられましたが、吾々宣伝使は余り沢山の路銀は必要が御座いませぬ。どうぞ夫を難儀な人に、ゼムの港へ御上陸になつたら分けてお上げ下さい。さうでないと誠の御神徳を頂けもせず、本当の御用も勤まりませぬ。身魂の因縁性来で、神様の御用が出来るので御座いますから、宣伝使として決してお金なんか必要が御座いませぬ、野に寝たり、山に臥たり、辻堂に寝たり、種々修業致して、世界の人民に安心立命を与へ、天下泰平の祈願を致すのが宣伝使の職責で御座いますから……夫とも綾の聖地とか、波斯の国斎苑の館の御普請とかにお献げ下さるのなら結構で御座いますが、併し其お金は如何して御手にお入れ遊ばしたのですか。まだお年も若いし、お金の儲かる塩梅も御座いませぬが、大方両親の財産でも分けてお頂きになつたのでせう』
ヨブ『ハイ、御察しの通り、両親から各自に財産の分配を受て居りまする。夫だから決して怪しき金でも、盗んだ物でも御座いませぬから、そんならどうか神様の御普請にお使ひ下さいませぬか』
高姫『あなたが汗脂を絞つて苦労の塊で蓄めたお金なら、神様もお喜びでせうが、親譲りの財産で、自分の手も汚さず、懐にしたお金は苦労がしゆんでゐませぬから、神様にお上げしても御喜びにはなりませぬ。どうぞそれは慈善的に、難儀な人にお与へ下さいませ。世界の人民は皆神様の尊い霊の宿つたお子様で御座いますから、言はば人民同志は兄弟も同様、兄弟を大切にするのは、親神様は大変お喜びで御座いますからなア』
ヨブ『イヤ能く分りました。左様ならば其考へに致します。金銭などは実のところ煩くて堪らないのですが、これが無くては旅も出来ませぬので、せう事なしに重たいものを腹に巻いて歩いて居ります』
 船客の一人甲は此話しを聞いて側に寄り来り、
甲『モシモシ ヨブさま、あなたは愈此方のお弟子になる積りですか』
ヨブ『お察しの通りです。どうぞ国へお帰りになつた時には、私の両親始め兄弟親類、村中の方々に宜しく云つて下さいませ』
甲『ハイ承知致しました。併し乍ら今承はれば、あなたは所持金を一切慈善的に難儀なものに施すと云はれましたなア。同じ人を助けるのならば、カーリン島にも沢山な難儀な人民が居りますから、国を立つたお土産に島人の難渋なものにお与へになつては如何です』
ヨブ『あゝさう願ひませうか』
甲『オイ、ヤコブ、お前も一緒にヨブさまから今お金を受取つたら証人になつて呉れ、若し間違うと困るからなア』
ヨブ『タールさまの正直正道のあなた、決して間違ひはありますまい。最早あなたのお手に渡した以上は、私のお金ではありませぬ、あなたの御自由になさつたらいいのです。別にヤコブさまを、七むづかしい、証人なんかに立てる必要はありますまい。併しヤコブさまが同意して下さらば、お二人に分けて預つて貰ひませう』
ヤコブ『どちらなりと、あなたの御意に従ひます』
 ヨブは懐より沢山の小判を取出し、其一部分はまさかの用意と後に残し、九分迄両人に托し、
ヨブ『どうぞ難渋な人に、お前さまから与へて下さい。決してヨブの金だとは言つて下さいますな。人に施す時は、右の手にて施すのを、左の手に知れない様にせよ……との神様の御示しも御座いますから、どうぞ其お積りでお願ひ致します』
 両人は感心し乍ら、其金を受取り帰国の後、ヨブの依頼の如く、数多の貧しき人々に、一文も残らず正直に与へて了つた。
 高姫、常彦、春彦もヨブの恬淡無欲なるに感じ入り、大に其行為を賞揚した。常彦は立ち上り、歌を謡つてヨブの入信を祝した。
常彦『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直し聞直し
 過りあれば宣り直す  三五教の神の道
 高姫司が今迄は  正邪の道に踏み迷ひ
 我情我欲を立通し  下を虐げ上押へ
 変性男子の系統と  日の出神の生宮を
 真向上段に振翳し  三五教の人々を
 朝な夕なに威喝して  鳥なき里の蝙蝠と
 成りすましたる愚さよ  心の暗はいや深く
 黒白も分かぬ黒姫が  黄金の玉を紛失し
 心痛むる折柄に  高姫司が嗅ぎつけて
 悪鬼のやうな顔色で  小言八百並べ立て
 黒姫さまを始めとし  鷹依姫や竜国別の
 教の司やテー、カーの  五人の司を無残にも
 綾の聖地を追ひ出し  海洋万里の竜宮島
 高砂島迄追ひ出し  自分も玉を紛失し
 再び心の暗雲に  包まれ聖地を後にして
 南洋諸島や高砂の  島に又もや渡り来て
 金剛不壊の如意宝珠  紫玉や黄金の
 珍の宝玉麻邇の玉  言依別の教主等が
 着服なして海外へ  姿を隠し三五の
 神の元なる厳御魂  変性男子に楯をつき
 謀叛を企むに違ひない  こりや斯うしては居られぬと
 夜叉のやうなる勢で  霊界現世の瀬戸の海
 馬関海峡アンボイナ  ニユージランドやオセアニヤ
 高砂島の奥までも  探り探りて鏡池
 懸橋御殿に侵入し  又もうるさい玉騒ぎ
 月照彦の化身等に  散々脂を絞られて
 命からがら逃げ出し  アリナの峰を乗り越えて
 アルゼンチンの大野原  櫟ケ原の真中に
 ポプラの茂みを宿となし  一夜を明かす其中に
 木の花姫の化身なる  日の出姫の深遠な
 神示を受けて改心し  執着心を払拭し
 生れ赤子になりければ  隙を覘つて憑いてゐた
 金毛九尾の悪狐奴が  ゐたたまらずに肉体を
 後に残して雲に乗り  常世の空に逃げて行く
 それから後の高姫は  日の出神の生宮か
 木の花姫の再来か  たとへ方なき善良の
 忽ち身魂となり変り  昨日の鬼は今日の神
 実にも尊き神柱  心の空につき固め
 アイルの激しき荒河を  神の造りし鰐の橋
 易々渡りて玉の湖の  畔に漸く辿りつき
 高姫司を始めとし  常彦、春彦諸共に
 椰子樹の森に横たはり  一夜を明かし目を醒まし
 あたりキヨロキヨロ見廻せば  鷹依姫や竜国別の
 教の司やテー、カーの  四人の姿を刻みたる
 石を眺めて拝礼し  悔悟の涙せきあへず
 ここに全く改心の  開悟の花は満開し
 森羅万象悉く  至善至楽の光景と
 変りたるこそ面白き  吾等三人は玉の湖
 錦の魚に教へられ  経と緯との経綸を
 隈なく悟りやうやうに  アルの港に来て見れば
 折よく船は出帆の  間際なりしを幸ひに
 嬉しく乗りて今此処に  胸凪ぎ渡る海の上
 タールや、ヤコブ、ヨブさまの  世間話に花が咲き
 聞くともなしに聞き居れば  鷹依姫や竜国別の
 教の司の一行が  大和田中に落ち入りて
 みまかり玉ひし物語  吾等の胸に轟きつ
 涙を抑へて聞く中に  高姫さまの物語
 鷹依姫が一行の  奇禍にあひしも其元を
 詳しく探れば高姫が  我情我慢の結果ぞと
 聞いて吾等は胸痛め  如何ならむと思ふうち
 身魂も清き高姫は  打つて変つて正直に
 おのが前非を告白し  捨身の覚悟をなし玉ふ
 其雄々しさにヨブさまも  日頃の怒りは氷解し
 打つて変つた機嫌顔  不言実行の行動に
 感じ玉ひて高姫が  御弟子にならむと請ひ玉ふ
 あゝ惟神々々  神の御霊の幸はひて
 高姫さまの今日の胸  旭の如く澄みわたり
 照り輝くぞ雄々しけれ  高姫さまの改心が
 若しや遅れてゐたならば  カーリン丸の船中で
 ヨブに素首引抜かれ  吾等は悲しき長旅の
 何と詮術波の上  泣けど叫べど甲斐もなく
 悲しき別れせしならむ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 誠一つは身を救ふ  誠の道の御教を
 只一筋に是れからは  脇目もふらず進みなむ
 神は吾等を守ります  神の御旨に叶ひなば
 如何なる事か恐れむや  茲に常彦謹みて
 高姫さまの御改心  入信されたヨブさまの
 目出度き今日の生日をば  喜び勇み祝ぎまつる
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と歌ひ終り、腰を下した。高姫を始め、ヨブ其他の船中の人々は常彦が現在高姫を前におき、露骨に其経路を語りたる公平無私の態度に感嘆の舌を巻くのであつた。
(大正一一・八・一二 旧六・二〇 松村真澄録)
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