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文献名1霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
文献名2第4篇 海から山へよみ(新仮名遣い)うみからやまへ
文献名3第18章 天祥山〔840〕よみ(新仮名遣い)てんしょうざん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-01-06 17:05:47
あらすじマールとボールはヨブに諭されて己の誤りをただし、高姫一行の道案内をして天祥山のハンドの滝まで道案内をすることになった。ナイアガラに比すべき大瀑布であるハンドの滝の音は、十四五町前からも聞こえてきた。天祥山から吹き降ろす涼風に、滝に近づくにつれて熱帯のこの地でも肌寒くなってきた。マールはこの山は猛獣が多かったが、町民たちが猛獣の害を除くべく三五教に祈願を始め、それがために二年ほど前から猛獣はだいぶ少なくなったと話した。ただ数は少ないが、モールバンドという怪物が居るという事を伝えて一行に気をつけた。大瀑布に近づくと、飛沫はあたりに散って互いの姿もはっきり見えないほどになってきた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月13日(旧06月21日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年9月3日 愛善世界社版263頁 八幡書店版第5輯 561頁 修補版 校定版272頁 普及版120頁 初版 ページ備考
OBC rm2918
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本文  大海中に浮びたる  カーリン島に名も高き
 無頼の悪漢マール、ボールは  島の男女に嫌はれて
 詮術もなき悲しさに  夜陰に乗じヨブの家
 忍びて宝を掠奪し  暗に紛れて逃出す
 天網恢々疎なれ共  洩れぬ例しに洩れずして
 逃行く姿を門口で  此家のヨブに見付けられ
 お前はマール、ボールかと  声かけられて恐縮し
 茲にグヅグヅしてゐたら  島の規則に照らされて
 明日は必ず締首の  所刑に会ふは知れた事
 逃げるに若かずと磯端の  小舟を盗んで両人が
 波立ち騒ぐ海原を  櫓櫂を操り生命懸け
 北へ北へと漕いで行く  俄に吹き来る暴風に
 小舟は木の葉の散る如く  茲に危き玉の緒の
 やつと命を拾ひつつ  ゼムの港に漂着し
 後振り返り眺むれば  只一時の出来心
 犯した罪の恐ろしさ  後より追手のかかるよな
 不安の雲に包まれて  天地の神に罪悪の
 お詫をなさむと天祥の  山にかかれる大瀑布
 ハンドの滝に身を打たせ  七日七夜の荒行を
 勤むる折しも恐ろしや  モールバンドの怪獣が
 思はずここへのそのそと  現はれ来りて両人を
 尻尾の先の鋭利なる  剣をふり立てふりすごき
 二人に向つて攻め来る  進退茲に谷まりし
 マール、ボールは胸を据ゑ  天をば拝し地を拝し
 力限りに太祝詞  天の数歌一二三つ
 四つ五つ六つ七つ八つ  九つ十百千万
 心を砕いて祈り居る  モールバンドは容赦なく
 尻尾に力を集中し  二人を打たむとする所へ
 俄に聞ゆる宣伝歌  次第次第に近付けば
 流石獰猛な怪獣も  次第次第に萎縮して
 鉾をば戢め尾を縮め  頭をさげてノタノタと
 あたりの林に身を隠し  後白雲となりにけり。
 マール、ボールの両人は  九死一生の此場合
 助け玉ひし生神は  何神なるぞと近よりて
 両手を合せ跪き  涙と共に伺へば
 三五教の宣伝使  鷹依姫や竜国別の
 神の司を始めとし  テーリスタンやカーリンス
 四人の珍の神司  茲に二人は平伏し
 救命謝恩の辞を述べて  鷹依姫の弟子となり
 此滝水に身を浸し  朝な夕なに大神を
 祈りてここに詣で来る  数多の人を救ひつつ
 楽き月日を送りしが  いよいよ今日は玉の緒の
 命拾ひし一年目  命の親の恩人を
 虐げまつりし高姫を  ここに待受け鷹依姫の
 教の司の仇を討ち  万分一の恩報じ
 仕へまつりて天地の  神の御前に赤誠を
 現はし呉れむと待ちゐたる  時しもあれや高姫は
 常彦、春彦始めとし  ヨブを引きつれ悠々と
 天祥山を指さして  進んで来る四人連れ
 マール、ボールの両人は  これこそ的切り高姫と
 九寸五分をば振翳し  右と左に突きつける
 流石の高姫身をかはし  飛鳥の如く飛び退けば
 カーリン島のヨブさまは  二人の中に割つて入り
 まづまづ待てよ両人よ  お前はマール、ボールの両人か
 如何してお前はここへ来た  様子を聞かせと呼ばはれば
 ヨブと聞くより両人は  驚き周章手をつかへ
 心の鬼に責められて  あやまり入るぞ健気なれ
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 因縁者の寄合で  此街道に神の道
 うまらにつばらに説きあかし  鷹依姫や高姫の
 雪より清き胸の内  輝き渡るぞ尊けれ
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ。
 マール、ボールの両人は、高姫、ヨブの訓戒に依り、釈然として吾考への誤れることを悟り、天祥山のハンドの滝迄案内者として進み行く事となつた。
 茲に一行六人は途々勇ましく宣伝歌を唄ひ乍ら、路傍の大蜥蜴や虻蜂などを脅威しつつ、早くも天祥山の山口に差かかつた。ハンドの滝迄は、まだ十四五丁の距離がある。され共ナイヤガラの瀑布に次いでの名高き大滝、淙々たる滝の音は手に取る如く聞えて来た。油蝉や蜩の鳴く声は、耳を聾せむ許り鳴き立てる。流石熱国のブラジルの此地域、二三里の間は天祥山より吹き颪す涼風に、恰も内地の秋の如く、滝に近付くに従ひ肌寒く、歯さへガチガチと鳴り出して来た。
常彦『随分涼しい所ですなア。高砂島へ渡つて以来、斯様な涼しい目に会うた事は初めてです。此山には種々と恐ろしい猛獣が棲んでゐると云ふことを、船中の客より聞きましたが、実に物凄い光景ぢやありませぬか』
マール『此山には獅子、山犬、虎、熊などの猛獣が出没致しまして、夜な夜な里に現はれ来り、年老りや子供に害を与へますから、吾々は三五教の神様を此瀑布の傍にお祭りいたし、朝夕人民安全の為に、御祈念をこらして居ります。其御神徳にや此頃は猛獣の影も余程減つて来ました。二年以前に比ぶれば、二十分の一位より居らなくなりました。そしてモウ一つ恐ろしいモールバンドと云ふ怪獣が時々やつて来ます。其獣は象を十匹も寄せた様な胴体をし、水掻きのある爪の長い四本足で、鰐の様な尻尾の先に鋭利な剣がついてゐて、すべての猛獣を其尾でしばき斃し、食つて居る恐ろしき動物が居ります。此頃は猛獣が少くなつたので、モールバンドも滅多に参りませぬが、若しも彼の目に止まつたが最後、人間だろが、獣だらうが、容赦なく片つぱしから尾で叩き殺し、皆食つて了うと云ふ恐ろしい奴ですから随分気を付けねばなりますまい。時々暑くなるとハンドの滝に横たはつて滝水を浴び、グウグウと鼾をかいて寝てゐることがあります。私も昨年来四五回見つけました。さういふ時にはソーツと足を忍ばせて近よらない方が得策です。鷹依姫の宣伝使の様に御神徳があれば言霊を以て追ひ散らす事が出来ますが、到底吾々如き神徳のなき者は近寄らぬのが一番ですよ。併し今日は私があの滝に於いて鷹依姫さまに命を拾つて貰つた記念日ですから、これからあの滝の下で祭典を行ひ、天地の大神様に御礼を申上げねばなりませぬ。幸ひあなた方は宣伝使で居らせられますから、一つ此祭典を賑々しく御手伝ひ下さいませぬか』
高姫『それは何より好都合です』
と云ひ乍ら早くも滝の側近く辿り着いた。
 大瀑布の飛沫はあたりに散つて霧の如く濛々とそこらの樹木を包んでゐる。互の姿さへもハツキリ見えぬ迄に深き霧が立ちこめて居た。
(大正一一・八・一三 旧六・二一 松村真澄録)
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