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文献名1霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻
文献名2第4篇 修理固成よみ(新仮名遣い)しゅうりこせい
文献名3第16章 荒しの森〔858〕よみ(新仮名遣い)あらしのもり
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-02-14 18:59:04
あらすじウラル教徒を追い払った国依別が、宣伝使としての一人旅を満喫しながら森の木陰に休んでいると、星明りの中、走りよってくる二つの影がある。国依別が呼び止めて誰何すると、二人は平伏し、自分たちは飢饉から救ってもらった国人でキジ、マチとそれぞれ名乗った。二人の若者・キジとマチは、国依別を慕って弟子になるために追って来たのだという。国依別は、せっかく一人旅の愉快さに心を躍らせていたところで迷ったが、自分を慕って山川を越えて追って来てくれた男たちを追い返すのに忍びなく、これも神様の大御心と思い切り、二人の随行を許した。キジとマチは喜び、三人はヒルの都を目指していくこととなった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月16日(旧06月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年9月15日 愛善世界社版189頁 八幡書店版第5輯 639頁 修補版 校定版202頁 普及版75頁 初版 ページ備考
OBC rm3016
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本文  頭に淡雲を頂き  腰に霞の帯を引まはし
 ヒルとテルとの国堺  大山脈の其中に
 屹然として立ち  青葉の衣纏ひたる
 御倉山の麓の渓流は  淙々として天然の琴を弾じ
 涼風常に新鮮の空気を送る  天国浄土の此仙境も
 百日百夜雨降らず風吹かず  木々の梢は萎れて
 恰も枯葉の如し  あゝ如何なる天の戒めか
 国魂神の御怒りに出でたるか  実に恐ろしき残酷の中に
 陥りし如き国人の悲哀の声  晨に父に死に別れ
 夕べに母を見えぬ境に送る  幼児はかわける慈母の乳にすがり
 悲しげに泣き叫ぶ  あゝ天地の間に
 神はまさずや、おはさずや  御倉山の谷川水清く
 魚は溌溂として激流を泳ぎ  人間の此苦める惨状を
 夢にも知らぬ人の身の  あゝ神の子と生れし人間の
 饑餲の幕に包まれて  餓鬼道の巷に迷ひ
 苦める此憐れさ  人は飢に苦み
 魚は洋々として清流に遊ぶ  果して何の天意ぞや
 あゝ此矛盾、あゝ此悲惨よ  天地の神も見そなはせ
 国魂神も国人を  守りまさずや朝夕に
 空打仰ぎ地に俯し  祈りし甲斐もあらざりしや
 今は手を束ね眼は閉ぢて  黄泉の国よりうとび来る
 死の手に任すより  詮術もなき此悲惨さよ。
 国人は老若男女の隔てもなく  国魂の社を指して
 家路を後に竜世姫  谷川の辺に跪き
 声も弱りて虫の音の  秋野にすだく如くなる
 目も当られぬ悲惨の幕  切つて下ろした時しもあれや
 時を窺ひ隙狙ひ  待ちに待ちたるウラル教の
 神の司のブール  アナン、ユーズの三人
 外に二三の伴人と共に  忽ち此場に現はれて
 軽生重死の教理を説きぬ  されどされど人々は
 今目のあたり飢に泣き  玉の緒の命も切れなむとする
 今や此時この際は  如何に尊き神の教なればとて
 パンを離れて神の慈愛の心  いかで肯定し得む
 否定の暗は谷川の  空気を濁して物凄し
 あゝ天道は人を殺さず  人生一期の九分九厘
 早玉の緒の切れなむとする  其時もあれ
 仁慈に充てる神の司  言依別の大教主
 国依別を伴ひて  鳩の如くに降りまし
 あゝ死か生か大神の心  老若男女の胸の内
 谷川の水音ならで  胸のとどろき
 喜びの飛沫、悲しみの波  漲りおつる滝津瀬の
 否定の涙ぞ憐なる。  ウラルの教の神司
 熱弁を揮ひ  口角飛沫をとばし
 切りに天国の福音を宣示す  神は霊なり人はパンのみにて
 活くるものにあらず。  あゝ霊なる哉霊なる哉
 生命の水にかわける者よ  かわく事なく尽くる事なき
 霊の真清水に活きよ  天国は汝のものなり
 大三災や小三災  こもごも来る暗の世に
 暇を告げて神の御国に  今や救はれむとする
 審判の御手は下されたり  あゝ汝等神の慈愛に活き
 混濁せる下界に  心を置くなと教ゆ
 あゝ何たる悲惨ぞ残酷ぞ  人はパンのみにて生る者に
 あらざると共に又人の身は  霊のみにて活くる者にあらず
 霊と肉とは陰陽の如く  夫婦の如し
 ウラル教は霊を偏重し  天に堕落し、神に苦む
 現幽一致、霊肉同根の  教理を説き
 先づ肉の悩みを救ひ  霊を救ふ
 三五教は是れ救世の真理  瑞の御霊と現れませる
 言依別の神司  国依別の慈愛の言葉
 同情の涙に  かわきたる人は甦り
 其肉は栄え、霊は笑ひ  枯野の如く地獄の如く
 荒みし土の上も  此谷川の水にうるほひ
 肉に飽き  忽ち地獄は天国と化する
 神は必ずしも遠きにまさず  高きにあらず
 天国の楽みは眼前にあり  身の内にあり
 心の内に法悦の花は開き  歓喜の水は永久に湧く
 あゝ何たる神の慈愛ぞ  御恵ぞ
 言依別の慈愛の涙  暗澹たる天地の暗をてらし
 国依別の世を思ふ  赤き心は森羅万象
 天津日の光りに染む  あゝ惟神々々
 目のあたり天国を眺め  浄土を楽しむ
 三五教が善か  ウラルの教が善か
 霊に活きむとして体に死し  体に生きむとして霊に死す
 かかる悲惨を天地の  神はいかでか看過せむ
 霊に生き肉に活き  霊肉一致、顕幽一本の真諦を説く
 経と緯との綾錦  織り成し玉ふ栲幡姫の
 操る糸のいと長く  いや永久に神の栄光と
 恵は神の御子と生れ  神の生宮と現れます
 人々の上に下れかし  あゝ惟神々々
 神の御前に鰭伏して  まだ来ぬ先の世の中の
 世人の為に祈り奉る。  国依別は御倉山の渓間に
 神の教を説きさとし  飢に苦む国人の命を救ひ
 永久に変らず動かず  悩みもなく滅びもなき
 神の御国の真相を説き  娑婆即寂光浄土の真諦を
 人々の眼前に顕示し  神の威徳と慈光に浴せしめ
 国人の中より  いとも秀れたる
 パークスなる男に  詳しく教を説き示し
 名も足彦と改めさせ  御倉の宮司として
 数多の人々に暇を告げ  宣伝歌を歌ひ乍ら
 山伝ひに惟神に身を任せ  やうやうチルの村
 荒しの森に差かかる  折りしもウラル教の神司
 御倉の山の谷川にて  言依別や国依別に
 神退ひに退はれたる  意恨を晴らさむと
 宣伝使ブールを先頭に  アナン、ユーズの神司
 数多の信徒を使嗾し  天国の破壊者として
 十重二十重に取巻き  玉の緒の命を奪はむと
 猛り狂ふ其可笑しさ  国依別は鍛え切つたる魂の
 光に加へて球の玉  其霊光に身を浸し
 今や神徳の現はれ時と  衆に向つて右手の指頭より
 さも強烈なる  五色の霊光を発射したれば
 ブール、アナン  ユーズを始めとし
 生命カラガラ逃げて行く。
 国依別はウラル教の寄せ手の、蜘蛛の子を散らすが如く、四方に散乱した間に、暫く息を休め、荒しの森の木蔭に腰打かけて、しばし瞑想に耽りつつ、国依別は独語、
『アヽ宣伝使も実に愉快な者だワイ。三五教の御教に、宣伝使は一人の者と定められてある。言依別様が御倉の谷間に於て、すげなくも袂を別ち玉ひし時、何となく淋しみを感じ、且つ命の冷酷を恨んだ。併し乍ら、大教主の言葉を深く謹み、只一言の反問さへせなかつた。併し乍ら今になつて見れば、実に一人旅位愉快なものはない。否々決して吾は一人旅にあらず、神は汝と倶にありとの神示は、炳乎として日星の如く輝き給ふ。正義に敵する仇もなく、誠を傷つくる刃もなし。あゝ面白き哉宣伝の旅! あゝ勇ましき哉宣伝使の職掌! 広大無辺の大宇宙を住処とし、天地の間を跋渉する心の愉快さ! ねぢけ曲れるウラル教の神司、信徒を、いざ是れよりは救ひ助けて、娑婆即寂光浄土の真諦を説きさとし、現代を面白く、楽しく勇ましく、過させ、又霊魂に喜びと安きを与へ、以て神の御国を地上に建設せむ。アヽ惟神、御霊幸はひましまして、天が下の青人草を、夏の木草の青々と栄ゆるが如く、笑み栄えしめ玉へ! 国依別、天に跼まり、地に蹐して、大神の御前に祈願し奉る』
と両手を合せ、法悦の喜びを味はふ。
 此時慌だしく此場に向つて走り来る二つの影があつた。国依別は此影を星明りにすかし眺め、
『ヤアそれなる人よ、吾れは三五教の宣伝使国依別なり。慌だしく何れに向つて行き玉ふか?』
と突然に森の木蔭より声をかけられ、二人は忽ち大地に蹲がみ乍ら、
『ハイ私はあなたに救はれました、キジと申す者で御座います、……私はマチと申す者で御座います。……両親は餓死し、妻子亦饑餓に迫られて帰幽、今は吾々両人共、両親妻子を失ひし不運の身の上、最早此世に活きて何の楽しみもなしと死を決し、御倉の山の谷川に横はり死を待つ内、有難くも、あなた様御二人、何処よりか現はれ玉ひ、吾々国人の生命を助け玉ひし有難さ。かかる尊き神恩に浴し乍ら、其御恩も報ぜず、のめのめと酔生夢死するに忍びず。吾々が救はれし如く亦世の人を救ひまつり、神恩を報ぜむと、お後を慕ひ遥々参つた者で御座います。どうぞあなた様の従僕となし、お伴をさして頂きたう存じまして、ここまで参りました。幾重にも宜しく御許しの程を御願ひ致します』
 国依別は心の中に、
『ハテ困つたなア、折角一人旅の愉快を覚り、天空海濶何の気遣ひもなく、自由自在に神の国を跋渉せむと喜び勇んだのも束の間だ。……折角ここまで遠き山坂を越え、慕うて来た二人の男、無下に断る訳にも行こまい。アヽ仕方がない。これも神様の大御心だらう……』
と口の内に呟やき乍ら、思ひ切つた様に、国依別は二人に向ひ、
『三五教の宣伝使は一人旅するのが、神の掟である。されど今回に限り許しませう』
キジ『早速の御許し、有難う存じます』
マチ『何卒不束な者で御座いますが、宜しく御願ひ致します』
と嬉し涙に暮れる。之より国依別は、キジ、マチの若者を引連れ、ヒルの都を指して進み行く。
(大正一一・八・一六 旧六・二四 松村真澄録)
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