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文献名1霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻
文献名2第5篇 山河動乱よみ(新仮名遣い)さんかどうらん
文献名3第22章 大蜈蚣〔864〕よみ(新仮名遣い)おおむかで
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-02-20 19:00:34
あらすじキジとマチは、昨夜にウラル教徒たちを蹴散らした日暮シ川の丸木橋までやってきた。二人は軽口を叩きながら疲れてその場に寝込んでしまった。そこへどこからともなく這って来た大ムカデに耳を刺されてキジは飛び起きた。キジは思わずムカデに唾を吐きかけた。唾が嫌いなムカデはその場に伸びてしまった。マチはムカデを憐れに思って、日暮シ川の水中に投げて唾の毒を消してやった。するとムカデは息を吹き返し、二人の元に全速力でやってきた、二人を追い立てる。キジとマチは気味悪く、どんどん逃げていく。とうとう二人がウラル教の本拠である岩窟の前までやってきたところで、ムカデは消えてしまった。これは言依別命が球の玉の霊力をもって、キジとマチの出陣を励ますようにと顕現させたものであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月16日(旧06月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年9月15日 愛善世界社版250頁 八幡書店版第5輯 660頁 修補版 校定版266頁 普及版100頁 初版 ページ備考
OBC rm3022
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本文  マチとキジとの両人は  三五教の宣伝使
 国依別に従ひて  夜道を辿りやうやうに
 夜も明け放れ露の道  勢込んでスタスタと
 下らぬ歌をうたひつつ  アラシカ山の麓まで
 来りてここに息休め  又もや乗出す膝栗毛
 険しき坂を潔く  やうやう頂上に登りつめ
 涼しき風を浴び乍ら  あゝ面白い面白い
 四方の国原見渡せば  山野は青く河清く
 西南方に屹然と  雲の冠を頂きて
 聳り立ちたる日暮シの  山の麓の聖場を
 指さし乍らウラル教  ブールの教主が立籠る
 霊地は彼処と国依別の  貴の司に指し示し
 問はず語を始めつつ  又もや東北指さして
 広袤千里の平原に  長く築きしヒルの町
 楓の別の鎮まりて  三五教を開きます
 神の館は目の下に  甍も高く聳えつつ
 確にそれと分らねど  風に閃く旗印
 勝利の都は足許に  近寄りたりと勇み立ち
 心のままに涼風を  味はふ折柄国依別の
 貴の司は先に立ち  早く行かうと駆出せば
 二人は名残を惜しみつつ  是非なく後に従ひて
 険しき坂を下りゆく  路の片方に楠の木の
 老木茂りウラル教  教の祖を祀りたる
 神王祠を発見し  近寄り見れば妙齢の
 女が一人面やつれ  髪もおどろに手を合せ
 祠の前に俯いて  何かヒソヒソ祈り居る
 怪しき様子にキジ公は  側に寄り添ひ背をなで
 言葉優しく労はりて  事の様子を尋ぬれば
 女は漸く顔をあげ  アラシカ山の山麓に
 ウラルの教の宣伝使と  仕へまつれるエスの子よ
 妾が父は三五の  神の司を呼止めて
 吾家に泊めし罪に依り  日暮シ山の聖場に
 引立てられて仄暗き  残酷無情の水牢に
 閉され玉ひ朝夕に  苦しみ歎き玉ひつつ
 此世を果敢なみ玉ふらむ  父の災聞くよりも
 妾の母は驚いて  持病の癪気再発し
 水さへ飲めぬ重態に  痩衰へて玉の緒の
 命尽きむとする場合  いかで妾は此儘に
 のめのめ眺めて居れませう  ウラルの教を開きたる
 教祖の神の御前に  父の危難を逃れしめ
 母の病を一日も  早く治させ玉へよと
 心の誠を捧げつつ  一心不乱に神の前
 朝夕祈る吾心  推量あれと答ふれば
 キジ公涙に暮れ乍ら  心配なさるなエリナさま
 神に仕へしキジ公が  とつとき力を現はして
 お前の父のエスさまを  キツと助けて上げませう
 マチ公お前は此方に  従ひエスの家に行き
 病に苦む母親を  鎮魂帰神の神業で
 早く助けて上げて呉れ  国依別の神様は
 一時も早く楓別  神の司の鎮まれる
 ヒルの館に出でまして  キジが凱旋する間
 ゆるゆる御待ち下されと  勇み切つたるキジ公の
 言葉にマチは擦りよつて  オイオイキジ公そりや無理だ
 何程弱い敵だとて  お前一人ぢや険呑だ
 国依別の命令に  従ひ俺もついて行く
 国依別の神様よ  次いではエリナの娘さま
 天晴れ凱旋した上で  後日にお目に掛りませう
 云ふより早くマチ公は  尻ひつからげアラシカの
 峠を上り下りつつ  一目散に駆出せば
 オイオイ待つたマチ公と  キジ公も尻をひつからげ
 韋駄天走に進み行く  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ。
 キジ、マチの両人は漸くにして、日暮シ河の丸木橋の袂に辿り着いた。
キジ『オイ、マチ公、夜前のキジ公が奮戦激闘の結果、大功名を現はしたる古戦場へやつて来た。此辺は死屍累々として横たはり、地下一尺を掘れば、白骨現はれ、夜は鬼哭啾々として寂寥身に逼ると云ふ記憶すべき印象の深き地点だ。一つ敵の亡霊を弔つてやらうぢやないか。アハヽヽヽ、南無アナン、ユーズ大居士、頓生菩提だ、どうだ一つ宣伝歌でも手向けてやらうぢやないか?』
マチ『何を云ふのだ。古戦場所か、極めて新戦場だ。吾々が大勝利を得た聖地だから、神様に御礼の為神饌を献るべき神饌場だよ。あゝ新鮮の空気は水の如く流れ来り、吾等が汗を拭ふ。勇なる哉。壮なる哉。どれどれ一服仕らう』
と云ふより早く、芝生の上に大の字を描いた。
キジ『ヤア、早から大勝利を祝つて、大の字になつてゐるのか。さう背部を下にして居ると、キツと大敗の憂目に会はなくてはならないよ』
マチ『何、敵をして大敗せしむると云ふ縁起を祝つてゐるのだ。俯むいて見れば敵を大に屈伏さすると云ふ大腹となるのだ。アハヽヽヽ』
と罪なき事を喋り散らし乍ら、余り勢込んで走つて来た体の疲れに、何時の間にか両人共熟睡して了つた。
 何処よりともなくガサガサと這うて来た大蜈蚣に、耳の一方を刺され、痛さに目を醒まし起上つたキジ公は、矢庭に蜈蚣に向つて唾を吐きかけた。蜈蚣に対し大禁物の唾に忽ち、大蜈蚣はピンと体を伸ばし、青くなつて其場に倒れて了つた。キジ公は耳の痛さに何気なく、唾を指につけ、之を疵所に塗つた。不思議や痛みは忽ち止まり、耳の腫も瞬く間にひすぼつて了つた。マチ公は此騒ぎに目を醒まし、四辺を見れば、大蜈蚣が唾の毒にあてられて、殆ど虫の息になつてゐる。マチは之を眺めて、
マチ『オイ、キジ公、殺生のことをするない。貴様は蜈蚣の敵薬たる唾をかけたのだな、生物を殺すと云ふ事は天則違反だぞ。早く蜈蚣を助けてやらないか』
キジ『俺だつて別に無益の殺生を好んでする者ではない。安眠中を窺ひ、俺の耳を咬よつた悪い奴だから、此奴こそ唾棄すべき悪虫だと思つて吐きかけたのだ。俺の唾は偉いものだらう。一口吐くが最後、こんな大蜈蚣が忽ち寂滅為楽、頓生菩提となるのだからなア。アハヽヽヽ、武士と云ふ者は変つたものだらう』
マチ『グヅグヅして居ると、蜈蚣公、本当に縡切れて了ふぢやないか。早く川へ連れて行つて水を呑ましてやれ。さうすれば忽ち全快して、元の通りシヤンシヤンと活動する様になるワ』
キジ『此蜈蚣の歩く姿を見ると、夜前アナンの奴、沢山の竹槍隊を連れ、単縦陣を作つてやつて来た時の姿にソツクリだ。これも何かの前兆だ。此儘に捨てておかうぢやないか。蜈蚣が蘇生した様に、ブールの奴、余り元気付きよると、一寸此方は少数党だから険呑だよ』
マチ『アハヽヽヽ、ヤツパリどつかに不安を抱いてゐると見えるなア。国依別様の前ではズイ分吹いたぢやないか。こんな所でこんな弱音を吹く位だつたら、肝腎要の戦場に向つては、如何することも出来なくなつて了ふよ』
キジ『何さ、働く時に働きさへすれば宜いのだ。今は斯う弱さうにして力を蓄へ、潜勢力を養つておくのだ。エヽ邪魔臭い、蜈蚣の奴、助けてやらう』
と云ひ乍ら、川の中の流れを目がけて、手に掴んで投げ込んだ。蜈蚣は水に陥ると共に、毒は消ゑ、水中を辛うじて泳ぎ乍ら、岸に登り、二人が足許に勢能く、百本の足に馬力をかけ、大速力で突進し来る。二人は何となく、怖気つき、トントンと逃げ出した。不思議や蜈蚣は何処までもと云ふ調子で追つかけ来る、厭らしさ、とうとうウラル教の霊地と聞ゑたる日暮シ山の岩窟の前迄追つかけ来り、忽然として姿を消して了つた。此蜈蚣は言依別命が球の玉の霊力を以て、二人の出陣を励ますべく顕現せしめたのであつた。
(大正一一・八・一六 旧六・二四 松村真澄録)
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