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文献名1霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻
文献名2第4篇 理智と愛情よみ(新仮名遣い)りちとあいじょう
文献名3第21章 峯の雲〔936〕よみ(新仮名遣い)みねのくも
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-09-06 05:03:38
あらすじ黒姫と玉治別の出自と半生の歌を聞いて、東助は両手を組み頭をうなだれて太い息をつきながらこの光景を見守っていた。一方、高山彦も自身の懺悔の歌を歌い始めた。高山彦はコーカス山の大気津姫の重臣であった父母の間に生まれたが、黄泉比良坂の戦いで大気津姫一派はコーカス山を追われてアーメニヤに逃げた。兄が家を継いだので、高山彦は気ままに育ち、若い女と駆け落ちして都を出たという。しかしその途上、女は谷底へ落ちて死んでしまった。嘆き悲しむ高山彦が柏井川に来たところ、その女にどことなく似た女と行き会い関係を持ったが、人の足音に驚いて逃げ去ってしまったという。それ以来その女を探していたが、黒姫の昔語りを聞いて、まさにそれが現在の妻である黒姫であったと悟り、また玉治別が自分の実子であることを悟ったことを明かした。高山彦の告白に、ここに夫婦親子の対面はなり、高山彦、黒姫、玉治別は互いに取りすがり、嬉し涙を流した。高姫はこの光景に驚きながらも、自分はまだ罪障が取れずに悩みが解決しないのだと語った。黒姫は、高姫も若いころに捨て子をしたと聞いたのだが、そのことなのかと問いかけた。そしてその捨て子の守り刀の様子や、幼名や年までも言い当てて高姫を驚かせた。黒姫は、自分が探索に出かけた筑紫の島で、国の神司である建国別に面会したことを歌って聞かせた。建国別は捨て子であったが国司・建日別の婿となった人物であった。そして真の父母を探しているという。黒姫は建国別の話を聞いて、高姫の昔語りを思いだし、もしや建国別は高姫の子ではないかと思いながらも、高姫本人に確認しようと筑紫の国では何も語らずに自転倒島まで戻ってきたことを明かした。玉治別も、黒姫の話を聞いてもしや建国別は高姫の息子ではないかと、筑紫の島までの案内を買ってでた。高姫はしばしうなだれてお礼を述べるのみであった。そしてそんな高姫を東助は顔色を変えて見つめていた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月19日(旧07月28日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年11月10日 愛善世界社版230頁 八幡書店版第6輯 335頁 修補版 校定版241頁 普及版91頁 初版 ページ備考
OBC rm3321
本文のヒット件数全 7 件/玉治別=7
本文の文字数4063
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本文 高姫『今承はれば、実に黒姫さまも奇妙な運命を辿られたものですな。随分貴女も若い時は引手数多の花菖蒲、若い男に随分チヤホヤされたでせう。何処ともなしに床しい花の香が未だに備はつて居ますよ。オホヽヽヽ……然し乍らこんなお目出度い事は御座いませぬ。私も自分の子に会うた様に嬉しうなつて来ました。……高山彦さま、貴方も若い時に子でも生みつけて置きなされば、今頃はさぞ神様のお蔭で親子の対面が出来御愉快で御座いませうがな』
黒姫『ハイ、誠に恥かしい事で御座います。畏れ多い……神様から頂いた吾子を捨てたり、こんな罰当りの私でも神様はお許し下さいまして、斯んな嬉しい親子の対面をさして下さいました。随分彼方此方と気儘の事をして廻り、両親の事は左程にも思はず、夫の事や吾子の事ばかり尋ねて居りました。私の両親も最早此世に居るか居らぬか知りませぬが、私が子に恋ひ焦れる様に私の両親も嘸や嘸私の事を気にかけて居られるでせう。本当に親の心と云ふものは何処まで慈愛の深いものか分りませぬ。斯うなつて来ると両親の身の上も案じられ、又伜の玉治別が折角母親に会うて喜んで居りますが、屹度父親の所在を知りたいと思うて居るに違ひ御座いませぬ。何事も皆私の不心得から、一人の伜までに切ない思ひをさせます。あゝ玉治別、何卒許して下さい。屹度私がお前のお父さまを草を分けても探し出し、お会はせしませうから……』
玉治別『勿体ない事を云つて下さいますな。此広い世の中、何時まで探しても分りさうな事は御座いませぬ。神様が会はして下さらうと思召したら屹度会はして下さいますから……そんな事に心を悩まさず、一心に母子が揃うて神様の御用を勤めさして頂きませうか』
黒姫『左様で御座いますな。母子手を引き合うて神様の御用を致しませう』
 東助は両手を組み頭を項垂れ、時々太い息を吐き、物をも言はず此光景を打看守つて居る。
 高山彦は歌ひ出した。
『コーカス山に現はれし  大気津姫の八王と
 仕へまつりし千代彦や  万代姫の其中に
 生れし吾は珍の御子  隙間の風にも当てられず
 蝶よ花よと育まれ  栄耀栄華に育ちしが
 松、竹、梅の宣伝使  石凝姥や高彦や
 其他数多の神司  コーカス山に現はれて
 言霊戦を開きてゆ  老たる父母は大気津姫の
 神の命に従ひて  逃げ行く先はアーメニヤ
 館の奥に隠れまし  ウラルの神の御教を
 朝な夕なに守りつつ  世人を導き給ひけり
 吾には三人の兄弟が  いと健やかに生ひ育ち
 父の家をば嗣ぎまして  暮し玉へど弟と
 生れ出でたる吾こそは  自由自在の身なりとて
 夜な夜な館を抜け出し  若き女と手を曳いて
 都を後にフサの国  逃げ行く折しも両人は
 新井の峠を越ゆる折  谷に架けたる丸木橋
 危く之を踏み外し  二人は千尋の谷底に
 落ちて果敢なくなりにけり  かかる処へ杣人が
 現はれ来りて吾身をば  種々雑多と介抱し
 吾は危き生命を  助かりたれど吾恋ふる
 女のお里は影見えず  深谷川の激流に
 流されたるは是非もなし  最早此世に永らへて
 一人暮すも詮なしと  柏井川に架け渡す
 橋の袂に来て見れば  夜目には確と分らねど
 お里の顔によく似たり  何れの人の情にて
 危き生命を免れしか  不思議なことと擦り寄つて
 よくよく姿を眺むれば  女はお里に非ずして
 色香勝れし真娘  心の裡の曲者に
 取り挫がれて懊悩の  雲はいつしか晴れ渡り
 再び陽気に立ち帰り  擦れつ縺れつ顔と顔
 眺めて忽ち恋の糸  搦まるままに傍の
 林の中に立ち入りて  ○○○の折柄に
 けたたましくも出で来る  人の足音耳につき
 パツと驚き立ち別れ  雲を霞と逃げ去りぬ
 吾はそれよりフサの国  彼方此方と逍遥ひつ
 若やお里は現世に  生永らへて居はせぬか
 飽まで探し求めむと  雲をば掴む頼りなき
 詮議に月日を送りしが  今黒姫の物語
 聞いて驚く胸の裡  柏井川の橋の上で
 会うたる女は黒姫か  さすれば玉治別
 全く吾の珍の御子  あゝ惟神々々
 神の恵は山よりも  勝れて高く海よりも
 いやまし深く思はれて  感謝の涙は雨となり
 降り注ぐなる今日の宵  玉治別よ黒姫よ
 高山彦は汝が父ぞ  汝が昔の夫ぞや
 親子の縁斯くの如  月日の如く明かに
 なりたる上は今よりは  親子心を協せつつ
 錦の宮の御前に  誠を捧げて朝夕に
 力限りに尽くすべし  昔の罪が廻り来て
 色々雑多と世の中の  憂目を忍び迷ひたる
 夫婦の仲も皇神の  恵の鞭の戒めか
 今は心も打ち解けて  天津御空は殊更に
 弥明けく地の上は  弥清らけくなりにけり
 吹き来る風も今までの  悲哀の音は何処へやら
 千代を祝する歓ぎ声  小雲の流れもサヤサヤと
 吾等親子の行末を  祝ふが如く聞ゆなり
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
 黒姫、玉治別は高山彦の物語に二度吃驚り、……あの時の青年は高山彦様であつたか……吾父であつたか……と双方より取縋り嬉し涙にかき暮れる様、実に割なく見えて居る。
高姫『黒姫さま、目出度い事が重なれば重なるものですな。お前さまも全く今迄の罪障がとれたと見えて、神様が親子の対面をさして下さつたのですよ。そして高山彦さまは露の契と云ひ乍ら、若い時の貴方のラバーしたお方、なんとまア夢に牡丹餅を喰つた様な甘い話で御座いますなア。それにつけても此高姫はまだ神様のお許しがないと見えまして、心の中に大変な悩みを持つて居ます。あゝ如何かして一時も早く、此悩みの雲が晴れ、青天白日、今日の空の様にサラリとなり度いものです。あゝ惟神霊幸倍坐世』
と涙声になつて両手を合せ祈りゐる。
黒姫『貴女も何時かのお話の序に一寸承はりましたが、妾の様に捨児をなされたさうですが、貴方の様な気丈なお方でも矢張り気にかかりますか』
高姫『親子の情といふものは誰しも同じ事です。年が寄れば寄る程子が恋ひしくなるものです。アーア、黒姫様が元の親子夫婦の対面を遊ばしたに就いて、一入昔の事が思ひ出され、吾子に一度会ひ度くなつて堪りませぬ。其時の夫は今は何処に如何して居られますやら……今日となつては其夫と出会つた処が、夫婦となる訳には行きませぬなれども、せめて……お前はあの時の妻であつたか、夫であつたか、子であつたか……と名乗り合つて見たう御座います』
と云ひ放つて泣き沈む。黒姫は確信あるものの如くニツコリと笑ひ乍ら、
『高姫さま、あまり迂濶して居つて貴女のお話を十分に記憶して居りませぬが、何でも貴女のお捨てになつたお子さまには、守刀に真珠で十の字の印を入れ柄元に「東」と「高」との印をお入れになつたぢや御座いませぬでしたかな』
高姫『ナニ、黒姫さま、そんな詳しい事を私は申上げた様な記憶はありませぬが、左様の事を申上げた事が御座いますかな』
黒姫『そのお子さまの名は金太郎とは申しませなんだか、丁度今年で私と同じ様に三十五年になるのぢや御座いませぬか』
 東助の顔の色が之を聞くよりサツと変つた。高姫の顔も亦俄に変り、目は円くなり口先が尖つて来出した。
高姫『何とまあ、詳しい事を御存じで御座いますな。私はそこ迄お話した覚えは御座いませぬが、如何してまアそんな詳しい事がお分りで御座いますか。これには何か御様子のある事でせう。何卒明らさまに仰有つて下さいませ』
 黒姫は歌を以てこれに答へける。
『高山彦の後を追ひ  筑紫の島に立ち向ひ
 建日の港を後にして  筑紫ケ岳の大峠
 高山峠を登り行く  其頂上となりし時
 傍に五人の荒男  玉公、虎公面々の
 人の噂を聞きつれば  熊襲の国の神司
 建日別の御息女  建能姫の夫として
 誉も高き建国別の  神の命は何人の
 捨てたる児とも分らずに  三十五才の今年まで
 父母両親の所在をば  尋ね居ますと聞きしより
 遥々館に立ち寄つて  夫婦の神に面会し
 もしや吾子にあらぬかと  昔の来歴物語り
 種々調べ見たりしに  建国別の宣らす様
 吾は如何なる人の子か  未だに分らぬ悲しさに
 朝な夕なに三五の  神に仕へて父母の
 行方を尋ね求めつつ  其日を送る悲しさよ
 汝の命は遠近と  神の教を伝へつつ
 出でます身なれば父母に  もしもや会はせ給ひなば
 一日も早く吾許に  知らさせ給へ幼名は
 聞くも目出たき金太郎  吾身に添へたる綾錦
 守袋に名を記し  守刀に真珠にて
 十字の印を描き出し  鍔元篤と眺むれば
 「東」と「高」の印あり  人の情に哺まれ
 漸く成人なせしもの  誠の生みの父母が
 此世に居ます事ならば  一目なりとも会ひたやと
 嘆かせ給ふを聞くにつけ  此黒姫も胸迫り
 名乗り上げむかと思へども  いや待て暫し待て暫し
 高姫様に面会し  詳しき事を更めて
 承はらずは軽々に  名乗りもならずと口許へ
 出かけた言葉を呑み込んで  素知らぬ顔を装ひつ
 此処まで帰り来りけり  まさかに汝の生みませし
 御子にはあるまじさり乍ら  合点の往かぬは三年前
 高姫様の物語  朧気ながら思ひ出し
 半信半疑に包まれて  名乗りも得ざりしもどかしさ
 あゝ惟神々々  神の恵の幸はひて
 高姫さまが愛し子に  目出度会はせ給ふべき
 時こそ来れるなるべしと  何とはなしに勇ましく
 心の空も晴れにけり  高姫さまよ黒姫が
 此物語諾ひて  お心当りのあるならば
 人を遥々遣はして  今一度調め給へかし
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
玉治別『屹度建国別命は高姫様の御子息に間違ひありますまい。如何も私はその様な気が致します。さうであつたならば、実に此上ない目出たい事で御座いますがな。私は久し振りで両親に邂逅ひ、斯んな嬉しい事は御座いませぬ。高姫様も、一度遠方なれども私が御案内致しますから、熊襲の国までお調べにお出でになつたら如何でせう』
高姫『ハイ、御親切に有難う御座います』
と言つたきり稍少時頭を垂れ吐息を洩らし居る。東助も亦顔色を変へ高姫の顔を穴のあく程見詰め居たり。
(大正一一・九・一九 旧七・二八 北村隆光録)
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