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文献名1霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
文献名2第1篇 向日山嵐よみ(新仮名遣い)むこうやまあらし
文献名3第9章 分担〔973〕よみ(新仮名遣い)ぶんたん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2019-10-07 02:32:57
あらすじ新公、徳公、久公は酒の機嫌でなんとなく寝られなく、三公の館の庭を歩きながら、よもやま話にふけっている。新公は、お梅は実は虎公の妹ではなく拾い子で、昔黄泉比良坂の戦いで活躍した松・竹・梅の三姉妹の宣伝使の生まれ変わりだとしゃべってしまう。三公と虎公に一喝された三人は、田圃へ酔い覚ましに行ってしまった。黒姫は、三人の話が本当かどうか、虎公とお梅に確かめる。お梅の身の上話によれば、両親はバラモン教の鬼雲彦に亡き者とされ、自分も悪者にかどわかされていたところを、虎公に助けられたのだという。孫公は、今度は三公の身の上話に話題を変えた。三公は実はエヂプトの三五教宣伝使・春公とお常の子であったという。父母がスッポンの湖に棲むという大蛇を言向け和しに出かけたが、力及ばず湖にのまれて亡くなってしまったという。エヂプトの酋長である夏山彦の託宣によれば、三公の両親は自分自身の執着心が凝って大蛇となり、言霊戦に敗れて亡くなったのだから、三公は両親の冥福を祈る生活を送るべきだと諭されたという。しかし三公は両親の仇を取ろうと、夏山彦の親切な申し出も断ってスッポンの湖に出かけたが、その広大さに力不足を感じ、熊襲の国にやってきて屋方村で侠客をはじめ、密かにスッポンの湖の大蛇退治のために子分を集めていたのだという。お愛についても素性をしっており、恋慕もあったが、大蛇退治に効験ある霊系であろうという目算もあったのだ、と明かした。そして、悪を退治するために自ら悪人となり悪人の子分を集めていたことが、三五教の教理に背いていたことを告白して懺悔した。三公の身の上話を聞いて、虎公の発案で早速、虎公、お愛、三公、孫公の四人は、スッポンの湖の大蛇を言向け和すべく出立することになった。黒姫は火の国へ先を行くことになり、三公と虎公の命で、道案内として徳公と久公が同道することになった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月16日(旧07月25日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年12月25日 愛善世界社版92頁 八幡書店版第6輯 505頁 修補版 校定版98頁 普及版34頁 初版 ページ備考
OBC rm3509
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本文  吼え猛る虎狼や獅子大蛇  熊襲の国の高原に
 館を構へて遠近に  暴威を揮ひし男達
 その名も大蛇の三公が  離座敷に夜もすがら
 酒汲みかはし四方山の  話に耽る人の影
 障子に映る五つ六つ  夜は深々と更け渡り
 荒野を渡る夜嵐の  声も何時しか静まりて
 幽かに聞ゆる谷川の  巌を咬むで迸る
 水の音のみ鳴り渡る。
 酒の機嫌で何となく神経興奮して寝つかれぬままに、ブラリブラリと境内を逍遥してゐた新、久、徳の三人、障子に映る人影を眺め、巻舌になつて呶鳴つてゐる。
『オイ新公、あの障子の影を見い! 貴様が親方の不在になると、チヨイチヨイと酒を汲んで貰ふと吐しよつたナイスの影法師がシヤントコセイのウントコセと映つとるぢやねえか、本当に偉い奴だなア。お愛の姐貴も只の狐ぢやないと思うて居つたが、八島別とか何とかの娘だと言ひよつたなア。昔常世の会議で八島とかいふ狐が出よつて、常世姫命をアフンと言はしよつた其奴の系統かも知れないぞ』
『コリヤ徳、そんな大きい声で吐すと、三公に聞えるぢやねえか。貴様が口外せぬと吐したから、この新公が親切に神秘の鍵を開いて聞かしてやつたぢやねえか、これ程夜が更けて、そこらあたりがシーンとして居るのだから、小さい囁き声でも聞えるのだから、小さい声で云はぬかい。お愛さまに聞えたら大変だぞ』
『貴様の其声の方が余程大きいぢやねえか。オイ新公、あのお梅と云ふ奴ア、親分の妹だといふ事だが、妹迄伴れて駆落しよつたのか。本当に念の入つた奴だなア』
『妹といへばマアマア妹だ。実のとかア、彼奴も拾ひ子だよ。うちの虎公が表向妹だと云つてるのだが、其実ア、フサの国に生れた女で、姉にはお松といふ立派なナイスがあるのだ』
『其お松を如何して知つとるのだ』
『きまつた事だ。松竹梅と云ふ事があるぢやねえか。お梅の姉はお竹、お竹の姉はお松だ。黄泉比良坂の桃の実になつた松竹梅の宣伝使の生れ変りだからなア。本当に素敵なものだ。オイ徳公、俺が一つ貴様の改悪記念にお梅さまを女房に周旋してやらうか』
『あんな若え代物と如何して夫婦になれるものけえ。世間体が見つともねえワ』
『貴様ア、世間体を憚る良心があるのなら、なぜこんな無頼漢の三公の乾児になつたのだい。それの方が余程世間体が悪いぞ。俺のとこの親方はドンドンながら、ポンポンながら、豊の国の豊日別命さまの御総領で、虎若彦命様だ。若い時に無分別な恋におちて、熊襲の国へお出で遊ばしたのだが、何と云つても種が種だから偉いものだ。大蛇の三公なんて云ふ奴あ、どこの牛骨だか馬骨だか素性の分らねえゲス下郎だから、人情も知らねば、誠の道理も悟らず、卑怯未練な、親分の不在宅へ押かけて、お愛の方を無理往生させようとしよつたのだよ。そんな奴の提灯持をしてる奴に、碌な奴があるかい、なア久公』
『オイオイそんな声を出すと、親分に聞えるぢやねえか。聞えたら又事が面倒だぞ』
『(浄瑠璃)そりや聞えませぬ、久公さま……だい、お詞無理とは……チンチン……ぢや、思はねどオヽヽヽ俺は余り気にかかる、折角結構な親方を、持つて喜ぶひまもなう、追ひ出されては、此新公、どこに如何して暮さうやら、案じすごしてヒヤヒヤと、轟く胸を押へつ……け……悔み歎きし其顔付……』
『オイオイ障子が開いたぞ。親分が今お目玉だ。逃げろ逃げろ』
『(浄瑠璃)ヤレ其障子開けまいぞ、此蚊帳の内は黒姫婆が城廓、其腐つた魂で、此城一重破らるるなら、サヽヽ破つて見……よ……と百筋千筋の理をこめて、引つかついだる蚊帳の内、泣くねより外応答なし……と云ふ様な愁歎場だ』
 障子をあけた男の影、
『オイ久公、何を云つてゐるか』
 三人は一度に両手で頭を抱へ、
三人『ヘーー』
と云つた限り踞んで了つた。
『ハハー、人間かと思へば、四つ足だつたな』
『イエイエ違ひます違ひます。新酒と久酒と徳利に入れて持つて来やした、三公……オツトドツコイ三人で御座います。トラまアよい味の酒で御座いますから、味はおウメさんで、中々素敵な物でげす。夜夜中にこんな所迄来て、孫公々々して居るものだから、月も星もないこれ程曇つた黒姫の晩に、ヲロチい目に会うて困つて居る三公でげす。親方如何でげせう、第三次会をお開きなさつたら……モウ夜の明けるに間もあるめえから、綺麗なナイスをお愛手として一杯やるも乙でげせう。アーア、とうとう酒に一夜酔をして了つて、舌も碌にまはりやしねえわ』
虎公『オイ三人の奴、最前から聞いて居れば、貴様等は怪しからぬ事を囀つて居つたではねえか』
『ヘエ、虎公の親分さま済みませぬ。新公が自慢顔をして、親方さまの素性を明かしよつたものだから、耳が痛くて仕方がねえのを辛抱して聞いて居つたのですよ。さうして宅の親分をボロ糞にこきおろしよるものだから、ムカつくのムカつかぬのつて、最前から三四度も八百屋店を出しましたのだ。アーア、こんな所に居つちや剣呑だ。親方、今日はそんな事を言つて、私を冷つかし、冷酒で苦しめるよりも、燗酒に見直し聞直して下さいませ。オイ皆の奴、あつちへ行かうかい』
と云ひ乍ら、三人は暗に紛れて、田圃の中へ酔醒ましに行つて了つた。
 あとには例の虎公、黒姫、孫公、兼公、お愛、お梅に、主人側の三公七人が机を中において、ヒソヒソ話を続けて居る。宵から尊き神様の御経綸談に魂をぬかれ、夜の更けるも知らず、又余りの愉快さに睡気もささず、小声にいろいろの経歴話を交ぜて、入信の経路などを物語つてゐる。黒姫が、
『今窓外にて三人の話を聞けば、お愛さまや虎公さま、お梅さまの身の上話、実際あの通りで御座いますか』
『若え奴が酒に酔つて云ふのですから、当になつたものぢや御座いませぬ』
『酒の酔本性違はず……と云ひますから、満更、影も形もない事では御座いますまい。酒に酔うた時は比較的正直なものですからなア虎公さま』
『合うたとこもあれば、合はない所もあり、兎も角聞きはづれを云つてるのですから、困つたものですワイ』
『お梅さまはお松さまの妹だとか云つてゐましたなア。そのお松さまは今どこに居られますか。お差支なくば仰有つて下さいませ』
『ハイ私には姉が御座いました。中の姉さまのお竹さまはコーカス山へ行つたきり行方不明となり、上の姉さまのお松さまはフサの国から海を渡つてどこか遠い国へ行かれたとか言ふ話で御座います。何分私の小さい時に別れたのですから詳しい事は存じませぬ』
『あなたの御両親は何と云ひますかな』
『私の父母は人の噂に承はりますれば、バラモン教の鬼雲彦とやら云ふ大将に連れ帰られ、生命を取られたとか云ふことを承はりました。私は或悪者の為に拐はかされ、筑紫ケ岳の頂上へ来る折しも、兄さまがお出でになり、悪者を追ひ散らし、私を助けて連れ帰り、今迄世話して下さいました。兄さまの計らひで、親子兄弟のない子だと言つたら世間の人が軽蔑するから、お前は俺の国許から訪ねて来た妹だと言つてをるがよい、俺もお前を真の妹だと思うて可愛がつてやると仰有つて下さいました』
と涙を流し泣き入る。虎公もお愛も黒姫も手を組み首を垂れ、太き息をついて居る。
『お梅さまの事は三公今始めて承はりました。ヤア虎公さま、あなたは本当に親切な方ですなア。ヤもう感心致しました』
とこれも亦涙含む。
『ヤア是で孫公も三人の秘密が全部分りました。就いては三公の親分、お前さまは何と云ふ人の子だい、序に言つて下さつたら如何です。モウ斯うなれば親身の兄弟も同様だから、何の分け隔ても要りますまい』
『私の父はエヂプトの町に住んで居りまして、春公と申し、母はお常といひました。或時、三五教の宣伝使となつたのを幸ひ、初陣の功名をして神様に御目にかけたいとか云つて、私を家に残し、白瀬川の水上、スツポンの湖に棲む大蛇を言向和すとか云つて、夫婦が参りました。さうした所が、私の両親はまだ神力が足らなかつたと見えまして、湖の大蛇に苦もなく呑まれて了つたので御座います。私はただ一人下男と留守をして居りましたが、此事を風の便りに聞き、矢も楯もたまらず、三五教の宣伝使で埃及の酋長なる夏山彦様の御館へ、父が入魂にして頂いて居つたのを幸ひ馳せ参じ、神勅を伺つて貰つた所「お前の両親は今迄余り沢山に財産を拵へ、難儀な者を助ける助けると云つた計りで、米一掴み与へた事もなし、大勢の者の執着心が重なつて大蛇となり、お前の両親を亡ぼして了つたのだから、モウ駄目だ。せめては両親の冥福を祈り、再び此世へ立派な人間として生れて来るやうに祈つてやれ」……と仰有いました。併し乍ら両親はどこかへ生れ変るにした所で、私としては最早親を取られたのだから、安閑としては居られない、スツポンの湖の大蛇を片つ端から切り屠り、親の仇を討つてやらむと、夏山彦御夫婦が親切におとめ下さるのも聞かず、夜に紛れて吾家を飛出し、湖の畔に来て見れば、際限もなき広い湖、此奴ア到底一人や二人の力では可かないと断念し、それから遥々と熊襲の国の屋方村、樫の森の木かげに庵を結び、侠客となつて数多の乾児を養ひ、サア是で大丈夫と云ふやうになつた所で、一挙にして大蛇を殲滅せむと、心の底より悪ではないが、悪を装うて悪人原をかりあつめ、大蛇退治の用意をして居つたのです。三五教の様な無抵抗主義の教を奉ずる信者が幾らあつても、到底大蛇征伐の様な殺生な事は致しますまいから、類を以て集まるとか云つて、悪い者の所へは悪い者が集まります。其悪い奴を沢山集めて悪い大蛇を平げるのは所謂毒を以て毒を制すると云ふ筆法ですから、今日迄其覚悟を持つてゐたので御座います。さうしてお愛様に対し失礼な事を致しましたのも、実の所は恋慕に事寄せ、お愛様を私の手許に引寄せ、建日向別命様の霊系であるから、まさかの時の用意にと思つて、いろいろ雑多と拙劣な計劃をめぐらしてゐたので御座います。実に幼稚な考へで、只今となつては恥しう御座います』
と物語りつつ、涙を雨の如くに流し乍ら、悄然として俯むく。
『ヤアそれで虎公もスツカリと様子が分つた。いよいよ四人の種明かしも無事に終了してお目出度い、其話を聞く以上は、ジツとしちやゐられない。サア是から三公さま、吾々と共にスツポンの湖に向つて言霊戦を開きに参りませう。併し乍ら、三五の教は喜ばれて仇を討つといふ教だから、大蛇の命を取りに行くのではない、大蛇の霊を、天津祝詞の生言霊に依つて解脱させ、天国に救ひ上げ、今後は決して国民に災をなさないやうにするのだ。一旦殺された御両親は気の毒だが、是も自分から作つた罪が酬うて大蛇に呑まれたのだから、吾々人間として如何ともする事は出来ない。又三公さまだとて、大蛇を親の仇だと恨む訳には参りますまい。要するに春公、お常御両人の自ら造つた悪魔が、自らを攻めたのだから、言はば自業自得、何事も神様の御裁断に任すより仕方がない。サア皆さま、言霊戦に参らうぢやありませぬか』
『ソリヤ結構ですなア。此三公の野郎も時を移さず乾児を引つれて参る事に致しませう』
『イエイエ乾児なんか伴れて行く必要はありませぬよ。吾々には八百万の神さまが守護して下さるから、人数は余り要りませぬ、三人居れば大丈夫です』
『左様なれば虎公さま、お愛さま、三公さま、あなたに御苦労になりませう。黒姫はこれから孫公を伴れて火の国都へ参りませう』
『あゝそれは御苦労で御座います。左様なれば機嫌よく御越しなさいませ。誰か乾児を一二人、御案内に立てませうか』
『ハイ有難う御座います。どなたでも宜しいから、道の勝手を御存じの方を、お一人お貸し下さらば有難う御座います』
『そんなら、徳をお供に立たせますから、宜しう願ひます。元来が気の利かない男ですから、却て足手纏ひになるかも知れませぬが……』
『ハイ御親切に有難う御座います。そんなら徳さまに御苦労になりませう』
『黒姫さま、女房の命を助けて下さつたお前さまを、一人やる訳にも行きませぬから、久公を一人御案内に立てませう。さうすれば三人の道伴れ、大丈夫ですから』
『ハイ有難う御座います。どこへ行つても神様と道伴れ、一人で結構で御座いますが、向ふへ参つた所で、掛合が一人では都合が悪う御座いますから、そんならお二人にお世話になりませう。其代りに孫公をあなた方のお伴をさせませう……コレ孫公さま、お二人の親分によく仕へ、大蛇を言向和せた上、火の国都へ訪ねて来て下さい』
『ハイ願うてもなき事、有難う御座います。そんなら行つて参ります。随分御無事でお出で下さいます様御祈り致します』
 茲にお梅は虎公の命に依つて、新、八の二人と共に武野村の不在宅へ帰る事となりぬ。虎公、お愛、三公、孫公の四人は、いよいよ時を移さず屋方の村を立出で、スツポンの湖の大蛇を言向和すべく、意気揚々として旅装束を整へ進み行く。
 兼公、与三公、高公の三人は数多の乾児と共にあとに留まりて不在役を勤めさせらる。
(大正一一・九・一六 旧七・二五 松村真澄録)
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