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文献名1霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻
文献名2第5篇 馬蹄の反影よみ(新仮名遣い)ばていのはんえい
文献名3第19章 玉山嵐〔1084〕よみ(新仮名遣い)たまやまあらし
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-11-23 12:41:59
あらすじ黄金姫たち一行は、フサの国のライオン河に着いた。橋がないので、馬に乗ったまま河を泳いで渡らなければならない。二人は水馬の心得があったので騎乗のまま一里ばかりの河を渡り切った。レーブたちも泳いで河を渡りきり、休息していたところへ、バラモン教の釘彦・片彦の騎馬隊がやってきた。騎馬隊は一行には目もくれずに河に入って向こう岸へ行ってしまった。レーブは釘彦・片彦が蜈蚣姫と小糸姫を捜索している先遣隊であることを知っていたので、彼らが気が付かずに行ってしまったことに胸をなでおろした。しかし黄金姫はなぜか、レーブたちにここで別れようと切り出した。レーブは仕方なく、二人と別れることにした。もう一人の馬子は物も言わずに森林に姿を隠してしまった。すると、先に河を渡った騎馬隊のうち二三が、引き返してきてレーブに二人の女について問いただした。レーブは、騎馬武者たちを足止めして黄金姫、小糸姫を先に逃がそうと話をはぐらかし、またこの先の山道は細くて馬が詰まってしまうから、徒歩で追いかけるしかないと言って引き留めた。武者たちは、レーブが鬼熊別の部下であることを認めた。レーブは、自分も蜈蚣姫と小糸姫を探しているのだが、先の女たちはひどい人相で、人違いだったと証言した。武者たちはあきらめて帰って行った。レーブはそれを見届けると、黄金姫と清照姫の後を追って行った。途中、道端で休んでいた黄金姫が走っていくレーブを見かけて声をかけた。黄金姫は、もう一人の馬方がスパイだと見抜いてわざとレーブと別行動をして引き離したのであった。そこへ、人馬・矢叫び・軍鼓の音がものすごく響いてきた。黄金姫は立ち上がり、神軍と魔軍の戦いに備えて清照姫とレーブに覚悟を呼びかけた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年10月29日(旧09月10日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月5日 愛善世界社版270頁 八幡書店版第7輯 378頁 修補版 校定版283頁 普及版120頁 初版 ページ備考
OBC rm3919
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本文  三五教の宣伝使  秋野を彩どる黄金姫の
 神の司を初めとし  月日も四方に清照姫の
 貴の命と只二人  雲つく山を駒に乗り
 漸く頂上にいざり着き  二人の馬子に送られて
 胸突坂を下りつつ  夜を日についでフサの国
 ライオン河に着きにける。
レーブ『モシ奥様、ここが有名な波斯のライオン河で厶います。橋梁は無し、如何しても馬で越さねばなりませぬが、私は馬丁の事ですから、向ふへ泳ぎ渡りを致します。どうぞ此馬に乗つて向ふ岸へお渡り下さい。水馬に乗るのはお心得でせうが、馬の腹帯を緩め、手綱を一方の手にグツと握り、一方の手を放して、馬も人も水に浮き綱と鬣とを一緒に握つて渡らねば、河の真ん中で溺没する虞があります、其積で渡つて下さい』
黄金姫『私もエデンの河で水馬を稽古した覚がある、私は大丈夫だが、清照姫はまだ水馬の経験がないから案じられたものだ。何とか良い工夫はあるまいかな』
清照姫『決して決して御心配下さるな、私も地恩城に於て時々エーリス河に馬を馳せ、水馬の遊びをやつた経験があります』
黄金姫『アヽそれなら安心だ、サア用意に取かからう』
レーブ『其儘にしてゐて下さい、腹帯を私が緩めます』
と河渡りの準備を整へ、レーブは両馬の尻を鞭にて力限りにぶちすゑた。駻馬は躍り上つて、さしもの激流にザンブと計り飛込み、首丈を現はして難なく横巾一里許りの大河を向ふへ渡つて了つた。二人の馬子は馬の後に従つて漸く向岸に渡りつき、各自に着衣を絞り、馬を休養させてゐた。
 其処へ数十人の部下を引つれてやつて来たのは大黒主の股肱と頼む釘彦、久米彦の両人である。采配を打振り打振り、荒馬に跨つてライオン河の岸を目がけて一目散にかけ来り、その勢に乗じて、ザバザバザバと数十騎の騎馬隊は黄金姫一行の姿に目もかけず、向岸へ渡つて了つた。レーブは之を眺めて胸なでおろし、
『アヽ大変な事になる所だつたが、神様のおかげで貴女を捜索してゐる釘彦の一隊は向ふへ渡りました。併し乍ら彼奴は先鋒隊に違ひありませぬ。まだまだ油断はなりますまい。浮木の森の失敗を回復せむと、大軍を引つれてやつて来たのでせう、言はば今渡つた奴は斥候兼先鋒隊のやうな役まはりです。これから此処に馬を棄てて乞食の姿に化けて無事に難関を通過し、タルの港まで参りませう』
清照姫『レーブ、さう心配するには及ばぬ。吾々には尊き神の御守りがある。無限絶対無始無終の神力を具備し玉ふ国治立命の厚き御守りあれば如何なる敵も決して恐るるには及びますまい。臆病風に襲はれ、水禽の羽音に驚くやうな愚を学んでは、宣伝使としての貫目はゼロです。ナアお母アさま、汚らはしい乞食の風なんかして行くよりも、正々堂々と三五教の宣伝歌を歌ひ、四辺の木魂を響かせ乍ら進まうぢやありませぬか』
黄金姫『お前の言ふ通り、心が弱くては猛獣の猛び狂ふ荒野ケ原を横断する事は出来ない。レーブ、お前はモウこれから帰つてくれ、イヤ自由行動を取つたがよかろ、万一途中に於て、数万の敵に出会した時は足手纏になつて、却て味方の不利だから……』
レーブ『モシ奥様、それは余り惨酷ぢやありませぬか、私をここまでお供さしておき乍ら、見限り遊ばしたのぢや御座いませぬか。何と仰有つても足の続く丈はお供を致します』
黄金姫『凡て戦といふものは大多数の味方を以て敵に向ふか、さなくば只一人敵に向つて突き入る方が大変な利益だ。獅子奮迅の勇気を揮ふには一人に限る、手当り次第、斬つた奴は皆敵だ。余り慌てて味方を斬りはせぬかといふやうな気遣ひがあつては、到底充分の活動は出来ない、ここの道理を聞分けて、どうぞ別れて下さい。ハルナの都でお目にかからうから……』
レーブ『あなたは一人の方が良いと仰有つたが清照姫様は如何なさるのですか』
黄金姫『清照姫は女だから、何程戦の中でも目につき易い、メツタに同士討をする気遣ひはないが、お前等二人は男だから、モシ間違つてお前を斃しでもしやうものなら大変だ。喧嘩は一人が最も利益だ。鬼熊別の女房蜈蚣姫や、娘の小糸姫はバラモン教の寄手に対し、馬丁に加勢をさしたといはれては、末代まで武勇の汚れになる。どうぞ頼みぢやから別れて下さい』
レーブ『さやうならば是非に及びませぬ、お別れ致しませう。併し主従の縁は切らぬやうに願ひます』
黄金姫『互に了解した上の別れだから安心して下さい、決してお前は捨てませぬから……』
レーブ『ハイ有難う、左様なれば、ここでお別れ致します。随分道々気をつけてお出でなさいませ。お姫様左様なれば、奥様のお身の上をどうぞ御注意下さいますやうに』
清照姫『ハア宜しい、気遣ひしてくれな、私が附いて居れば大丈夫だ、否々神様がついて御座るから、大磐石だよ。サアお母アさま参りませう』
と先に立つて進み行く。後にレーブは二人の姿のかくるるまで見送つてゐた。一人の馬子は物をも言はず、何に感じてか、傍の森林に手早く姿をかくした。レーブは双手を組んで、独言を言つてゐる。
『アヽ又私は一人になつて了つた。よくよく連に縁の無い男だなア、併し乍らどうも奥様や姫様の事が気に掛つて仕方がないワ。ハテ如何したらよからうかなア』
と双手を組み大地に胡坐をかいて、俯むいたまま首を左右に振つてゐる。
 かくする所へ以前向ふへ渡つた騎馬隊の内二三人の男、一鞭あてて再び河に飛込み此方を指して渡り来る。レーブは……『ハテ不思議だ、無事に此処を渡りよつたと思つたら、釘彦の奴、奥様や嬢様の姿を見つけ、召捕らむと引返して来よつたのだらう。逃げた所で仕方がない、此方は徒歩だ、向ふは馬上、到底追つつかれずには居られない。それよりも自分がここに頑張つて、彼等の行進を妨げ、お二人様が一足でも敵に遠ざかり遊ばすやうに、暇取らせるのが俺の務だ。こんな事があらうとて、奥様は別れてくれと仰有つたのだなア、なんと偉いものだなア。矢張凡人とはどことはなしに変つてゐるワイ………』
と感心し乍ら一人呟いてゐる。そこへ三人の騎馬武者、蹄の音をカツカツと響かせ乍ら進み来り、レーブの姿を見て、
『オイ、其方が今ここで話して居つた女は何者であつたか、逐一陳述致せ』
 レーブは何とか言つて暇を取らせようと思ひ、ワザと空呆けて、
『ハイ、何でも人間の様で厶いました』
武士『馬鹿、そんな事を尋ねてゐるのぢやない、何といふ女だかそれを聞かせといふのだ』
 レーブは暫く思案をして漸くに顔をあげ、ポカンとした阿呆面をさらして、
『ハーイ、婆アといふ女と娘といふ女と二人通りました』
武士『馬鹿な奴だなア、姓名は何と申すか』
レーブ『ハイ、姓名ですか、姓名は生命と申します。命あつての物種、お前さまも一つここで一服しなさい、長い月日に短い命だ、生命が肝腎だよ。清明無垢の尊き神のお道に仕へ玉ふバラモン教の神司ぢやありませぬか』
武士『エヽ辛気臭い、貴様は天下一品の馬鹿者だな』
レーブ『ハイ、馬の上に鹿が乗つて居ります、それは鹿馬者と申します。鹿の上に馬が乗つた奴が馬鹿者です』
武士『エヽグヅグヅしてゐると、時が遅れては一大事だ』
と駒に鞭ち駆け出さうとするを、レーブは先頭に立つた馬の轡をグツと握り、
『一寸待つて下さい、こんな細い道、さうあわてると危なう厶いますで、何なら馬を此処に乗り棄ててお上りなさつたらどうですか、此の山は中々キツイ山で馬が辷りこけた途端に、あなたも一緒に谷底へでも落ちようものなら、それこそ大変です。最前の婆アといふ女も、ここに馬を乗り棄てて上つた位ですから……』
武士『何と言つても人間が歩くより馬の方が早い、グヅグヅしてると、女を見失つちや大変だ。ヤアお二方、私に構はず、さきへ馬で行つて下さい、二人の姿を見失はぬ内に……』
レーブ『ハヽヽヽ、先へ行かうと言つたつて、こんな羊腸の小路、而も胸突坂と来てゐるのだから、先の馬が止つた以上には乗越す訳には行きますまい。此馬はレーブさまが轡を握つた以上は、一時計りは微躯とも動かさぬのだ。其間に逃げて下さると良いのだけれどなア』
と小声に呟く。
武士『エヽ仕方のない奴だ、各方、ここに馬をつないで一走り、追つかけませうか』
レーブ『アヽさうなされませ、それの方が余程安全で宜しい。併しあんな婆アや娘を追つかけて如何なさる御考へですか、大方あなたはあの婆アや娘を蜈蚣姫、小糸姫様だと思つて、追つかけてお出でなさるでせう。それならばお止めになさつた方がよかろ、実は私も鬼熊別様の家来で、母子の顔を見覚えてゐるのを幸ひ、旦那様から女房や娘を捜して来たならば、褒美は望み次第と仰有つたので、ここ迄捜しに参りました。所がよう似た婆、娘だと思ひ、出世をする時節が来たのだと、雀躍りし乍ら、河を横切り渡つて来て見れば、豈計らむや、妹計らむや、一目見てもゾツとするやうな、人品骨柄の卑しい菊石だらけの虱の這うた糞婆に乞食娘、イヤもう私もガツカリして了ひました。こんな約らぬ事は厶いませぬ。あの母子が果して蜈蚣姫、小糸姫さまならば、私は手柄になるのだから、あなた方のお力を借つて一緒に捉へたいのだが、余りの事に呆れて、婆アの頭を三つ四つくらはし、乞食娘の尻を擲りつけて、オイオイメソメソと吠面かわかせおき、ここに呆然として失望落胆の淵に沈んでる所で厶います』
武士『お前は鬼熊別様の部下の者だなア、矢張鬼熊別様も女房子の行方を尋ねてゐられるのかなア』
レーブ『そらさうでせうかい、天にも地にも一人よりない女房や娘が居らなくては、何程御出世をなさつても世の中が淋しい、妻子に憧憬れ遊ばすのは尤もでせう』
武士『如何にもさうだ、お前の言ふ通ならば、彼等母子は鬼熊別様の女房子ではあるまい、エーエ、要らぬ苦労をして河を渡つたものだ、ヤアお邪魔をした。お二方、コレから元へ引返しませう』
と馬背に鞭打ち、勢に乗じて、ライオン河を驀地に三騎首を並べて渡り行く。
 後見送つてレーブは大口をあけ、
『アツハヽヽヽイヒヽヽヽウフヽヽヽ何とマア、神様の御仕組は大したものだナ。結構な手柄をさして下さつた。何事も悧巧出しては失敗るぞよ、阿呆になつてゐて下されよといふ、三五教の神諭が今更の如く思ひ出されて有難いワイ。世の中は阿呆になつてゐるに限る、大賢は愚なるが如し、愚者は賢人の如しとは此処のことだ。俺も天下一品の極端な阿呆になつて、真の智恵を働かすことが出来た。ヤア辱ない此役目が済んだ以上は、これより後追つかけて、奥様や嬢様について行つても、何とも仰有るまい、ヤア大分に時も経つた、モウ余程行かれただらう。サア急がう』
と独言いひ乍ら一目散に峻坂をかけ登り、峠に佇み、ハーハースースーと息を休め、
レーブ『あれ丈の敵を甘く撒散らし、抜群の功名手柄を現はして此山頂に登りつめ、四方の景色を見下ろす時の心持は又格別だ。サアもうこれから下り坂、走ろまいと思つても走れるワイ、併し乍ら余り屈曲があるから勢に任して谷底へでも飛込んぢや堪らない。一つ足拍子を取つておりてやらうかな』
と帯を締め直し鉢巻をグツと固め、両手の拳をグツと握り爪先まで力を入れ、ボツボツと下り出した。レーブは道々歌ふ。
『ウントコドツコイ玉山は  小さい峠といひ乍ら
 意外にキツイ坂路だ  男でさへも此通り
 歩みに困る坂路を  さぞや奥さまお嬢さま
 困難遊ばしましたらう  お道の為とは云ひ乍ら
 鬼熊別の奥様と  ならせ玉ひし身を以て
 荒野を渡り川を越え  いろいろ雑多と御艱難
 御苦労なさるも神の為  世人の為と聞くからは
 感謝の涙が湧いて来る  鬼熊別の神様に
 大事に大事にされた俺  御恩返しの万分一
 何時しか報はななるまいと  思ひつめたる真心が
 いよいよ現はれ出づる時  あゝ惟神々々
 神の守りの深くして  お二方をば初めとし
 レーブの奴も諸共に  何卒無事に月の国
 ハルナの都へ易々と  「ウントコドツコイきつい坂」
 勢余つて谷川へ  スツテンコロリと落ちかけた
 帰らせ玉へバラモンの  梵天帝釈自在天
 大国彦の御前に  慎み敬ひ願ぎ奉る
 ライオン河を横わたり  奥様嬢様お二人に
 暇を貰つた怪訝顔  面ふくらした時もあれ
 大黒主に仕へてる  釘彦久米彦両人が
 手下の奴ばら只三人  駻馬に鞭ち荒河を
 渡り来れる恐ろしさ  此奴あテツキリお二人の
 姿をみとめて捉へむと  やつてうせたに違ない
 一時なりと暇取らせ  お二人様を安全に
 守らむものと真心の  限りを尽して阿呆と化け
 スツタ揉んだと馬鹿口を  叩いた揚句に村肝の
 心にもなき詐りを  ベラベラ喋つた其おかげ
 追手の奴らは忽ちに  レーブの弁に欺かれ
 失望落胆し乍らも  河を渡つて帰り行く
 其可笑しさに堪へかねて  思はず知らずアハヽヽヽ
 イヒヽヽヽヽヽヒウフヽヽヽ  笑ひ溢れて面白い
 あゝ惟神々々  これ丈賢い智慧あれば
 これから何事あらう共  決して恐るる事はない
 「ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ  コラマアきつい坂ぢやなア」
 これ丈急いで下るなら  キツと二人のお姿を
 時を移さず拝むだろ  あゝ有難い有難い
 お二人様は今頃は  悠々然と鼻唄を
 唄うてレーブの事を言ひ  勇み進んで厶るだろ
 あゝ面白い面白い  一伍一什の有様を
 お二人様にこまごまと  報告申し上げたなら
 キツと喜びなさるだろ  これが第一楽みだ
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と歌ひつつ、ドンドンドンと地響うたせ、さしもの峻坂を矢を射る如く下つて行く。道端の岩に母子二人が腰打かけ、息を休めてゐるのも気がつかず、大声に呶鳴り乍ら下り行くのを、黄金姫は、
『オーイオーイ レーブ暫く待て』
と大音声に呼び止めた。此声を聞くよりレーブは驚いて止まらうとすれども、急坂を下り切つた速力の惰力は容易に止まらず、十間許りズルズルと石道に体を止めようとして倒れ、転げ落ち『アイタタ』と顔をしかめ、腰のあたりを撫で乍ら、エチエチと二人の前に引返し来り、
『奥様嬢様、有難う厶いました』
黄金姫『アヽ御苦労であつたなア、私もお前がキツと追返しただろと思うて、ここに悠くりとお前の来るのを待つてゐたのだ。一人の馬方は甘くまいただらうなア』
レーブ『ハイ自分の方から勝手に森林の中へ沈没して了ひました。三人の騎馬の士が奥様嬢様を捉へむと、再び河を渡つてやつて来ましたが、俄に私は馬鹿となつて甘く追つ返してやりました』
黄金姫『アヽさうだろ、お前の身魂を見込んであゝ言つたのだ。本当の事を云つてやりたかつたが、怪しい奴がついてゐたので、あんなスゲない事を言つたのだから、気を悪うせないでおいて下さい』
レーブ『どうしてどうして御勿体ない、気を悪う致しませうかい、サア是から参りませう』
と話す折しも、吹来る風につれて聞え来る人馬の物音、金鼓の響、矢叫びの声、物凄くも此方に向つて進み来る。黄金姫は立上り、
『サアこれからが本当の神軍と魔軍との戦争だ。清照姫用意をなされ。レーブ、覚悟はよいか………』
(大正一一・一〇・二九 旧九・一〇 松村真澄録)
(昭和一〇・六・一〇 王仁校正)
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