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文献名1霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
文献名2第3篇 霊魂の遊行よみ(新仮名遣い)れいこんのゆうこう
文献名3第10章 衝突〔1094〕よみ(新仮名遣い)しょうとつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-11-30 15:54:23
あらすじ黄金姫と清照姫に同行していたレーブは、ハルナの都まで母娘の共をすることを懇願したが、黄金姫は宣伝使として共を連れて行くことは許されない、とレーブを諭した。そうするうちに、バラモン教のランチ将軍の一軍が近づいてきた。彼らが斎苑館を攻撃するために進んでくると悟ったレーブは、自分が進軍を止めてみせると勇み立った。黄金姫は、天則にしたがってあくまで言向け和すようにとレーブを諭した。軍勢の先頭に立ちはだかったレーブは、大音声で神素盞嗚大神の館への進軍を止めるようにと呼ばわった。バラモン軍の小頭・カルは、レーブがバラモン教でありながら三五教の味方をしていることをとがめた。レーブは細く険しい山道にたちはだかり、岩つぶてを傍らに積み重ね、バラモン軍に狙いを定めている。それでも進軍してくるバラモン軍に対し、レーブは岩つぶてを投げつけ、カルの首筋をつかんで谷底へ放り投げた。レーブは先頭の十人ばかりを相手に奮闘し、皆谷底へ放り投げたが、ついにバラモン軍によって自分も谷底に投げられてしまった。黄金姫と清照姫はレーブが谷底に投げられてしまったのを見て、もはや天則違反もやむなしと打って出て、軍勢を相手に暴れまわった。矢を射かけるバラモン軍によって二人は谷底に転落した。武術の心得ある二人は柔らかい砂の上に無事に着地し、追ってくるバラモン軍を待ち受けていた。バラモン軍は谷底へ降りてきて二人を取り囲み、矢を射掛けだした。その勢いに二人は最期を覚悟したが、どこからともなく狼の群れが現れて、ランチ将軍の軍勢に襲い掛かった。ランチ将軍の軍勢は敗走し、斎苑館への近道である玉山峠を通ることをあきらめたようであった。黄金姫、清照姫の母娘は狼に送られて玉山峠を降り、無人の野を行くごとく進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月02日(旧09月14日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月25日 愛善世界社版121頁 八幡書店版第7輯 462頁 修補版 校定版127頁 普及版56頁 初版 ページ備考
OBC rm4010
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本文 レーブ『初秋の風はザワザワと  峰の尾上を吹きまくる
 玉山峠の坂道を  黄金姫を初めとし
 清照姫の母娘連れ  神素盞嗚大神の
 御言畏み月の国  ハルナの都に蟠まる
 八岐の大蛇に憑かれたる  大黒主の枉神を
 言向和し天地の  尊き神の御光に
 救はむものと両人は  険しき山川打渡り
 雨にはそぼち荒風に  吹かれながらもやうやうに
 此処迄進み来りけり  険しき坂の傍に
 スツクと立てる千引岩  これ幸ひと立寄つて
 母娘二人は腰をかけ  息を休むる折もあれ
 矢を射る如く峻坂を  地響きさせつトントンと
 下り来れる男あり  よくよくすかし眺むれば
 玉山峠の登り口  思はず出会うた神司
 レーブの姿と見るよりも  母娘は声をはり上げて
 手招きすれば立止まり  行き過したる坂道を
 再び登りて両人が  側に近寄りシトシトと
 流るる汗を押拭ひ  貴方は母娘の神司
 私はレーブで厶ります  尊き神の引合はせ
 思はぬ処で会ひました  貴方に別れた其時は
 酷いお方と心にて  きつく怨んで居りました
 一人の男は森林へ  姿を隠し行衛をば
 尋ぬる折しも河渡り  向ふへ越えた釘彦の
 手下の武士二騎三騎  再び河を打渡り
 レーブの前に現はれて  今居た母娘の巡礼は
 蜈蚣の姫に小糸姫  テツキリそれに違ひない
 後追つかけて引捕へ  大黒主の御前に
 引連れ行かむと呶鳴る故  ハツと当惑しながらも
 早速の頓智此レーブ  そしらぬ顔の惚け面
 馬の轡を引掴み  こりやこりや待つた、こりや待つた
 鬼熊別に仕へたる  私はレーブの司ぞや
 吾も汝等と同様に  母娘二人の巡礼は
 蜈蚣の姫の母娘ぞと  疑ひながら近寄つて
 よくよく顔を調ぶれば  似ても似つかぬ雪と墨
 片目婆さまの皺苦茶に  痘痕をあしらふ御面相
 娘は如何にと眺むれば  これ亦偉いドテ南瓜
 下賤の姿の母娘づれ  決して探ぬる人でない
 くだらぬことに骨を折り  貴重な光陰潰すより
 一時も早くカルマタの  都に進み抜群の
 功名手柄をしたがよい  何ぢやかんぢやと口極め
 罵り散らせば釘彦の  手下の騎士は首肯いて
 再び河を打渡り  帰り行くこそ嬉しけれ
 つらつら思ひ廻らせば  貴女が私を捨てたのは
 深い仕組のありしこと  前知の明なき此レーブ
 今更の如感嘆し  勢込んでスタスタと
 お後を慕ひ玉山の  峠を越えて後を追ひ
 此処に目出度く面会し  これほど嬉しい事はない
 あゝ願はくば両人よ  レーブの司を月の国
 ハルナの都に伴ひて  鬼熊別の館まで
 進ませ給へ惟神  神に誓ひて願ぎまつる
 途中に如何なる枉神の  現はれ来りて騒やるとも
 神に任せし此レーブ  命を的に投げ出して
 無事に貴女の目的を  達成せしめにやおきませぬ
 何卒お供を許されよ  あゝ惟神々々
 神の御前に祈ぎまつる』
と歌に代へて所感を述べ、ハルナの都まで随行を許されむ事を懇願した。黄金姫は言葉厳かに、
『折角の其方の親切な願なれど吾々母娘は日の出別の神様の特命を受け、もとより供を許されなかつたのだから、今になつて何程お前が頼んでも連れて行く事は出来ない、さうだと云つて貴方を排斥するのではない程に、何卒悪くとらぬ様にしてお呉れ』
レーブ『さう仰せらるれば、たつてお頼み申すわけには参りませぬ。それなら私も是非が御座いませぬから単独行動をとり、貴女方母娘の前後を守つて参りませう』
清照『何卒吾々母娘の目に見えない範囲内で行つて下さいや。もしもお供をつれて行つたと云はれては吾々母娘の申訳が立ちませぬからな』
レーブ『左様なれば、たつて無理にはお願を申しませぬ。私は之より不離不即の態度を保ち、兎も角もハルナの都へ参ります、どうぞハルナの都へおいでになつたら私を一度御引見下さる様に御願を致しておきます。私も貴女様お二人の所在を尋ぬべく御主人様に命令を受けたもので厶いますから、貴方等の所在さへ分れば、それで宜いので厶います。それなら之から見え隠れにお供をしますから、こればかりはお含みを願ひます』
黄金『あゝ仕方がない。お前の勝手にしたが宜からう』
レーブ『はい、有難う』
と落涙に咽んでゐる。此時谷底より聞え来る法螺貝、陣太鼓、鐘の音、矢叫びの声、木谺を驚かして響き来る。
『素破こそ一大事、バラモン教の大黒主が部下の者ならむ。彼に捕まつては大変』
と母娘は岩の後に身を隠し、一隊の通過を待たむとした。レーブは勇み立ち、
『やあ、愈忠義の現はし時、もしもし御両人様、貴女は此岩影に身を忍びお待ち下さいませ。此軍隊をイソの館へ進ませてはなりませぬ。これより私が力限り戦つて敵を退却させて見ませう』
黄金『決して敵を傷つけてはなりませぬよ。善言美詞の言霊を以てお防ぎなさい。此細谷道、而も急坂、何程数多の敵が攻め上り来るとも、一度にドツとかかる事は出来まい。片端から言向和すが神慮に叶うたやり方、先づ其方が第一戦を試みたが宜からう。とても叶はぬと見てとつた時は此黄金姫が立ち代つて言霊戦を開いて見ようから』
レーブ『承知致しました。一卒これに拠れば万卒進むべからずと云ふ此難所、私一人で大丈夫です』
と武者振ひして勇み立つた。
 かかる処へブウブウと先登に立つた武士は法螺貝を吹き陣容を整へ登り来る。旗指物、幾十となく風に翻り単縦陣を作りて進む其光景、恰も絵巻物を見る如くであつた。レーブは千引の岩の上に直立し、此光景を眺め敵軍の近づくのを今や遅しと待つてゐる。
 先頭に立つた武士は急坂を上りつつ勇ましく軍歌を歌つてゐる。
『東西南の三方に  青海ケ原を巡らせる
 世界で一の月の国  神の御稜威も明かに
 照り輝きしバラモンの  教の柱は畏くも
 大黒主と現れましぬ  此度イソの神館
 神素盞嗚の枉神が  手下の者共集まりて
 朝な夕なに武を練りつ  一挙に月へ攻め寄せて
 バラモン教の本城を  覆へさむと企み居る
 其曲業を前知して  吾等が奉ずる神柱
 大黒主は畏くも  鬼春別を将となし
 ランチ将軍片彦の  大武士を任け給ひ
 悪魔の征途に上ります  其神業に仕へ行く
 吾等の身こそ楽しけれ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 三五教の本城を  覆へさずにおくべきか
 常世の国の自在天  大国彦の御守り
 愈深くましませば  如何なる枉の猛ぶとも
 鬼神を挫ぐ勇あるも  などか恐れむバラモンの
 教に鍛へし此体  刃向ふ敵はあらざらめ
 進めよ進め いざ進め  神素盞嗚の曲神の
 手下の残らず亡ぶまで  枉津の軍の失するまで』
と歌ひながら旗鼓堂々と進み来る物々しさ。
 ランチ将軍の部下は早くもレーブの立てる岩の麓まで進んで来た。レーブは大音声を張り上げながら、
『ヤアヤア、吾こそはバラモン教の神司、鬼熊別が身内の者、只今大自在天のお告げにより汝等一行此処に来る事を前知し、今や遅しと待ち構へ居たり。汝も亦バラモンの部下に相違はない。云はば味方同士だ。案内するは本意なれども、汝等は今の軍歌によつて聞けば仁慈無限の神素盞嗚大神の館に押寄するものと聞えたり。かう聞く上は少しも猶予はならぬ。片端から神変不思議の言霊を発射して一人も残らず言向和し呉れむ。暫く待て』
と呼ばはつた。先頭に立つた武士はカルと云ふ一寸気の利いた小頭である。カルはレーブの此声を聞くより立ち止まり、
『ハテ、心得ぬ汝の言葉、汝バラモン教の神司でありながら、何を血迷うて左様な事を申すか。大方発狂致したのであらう。そこ退け、邪魔になるわい』
と進まむとするをレーブは早くも尖つた石を何時の間にか岩の上に幾十となく積み重ね、一歩たりとも前進せば、此岩を以て脳天より打挫かむと右手に岩をささげて睨めつけてゐる。カルは目を瞋らし、
『こりや、こりやレーブ、左様な石を捧げて如何致す心算だ。チツと危険ではないか』
レーブ『ハヽヽヽチツとも、やつとも危険だ。何程汝の味方は沢山押寄せ来るとも此一条の難路、一人も残らず討滅すに何の手間暇要るものか。一時も早くここを引き返せよ』
 カルはレーブの顔を睨めつけ、互に無言のまま睨みあつて居ると、後の方より、
『進め進め』
と登り来る其勢にカルもやむなく後より押されて前進せむとする時、レーブは無法にも其岩をとつて一つ嚇かし呉れむと、敵に中らぬ様にと狙ひを定めて投げつくれば、岩はカツカツと音をたてて谷底へ転落して了つた。
カル『こりやこりや危ないわい。何を致すか』
レーブ『何も致さない。其方等を片端から殲殺しに致さねば俺の心が得心せぬのだ』
と云ひながら今度は両手に二つの石を引掴み、又もや登り来る敵に向つて投げつけむとする気色を示した。ランチ将軍は稍後の方より、
『進め進め』
と下知をする。已むを得ずしてカルは前進せむとするを、レーブは道の真中に立ちはだかり、第一着にカルの首筋を掴んで谷底目がけて投げつけた。又来る奴を引掴み十人ばかりも谷川目蒐けて投げつくる。かかる処へ遥か下の方より数多の軍卒を押し分けて登り来る大の男、忽ちレーブの前に現はれ、
『何者ならばわが行軍を妨害致すか。吾こそはランチ将軍の懐刀と聞えたる若芽の春造だ』
と云ひながらレーブの素首引掴み、谷川目がけてドスンとばかり投げ込んで了つた。此態を窺ひ見たる黄金姫、清照姫は、
『今は最早是までなり、天則違反かは知らね共、何とかして敵を追ひちらし、只一人も此峠を越えさせじ』
と腕に撚をかけ金剛杖を前後左右に打振り打振り、単縦陣を張つて登り来る敵に向つて打込めば、素破一大事とランチ将軍は弓に矢をつがえ、二人を目がけて発矢と射かけた。続いて数多の軍勢は弓を背より下し雨の如く二人に向つて射かける。其間を杖を以て避けながら獅子奮迅の勢を以て前後左右に母娘が荒れまはる。二人は遂に坂道より足踏み外し、谷底にヅデンドウと母娘一時に転落した。流石の黄金姫、清照姫は武術の心得あれば少しも体に負傷をなさず、谷底の真砂の上にヒラリと体を下し敵軍来れと手に唾して待つてゐる。ランチ将軍は母娘両人を逃すなと下知すれば、数多の軍卒は都合よき谷川の下り口を探し求めて、雲霞の如く二人を取囲み弓を頻りに射かけ出した。二人は進退惟谷まつて最早運命尽きたりと覚悟の臍をかたむる折しもあれ、谷底よりウーウーと狼の呻声聞ゆると共に、幾百とも知れぬ狼軍はランチ将軍に向つて牙を剥き目を瞋らして暴れ入る。其勢に辟易し、ランチ将軍を始め一同は玉山峠を雪崩の如くバラバラバツと逃げて行く。
 黄金姫、清照姫は前後に心を配りながら、数十の狼に送られて玉山峠を宣伝歌を歌ひながら悠々として下り行く。谷口に到り見れば、ランチ将軍の部下は如何なりしか、影だにも見えずなつて居た。これは玉山峠を登れば余程の近道なれども、危険を恐れて道を東に向ひて進軍したものと見える。黄金姫、清照姫は無人の野を行く心地して悠々と進み行くのであつた。
(大正一一・一一・二 旧九・一四 北村隆光録)
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