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文献名1霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
文献名2第2篇 神機赫灼よみ(新仮名遣い)しんきかくしゃく
文献名3第9章 蓮の川辺〔1113〕よみ(新仮名遣い)はちすのかわべ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-12-12 11:40:06
あらすじヤスダラ姫とリーダーは虎口を逃れ、姫の故郷・イルナ国の国境にある蓮川のたもとまで逃げてきた。主従二人が川辺で休息していると、叢の中から数十人の黒い影が二人を取り巻いた。リーダーは我こそは左守の娘・ヤスダラ姫を守る武術の達人だと呼ばわった。男たちの中の頭らしき大男がリーダーの前に立ちふさがり、武術の達人ハルマンと名乗った。自分たちは右守の命令でヤスダラ姫一行をとらえるべく潜んでいたのだと凄み、素直に縛につくようにと降伏を呼びかけた。リーダーはハルマンに攻めかかる。ハルマンは、部下たちにヤスダラ姫を捕えるよう下知した。ヤスダラ姫は奮闘するが、衆寡敵せず男たちに抑え込まれてしまった。すると、後方からあたりを響かせて三五教の宣伝歌が聞こえてきた。宣伝歌は皇神を祀る三五教をたたえ、バラモン教徒たちに皇神を祀るよう促す歌であった。この宣伝歌に打たれて、ハルマンたちは一目散に逃げて行ってしまった。ヤスダラ姫は危急を救ってくれた宣伝歌の主にお礼を述べ、名を尋ねた。宣伝歌の主は、セイロン島でサガレン王家を騒がせた悪僧・竜雲であると明かした。竜雲は、三五教の天の目一つの神の訓戒を受けて身魂を救われ、放浪の身となって月の国に三五教を説いて回る身の上となった経緯を涙ながらに語った。ヤスダラ姫は竜雲の身の上話を聞き、思わず国治立大神に祈願をこらした。ヤスダラ姫とリーダーは、自分たちがシャールの館から逃げて、イルナ国の姫の父・左守の館に戻る途中であることを明かした。イルナ国の右守の立ち回りについては竜雲も聞き及んでおり、竜雲は二人をイルナの都まで陰ながら守り送っていくことを約した。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月11日(旧09月23日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年6月15日 愛善世界社版126頁 八幡書店版第7輯 577頁 修補版 校定版131頁 普及版62頁 初版 ページ備考
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本文  空照り渡る月の国  朝日も清くテルマンの
 国の都に名も高き  毘舎族シヤールの富豪の
 妻と降りし刹帝利  セーラン王の従妹なる
 ヤスダラ姫は朝夕に  其身の不運をなげきつつ
 悲しき月日を送る折  思ひもかけぬイルナ国
 右守の司と仕へたる  醜の司のカールチンが
 女房のテーナは遥々と  シヤールの館に立ち向ひ
 右守の司の使者となり  四辺を払ひ堂々と
 進み来るぞ忌々しけれ  シヤールは使者と聞くよりも
 打ち驚きて吾居間に  茶菓の饗応慇懃に
 テーナの姫をあしらひつ  ヤスダラ姫の館守
 リーダー其他に命令し  館の内外を清めしめ
 時分はよしとテーナ姫  導きながら入り来り
 ヤスダラ姫に打ち向ひ  無理無体の暴言を
 吐きかけながらテーナ姫の  心を損ねちやならないと
 諂侫阿諛のありたけを  尽して尾をふる卑怯者
 二世の妻なるヤスダラ姫の  妻の命を哀れにも
 堅牢無比の牢獄に  投げ込み置きて胸を撫で
 やつと急場をのがれたる  姑息の仕打ぞ憎らしき
 ヤスダラ姫に心より  至誠を捧げて尽したる
 下僕のリーダーは雨風の  はげしき夜を幸ひに
 鋭き鉞うちふるひ  獄屋を苦もなく打ち破り
 姫をば背に負ひながら  警戒厳しき邸内を
 闇に紛れてすたすたと  荒野を渡る夜の道
 北へ北へと進みつつ  ヤスダラ姫の恋慕ふ
 故国にイルナの国境  蓮の川の畔まで
 逃げ帰り往く折もあれ  カールチン等が部下の者
 幾十人とも限りなく  蓮の川の両岸に
 手具脛引いて両人が  逃れ来るを待ち居たり
 あゝ惟神々々  神の恵の幸はひて
 一日も早く本国へ  二人の男女を恙なく
 帰らせ給へと瑞月が  心の空にかけまくも
 バラモン神の御前に  代りて謹み願ぎまつる
 旭は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  曲津の神は猛ぶとも
 忠義一途の下僕等が  主人の君を守りつつ
 往く手の道を隈もなく  開かせ給へ惟神
 神の心になり代り  往く手の道を案じつつ
 茲にそろそろ述べ立つる  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ。
 ヤスダラ姫、リーダーの両人は千辛万苦の結果、やつと虎口を逃れ蓮川の袂迄逃げ来る。頃しも秋の末つ頃、少し虧けたる清朗の月は、主従二人の頭を遺憾なく照らし給ひ、二人の行路をあつく守らせ給ふ。二人は川辺に安着し、漸く西に傾いた月影を眺めながら、ヤスダラ姫は、

『天伝ふ月の光に照らされて
  蓮の川辺に着きにけらしな』

リーダー『月もよし御空も清き月の国
  ヤスダラ姫につき従ひし吾。

 村肝の心もやうやく晴れ渡り
  イルナの国の月はかがやく』

ヤスダラ『やすやすと下僕の神に守られて
  故国にイルナの吾ぞ嬉しき。

 セーラン王神の命は如何にして
  今宵の月を眺めますらむ。

 さゆる夜に君の面影偲ばれぬ
  昔イルナに見し月を思へば。

 附添ひしリーダーの身をば照らしつつ
  吾等を守る月夜見尊し』

リーダー『仰ぎ見る御空の月は清けれど
  テーナの住める館ぞ濁れる。

 大空に輝き渡る月影も
  醜の村雲覆ふぞ忌々しき。

 この旅路いとやすやすと守れかし
  大国彦の神の恵に』

ヤスダラ『テルマンの夫の館を忍び出て
  やうやくここに月の影さゆ。

 胸の闇一度に開くハチス川
  渡る浮世にさやる鬼なし。

 さりながら天に風雨の障あり
  人に禍なしとも限らず。

 心せよリーダーの下僕この川は
  イルナの国の関所なりせば』

リーダー『謹みて前や後に村肝の
  心を注ぎ守り仕へむ』

ヤスダラ『朝夕に慕ひまつりし吾君と
  父のまします国近づきぬ。

 心のみ先に立ちつつ吾足の
  進み兼ねたるもどかしさかな』

リーダー『大空の月照り渡る夜の道
  如何でか曲の襲ひ来べきや。

 惟神神の心に任しつつ
  誠を力に進み往くべし。

 今しばしヤスダラ姫の神司
  忍ばせたまへ二日三日路』

 かく歌ひながら空を仰いで主従は息を休めて居る。忽ち川辺の草叢より、現はれ出でたる数十人の黒い影、見る間に両人が前後左右を取り囲み、四五間の距離を保つて近よりもせず、人垣を造り睨めつけて居る。リーダーは声を張り上げ、
『吾こそは左守の司、クーリンス様の御息女ヤスダラ姫様のお供を致す武術の達人リーダーなるぞ。何者の指揮か知らねども、吾々が往手にさやるは不都合千万、一刻も早く、道を開き土下座をなして姫様に謝罪を致せ。猶予に及ばば、目に物見せて呉れる、サア早く、命の惜しい奴は此方の申す様に致すが好からうぞ』
 大勢の中より、小頭らしき大の男、忽ちリーダーの前に立ち塞がり大口あけて高笑ひ、
『アハヽヽヽヽ、只今の汝が広言片腹痛し。吾こそはイルナの国にて武術の達者と聞えたる強力無双のハルマンなるぞ。カールチン様の命令に依り、汝等両人を生擒にせむため、この関所に人数を集め、今や遅しと待ち疲れて居た所だ。愚図々々致さず、速に縛につけ』
『アハヽヽヽヽ吐したりな、ハルマンの空つけ者め、このリーダーが、苦き目見せて呉れむ』
と云ふより早く鉄拳を打ち振りながら、ハルマンに向つて攻め寄つた。ハルマンは一歩二歩後へすざり、キツト身構へしながら、
『ヤアヤア家来の者共、吾はリーダー一人にかかつて居るから、其間にヤスダラ姫を捕縛致せよ』
と下知すれば、オーと答へて数十人は唯一人のヤスダラ姫に向ひ遮二無二飛びつき来る。ヤスダラ姫は忽ち下紐を解き、襷十文字に綾取り、後鉢巻リンと締めたる女武者の勇ましさ。寄り来る木端武者を片端からスツテンドウと或は草中へ或は川底へ投げ込み防ぎ戦へど、立ち代り入り代り寄せ来る敵に疲れ果て、ドウと其場に打ち倒れて仕舞つた。其機を逸せず数人の大男は、重なり合うて姫を力限りに押へつけ、腕を捻ぢ今や縄をかけむとする時しもあれ、後の方より四方を響かす宣伝歌聞え来る。
『神が表に現はれて  正邪と理非を立て別ける
 ウラルの神に仕へたる  吾は尊き宣伝使
 セイロン島に打ち渡り  バラモン教の神司
 サガレン王を放逐し  ケーリス姫を手に入れて
 意気揚々と神地城  神の司となりし折
 三五教の宣伝使  天の目一つ神司
 現はれ来りていと清き  尊き言霊打ち出し
 神地の城は忽ちに  紅蓮の舌に舐められぬ
 吾身に永く憑依せし  八岐の大蛇は驚きて
 雲を霞と逃げ出せば  今迄迷ひし夢もさめ
 誠の心に立ち帰り  勇み進みて三五の
 貴の信徒となりにけり  三五教の司等が
 仁慈無限のやり方に  心の底より感歎し
 神地の都を後にして  月の国へと打ち渡り
 七千余国を隈もなく  三五教の宣伝歌
 歌ひて進む吾なるぞ  バラモン教やウラル教
 三五教といろいろに  教の区別はありとても
 此世を造り固めたる  元つ御祖は一柱
 吾等の父といます神  天が下なる人草は
 一人も残らず皇神の  御息に現れし貴の御子
 互に憎み争ひて  神慮を悩ませまつるなよ
 人は神の子神の宮  尊き身魂と生れながら
 虎狼に劣るべき  醜の行ひつづけつつ
 自ら吾身の品格を  傷つけ破り根の国や
 底の国なる苦しみを  決して受くる事なかれ
 悪の身魂の善心に  立ち帰りたる竜雲が
 四同胞の好誼にて  茲に忠告仕る
 バラモン教の人々よ  直日に見直せ聞き直せ
 互に吾身の過ちを  顧みなして皇神の
 心を安んじ奉り  黄金花咲く天国の
 救ひの門を開くべし  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましませよ』
 此宣伝歌に打たれてや、ハルマンを初め数十人の人影は雲の風に散る如く、一目散に北へ北へと蓮川を横ぎり先を争ひ逃げて往く。ヤスダラ姫は宣伝歌の主に向ひ、いと叮嚀に会釈しながら、
『いづくの方か存じませぬが、剣呑千万の所へお越し下さいまして、尊き宣伝歌をお歌ひ下され、吾々主従は其御神力に依つて救はれまして厶ります。あゝ私もかういふ場合に宣伝歌を歌ひ、寄せ来る敵を言向和せばよかつたのですが、あまり俄の敵の襲来に挙措其度を失し、恥しながら女の分際としてあられもない腕立を致しました。そして貴方は何処の何人で厶いますか』
『ハイ、私は卑しき首陀の家に生れたもので厶います。お聞き及びでも厶いませうが、セイロン島の神地の都に於て曲津神に誑惑され、大国別命様の御実子国別彦様が、サガレン王となつてバラモンの教を神地の城に於てお開き遊ばす処へ参り、姫様をチヨロまかし、悪逆無道の振舞を致しました竜雲で厶います。只今歌で申し上げました通り三五教の宣伝使天の目一つの神の御訓誡やサガレン王様の御仁慈に依つて、曇りきつたる身魂を救はれ、今は果敢なき放浪の身となり、月の国七千余の国々を廻り廻りて今此処へ参ります途中怪しき人声に何事ならむと駆けつけ見れば、御両人様が大勢に取囲まれ御困難の最中、それ故、及ばずながら三五の道の宣伝歌を歌ひ敵を追ひ散らしたので厶います』
と、包まず隠さず己が素性を打ち明け、落涙しながら其事実を物語る殊勝さに、ヤスダラ姫は感に打たれ、
『貴方が音に名高き竜雲様で厶いましたか。ようまあ其処迄御改心が出来ました。実に御立派な御人格とおなり遊ばしましたなア』
『お褒めに預かつては畏れ入ります。私も神様のお蔭によつていろいろと苦労を与へられ、身魂を研いて頂きました。これも全く三五教のお蔭で厶います』
『三五教はそれだけ感化力が厶りますか、実に結構な教で厶いますなア。私も一度其教が聞かして頂きたいもので厶います』
『貴女さへ聞きたいお心におなりなさつたならば、神様はキツト聞かして下さるでせう。先日も三五教の宣伝使、照国別様が数多の人の前で、結構な話をして居られた。其教を聞いた人間は貴賤老幼の嫌ひなく残らず帰順して仕舞ひました。誠一つを立て抜く無抵抗主義の三五の教へは、其伝播力も強く、恰も燎原の火の如き勢で厶います』
 ヤスダラ姫は、
『あゝ左様で厶いますか』
と云つたきり、さし俯いて両手を合せ「国治立の神、吾身の将来を守らせたまへ」と小声になつて祈つて居る。リーダーは膝頭の負傷を撫で擦りながら漸くにして立ち上り、竜雲に向ひ叮嚀に頭を下げ、
『今承はれば貴方は有名な竜雲様で厶いましたか、思はぬ所でお目に懸りました。これも何彼の因縁で厶いませう。よくまあ姫様の御危難をお救ひ下さいました。私は下僕のリーダーで厶います。何分宜敷此後の御指導を願ひます』
 竜雲も頭を下げ叮嚀な言葉つきで、
『ハイ、お言葉恐れ入ります。袖振り合はすも他生の縁とやら、罪深き竜雲、何卒お互様に助け合ひを願ひたいもので厶います。そして貴方等はどちらへお越し遊ばすので厶いますか』
『ハイ、テルマン国のシヤールの館からイルナの都、クーリンス様のお宅へ指して姫様がお帰り遊ばすので、私はお供に参つたので厶います。然るに此川辺に於て、右守の司のカールチンが部下共、姫様を此処にて捕へむと致しましたについては、何か都に大変事が起つて居るので厶いませうと実に心配でなりませぬ』
『左守、右守お二方の間に大変な暗闘が出来て居ると云ふ事は、此竜雲も薄々聞き及んで居ります。カールチンと云ふ男は実に奸侫邪智の痴者で、国人の受けの悪い神司、それに引きかへ左守の人気のよい事、羨ましい位で厶います。そんな事から右守が嫉妬心を起し、悶着が起つて居るのでせう。これから及ばずながら竜雲が姫様をイルナの都迄お送り致しますから御安心なさいませ』
『ハイ有難う、地獄で仏に会うたと申さうか、根底の国で救ひの神に会うたと申さうか、こんな嬉しい事は厶りませぬ。何分かよわき女の旅、宜敷お願ひ致します』
『然らば私が後になり前になり御身辺を保護して参ります、サア往きませう』
と云ふかと見れば、竜雲の姿は忽ち草の茂みに隠れて仕舞つた。主従二人は宣伝歌を歌ひながら蓮の川を横ぎり、何となく勇気加はり、足許もいと軽げに北へ北へと進み往く。
(大正一一・一一・一一 旧九・二三 加藤明子録)
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