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文献名1霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
文献名2第1篇 狂風怪猿よみ(新仮名遣い)きょうふうかいえん
文献名3第1章 烈風〔1152〕よみ(新仮名遣い)れっぷう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-01-03 19:36:10
あらすじ音彦は、玉国別と名を変えて、道公、伊太公、純公の三人を引率し、イソの館を出立してインドのハルナの都に旅立った。一行は河鹿峠の難所で暴風に吹かれたが勇気を鼓して急坂を登って行った。山上のやや平坦なところで一行は話に花を咲かせた。道公と伊太公は、風のひどさにもう少し楽な旅を希望し、玉国別がたしなめている。二人はそろそろ脱線し、狂歌を歌い始めた。ひとりきり話を終えた一行は、玉国別の号令で坂を下り始めた。坂を下りながら伊太公は滑稽な歌を歌った。一行が河鹿峠の大曲りの山の懐に来ると、天地も割れるばかりの強風が猛然と吹き起こり、玉国別も一歩も進むことができず、木の根にしがみついて神言を奏上しながら風が渡りゆくことを待つことにした。三人も玉国別にならって木の根にしがみつき、風が過ぎるのを待っていた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月26日(旧10月8日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年7月25日 愛善世界社版7頁 八幡書店版第8輯 31頁 修補版 校定版7頁 普及版2頁 初版 ページ備考
OBC rm4301
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本文  天地にさやる雲霧を  伊吹払ひて世を救ふ
 三五教の神柱  神素盞嗚大神の
 神言畏み音彦は  玉国別と名をかへて
 道公伊太公純公の  三人の信徒を引率し
 斎苑の館を立出でて  凩すさぶ秋の空
 河鹿峠の急坂を  登りつ下りつ進み行く
 目指すは印度の月の国  ハルナの都に蟠まる
 八岐大蛇や醜狐  曲鬼醜の曲魂を
 誠の道に言向けて  至仁至愛の神国を
 此地の上に建設し  神の御稜威を照さむと
 勇み進んで斎苑館  後に眺めて出でて行く
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 玉国別の宣伝使  三人の従者と諸共に
 はるばる進む首途を  完全に委曲に守りまし
 千変万化の活動を  漏れなく落ちなくすくすくと
 述べさせ玉へ惟神  神の御前に瑞月が
 畏み畏みねぎまつる。
 玉国別の宣伝使は三人の供人と共に、黄金姫、照国別一行の後より言依別命の谷間に転落して、第一天国を探検したりといふ、河鹿峠を膝栗毛に鞭ち、石車の危難を避け乍ら、声も涼しく宣伝歌を歌ひつつ、山の尾の上を渡り行く。折から吹き来る暴風はライオンの数百頭一時に吼えたけるが如く、唸りを立てて、遠慮会釈もなく岩石も飛べよ、草木も根底より抜け散れよと言はむ許りに吹きまくる。玉国別は『何これしきの烈風に辟易してなるものか、暴風何者ぞ、雷霆強雨何ぞ恐れむや』と勇気を鼓し、向ふ風に逆らひ乍ら、急坂を登り行く勇ましさ、壮烈は、鬼神も驚く許りに思はれた。漸くにして山上の稍平坦なる羊腸の小路に登り着いた。
道公『玉国別様、板を立てたやうな胸突坂を登る真最中、弱味につけ込む風の神の奴、滅多矢鱈に暴威を揮ひ、吾々を中天に巻上げむとして、力一杯努力してゐやがつたぢやありませぬか。一つここらで風の歇んだのを幸ひ休養をやつたら如何でせう』
玉国別『アハヽヽヽ今からそんな弱音を吹いてたまるものか、モウちつと度胸を据ゑなくちやなるまい』
道公『決して私が弱音を吹くのぢやありませぬ。風の神の奴、滅多矢鱈に吹きやがるものだから、私も一寸吹いてみたのです。かうして木々の木の葉を無残にも吹散らし、まるで雑巾以ておさん奴が縁の埃を拭いたやうに綺麗サツパリふきやがつたぢやありませぬか』
伊太公『オイ道公、弱音を吹くより法螺なと吹いたら如何だ』
道公『エヽ伊太公、貴様の鼻はまるで鍛冶屋の鞴のやうにペコペコさして、フースーフースーと泡まで吹いてるぢやないか。気息奄々、呼吸促迫、体熱四十三度といふ弱り方ぢやないか。他の事をゴテゴテ言ふ所かい、自分の蜂から払うてかかれ』
伊太公『これはこれはイタみ入つたる御挨拶、伊太公もサツパリ頓服致しました』
道公『頓服とは何だ。インフルエンザの風邪を引いて、キニーネでも飲んだやうなことを吐くぢやないか』
玉国別『コリヤコリヤ両人、幸先の悪い、悪魔征討の道行の始めに当つて、争論をやるといふことがあるか、チと沈黙致さぬか』
道公『ハイ、レコード破りの烈風でさへ沈黙したのですから、時刻が廻つて来れば、自然に発声器の停電を来すでせう。出かけた声だから、出す丈出さねば中途に止めると、又もや痳病をわづらひますからなア、アハヽヽヽ』
玉国別『あの純公を見よ。貴様のやうに鳴子か鈴のやうにガラガラ言はず、沈黙を始終守つてゐるぢやないか。男といふ者はさうベラベラと下らぬことを喋つたり、白い歯をさうやすやすと人に見せるものぢやない。人間は黙つてゐる位床しく見えるものはないぞ……口あけて腹綿見せる蛙哉……といふことを忘れぬやうにしたがよからうぞ』
道公『ハイ承知致しました。純公は貴方のお目からそれ程床しく見えますかな。さうすると此奴も矢張、スミにもおけない代物ですなア。アハヽヽヽ』
玉国別『いらぬことを言ふものでない。沈黙が男の値打だ。まるで貴様と旅行をして居ると雲雀や雀の飼主みたやうだ。困つた奴だなア』
伊太公『時に玉国別様、随分此河鹿峠はキツイですが、どうぞ無難に風の神の鋭鋒を避けて通過したいものですなア。暫く沈黙したと思へば、秋の風だから再び低気圧が襲来して、一万ミリメートルの速力でやつて来られちや、何程押しけつの強い貴方でも堪りつこはありませぬぜ』
玉国別『オイ、それ程発声器を虐使すると、レコードの寿命が短縮するぞ。少しは大切に使用せないか』
伊太公『何分秋漸く深く、木々の木の葉がバラバラバラと遠慮会釈もなく落ち行く時節ですから何とはなしに寂寥の気分に打たれて沈黙してゐる事が出来ませぬワイ。チツとは喋らして貰はぬと、心細いぢやありませぬか』
玉国別『そんな馬鹿口を喋る暇があつたら、宣伝歌を歌つたら如何だ。歌は天地神明の心を感動させ、山河草木を悦服させる神力のあるものだ』
伊太公『宣伝歌を歌つても宜しいか。そんならこれから歌ひませう。オイ道公、純公、チツとは粗製濫造品だが、後学の為に耳をすまして聞くがよからう。伊太公の当意即妙の大宣伝歌を……エヘン……』
道公『早く歌はぬかい。前置ばかりダラダラとひつぱりよつて、辛気くさいわい』
伊太公『足曳の山鳥の尾のしだり尾の長々し夜を独りかもねむ……といふ歌があるだらう。それだから、足曳の山の上で歌ふ歌はチツとは足が長いぞ、エツヘン。それ聞いた』
道公『何を聞くのだ。無言の歌が聞けるかい』
伊太公『不言実行、言外の言、歌外の歌、隻手の声、といふ事があるだらう。風が吹く音も、鳥の囀る声も、虫の鳴く音も、皆自然の歌だぞ。俺がかう囀つてをるのもヤツパリ恋欲歌の一種だ。ウタウタと云はずに俺の奇妙奇天烈な大宣伝歌を聞いたら貴様のウタがひも晴れるだらう……
 神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 此世を造りし神直日  直日の眼で見渡せば
 伊太公さまは善の神  道公さまは悪神だ
 玉国別は宣伝使  一寸お偉い方ぢやぞえ
 黒い顔して墨のよに  燻つて居るは純公か
 あゝ惟神々々  叶はないから止めておかう』
道公『コリヤ伊太、何を云ふのだ。何と下手な歌だのう』
伊太公『イタれり尽せりといふ迷歌だらう。歌といふものは余り上手にいふと、風の神奴が感動して、又暴威を揮ふと困るからなア。そんな事に抜目のある伊太公ぢやないぞ。風の神が呆れて蟄伏するやうに、ワザとに拙劣な歌を歌つて風の神奴を遠ざけたのだ。或る人の狂歌にも……

 歌よみは下手こそよけれ天地の
  動き出してたまるものかは。

……といふ事を知つてゐるか、エーン』
と無暗矢鱈に喋りちらし、うつつになつて細路を前後左右に飛びまはり、踏み外して一間ばかり岩道から辷り落ち、向脛をすりむき、
伊太公『イヽイタい』
と目を顰め、鼻にまで皺をよせ、向脛をさすり『エヘヽヽ』と笑ひ泣く其可笑しさ。
道公『そら見よ、余りアゴタが過ぎると其通りだ。腰抜歌計り詠むものだから、とうとう足曳の山の上で足を引かき、すりむいて、イタイタしくも、伊太公の其ザマ、それだから伊太公なんて言ふやうな名は、つけぬがいゝのだ。のう純公、さうぢやないか、伊太公は丸で鼬のやうな奴だ。とうと、最後屁をひつて、伊太張つた、イヤイヤくたばつたぢやないか、ウツフヽヽ』

純公『いた立てたやうな坂道ふみ外し
  伊太々々しげに伊太さまが泣く。

 すみずみに心を配る純公は
  どこもかしこもすみ渡りける』

道公『神の道、ふみ外したる伊太公の
  泣き苦むは道さまの罰。

 道々にさやる曲津を言向けて
  進み出でます道公司』

伊太公『道公よ、純公、貴様は何をいふ
  どの道此儘すみはせぬぞよ。

 伊太公が、今にイタい目見せてやる
  鼬の最後屁ひらぬよにせよ』

玉国別『道公の道をたがへず伊太公の
  威猛り狂ふ舌もすみ公』

純公『玉国の別命に従ひて
  今日は不思議な芝居見る哉』

道公『又しても風の神奴がソロソロと
  山の横面なぐり相なる。

 サア行かう、早行きませう宣伝使
  風の神奴が追ひつかぬ内』

玉国別『又ソロソロと行かうか、モウ此先は下り坂だ。併し乍ら下り坂は用心をせなくては、石車に乗つて転落する虞があるから、暫く口を噤へて、足の先に力を入れ、コチコチとアブト式に下るのだ。余り喋つてゐると、外へ気を取られて、足許がお留守になるから、一同に注意を施しておく』
道公『ハイ畏まりました。オイ皆の奴、大将軍の命令だ。沈黙だぞ』
伊太公『喋れと云つたつて、かう向脛をすり剥いては痛くつて、喋る所かい。足計りに気を取られて仕方がないワ』
純公『そんなら伊太公、お前は道公さまの後から行け、おれが後から気をつけてやる。宣伝使の命令には、決して今後違背伊太さんと誓ふのだぞ』
道公『ヤアそろそろと純公の奴三千年の沈黙を破つてシヤシヤり出したなア。沈黙々々』
といひ乍ら、玉国別を先頭に一足々々爪先に力を入れて降り行く。伊太公は足をチガチガさせ乍ら、又もや沈黙の封じ目が切れて、雲雀のやうに囀り出した。
『玉国別の宣伝使  此急坂を下る時や
 決して頤を叩くなと  誠に厳しき御命令
 さはさり乍ら伊太さまは  足の痛みに堪へかねて
 どしても沈黙守れない  ウンウンウンウン アイタタツタ
 痛いわいな痛いわいな痛いわいな  そんなに痛くば一寸ぬかうか
 イエイエさうではないわいな  朝から晩まで居たいわいな
 アイタタタツターアイタタツタ  板を立てたよな坂路に
 尖つた小石がガラガラと  おれを倒さうと待つてゐる
 此奴あヤツパリ月の国  大黒主の眷族が
 玉国別の征途をば  邪魔してやらむと待ち構へ
 小石に化けて居るのだろ  コリヤコリヤ道公気をつけよ
 これ程キツい道公の  どうまん中にガラクタの
 腐つた石めが並んでる  これはヤツパリ道公の
 身魂の性来が現はれて  道にさやるに違ない
 あゝ惟神々々  ガラガラガラガラ アイタヽツタ
 それそれ俺をばこかしよつた  向脛すりむいた其上に
 又もやおけつをすりむいた  前と後に傷をうけ
 どうしてこんな急坂が  さう易々とテクられよか
 向ふの空を眺むれば  又もや怪しい雲が出た
 あの一塊の妖雲は  風の鞴に違ない
 皆さま気をつけなされませ  又もや前のよな烈風が
 吹いて来たなら何としよう  空中滑走の曲芸を
 演じて谷間へ転落し  頭も手足もメチヤメチヤに
 木端微塵となるだらう  思へば思へば此峠
 劔の山か針の山  血を見にやおかぬと見えるわい
 旭は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 星は天より落つるとも  海はあせなむ世ありとも
 神の恵のある限り  怪我なく此山スクスクと
 通らせ玉へ伊太公が  ウントコドツコイ、アイタタツタ
 又々石に躓いた  神も仏もないのかと
 心淋しくなつて来た  こんな事だと知つたなら
 お供をするのぢやなかつたに  コラコラ道公純公よ
 貴様は唖になつたのか  俺ばつかりに物言はせ
 返答せぬとは余りぞよ  オツト待て待てコリヤ違うた
 玉国別の宣伝使  篏口令をウントコシヨ
 布かれたことをウントコシヨ  サツパリ忘れて居りました
 広き心の神直日  大直日にと見直して
 どうぞお赦し下さんせ  あゝ惟神々々
 叶はぬ時の神頼み  チツとは聞いてくれるだろ
 コリヤ又きつい坂だなア  アイタタタツタ又こけた』
と言ひながら、河鹿峠の大曲りの山の懐に進んだ。天地もわるる許りの強風、又もや猛然として吹起り、流石の玉国別も最早一歩も進む能はず、木の根にしがみつき、神言を奏上し乍ら、風の渡り行くを待つ事とした。三人も玉国別に傚つて、木の根にしがみつき、ふるひふるひ目をつぶつて、風の過ぐるのを待つてゐる。
(大正一一・一一・二六 旧一〇・八 松村真澄録)
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