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文献名1霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
文献名2第1篇 狂風怪猿よみ(新仮名遣い)きょうふうかいえん
文献名3第2章 懐谷〔1153〕よみ(新仮名遣い)ふところだに
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-01-03 04:34:40
あらすじ玉国別一行は烈風が静まったのであたりを見れば、すでに闇の帳に包まれていた。度胸を定めて道端にみのを布き、夜が明けるのを待つことにした。ふと目を覚ますとほんのりあたりが明るくなっている。玉国別は、正しい言霊を使うよう、一同を諭した。一同は黒雲が風を運んでくるのを見て、急坂を下って日当たりがよい谷間へ着いた。河鹿峠に群生するたくさんの尾長猿は暴風の襲来を前知して、この懐谷を避難所として幾千とも知れず集まってきた。玉国別一行の姿を見て、猿たちは周囲を取り巻いている。伊太公は猿たちに言霊を聞かせてやろうと宣伝歌を歌い始めた。調子はずれな宣伝歌に、猿たちはじりじりと輪を狭めてくる。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月26日(旧10月8日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年7月25日 愛善世界社版21頁 八幡書店版第8輯 36頁 修補版 校定版22頁 普及版8頁 初版 ページ備考
OBC rm4302
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本文  河鹿峠の岩石も  草木も残らず飛び散れと
 云はむばかりに吹きまくる  大山嵐に進みかね
 玉国別の一行は  道の傍の木々の根を
 シツカと掴み打伏して  風の過ぐるを待ち居たり
 一時二時はや三時  待てども止まぬ暴風は
 虎狼の吼ゆるごと  呻りを立てて吹きつける
 日は西山に傾いて  黒白も分ぬ真の暗
 茲に四人の一行は  施す術もなきままに
 是非なく一夜を明かしけり  丑満過ぐる時もあれ
 さしもに烈しき科戸辺の  神は漸く休戦の
 喇叭を吹いて鎮まりぬ  玉国別の一行は
 初めて胸を撫で下し  心を定めて夜明けまで
 やすやす眠りに就きにける。
 玉国別一行は漸く烈風の静まりしに胸撫で下ろし四辺を見れば、真黒の暗の帳は眼前迄濃に包んでゐる。已むを得ず度胸を定め道側に蓑を布き夜の明くるを待つこととした。不図目を覚せばホンノリとそこら中が明くなつて居る。道公は目を擦り乍ら、
『宣伝使様、どうやら夜が明けたやうです。昨日は肝腎の門出の日であるにも拘はらず、暴風襲来で大変に吾々を面喰はせたぢやありませぬか。あんな悪日は何卒続かない様にして欲しいものですな。今日は新しい日天様がお出ましになつたら一同が充分にお願を致しませうか』
玉国別『どうやら今日も風模様らしい。あんまり、仕様もない事を喋り立てるものだから、大神様のお戒めに会うたのだ。これからは各自に口を慎まねばならないぞ。言霊の幸ふ国だから、天地が曇るのも、風が吹くのも、大洪水が出るのも、みんな人間共の言霊が悪いからだ。吾々は言霊を以て、あらゆる枉津神を言向和す大使命を持つて居るのだから、仮にも縁起の悪い事は云はないが宜いぞ』
道公『さうですな、伊太公の奴、しようもない脱線だらけの宣伝歌を得意らしく大風の向ふを張つて吹立てよるものだから神罰が当つて、門出の血祭りに向脛を擦り剥き、赤い血を出したのです。大体二人連れとか三人連れとかなら宜かつたでせうが、一行四人連れと云ふのですから、あまり縁起の宜い事もありませぬわい』
玉国別『コリヤコリヤ道公、お前こそ言霊が悪いぢやないか、四人なんて、しようもない事を云ふな、何是四人と云はぬのだ』
道公『四人と云へば余つた人の様で尚更縁起が悪いぢやありませぬか。私だつて決して余り人間ぢやありませぬ。やつぱり一人前の裸百貫の色男ですからな』
玉国別『あれを見よ、丑寅の空に怪しい黒雲が出た、あれは風玉だ。あいつが一つ吹きつけて来ようものなら昨夜の烈風どころぢやない。早く行進を続けて河鹿峠の懐谷まで到着し、暫く避難をしようではないか。サア行かう』
とスツクと立ち上り慌しく蓑を着し笠を手にシツカと握り杖をつきながら、急坂を下りつつ、懐より麺麭を出してかじりつつ行く。漸くにして河鹿峠の下り坂の中程の懐谷と云ふ南向きの、こんもりとした日当りのよき谷間へ着いた。此箇所は山道の一丁ばかり上である。玉国別一行は漸く此処に到着し蓑を敷き風の通過するのを待つ事とした。
 河鹿峠に群棲する沢山の尾長猿は暴風の襲来を前知して何れも此懐谷を屈竟の避難所として幾千とも知れぬ程集つて来た。さうして玉国別一行の姿を見て驚いたと見え、四五間ばかり近寄り周囲をアトラス形に取まいてキヤツキヤツと目を剥き牙をならし啼き叫んでゐる。
 道公は数千匹の猿に囲まれたのを見て、
『何とマア沢山な庚申の眷族だのう。何奴も此奴も人間に能う似た姿をして赤い顔で吾々を護衛してゐる。此奴もやつぱり風の神が恐いと見えて此処へ避難して来たと見えるわい。庚申の眷族は猿と云ふ事だが庚申と云ふ奴は風を引かす神だ。庚申の晩に風邪に罹ると次の庚申の日まで本復せぬと云ふ事だが、ヤツパリ眷族だけで風に恐れて此処まで陣を引いたのだなア。エー、キヤツキヤツと八釜しう吐かすな、耳が聾になつて了ふわい。亡国的の悲調を帯びた哀音を共唱しよつてアタ縁起の悪い。むかつく代物だなア』
玉国別『アハヽヽヽまたしても、はつしやぎ出したな。アヽ困つた男を連れて来たものだ。おい道公、お前の口は身体より三千年ばかり前へ生れてると見えるな』
道公『三千年前へ口が生れるから三千口と申すのです。アハヽヽヽ三千世界を立直す宣伝使のお供には誂へ向でせう。それ道の以て道とすべきは真の道に非ず。道とせざる所に真の道あり。三千年の御艱難御苦労の神徳現はれて天地の間に充ち満ちにけり。…奥山に紅葉は照れど道なくば如何でか人の訪ひ来るべき…と申しましてな、世の中に何が大切だと云つても道位大切なものはありませぬよ。道といふ字はコトバと読みませう。神の教に「太初に道あり。道は神なり、神は道と偕にあり。万物これによつて造らる。総て世の中の造られたるもの一切は道によりて造られざるはなし」とチヤンと神訓に現はれてゐませう。それだから此道公は神の道にはなくてはならぬ人物ですよ。役者の子が大根を喰はぬのも道の為、浄瑠璃家の子が根深を食はぬのもやつぱり道のためですからな。アハヽヽヽ』
伊太公『モシ宣伝使様、神様の教には神も仏事も人民も鳥類畜類虫族迄も助けるとお示しになつてゐるぢやありませぬか。これ丈け沢山に庚申の眷族が吾々の尊い言霊を聞かして貰はうと思つて集まつて来たのですから、一つ広大無辺の御神徳の籠つた言霊を振舞つてやつたらどんな物でせうなア』
玉国別『ウン』
道公『オイ、伊太公、措け措け。貴様の宣伝歌にはウンザリして了つた。又足曳の山道で向脛を擦り剥いて泡を吹く位がおちだから』
伊太公『向ふの脛ならチツとも痛くないが、やつぱり己の脛だから一寸は困る。然し乍ら前車の覆へるは後車の警めと云ふ聖訓を体得した伊太公だ。先の失敗に懲りて今度はあんなヘマな事はやらぬ積りだ。今度こそ本真剣に宣伝歌を歌ふから謹んで聞け。初めから馬鹿にしてかかられると根つから気乗りがせぬので碌な歌も歌へぬぢやないか。エーン』
道公『さう偉相に法螺を吹くのなら、一つ立派な宣伝歌を奏上して見よ』
伊太公『俺の宣伝歌は今度はとつときの特別上等品だ。山河草木其声に従ふと云ふ生言霊の発射だから用心せないと千里側へ吹き飛ばされて了ふぞ。かう云つても俺の決して法螺でも自慢でもないから真面目に聞かうよ。オイ、純公も心を清め耳を洗つて拝聴しろ。抑も言霊の権威と云ふものは鬼神を泣かしむる豪勢なものだ。かうして宣伝使のお供を命ぜられたのも一方より見れば言霊の練習をして将来立派な宣伝使になるためだ。然し乍ら貴様の様な仕入物では到底満足な宣伝使にはなれないよ。総て人間は天才が手伝はねば駄目だからな』
道公『天才が聞いて呆れるわい。貴様が宣伝歌を歌ふと天地の大神様が怒りを発し給ひ忽ち天災を下し給ふから困つた天才だ。アハヽヽヽ、エー猿の奴、キヤツ キヤツ吐しよつて根つから俺の言霊が不貫徹に終りさうだ。こんな処で言霊を発射する馬鹿があるかい。貴様は機を見る事を知らないから駄目だ』
伊太公『エヘン、機に臨み変に応ずるは天才智者の敢てよくする所、迂愚者の測知し得る限りでない。サア之から庚申の眷族に向つて生言霊の連発銃を発射するのだ。いいか、用心して居らぬと昨夜の烈風の様に吹き飛ばされて終ふぞ』
道公『足曳の山鳥の尾の、又しても長々しい前口上だなア。いい加減に発射して見ろ』
伊太公『かう尾長猿の奴、身辺近く押寄せ来つてはチツとばかり面食はざるを得ない。吾輩の言霊を以て一丁ばかり退却をさして見せるから伊太公の腕前、否言霊の武者振を拝観拝聴なされませ、エヘン。
 三五教の宣伝使  玉国別の音彦に
 従ひ来りし吾々は  至つて尊い伊太公ぞ
 神も仏も人民も  禽獣虫魚の端までも
 生言霊の神力に  助けて進む宣伝使
 オツトドツコイ吾々は  神の司の候補者ぞ
 庚申さまの眷族よ  貴様は風が恐いのか
 懐谷へ集つて  キヤツキヤツと咆えるは何の事
 みつともないぞ、こら畜生  四つ手の化物やうやうと
 枝から枝へと飛び廻り  木の実を喰ひキヤツキヤツと
 朝から晩まで咆え猛る  その有様の面白さ
 あんまり良い気になりよると  猿も木からバツサリと
 落ちて腰打ち足を折り  小便垂れて斃死つて
 非業の最後を遂げるぞよ  俺は誠の神司
 尊き神の生宮ぞ  俺の言葉をよつく聞け
 同じ天地に生れ来て  人間擬ひの猿となり
 頭の毛三本足らぬため  畜生の境遇に甘んじて
 月日を送るか情ない  頭の毛三本足らぬのは
 瑞の御霊の神様の  御恩を忘れた罰ぢやぞや
 早く心を取直し  天地の神の御前に
 四つ手をついて拝礼し  生宮様の言霊を
 耳をすませて拝聴し  一時も早く人間の
 社会に生れて来るがよい  人の真似をば喜んで
 致した罰で此通り  体は人間尾は獣
 畜生道の苦しみを  助けて欲しいと思はぬか
 こらこらキヤツキヤツ吐すなよ  耳が聾になりよるわ
 雲雀か燕か小雀か  何の身霊か知らねども
 あんまり口が過ぎるぞや  玉国別のお言葉に
 沈黙せよと仰有つた  貴様もチツとは伊太公の
 善言美口に神習ひ  しばらく沈黙するがよい
 伊太公さまが今此処に  千匹猿に打向ひ
 篏口令を布くほどに  我憲法を守らねば
 天則違反で天国の  畜生警察へ訴へる
 あゝ惟神々々  如何に畜生と云ひ乍ら
 天地の神の御水火より  生れ出たる貴様等は
 実に憐れな代物だ  一言天地を震動し
 一声風雨雷霆を  叱咤するてふ伊太公の
 生言霊を謹んで  畜生ながらも反省せよ
 吾は救ひの道の者  救ひの神に捨てられて
 如何にガヤガヤ騒いでも  決して助かる筈はない
 早く改心するが良い  改心すれば其日から
 楽に此世が暮れるぞよ  それも知らずに何時迄も
 キヤツキヤツ吐かして山棲ひ  木実の蔕や渋柿を
 食つて此世を送るとは  実に可憐相な代物だ
 とは云ふものの吾々も  人間界に向つては
 大きな声で言霊を  発射するやうな力ない
 今日宣伝の門出に  演習気取りで貴様等に
 言霊戦を試みた  これが利いたらお慰み
 人を助けるばつかりが  決して司の能ぢやない
 鳥獣は云ふも更  虫族までも済度して
 助けて行くのが神の道  これこれもうし宣伝使
 玉国別の神司  俺の言葉は違ひますか
 違ふなら違ふと云ひなされ  あれあれ皆さま猿公が
 両手を合せ拝みよる  よつぽど俺の言霊は
 猿公さまの琴線に  よくよく触れたと見えまする
 如何に畜生なればとて  決して馬鹿にはなりませぬ
 あゝ惟神々々  叶はないから止めませう』
道公『アハヽヽヽ貴様の言霊はよく利くと見えて、おひおひ吾々の身辺に押寄せて来るぢやないか』
伊太公『きまつた事だ。余り有難うて一言も洩らさじと俺の言霊を拝聴してゐるのだ。「苦しうない、近う近う」と云ひもせぬのに身辺に近寄つて来るのだから伊太公の初宣伝も随分有力なものだ』
道公『目的と結果がそれでも違ふぢやないか』
伊太公『そんなら貴様、猿公を退却させて見い。もし効能があつたら俺の首でも熨斗つけて貴様に献上するわい』
玉国別『猿の奴も随分八釜しいが、それにもいやまして貴様等も騒がしい奴だな。まるで雷と同居してる様だ。アハヽヽヽ』
(大正一一・一一・二六 旧一〇・八 北村隆光録)
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