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文献名1霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
文献名2第3篇 河鹿の霊嵐よみ(新仮名遣い)かじかのれいらん
文献名3第11章 帰馬〔1162〕よみ(新仮名遣い)きば
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-01-08 21:10:27
あらすじ治国別一行は、バラモン軍の片彦、久米彦両将軍の一隊が馬上にまたがり、困難の態で登ってくるようするを面白げに見下ろしている。治国別は、先陣を願い出た万公に対して、三人心を合わせて敵の一人一人に善言美詞の言霊を浴びせかけるようにと言い渡した。バラモン軍がやってくると、万公は細い谷道に飛び出して立ちはだかり、自分は三五教の宣伝使見習いだと名乗って止まるように呼ばわった。バラモン軍の騎士はそこをどけと怒鳴りつけ、万公と言い争いを始めた。治国別は万公に、争いをしないで言霊を用いるようにと注意したが、万公はさっぱり言霊が出ないというので、晴公に代わりを命じた。しかしバラモン軍はその言霊には耳にもかけずに坂道を登ろうとする。万公はバラモン軍を怒鳴りつけたので、軍隊の馬たちは荒れ狂いだした。治国別は荘重な声で歌い始めた。三五教の教えに目覚めて真の神の道を悟るように諭し聞かせる言霊に、バラモン軍の騎士たちは馬を飛び下りて一目散に山腹を駆け降り、元来た道を引き返し始めた。治国別は改心させずに追い返したことを残念がったが、玉国別の一隊がさらに逃げてくる敵に言霊を発射するだろうとバラモン軍の後を追いかけた。万公は得意になって滑稽な歌を歌いながら坂を下って行く。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月27日(旧10月9日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年7月25日 愛善世界社版166頁 八幡書店版第8輯 89頁 修補版 校定版175頁 普及版71頁 初版 ページ備考
OBC rm4311
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本文  治国別一行は、片彦、久米彦の一隊馬上に跨り、いとも困難の態にて登り来る様子を面白気に見下して居る。
万公『ヨウ、おいでた おいでた強敵御参なれだ。この細い坂道を蜿蜒として長蛇の登るが如く行進し来る光景は丸で絵巻物を見る様だなア。霜黒葛来るや来るや痩馬の、毛曽呂毛曽呂に屁を放き来るといふ珍妙奇天烈の大部隊だ。マアゆつくりと此処に待つて居ませう。仮令何百人居つた所で一列より進む事は出来ないのだから、一人々々将棋倒しにやつつければ手間も暇も要つたものぢやない、さてもさても運の悪い奴だな。一卒之を守れば、万卒進む能はざる絶所と云ふものは此処の事だらう。アハヽヽヽ、治国別様、何と愉快ぢやありませぬか』

治国別『仇人の攻め来る見れば流石にも
  八岐大蛇の姿なるかな』

万公『面白し蜈蚣の陣を張り乍ら
  寄せくる敵も竜頭蛇尾に終はらむ』

晴公『遥々とハルナの都を立ち出でて
  河鹿峠で泡を吹くかな』

五三公『風が吹く此山道で泡を吹く
  五三公之見て法螺を吹くなり』

治国別『心せよ三人の司惟神
  神に任せて刃向ふな夢』

万公『大神の館を汚す枉神を
  見逃し返す事やあるべき』

晴公『人は皆天と地との御子なれば
  仇と云へども憎むべしやは』

五三公『一条の此急坂を登り来る
  馬の足並危く見ゆるも』

 治国別は悠然として坂道の傍に腰を卸し、上り来る敵の大部隊を見下し乍ら、
『ヤ、三人の者共、此治国別が敵の大将に掛合を初むるまで、お前等の方から慌て出しては可かないぞ、呉々も注意しておく』
万公『さうだと申して素知らぬ顔して居れば、いゝ気になつて斎苑館へ進撃するぢやありませぬか。今となつて、そんな事を仰有ると、何だか張りきつた力がサツパリ抜けて了ふぢやありませぬか』
治国別『これしきの敵軍に対し、かかる有利の地点に陣取り乍ら、別に力も何も要つたものぢやない。一人々々捉へて善言美詞の言霊を浴せかけ、誠の道に帰順さすれば可いぢやないか。然し乍らお前等が慌て出すと、却て折角の作戦計画が画餅に帰す様の事があれば、千仭の功を一簣に欠く様なものだ。まづまづ落ち着いたが宜からう』
万公『さうだと云つて何だか気が勇んでなりませぬわ。此言霊戦は私に先陣を仰付け下されますれば有難う厶います』
治国別『ウン、しつかりやれ、私はここでお前の言霊の発射振りを観戦する。晴公、五三公を貸してやるから、三人心を協せ敵に向つて慈悲の弾丸を打出すのだ。いゝか、分つたかな』
五三公『エ、今自費の弾丸を打出せと仰有いましたが、私は自費の弾丸も官費の弾丸も持つてゐませぬが如何致しませうかな』
万公『エー、分りもせぬ癖に喋くるない。慈悲と云ふ事は恵と云ふ事だ。ま一つわつて云へば情と云ふ事だ。シンパシイの心を以て敵に向へと仰有るのだ。貴様は如何しても現界的の頭が脱けぬと見えて、直に何事でも統計的に解釈し、官費だの自費だのと会計係か何かの様に直に、そんな処へ持つて行きやがるのだ。物質的欲望の垢がとれぬと見えるわい。本当に困つたものだな。モシ先生、こんな奴を言霊戦に参加させちや、却て味方の不利です。五三公だけは謹んで返上致しますから、何卒、塵紙にでも包んで明日の十二時まで、懐か袂へ入れてしまつておいて下さい』
五三公『何を吐しやがるのだい。俺を虫族扱にしてるぢやないか。そんな事で善言美詞の言霊を使ふ神司と云へるかい。本当に言霊の悪い奴だな』
 敵の軍隊は峻坂をエチエチと漸く四五間前まで登つて来た。ズツと谷底を見渡せば二三十丁ばかりも騎馬隊が続いてゐる。万公はツカツカと先鋒に立つた騎士の前に進みより、大手を拡げて、
『バラモン教の軍人共、暫く待つた』
騎士『其方は吾々の進軍を妨げ様と致すのか、怪しからぬ奴だ。そこ除け、愚図々々致すと、此槍の切先がお見舞申すぞ』
万公『アハヽヽヽ吐したりな吐したりな、ヘナチヨコ士奴、俺を誰だと心得てゐる。勿体なくも辱なくも、天地の御先祖と現はれ給ふ大国治立尊の御守護遊ばす三五教の宣伝使の見習生だ、今日只今汝等の一隊河鹿峠を渡り斎苑の館へ攻め寄せ来ると聞き、此処に待ち伏せて居つたのだ。サア此先、一足でも進めるものなら進んで見たがよからうぞ』
と大手を拡げ眉を上げ下げし目をクリクリと回転させ、芝居気取になつて見えを切つた。
騎士『アハヽヽヽ御供にも立たぬ蠅虫奴等、其広言は後に聞かう。サア之からは槍の錆だ、観念致せ』
万公『エー、愚図々々吐すと言霊の発射だぞ』
騎士『アハヽヽヽヽ怪体な奴が現はれたものだな』
 先鋒隊の一人が立ち止まつたので、追々やつて来た騎馬隊は急坂に立止まり、立往生の態である。後の方から久米彦将軍は采配を打ち振り、『進め進め』と厳しき下知をやつて居る。殿には又もや一人の将軍、采配を打ち振り『進め進め』と叱咤してゐる。先に立つた騎士は万公に遮られて進みも得ず、仏頂面を馬上に曝し、髪逆立てて呶鳴つてゐる。
騎士『コリヤ、小童子共、道を開け』
万公『ハヽヽヽヽ弱つたか。何程敵が沢山攻め寄せ来るとも此難所、一度に二人とかかる事は出来ようまい。一人々々虱殺しにやつてやらうかい』
治国別『コリヤコリヤ万公、争ひを致せとは決して命令しない。何故善言美詞の言霊を用ひないのか』
万公『言霊よりも私の腕が先陣を勤めたがつて仕方がありませぬわ。言霊軍隊はサツパリ休戦の喇叭を吹いたと見えます。如何しても出て来ませぬがな』
治国別『そんなら晴公、お前代つて言霊を発射せよ』
晴公『ハイ、確に承知致しました。
 三五教の宣伝使  治国別に従ひて
 ここに現はれ来りしは  御空も清く晴れ渡る
 晴公さまの宣伝使  吾言霊を放ちなば
 一歩も此山進めまい  早く馬より下り来て
 善言美詞の三五の  世人を救ふ御教を
 心を鎮めて聞くがよい  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 星は天より落つるとも  悪の栄えし例ない
 大黒主に従ひし  枉の軍の人々よ
 一時も早く村肝の  心の駒を立直し
 仁慈無限の大神の  清き教を聞くがよい
 人は神の子神の宮  同じ天地に生れ来て
 争ひ憎み戦ふは  皇大神の御神慮に
 背反したる醜業ぞ  今打出す言霊を
 心を据ゑてよつく聞け  大黒主は強くとも
 手下は如何に多くとも  天地を造り給ひたる
 神に対して刃向ふも  如何でか終を完うせむ
 一時も早く目を覚ませ  あゝ惟神々々
 神に誓ひて晴公が  汝等一同に気をつける』
 晴公が熱誠をこめて宣り上げた生言霊を耳にもかけず、馬に鞭撻ち一目散に坂道を上り行かうとする。万公は只一騎にても此峠を通過させてはならないと、雷の如き大音声を張り上げ、
万公(大声で)『待て、曲者』
と呶鳴りつけた。先に立つた騎士は此声に辟易し、馬は驚いて危険な谷道で荒れ狂ふ。先頭に立つた馬の足並乱れたるを見て、次の馬も亦何に驚いてか荒れ狂ひ出した。一匹の馬が狂へば千匹の馬が狂ふ譬へ、次から次へ伝染して、数百頭の馬はヒンヒンと嘶き乍ら飛び上り、何れの騎士も其制御にもちあぐんでゐた。
万公『ハヽヽ、晴公の婉曲な生言霊よりも俺の一喝が余程利いたと見えるわい。一人でも万公だから万倍の力が備はつてゐると云ふ事を今実験した。エヘヽヽヽ愉快だ愉快だ、何の馬も此の馬も一度に狂ひ出したぢやないか』
晴公『馬鹿云ふな、晴駒が狂うたのだ。晴公の言霊で駒が狂ふから春駒と云ふのだよ。「咲いた桜に何故駒つなぐ、駒が勇めば花が散る」エヘヽヽヽヽ一番槍の功名はやつぱり晴公だよ』
 治国別はいと荘重な声にて歌ひ初めたり。
『誠の神が現はれて  河鹿峠の峻坂で
 善神邪神を立て別ける  バラモン教の司等
 吾言霊を聞召せ  人は神の子神の宮
 天と地との御水火より  生れ出でたるものぞかし
 月は御空に照り渡り  日は晃々と輝ける
 無事太平の天国に  憎み争ひあるべきぞ
 一日も早く三五の  仁慈無限の御教に
 眼を覚ませ耳すませ  吾言霊を聞し召せ
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  星は空より落つるとも
 印度の海はあするとも  大黒主の軍隊は
 如何に勢ひ強くとも  皇大神の御道に
 背きて事の成るべきぞ  省み給へバラモンの
 神の教の司等  其外百の軍人
 吾等は茲に謹みて  汝ら一同神の代に
 安く楽しく救はむと  真心こめて言霊の
 光を現はし奉る  此世を造りし神直日
 心も広き大直日  只何事も人の世は
 直日に見直し聞直し  身の過を宣り直す
 誠の神の御教を  諾ひませよ惟神
 神に誓ひて亀彦が  治国別と現はれて
 汝等一同に宣り伝ふ  あゝ惟神々々
 御霊幸ひましませよ』
と歌ひ終るや、先に立つた騎士は馬をヒラリと飛び下り、一目散に道なき山腹を駆け下る。一同の騎士は之に做つて、何れも吾遅れじと馬を飛び下り一目散に引き返す、其可笑しさ。馬も是非なく妙な腰付し乍らコツリコツリと引き返し帰り行く。
万公『アハヽヽヽヽ何と脆いものだな。如何に鬼神だとてこんな時に敵に出会したら堪つたものぢやないわ。何と神様はいい時に出会はして下さるものだ。之だからあまり急いても、遅れても、不可と云ふのだ。もしも登り坂で出会さうものなら斯う埒よく行かないが都合のいい地点だつた。アハヽヽヽ有難い有難い治国別様、万公の初陣は如何で厶いましたな。屹度金鵄勲章が頂戴出来るでせう』
治国別『ウン、遺憾乍ら改心させずにぼつ返して了つた。然し乍ら此峠で喰ひとめた丈けが、まだしも吾々の職務が勤まつたと云ふものだ。先づ一服したら宜からう。逃げ行く敵に玉国別の一隊が祠のあたりで又もや言霊を発射してるだらう。敵になつても堪つたものぢやないわ』
五三公『何と先生の言霊はよく利きますなア。晴公の言霊が十五点なら先生のは万点ですわ。いやもう恐れ入りました。オイ万公、敵の勢に辟易して今迄の広言に似ず絶句して一言も発射出来なかつたぢやないか。大方開いた口がすぼまらなんだのか、すぼんだ口が早速に開かなんだのか、何と云ふ惨目な態だつたい』
万公『ナニ、俺のは荒木細工だ。荒木棟梁だ。晴公のは小細工棟梁だ。先づ此万公さまが、うまうまと荒削りをやつて置いたものだから、晴公の言霊も如何なり斯うなり発射出来たのだよ。先生のは、こりや特別だ。さぞ今頃は敵の奴、狼狽してゐることだらう。ヤア、月が俄に雲の衣を被り給うた。あの雲さへのけば敵の敗亡を見下ろすに都合が好いのだけどな。アハヽヽヽエヘヽヽヽヽ』
治国別『サア、ボツボツと出掛ようか。玉国別さまと屹度衝突してるだらう。之から後おつかけて、もう一戦しよう』
と立ち上り先に立つて下りゆく。谷間の彼方此方には敵の乗り捨てた馬が嘶いてゐる。万公は得意になつて月下の道を下りつつ歌ひ初めた。
『ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ  河鹿峠はきつい坂
 やうやう登りつめた時  月の光は皎々と
 数十里にも亘りたる  原野を照らし給ひつつ
 吾等一行守ります  あゝ有難し有難し
 治国別に従ひて  二人の弱虫諸共に
 坂の此方に来て見れば  風が持て来る鐘の音
 こりや堪らぬと雀躍し  待つ間程なく登り来る
 数百人の騎士の隊  忽ち万さま躍り出で
 疾風迅雷息つかず  大喝一声言霊を
 ドンと一発打出せば  先登に立つた騎士の奴
 忽ち青い顔をして  地震の孫か菎蒻の
 幽霊見たよにブルブルと  震ひ出したる可笑しさよ
 ウントコドツコイ危いよ  夜目にはしかと分らねど
 馬の足形沢山に  所狭き迄ついてゐる
 あゝ惟神々々  一時も早く此坂を
 トントントンと下りつき  祠の森に待ち給ふ
 玉国別の宣伝使  其他の一行におひついて
 バラモン教の敵軍を  片つ端から薙ぎ倒し
 善言美詞の言霊を  雪か霰か夕立の
 降り濺ぐ如浴びせかけ  誠一つの三五の
 教を深く暁らしめ  ウントコドツコイ曲り道
 ウツカリすると滑るぞよ  コリヤコリヤ五三公気をつけよ
 晴公も同じ事ぢやぞや  治国別の宣伝使
 貴方も気をつけなさいませ  何処かそこらの木の蔭に
 敵の片割潜伏し  不意に手槍を扱きつつ
 突掛来るも図られず  あゝ惟神々々
 神素盞嗚神様よ  何卒吾等が一行を
 守らせ給ひて逸早く  曲津の軍を帰順させ
 貴方の御側へ復言  申させ給へと万公が
 満腔の熱誠捧げつつ  謹み敬ひ願ひます
 朝日は照るとも曇るとも  月黒雲に隠るとも
 此山道は如何しても  渡らにやならぬ吾々は
 神の恵みを蒙りて  依さしの使命を果さぬと
 何しても斯しても済みませぬ  ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ
 又もやそこに曲り道  殊更きつい坂がある
 斯う云ふ内にも気が急いて  玉国別の身の上を
 案じ出されて仕方ない  あゝ惟神々々
 御霊幸ひましませよ』
(大正一一・一一・二七 旧一〇・九 北村隆光録)
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