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文献名1霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
文献名2第3篇 裏名異審判よみ(新仮名遣い)うらないしんぱん
文献名3第10章 棚卸志〔1200〕よみ(新仮名遣い)たなおろし
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-02-26 19:01:14
あらすじ魔我彦は松姫に振られ、小娘のお千代にも馬鹿にされてむしゃくしゃしていたが、松姫ばかりが女じゃないと負け惜しみに気を取り直し、広間の演壇に登って道の話を講釈しながら若い女信者を物色して悦に入っている。続いてお寅が登壇し、蠑螈別との痴話喧嘩は棚に上げて澄ました顔で神の道を説いた。そこに、祭官のいでたちをしたお千代がやってくると臆せずに演壇に登り、神に祈願を籠めると講話をはじめ出した。お千代は親子の縁や恩の大切さから話はじめるが、そのうちに昼間から酒におぼれる蠑螈別への苦言をあからさまに語り、教祖の行いがどうであれ主の神を敬愛するようにと伝え、檀を下りるとしずしずと松姫の館に帰って行った。蠑螈別の醜態をお千代の口から聞いた信者たちはガヤガヤとどよめき渡り、教団の人物論に花を咲かせていた。群衆の中から熊公と名乗る赤ら顔の四十男が立ち上がり、自分は今まで騙されていた、ウラナイ教はうその教えだなどと怒鳴り始めた。お寅はそれを聞きつけて熊公を懐柔しようとし、教団の実態を見せて誤解を解くと言って、信者たちのどよめきが収まらない広間を後にして奥へ連れてきた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月12日(旧10月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月12日 愛善世界社版161頁 八幡書店版第8輯 308頁 修補版 校定版169頁 普及版63頁 初版 ページ備考
OBC rm4510
本文のヒット件数全 2 件/ウラル教=2
本文の文字数6532
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本文  恋に破れし魔我彦は  曲つた腰をピヨコピヨコと
 前後左右に振り乍ら  右手にて額を打叩き
 左手の手のひら上に向け  乞食が物を貰うよな
 其腰付も面白く  腹立たしさと阿呆らしさ
 お千代の小女郎に笑はれて  己クソとは思へ共
 子供上りの女をば  相手にするのも気が利かぬ
 大人気ないと笑はれちや  魔我彦司の男ぶり
 箔がサツパリ剥るだろ  勘忍するのは無事長久
 怒るは自滅を招くぞと  蠑螈別さまが仰有つた
 俺も男ぢや腹帯を  確り締めてきばらうか
 イヤ待て暫しまて暫し  善と悪との境目だ
 腹の虫奴がムクムクと  おこれおこれと教唆する
 此仲裁は中々に  お寅婆アさまの侠客も
 一寸容易に治まらぬ  あゝ是非もない是非もない
 善と悪とのまん中を  進んで行かうかオヽさうぢや
 それなら虫がチと計り  得心致すに違ない
 なぞと小声に囁きつ  畳けちらし棕櫚箒
 足に引かけエヽ邪魔な  俺の進路を妨げる
 恋ふき払ふ此箒  頼みもせぬに横たはり
 箒に箒に憚りさま  俺には俺の覚悟ある
 松姫計りが世の中に  決して女ぢやあらうまい
 此神殿に集まつた  老若男女の其中に
 俺の眼に叶ひたる  ナイスが居るかも分らない
 首実検と囁きつ  演壇めがけてスタスタと
 息をはづませ駆上り  エヘンとすました咳払ひ
 コツプの湯をばグツと呑み  片手に白扇ひン握り
 卓を二三度叩きつつ  一統の信者を打ながめ
 眼を光らす折もあれ  後の方に扣えたる
 二八余りの優姿  一寸美はしう見えてゐる
 女に視線を集注し  首をかたげて打まもる
 其スタイルは夏の蛇  蛙を狙ふ如くなり
 異様の姿に一同は  合点行かずと打仰ぎ
 思はず視線は魔我彦に  一度にドツと集注し
 面をてらし迫れ共  以前のナイスは何故か
 顔をかくしてうづくまり  根つから視線を魔我彦に
 向けよとせないもどかしさ  又もやエヘンと咳払
 コツプの湯をばグツと呑み  講談師気取で扇にて
 パチパチ卓を打ち乍ら  皆さま能うこそ御参詣
 ウラナイ教の神様の  血縁深き方々よ
 此魔我彦が説教を  謹みお聞き遊ばせよ
 同じ一堂に集まつて  尊き神の御教を
 説かして頂く魔我彦も  又聞きなさる皆さまも
 仁慈の神の引合せ  深い御縁があらばこそ
 同じ時代に生れ来て  同じ地上に住み乍ら
 血縁なくば一言も  尊き神の御教が
 聞かれず一生送るもの  何程あるか知れませぬ
 之を思へば皆さまは  私と共に神様の
 御霊の因縁性来で  集まり来たのに違ない
 一樹の蔭の雨やどり  一河の流れを汲むさへも
 深いえにしと聞きまする  大慈大悲の神様の
 集まり玉ふ聖場で  げに暖き御恵み
 ピヨピヨピヨと雛鳥が  親の羽がひにつつまれて
 一蓮托生勇み立ち  生育するよな有難き
 皆さま御恩を忘れずに  信と愛との正道を
 お尽しなされ神様は  必ず吾等の霊をば
 愛して救ひ玉ふべし  夫婦の道も其通り
 因縁なくては何うしても  神の生宮造り出す
 尊き神業出来ませぬ  此魔我彦も独身者
 未だ女房はなけれ共  いよいよ時節が到来し
 妹となるべき御信者が  ここにも一人現はれた
 好きでも厭でも神様が  お定めなさつた縁ならば
 決して反きは出来ませぬ  皆さまそこを合点して
 今魔我彦が引はなす  白羽の征矢が立つた人
 否応なしに神様の  其御心に服従し
 信と愛とを完全に  お守りなされ惟神
 神の命令を畏みて  一同の方に気を付ける
 私の妻となる人は  どうやら此場に現はれて
 恥かし相に顔そむけ  思案にくれて居られます
 これこれモウシそこの人  神の道をば守るなら
 何の遠慮がいるものか  決して恥しことはない
 ウラナイ教の副教主  魔我彦司の奥さまと
 なつて数多の信者をば  天国浄土に誘ひ上げ
 救ひ助くる正業に  夫婦並びて仕ふるは
 天下に此上なき光栄ぞ  人は決心が第一だ
 世間の人に胡魔かされ  神の結んだ縁をば
 むげにするよな事あらば  其御方は一生の間
 鰥寡孤独の境遇に  泣かねばならぬ神の罰
 ここの道理を汲み分けて  魔我彦司の云ふ事を
 どなたに限らず喜んで  お受けなさるが神様に
 対して孝行といふものだ  あゝ惟神々々
 神に誓ひて魔我彦が  誠の道を伝へおく
 私は之から降壇し  次のお先生はお寅さま
 尊き話をトツクリと  聞いてドツサリ神徳を
 頂きなされや皆の人  なぞと口から出放題
 恋の野望を達せむと  神を松魚節に引出して
 説きまくるこそづうづうしけれ。
    ○
 蠑螈別と奥の間で  犬さへ喰はぬ痴話喧嘩
 心ゆくまで意茶ついて  腕を抓る鼻ねぢる
 ドスンと倒れて目をまはす  前代未聞の大珍事
 乱痴気騒ぎをやり乍ら  そ知らぬ顔をよそほひつ
 衣服を着飾り襟正し  神官扇を右手に持ち
 紫袴をバサバサと  音させ乍ら広前を
 臭い顔して悠々と  進み来るのはウラナイの
 第一番の熱心者  内事の司と選まれし
 艮婆サンの御登壇  お寅は悠々壇上に
 つつ立ち眼下の群集を  隅から隅迄見まはして
 オホンと一声咳払  錫の瓶から水をつぎ
 左手にコツプをひつつかみ  グツと一口呑みほして
 今度はエヘンと咳払  お寅は口をあけて云ふ
 皆さま能うこそ御参詣  さぞ神様もお喜び
 遊ばしまして御神徳  ドツサリ渡してくれませう
 蠑螈別の教祖さま  登壇遊ばすとこなれど
 神界御用が御多忙で  数多の神の御入来
 お酒の接待忙しく  あつちや向いてこつちや向くひまもない
 さうだと申して神様の  定めおかれた説教日
 欠席するのも如何なり  お寅よお前は御苦労だが
 私に代つて一席の  尊き神のお話を
 一同様にねもごろに  聞かしてくれよと御託宣
 否むに由なく此婆も  無調法者とは知り乍ら
 何を言うても神柱  蠑螈別の御命令
 お受け申して今ここに  登壇したよな次第です
 抑も神の御道を  信仰するのは人間の
 僅百年二百年  三百年の生命を
 安全無事に暮さうと  するよな小さいことでない
 万劫末代生き通し  夜なく冬なき天界の
 神のまします霊の国  天人共が永久に
 不老と不死を楽しんで  栄えて暮す天国へ
 此世を去つた其後は  直に救はれ導かれ
 五風十雨の序よく  風は自然の音楽を
 無限に奏で山や野の  草木は自然の舞踏をば
 楽しみくらすパラダイス  其天国に救はれて
 千代に八千代に永久に  時間空間超越し
 限りも知らぬ楽みを  受くるが為の信仰ぞや
 蠑螈別の教祖は  高天原の霊国の
 神の遣はせしエンゼルよ  此エンゼルの言の葉は
 此世を造り玉ひたる  誠の神のぢきぢきの
 其お言葉も同じこと  必ず疑ひ遊ばすな
 智慧なき人の身を以て  尊き神の言の葉を
 審判するこた出来ませぬ  仮令蠑螈別さまが
 山逆さまに登れよと  無理なことをば云はれても
 決して反いちやなりませぬ  只何事も信仰が
 最第一の助け船  此世の泥に漂へる
 賤しき吾々人間は  何と云つても神様の
 救ひの御手に助けられ  一寸先の見えわかぬ
 夢のうき世を安々と  渡り行くのがウラナイの
 神の信徒の務めです  どうぞ皆さま此婆の
 今云ふことを疑はず  神の教を喜んで
 此世に生きて御子を生み  又天国に昇りては
 常世の春の栄えをば  楽しむやうに信仰を
 強くお励みなされませ  不束者が現はれて
 訳の分つた皆さまに  脱線だらけの説教を
 申上げたはすまないが  心をひそめ胸に手を
 あてて考へなさるなら  どこか取るべき所がある
 老婆の話と卻けず  直日に見直し聞直し
 大神徳を身と魂に  十分お受けなされませ
 国治立の大御神  五六七成就の大御神
 旭の豊栄昇姫  左の脇立ユラリ彦
 其妻神の上義姫  それに続いて義理天上
 日出神は云ふも更  リントウビテン大御神
 木曽義姫の大御神  生羽神社の大御神
 岩照姫の大御神  日の丸姫の大御神
 大将軍や常世姫  ヘグレ神社の大御神
 種物神社御夫婦の  御前に謹み艮が
 尊き教を皆さまに  無事に伝へた御礼を
 畏み畏み申します  御一同様左様ならと
 一寸会釈を施して  神官扇を斜にかまへ
 口をへの字に結びつつ  ツンとすまして衣摺の
 音サワサワと帰りゆく。  斯かる所へスタスタと
 やつて来たのはお千代さま  蕾の花の優姿
 白装束に緋の袴  ふり分け髪を背にたらし
 小さき扇を右手に持ち  おめずおくせず演壇に
 悠々登りテーブルの  下から顔を突出して
 紅葉のやうな手を合せ  神に祈願をこめ終り
 一同の信者に打向ひ  コマしやくれたる口元で
 神の教を説き始む  其有様の愛らしさ
 老若男女は肝つぶし  目を見はりつつ乙女子の
 口の開くを待ちゐたり  満座の信者一同様
 私は神の神徳を  力に一口お話を
 覚束乍ら皆様に  言ときさして貰ひます
 此世の中で一番に  尊い者は神の愛
 それに続いて親の愛  愛がなければ世の中は
 殺風景の修羅場裡  地獄畜生餓鬼道が
 忽ち出現致します  私は不運な生れつき
 父と母との行方をも  知らずに十二の今日迄も
 人の情に助けられ  此世を送つて参りました
 山より高き父の恩  海より深き母の恩
 育ての親の高恩は  これにもましていや高く
 ますます深きものですよ  ウラナイ教の神様に
 お参りなさるお寅さま  いと親切に私を
 これの聖場に導いて  尊き神の御教を
 心に刻んで下さつた  其お恵みは吾身をば
 生み玉ひたる父母に  百倍まして有難い
 御恩と仰いで居りまする  茲に並んだ皆様も
 父と母との御恩をば  いと有難く思ふなら
 それにもましていや高く  ますます深き神の恩
 お悟りなさるに違ない  さは去り乍ら神様に
 如何なる愛がゐます共  如何なる力がおはす共
 其神徳を吾々に  取次ぎ遊ばす神司
 なけねば縁は結ばれぬ  之を思へばウラナイの
 蠑螈別の教祖さまは  吾等を神に導いた
 御恩の深き神柱  如何なることをなさつても
 親と主人は無理をいふ  ものだと諦めをればよい
 とは云ふものの教祖様を  大事と思ふ人あらば
 面を冒して教祖さまを  一つ改心なさるよに
 にがい言霊打出し  御恩を返して下さんせ
 それが誠の信者さまの  神にささぐる務めぞや
 私がこんなこといへば  至仁至愛の教祖さまを
 悪口申すと思召せど  決してさうではありませぬ
 天地の神が沢山に  肉のお宮に出入りを
 なさると甘い理屈つけ  朝から晩までドブ酒を
 呑んで胃腸を損害し  顔の色まであせはてて
 青白うなつて居りまする  お酒を呑めば顔色が
 赤くなるのが当前  蠑螈別の神さまは
 呑めば呑む程青くなる  これは全くアル中の
 証兆なりと見なすより  外に判断つきませぬ
 酒ほど悪いものはない  徳利は踊る膳はとぶ
 ふすまはこける盃は  木端みぢんにふみ砕く
 らんちき騒ぎが起るのも  酒と悋気のいたづらだ
 蠑螈別は云ふも更  魔我彦さまやお寅さま
 口の先ではエラ相に  立派なことを云うたとて
 言行一致でない上は  どうして権威がありませう
 知らぬお方のお耳には  殊勝らしくも聞えませうが
 其内幕を知悉した  私の耳に層一層
 滑稽至極に聞えます  あゝ惟神々々
 神が表に現はれて  善を表に標榜し
 ひそかに悪を敢行し  此世を欺く曲人を
 大鉄槌を下されて  いましめ玉へ天地の
 恵の神の御前に  謹み敬ひねぎまつる
 朝日は照る共曇る共  月は盈つ共虧くる共
 星は天より墜つる共  神の教は皆さまよ
 決して捨てちやなりませぬ  仮令教祖の行ひが
 神の心に反く共  曲津の器であらう共
 此世の元の神様に  決して変りはありませぬ
 此世に形を現はした  人をたよりになさらずに
 肉眼にては見えざれど  確にゐます主の神を
 敬ひ愛し且つ信じ  たゆまず屈せず信仰を
 励ませ玉へと乙女子の  をさなき身をも省みず
 一同に伝へまゐらせる  あゝ惟神々々
 御霊幸倍ましませよ。
とお千代は両親に会つた嬉しさに勇気百倍し、小ざかしくも思ひ切つて、大胆に無遠慮に日頃の所感を残らずさらけ出して了ひ、悠々として壇を降り、一同に軽き目礼を施し乍ら、松姫の館を指して徐々帰り行く。
 お千代の乙女の口から遺憾なく曝露された蠑螈別教祖の醜体を始めて耳にした信者も少くなかつた。何れも案に相違な面持で、ガヤガヤとぞよめき渡り、蠑螈別、お寅婆アさま、魔我彦、お千代などの人物比較論に花を咲かした。群集の中より赤ら顔の四十男ムツクと立上り、
『皆さま、私は酔どれの熊公といはれ、ウラル教の信者で厶いました。そした所、ウラル教は御存じか知りませぬが、呑めや騒げよ一寸先や暗よ……といふおつな教でげす。随分朝から晩までデツカンシヨ デツカンシヨで山を呑み、先祖ゆづりの田畑を呑み、家を呑み、倉を呑み、何もかもスツカリコンと未練の残らぬ様に、胃の腑のタンクに格納して了つたのです。余り酒を呑むので、女房は子供をつれて、親の里へ帰り、酔どれの熊公も独身の淋しさ、フトしたことから、人に誘はれてウラナイ教に入信致しました。ウラナイ教は誠に行ひのよい教で、天下太平上下一致、争ひもなく恨もなく、又教祖様はお酒が好きださうだが、少しも辛抱しておあがり遊ばさず、自分の口へ入れても皆神様がおあがりになり、自分は一滴もおあがりにならぬものと聞いてゐました。そした所が豈図らむや、今のお千代さまのお話に承はれば、朝から晩迄神様を出汁にズブ六に酔うて厶るといふ事です。子供は正直だから、滅多に間違はありますまい、エヽ馬鹿らしい今までだまされて居つたと思へば腹が立ちますわ、私は別に人間を信仰してるのでないから、神様を信じて居れば能いといふ様なものの、神の御取次たる教祖其他の幹部の役員が、朝から晩迄、人の膏血を絞つて、酒にくらひ酔つてゐるとは誠に怪しからぬでは厶らぬか、これでもあなた方は此教を信仰致しますか。口で何程立派なことを云つても、行ひの出来ぬ先生を手本とすれば、ヤツパリ品行が悪うなります。お前さま達も大切な息子や娘をお持ちでせうが、こんなこと教へられうものなら、其害の及ぶ所、一家は申すに及ばず、天下の害毒になりますよ』
と奥の間に聞えよがしに大声に呶鳴り立ててゐる。お寅は此声を聞つけ慌ただしく走り来り、
お寅『モシモシ熊さま、お腹立は御尤もだが、何を云つても子供の申したこと、取上げるといふことがありますかいな。あんたハンも立派な男でゐ乍ら、あんな小娘の云ふことを真に受けて怒るなんて、ヘヽヽヽヽ、本当にやさしい方だなア、こんな優しい男だつたら、私もチと若ければ一苦労するのだけれどなア、本当に憎らしい程可愛いワ』
と平手でピシヤピシヤと頬辺をなぐりつける。
熊公『コリヤ、ナヽ何をさらす、失礼だないか、俺の頬辺を叩きやがつたな』
お寅『ホヽヽヽヽ、余り意気な男だから、可愛さ余つて憎さが百倍、知らぬ間に手が出たのよ、サアそんなことを言はずに、蠑螈別様の所へ来て下さい。そすりや神様がお上り遊ばすのか、教祖がおあがり遊ばすか、分りませう。其上で皆様に証明して上げて下さい。お前さまも酒に苦労したお方だから、一寸御覧になつたら、忽ち真偽がお分りでせう』
熊公『ウン、さう言へば分つてる、よし、そンなら調べて来う。ヤア皆の信者さま、どうぞゆつくりとおかげを頂きなさいませ。今熊公が申上げたこと、間違つてゐるかゐないかといふことを、今お寅さまに従いて教祖の居間へ進み、検査をした其上で、もしも私の云つたことが間違つてゐたら取消しますし、間違つて居らなかつたら、信仰をおやめなさつたが宜しからう、併し乍ら信仰は、貴方方の自由だから、強要は致しませぬ』
お寅『コレ熊さま、野暮なことをいふものだない。サアゆきませう』
と怪しき視線を熊公に注ぎ、手首を一そ力入れてきつと握り、引たくるよにして、サツサと此場を立つて行く。あとには数多の老若男女、口々にザワザワとぞよめきつてゐる。
(大正一一・一二・一二 旧一〇・二四 松村真澄録)
(昭和一〇・六・一一 王仁校正)
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