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文献名1霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
文献名2第4篇 虎風獣雨よみ(新仮名遣い)こふうじゅうう
文献名3第20章 蛙行列〔1210〕よみ(新仮名遣い)かわずぎょうれつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-03-06 14:51:12
あらすじ蠑螈別は酒に酔い潰れていびきをかいていた。そこへ裏口を開いてお民がやってきた。お民は蠑螈別をゆすりおこし、二人の間のことをお寅にかぎつかれたので、今日かぎりここを逃げ出すと暇乞いをした。蠑螈別は酔いもいっぺんに覚め、お民に野口の森で一足先に待っていてくれ、自分は金を持って後から追いかけると言い含めた。お民が出て行ったあと、蠑螈別は身支度をして九千両の金を身に着けて門口を飛び出そうとしたとたん、あわてて柱に額を打ち、その場に倒れてしまった。一方お寅は松姫を説きつけて、今晩のうちに松姫からお民を説得することになった。松姫はお民の寝間を指して雪の中を行ってしまった。お寅は蠑螈別の居間に戻ると、蠑螈別は旅装束の姿で門口に打ち倒れている。お寅が蠑螈別の背中を叩いて起こすと、蠑螈別はお寅をお民だと思って話しかけ、駆け落ちの魂胆をしゃべってしまう。お寅は怒って蠑螈別の胸ぐらをつかんで怒鳴りだした。蠑螈別はお寅に責められてお民との駆け落ちを白状した。そして床に落ちたときの音で蠑螈別が小判を持ち出そうとしていたことに気付いたお寅は怒り心頭に達して狂気のごとくになった。しかしその勢いで火鉢につまづいたお寅は柱に額を打ちつけてうずくまってしまう。蠑螈別はこの機を逃さず小判を腰につけ直し、修業に出ると言ってお寅を金剛杖で打つと走って出て行ってしまった。お寅は怒って蠑螈別を追いかけて行ってしまう。松彦は残った松姫らと相談の上小北山に修祓を行い、国治立大神をはじめ三五教を守る神々を鎮祭した。そして松姫、お千代、お菊、文助らに真理を説き諭してこの聖場を祀らせた。松彦は、万公、五三公、アク、タク、テクを引き連れて、浮木の森を指して進んで行った。ちなみに魔我彦は、お民を追いかけてお寅の後から野口の森を目当てにかけて行ってしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月13日(旧10月25日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月12日 愛善世界社版287頁 八幡書店版第8輯 352頁 修補版 校定版300頁 普及版117頁 初版 ページ備考
OBC rm4520
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本文  蠑螈別は前後も知らず、酒に酔ひつぶれて雷の如うな鼾をかいてゐる、其処へ裏口の戸をソツと開いて、震ひ震ひやつて来たのはお民であつた。お民は蠑螈別をゆすりおこし小声で、
お民『モシ先生、大変な事がおこりました。私は此処に居れませぬ。今晩限り此処を逃出しますから、一寸貴方に応へに参りました。どうぞ悪くは思つて下さいますな』
 蠑螈別は俄に酒の酔ひもさめ起上つて目をこすり乍ら、
蠑螈『お前はお民ぢやないか。大変とは何事だ。グヅグヅしてゐるとお寅に見つかつたら、俺もお前も大変だから、早く要件を云つて、此処を立去つて呉れ』
お民『大変と申すのは外でもありませぬ、最前もお寅さまが私の居間へ出て来て、是非共魔我彦の女房になれと仰有るのです。アタ好かぬたらしい、誰が、死んでも女房になりますものか。私が此処へ参つて来て居るのも貴方にお約束があるばつかりで、御つとめの時にチヨイチヨイお顔を見るのを楽しみに来て居るのでせう、それだから一寸貴方に此事を申上げ、これから私は一足先へ帰りますから、御親切がありますなら後から追つかけて来て下さいな』
蠑螈『ソラ大変だ。お前は一先づ野口の森まで行つて待つとつてくれ。俺はこれからお寅の松姫館へ行つた留守を幸ひ、お寅の隠しとつた金の所在も略分つたから九千両の金子を腰に捲きつけ、後から追ひつくよ』
とせきたつればお民は莞爾と笑ひ、
お民『蠑螈別さま、キツトですよ、そんなら一歩お先へ行つて居りますから……』
と云ひ乍ら、長居はおそれ、月の出ぬうちにと坂道をスタスタと息を喘ませ下り行く。蠑螈別は早速に衣類を着かへ、蓑笠の用意をなし、九千両の金を内懐にグツト締め込み、脚装束をして草鞋脚袢迄も首尾よくつけ、金剛杖をひんにぎり、今や門口を飛び出さむとして、あわてて柱に額を打ちウンと一声其場に倒れて了つた。こんな事が出来て居るとは神ならぬ身の知る由もなく、お寅は頻に蠑螈別、お民の密約成立の妨害運動に熱中し、松姫と膝を交へてヒソヒソ話に耽つてゐる。
お寅『コレお菊、モウお休みと云ふのに、夜更まで子供が起きてゐるものぢやないよ。此子はマア十七にもなつて一寸も親の言ふ事を聞かない子だ。本当に困つ了わ』
お菊『お母さま、何だか目がさえざえして、一寸も寝られないのよ。今晩は廿一夜だから、モウお月様が鎌の様な光を地上に投げて小北山を御上り遊ばすから、月見でもした方が好いわ』
お寅『馬鹿な事お言ひでないよ。外は凩が吹いて吹雪がして居るよ。こんな夜さに月見したつて何が面白いか。又風に当つてインフルエンザにでも罹つたら何うするのだい』
お菊『お母さま、雪が降つとるの、ソレは尚結構ぢやありませぬか。空にはお月さま、下には雪、そこへ花の蕾のお菊の花が出るのですもの、月雪花を一時に眺めるやうなものぢやありませぬか。こんなよい機会は滅多に有りはしませぬわ』
お寅『コマシヤクレた子だな。早く休ましてお貰ひなさらぬか。モシ松姫さま、此通りお転婆娘で、本当に親も手こずつてゐますのよ』
松姫『さうですね、今時の女の子はどうして、これ程ヤン茶になるのでせう。お千代だつてコマシヤクレた事ばかり云つて、私達に逆理屈をこね、仕方がありませぬわ』
お寅『さうですねー、こんな子は今の教育でもさした位なら、到底親の挺には合はぬようになりますぢやろ。モウ学校は尋常で止めるつもりですわ。高竹寺女学校へでも入れようものなら、男女同権だとか、女権拡張だとか、下らぬ屁理屈をいつて両親を困らせますからね』
松姫『あの高竹寺には女学校がありますか。さうすると坊さまの娘なんかが入学するのでせうね』
お寅『イエ坊さまの娘なんか一人も入学してゐやしませぬわ。みんな毘沙や、首陀の娘ばかり入学して毎日日日、球突きだとか、マラソン競走だとか、テニスだとか、ダンスだとか、せうもない事ばつかり教へられてゐますのよ』
松姫『ホヽヽヽヽ、ソラ高竹寺女学校ぢやありますまい、高等女学校でせう。等の字を竹と寺とに分けてお読みになつたのでせう』
お寅『時に松姫さま、魔我彦の結婚問題は何ういたしませうかなア。是非共今晩の間にきめたいのですが』
松姫『サ、兎も角もこれから私が直接にお民さまに逢うて、トツクリと御意見も承はり、成る可く円満に話がまとまりますやうに骨を折つて見ませう』
お寅『ソレは済みませぬな、何卒貴女の雄弁と御神徳によつて成功する様にお願ひ致します』
松姫『ソンなら是からお民さまのお居間へ伺ひませう』
と云ひ乍ら細い二百段の階段を下つて行く。お寅もお菊も松姫の後からついて来る。松姫はスツと炊事場の隣室、お民の寝間を指して吹雪をぬひつつ行つて了つた。お寅は蠑螈別の居間に帰つて見ると、豈図らむや、旅装束をしたまま打倒れてゐる。
お寅『コレヤまあ何の事だいなア、コレ蠑さま、何こんな所に厳めしい装束をして倒れてゐるのだい。アーア魔我彦は何処へ行つたのだい。番犬を仰せつけておくのに雪の降るのに、のそのそと夜歩きをしてをると見える。困つた男だな、コレお菊、水を持つて来い』
お菊『水持つて来いといつたつて、下まで汲みに下りなくちや一滴もあれやしないわ。ソレよりも鼻をつまんでおやり、そしたら屹度気がつくわ』
 お寅は合点だと蠑螈別の鼻を例の如くグツと右の手で捻ぢ、左の手で背を三つ四つ喰はした。蠑螈別はハツと気がつき、
蠑螈『お民、ヨウ助けて呉れた。到頭走る最中、蹴つまづいて、ひどい事だつた。もうスツテの事で幽冥旅行をやるところだつた。お寅の奴追ひかけて来やがつて………』
 お寅はグツと胸倉を握り、
『コラ蠑螈別、何を云ふとるのだい。お民が何うしたと云ふのだいなア』
 蠑螈別は此声に驚いて目を見ひらけば、閻魔が駄羅助を舐つたやうな顔してブルブル震ひ乍らお寅が胸倉をとり、歯をくひしめて睨んでゐる。
蠑螈『ナニ一寸夢を見たのだ。ナヽヽヽヽナンでもない、そこ放してくれ、苦しい、苦しい哩』
お寅『たいさうな脚装束をして何処へ行くつもりだい』
蠑螈『ナニ一寸松姫さまに逢ひたいと思つて』
お寅『松姫さまとこへ行くのに旅装束をして………何の事だいなア。些怪しいぢやありませぬか』
蠑螈『ナニ一寸大広間まで御礼に行つて来るつもりだ』
お寅『此雪の降つて居るのに今日に限つて行く必要がありますか。アンマリ馬鹿にしなさるな、人を盲にして……』
蠑螈『ナニ雪が降つて居るから、下駄の歯に雪がつまつてこけると思つて、草鞋をはいたのだ』
お寅『五間や六間の距離よりない大広間へ行くのに大変な旅装束すると云ふ事がありますかい。しかも御叮嚀に蓑笠をかぶり、何の事だいなア。お前さまの行く処は外にあるのだらう』
蠑螈『ウン外にある、笠松の根元の御神木の傍まで一寸御礼に行くのだよ』
お寅『あまり馬鹿になさると、鼻を捩ますぜ』
蠑螈『イヤ鼻ばつかりは御免だ』
お寅『そんなら、つめつて上げようかい』
蠑螈『イヤア此の冷たいのに抓るのは御免だ。お寅、モウ怺へてくれ。もう何処へも行きはせぬから』
お寅『コレ兵六玉、此お寅を何と思つて居るのだ、これでも浮木の村の白浪女丑寅さまといつたら誰知らぬものもない姐さまだぞ。此姐さまの目を晦まさうと思つたつて、野郎の力でくらまさるるものか、サ綺麗薩張りと白状すればよし、白状せぬに於ては、可愛さあまつて憎さが百倍ひねりつぶしてやるぞ』
蠑螈『実はエーンその実は………実はやつぱり実だ。何を云へといつたつて、胸倉とつてゐては息が苦しくつて云へはせぬぢやないか。はなせ はなせ』
お寅『そんなら放すから、薩張り白状せ、お前はお民と今晩駆落ちするつもりぢやろ。お民は野口の森辺りに待合して居るのだろ』
といひ乍ら、胸倉を握つた手をパツとはなした。蠑螈別はスツと立つた途端に懐の小判が、ガタツと音がして落ちた。お寅は之を見るより怒り心頭に達し、狂気の如くなり、
お寅『此の泥坊奴、金子を掻浚へてお民と駆落するつもりだつたのだなア、待て待て今に思ひ知らしてやらう』
とあわてて火鉢につまづき逆上て空ぶつた身体は忽ちスツテンドウと倒れて、柱の角に額をグワンと打ち「アイタ」と云つたきり、其場にしやがんで仕舞つた。蠑螈別は手早く小判を拾ひ上げ腰につけ直し、金剛杖を手に持ち、
蠑螈『お寅、俺は寸時修行に行て来る程に留守を頼むぞや。人間は老少不定、会ふのは別れの初めとやら、御縁があつたら又未来で御目に掛りませう。之がお寅さまと別れに際しての形見だ』
といひ乍ら、金剛杖で頭をコツコツと打たたき「アリヨース」といひ乍ら、雲を霞と駆け出した。柱に額を打つて気が遠くなつてゐたお寅は、頭を叩かれた途端に気がつき、面を上げ屋外を見れば、蠑螈別は下の坂を一丁許りも走つて居るのが、折柄上る鋭鎌の如き月に照らされ見えてゐる。お寅は狂気となり、
お寅『おのれ蠑螈別、此お寅を馬鹿にしをつたなア』
と怒りの声をはり上げ乍ら裾もあらはに雪の路をこけつ転びつ追つかけて行く。
    ○
 偖て松彦は松姫を始め万公、五三公、アク、タク、テク等と相談の上、小北山に修祓を行ひ、国治立の大神を始め三五教を守ります天地八百万の神を一々鎮祭し、松姫、お千代、お菊並に受付の文助其他に真理を説きさとし、此聖場を清く正しく祭らしめおき、松彦、万公、五三公、アク、タク、テクの一行は、小北山を後に眺めて浮木の森を指して足を早めた。
 因に魔我彦はお民の此館を逃去つた事を聞き何処迄も探しあてねばおくものかと、是又尻ひつからげ、お寅の後を追うて三丁許り距離を保ち乍ら、トントントンと野口の森を目当にかけり行く。
(大正一一・一二・一三 旧一〇・二五 外山豊二録)
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