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文献名1霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻
文献名2第1篇 霊光照魔よみ(新仮名遣い)れいこうしょうま
文献名3第3章 犬馬の労〔1318〕よみ(新仮名遣い)けんばのろう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-08-03 19:03:23
あらすじ松姫は神社拝礼のお勤めを終えると、居間に帰って神書を調べていた。そこにお千代があわただしく帰ってきて、門口の戸をぴしゃりと閉めると中からつっぱりをかった。松姫が不審に思って尋ねると、お千代はとんでもな化け物が、高姫と杢助と名乗ってやってきたという。松姫はてっきり、本部から二人がやってきたと思ったが、お千代は二人の面相は化け物のようでとても本部の役員とは思えなかったと報告した。そこへ文助がやってきて、本部から杢助と高姫がやってきて、松姫の教主職を今日かぎり解いて、代わりに二人が小北山を監督することになった、と伝えに来た。松姫は、かねてから松彦と協力して御神業の活動を外でやりたいと思っていたので願いがかなったと喜んだ。しかしお千代は高姫と杢助と名乗る二人組は化け物だと言い張り、斎苑の館からの御沙汰が来ていないのにおかしいと指摘した。文助は二人は斎苑の館の幹部だから、その他に辞令は必要ないだろうと答えたが、お千代は自分が確認すると言ってきかない。そこへお菊が戻ってきた。お菊は三人の話を聞くと、自分もあの高姫と杢助は怪しいと思うと報告した。松姫は、文助とお菊に二人をともかくもてなすよう言いつけ、自分は後で行くと伝えるように託した。後にお千代は、エンゼルが耳元でささやいたと、高姫は本物だが杢助は妖幻坊という兇党界の幹部の化け物だと松姫に伝えた。松姫は高姫の身の上を心配したが、お千代は悪事を企む者にはここの神様を拝ませて驚かしてやりたいと息巻いている。二人が話しているところへ、大きな猛犬が尾を振りながら入ってきた。スマートが初稚姫からの手紙を送ってよこしたのであった。松姫は手紙に初稚姫の名を認めると、手紙を改めるためにお千代に門口を閉めさせた。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月25日(旧12月9日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年12月29日 愛善世界社版44頁 八幡書店版第9輯 281頁 修補版 校定版45頁 普及版20頁 初版 ページ備考
OBC rm5103
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本文  松姫は各神社の拝礼を終り、吾居間に入つて神書を調べてゐた。そこへお千代は慌しく帰り来り、門口の戸をピシヤツと閉め、中からツツパリをかうた。松姫は之を見て怪しみ、
『これ、お千代、夜分か何ぞの様に、何故戸にツツパリをしたり等なさるのだい』
千代『ハイ、今怪体なド倒しものが来たのですよ。何れ此処にも来るか知れませぬから、来たら入れない様にしてゐるのですよ』
『昼の最中に戸を閉めてツツパリかふ等とは可笑しいぢやありませぬか。大方昼泥棒の連中が隊を組んで来たのかい。構はぬぢやないか。ここは神様が厶るから、何が来たつて大丈夫だよ』
『何、お母さま、泥棒位なら一寸も構やしないが大化物が来たのだよ。今お菊さまと桃の木の下で遊んでゐたら、一人は高姫だと云つて嫌らしい顔した女、又一人は大きな男で耳がペロペロ動いてゐるのよ。屹度あれは化物に違ひありませぬ。お母さまをちよろまかさうと思つて来たのだらうから、屹度会つちやいけませぬよ。それで私が急いで帰つて戸を閉めたのです』
『高姫さまと云へば蠑螈別さまのお師匠様だ。そして今は三五教の立派な宣伝使、何しに又案内もなしに突然お越しになつたのだらうか。ハテ、如何も不思議だ。昨夜も昨夜で妙な夢を見たのだが、ヒヨツとしたら化物ぢやなからうか。いやいや昼間に此神聖な場所へ化物がやつて来る筈がない。いや高姫さまなら会はずばなるまい。ハテ、不思議だな』
と云つて首をかたげている。
千代『三五教の宣伝使の高姫さまなら、もちと品格がありさうなものですよ。それはそれは下品な……何とも云へぬ賤しい姿で、一目見てもゾゾ毛が立つ様な女でしたよ。そして連つてゐる男は半鐘泥棒の様な不恰好な、怪体な面した奴ですよ。如何しても私の目には人間とは見えませぬわ。全く妖怪ですよ』
松姫『ハテ、妙な事を云ふぢやないか。そして受付の文助さまは何とか云つてゐただらうな』
『文助さまは何だか、高姫と云ふ怪体な女と話をして居りましたが、一度松姫様に申し上げて来ると申して居りましたよ。それを聞いたものだから、文助の様な盲が、何も分らずにお母さまに、せうもない事を云つて告げようものなら大変だと思つて、一歩先に知らしに帰つて来ましたの。お母さま、屹度あの二人に会つちやいけませぬぜ』
『それだと云つて、神様のお道では何んな方にでも会はなけりやいかぬぢやないか。仮令化物でも曲津でも、神様の教を説き聞かして改心さしてやりさへすれば宜いぢやありませぬか』
『だつてあんな奴、何を企むか知れやしないわ。お母さまが何と云つても、お千代はあんな化物は入れませぬよ』
『マア何事も私に任しておきなさい。お前さまは未だ子供だから、さう一つ一つ嘴を容れるものぢやありませぬぞや』
 斯く親子が話してゐる処へ、門口の戸をポンポンと叩く音がする。之は受付の文助が高姫の来た事を松姫に報告のためであつた。
 文助は戸の外から、
『もしもし、松姫様、文助で厶ります。一寸門口を開けて下さいませぬか。急用が厶りまして御相談に参りました』
『ハイ、一寸待つて下さいませ。子供が悪戯致しまして……今直に開けますから……これお千代、早く門を開けぬかいな』
『お母さま、門を開けたら文助が這入つて来ますよ』
『這入つて厶る様に開けるのぢやないか』
『だつてお母さま、文助の云ふ事に巻込まれちやいけませぬよ。あの爺は化物にひどう感心してゐた様ですから……』
と云ひながらツツパリを取外しガラリと開けた。文助はヨボヨボとしながら閾を跨げ、四辺をキヨロキヨロ見廻してゐる。されど松姫の姿はハツキリ見えなかつた。只目が悪いので、声をしるべに話するより仕方がないのである。松姫は、
『さア何卒お上りなさいませ』
と座蒲団を出し文助の手を取つて坐らせた。
文助『アーア、年が寄つて目が不自由なのも厄介なものですわい』
『それだつて貴方は心眼が開けてゐるのですもの、結構ですわ。目が見えないと云つても、あれ位な綿密な絵が書けるから結構ぢやありませぬか。時に文助さま、何か急用でも出来たので厶りますのか』
『ハイ、折入つて貴女と御相談を申し上げたい事が突発致しました。実にお気の毒で……何から云つてよいやら、地異天変、言葉の出しやうも厶りませぬ』
 お千代は側から、
『これ文助さま、駄目よ。彼奴ア化物だから、お前が騙されて居るのだ。お母さまに何も言ふぢやありませぬよ。さアさア トツトとお帰り。足許が危なけりや、お千代が手を曳いて上げませう』
松姫『これお千代、何と云ふ事を仰有るのだい。お前は子供だから黙つて居りなさい。文助さま、こらへて下さいや。如何も此の子は教育が出来て居ないから困つたものです。お菊さまと好一対です。遊ぶ友達が悪いとサツパリ感化されて了ひます。本当に親も迷惑してゐますのよ。時に文助さま、お気の毒だとは何事ですか』
『ハイ、実は高姫さまが見えまして厶ります。そして斎苑の館の総務杢助様までがおいでになり、何者か貴女の悪口を申したものと見えて、貴女は今日限り教主の役を解き、高姫様が教主となり、杢助様が出張して監督をなさる事になつたのだと云つて、今下に見えて居ります。誠に長らくお世話になりましたが、貴女様とはお別れせなくちやならぬかと思へば実にお名残惜しう厶ります』
 松姫は平然として、
『ホホホホホ、何か大変事が起つたかと思へば、そんな事ですかな。そりや結構です。妾も実は此処を立退いて、夫と共に大活動をして見たかつたのです、併しながら已むを得ず今日まで勤めて居りました。そりや本当に結構ですわ』
『それを聞いて私も一寸安心致しました。いや如何も上のお方の心と云ふものは分らぬものですな。さうなくちやかなひますまい。桜は夜の嵐にうたれて一つも残らず潔く散るのが誉だと聞きました。イヤ天晴々々、見上げたお志、実に感じ入りました』
と袖に涙を拭うてゐる。お千代は側から、
『これ、文助さま、お前は盲だから化物に騙されてゐるのだよ。お母さままでが、何ですか、あんな奴が来たと云つて此処を飛び出す積りですか。未だ斎苑の館から何とも御沙汰がないぢやありませぬか。仮令何んな方が見えても相手になつちやいけませぬよ。此間もお寅さまが魔我彦を連れて行かれてから、もう四五十日になるのに、何の沙汰もないぢやありませぬか。同じ斎苑の館から見えるのだから、八島主の神様から御内報がある筈、又魔我彦さまからも何とか知らせがある筈です。先づトツクリと調べた上でないと、えらい目に遭はされますよ』
松姫『いかにもさうだな。お前の云ふのも一理がある。いや文助さま、何か其高姫さまは斎苑の館から辞令でも持つて来て厶るか。それとも教主様か魔我彦さまの手紙でも御所持か、それを聞いて来て下さいな』
『ハイ、聞いて参りませうが、何を云つても三羽烏の一人時置師の神様が御出張になつてゐるのだから、尋ねるにも及びますまい。外の方なら兎に角、何と云つても斎苑の館の総務さまだから、尋ねない方が宜いでせう』
千代『これ文助さま、お前がよう尋ねにや私が之から行つて、本真物か、偽物か、検査をして来ますわ。お母さま、それで宜いでせう』
『これこれお千代、何を云ふのだ。お前は今日は何にも云つちやなりませぬぞや。母が箝口令を布きますぞや』
『だつて千騎一騎の此場合、お母さまの箝口令位で閉口出来ますか』
『ああ困つた娘だな』
『ああ困つたお母さまだな』
文助『困つた事が出来たものだな』
千代『ハツハハハハ』
と笑ふ声を外から聞きつけて這入つて来たのはお菊であつた。
『お千代さま、何が可笑しいの、よく笑つてゐますね』
『お菊さまか、よう来て下さいました。今ね、文助さまが出て来て、あの化物を杢助さまだ、高姫さまだと云つてゐますのよ。それをお母さまが本当にしてるのだもの、可笑しうて堪らないわ』
『本当にね。怪体な奴が来たものですわ。私い高姫と云つたら、もつと立派な小母さまと思つてゐたのに、まるで化物だわ。杢助さまだと云つてるが獣の様に耳がペロペロ時々動くのだもの。何でも彼奴ア可笑しい化さまですよ。然しあの婆が「私は高姫だ、松姫さまの師匠だから早く呼んで来い」と云つたので仕方なしに来たのよ。もし松姫さま、あんな奴に会つちやいけませぬよ。然し何とか返事をせなくちやなりませぬから、一寸御報告旁やつて来ましたの』
松姫『それは、まアよう来て下さつた。お菊さま、お前怪しいと思つたのかい』
『如何も可笑しい奴ですわ。キツト、ありや贋ですよ』
『お菊さま、それなら貴女御苦労だが、その高姫さまとやらに斯う云つて下さいね、「今松姫は神様の御用の最中だから、済み次第お目にかかります。それまで教主館で、お酒なつと飲つて待つて居て下さい」と私が云つたと伝へて下さいね。文助さまも一緒に帰つて下さい。そして粗忽のない様にもてなしを頼みますよ』
文助『ハイ、承知致しました。サアお菊さま、帰りませう』
とお菊に手を曳かれコチコチと階段を下つて行く。後にお千代は声を潜めて、
『お母さま、高姫は本当のよ。けれど後からついて来た杢助と云ふのは屹度化物よ。その積りでつき合はなくちやいけませぬよ』
『そんな事、どうしてお前に分つたのかい』
『それでも、私の耳許でエンゼルが囁いて下さいましたもの。お母さまによく気をつける様にと云はれましたよ』
『お前は時々エンゼルの御降臨があるのですから本当に重宝な体ね。そして其化物は何物だと仰有つたかい』
『あれは妖幻坊と云ふ兇党界の相当の位地を占めてる大悪魔ださうです。然し日輪様を恐れる事が非常なもので、昼歩く時は深編笠を被り、中々外へは出ないさうですよ。昼間は何時も森の中で寝てると云ふ事ですわ。その妖幻坊に高姫さまが化かされて、又義理天上をふり廻してゐるのだから尚々始末が悪いのよ』
『ハテ、困つた事だな。何とか工夫があるまいかな』
『お母さま、屹度会つちやいけませぬよ。そして高姫は自分勝手に、此処の教主だと云つてるのですよ。斎苑の館からお沙汰のあるまで動いちやいけませぬぞえ。お母さまは小北山の神司だから、誰に指一本さへられる体ぢやありませぬからね。屹度調べて見たら、斎苑の館の書付は持つてゐない事はきまつてゐますわ。それで面白いから、一遍調べてやらうと思つたのよ』
『そんな要らぬ事をせなくてもいいぢやないか。高姫さまに恥をかかさない様にして、なるべく御改心を遊ばす様に真心を尽して御意見を申上げるのだな。お前も出過ぎた事は云はない様にして下さいや』
『それでも余り馬鹿にしてゐるのだもの、ちつとは言ひたくなつて来るのよ。一遍神様を拝ましてやつたら吃驚するだらうね。それを見るのが楽しみだわ』
『何とまア口の悪い子だな。人がビツクリするのが、お前はそれ程面白いのかい。困つたお転婆だな』
『それでも世の中を誑かし人を苦しめ、大神様の道を妨害する悪魔だから、チツとは懲しめてやらなくちや、神様にお仕へしてゐるお母さまの役も済みますまい。私だつて化物を看過しちや職務不忠実と云ふものですわ。こんな時こそは審神を充分しなくちやなりませぬわ』
『併し高姫さまは本物だとあれば、私の大恩ある御師匠様、お目にかかつて御挨拶を申上げねばなるまい。そして其様な悪魔に騙されて居りなさるなら、気をつけて上げなくちや師弟の役が済むまい。ああ困つた事が出来たものだ』
 斯く話す所へ尾をふつて潔く這入つて来たのは巨大なる猛犬であつた。見れば首たまに何か手紙の様なものが下つて居る。
松姫『ア、これは何処からか手紙を持つてお使ひに来たのだな。これこれお犬さま、何処からか知らぬが御苦労だつたな。どれどれ、お手紙を見せて頂きませう』
とやさしく云ひながら二つ三つ首の辺りを撫でて可愛がり、括りつけた手紙を取り、上書を見れば、「小北山の神司松姫様へ、祠の森に於て、初稚姫より」と記してある。
『ああ之は初稚姫様の御手紙だ。何か変つた事が出来たのかな。これお千代や、一寸門口を閉めて下さい。秘密の御用かも知れないから』
 お千代は外をキヨロキヨロ見廻し、誰も出て来ないので安心の胸を撫で下し、ソツと戸をしめて堅くツツパリをかうた。此猛犬は云はずと知れた初稚姫の愛犬スマートなる事は云ふまでもない。
(大正一二・一・二五 旧一一・一二・九 北村隆光録)
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