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文献名1霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻
文献名2第4篇 夢狸野狸よみ(新仮名遣い)むりやり
文献名3第20章 狸姫〔1335〕よみ(新仮名遣い)たぬきひめ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-09-18 16:38:11
あらすじ四人は城の大門をくぐった。八人の天女のような美人の中で、一番年かさと思しき女が進み出て、自分はコーラン国如意王の王女・初花姫だと名乗った。そして、コーラン国はにわかにここに国替えをして、初稚姫によって三五教に変わったところだと四人を城に招いた。初は、初花姫に杢助・高姫という二人組が来なかったかと尋ねた。初花姫は、杢助と高姫も教えを説いており、初稚姫よりも細かく教えてくれるのでとてもお世話になっていると答えた。そして、松姫がここにやってきて高姫、杢助と大変な争論が起こったことは事実だが、松姫がその後どうなったかは自分は知らないと答えた。お千代は、自分の母は確かに牢にぶちこまれたと抗弁した。初花姫は妖幻坊の眷属が化けているのだ、そして自分もこの通り、と言うと、お千代とお菊は大きな古狸となって城の奥に這いこんでしまった。四人は不審に堪えず、初花姫の正体を見届けてくれようとにらんでいる。初花姫は、四人の神力によってあの女たちの正体が割れたのだと答えた。そして城には悪い狸がたくさんいるから神力の強い方々に退治してほしいと四人を招き入れた。初花姫は、以前ランチと片彦を招き入れた部屋に四人を案内し、おのおの椅子につかせた。初花姫は父に報告してくると言って、侍女を伴って立ち去った。四人は初花姫と侍女たちの美しさを涎を垂らして語り合っている。すると光ったものを衣服一面にちりばめた妙齢の美人が入ってきて、自分は初稚姫だと名乗った。そして杢助と高姫という三五教の裏切り者がこの館に入り込み、自分の説を攻撃し、ランチと片彦を捕え、松姫をどこかに隠してしまったという。初稚姫は四人に、杢助と高姫の魔法を打ち破るために力を貸してほしいと頼み込んだ。一同が杢助と高姫の調伏と、ランチ・片彦・松姫救出の相談をしていると、杢助と高姫がドアを押しあけて入ってきた。杢助と高姫は、初稚姫に打ってかかる。初稚姫は椅子を取って渡り合っている。四人も椅子を取って杢助と高姫に打ってかかった。杢助と高姫は棍棒を投げつけてこの場を逃げ出した。初稚姫は、急場をすくわれたことを四人に感謝した。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月27日(旧12月11日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年12月29日 愛善世界社版281頁 八幡書店版第9輯 368頁 修補版 校定版288頁 普及版130頁 初版 ページ備考
OBC rm5120
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本文  ガリヤ、ケース他四人は大門を潜つた。さうして天女のやうな八人の美人の姿に見惚れて居た。その中で一番年かさと思しき女、揉み手をしながら言葉優しく、
『これはこれは三五教の宣伝使様、ようこそお出で下さいました。妾は如意王の娘初花姫と申します』
ガリヤ『イヤ吾々は宣伝使では厶いませぬ。これより斎苑の館に修業に参り、旨く合格すれば初めて宣伝使になるので厶います。さうして私が三五教だと云ふ事は、どうしてお分りになりましたか』
『ハイ、四ケ月以前より月の国コーラン国から此処まで国替を致しまして、俄造りの城廓を拵へ住まつて居ります。今まではウラル教で厶いましたが、バラモン教に追立てられ此方に参りました所、三五教の宣伝使初稚姫様がお出になり、いろいろと御教訓下さいましたので、両親は直ちに三五教に帰順し、今は熱心な信者で厶います。さうして初稚姫様が奥殿にお留まりになり、結構なお話を聞かして下さるのだから、城内一般の喜びは譬がたない程で厶います。さうして初稚姫様のお言葉には、三五教の方が三四人見えると云ふ事で厶いましたから、侍女を連れ、此処までお迎へ旁遊びながら参りました。サア御遠慮はいりませぬ、何卒お通り下さいませ』
『ヤアそれは願うてもない事で厶る。初稚姫様は既に宣伝の途に上られ、斎苑の館へ参つても到底御面会は叶ふまいと覚悟をして居ました。此処で御目に懸れるとは全く神様の御引き合せ、イヤ是非ともお世話に預かりませう』
ケース『吾々両人は四ケ月前まで、バラモン軍の棟梁ランチ将軍の副官を致して居りましたガリヤ、ケースで厶ります。何時の間にか立派な建築が出来たぢやありませぬか』
『昼夜兼行で数万の人夫を使役し、やつと此頃出来上つた所です。御覧の通りまだ壁も乾いて居りませぬ』
『成程さう承はれば、どこともなしに生々しいやうな気分がする。併しながら昨冬此処に陣取つて居た事を思へば、木の芽はめぐみ、草は萌え、まるで地獄から天国へ行つたやうな気が致します』
『サア皆さま、私が御案内致しませう』
初『もし姫様、折角機嫌よくお遊びの途中になつては済みませぬ。放つて置いて下さいませ。併し一寸物をお尋ね致しますが、このお館には高姫、杢助と云ふ両人が大将となつて頑張つて居ると聞きましたが、如何で厶いませうか』
『ハイ、杢助様と高姫様がお越しになり、ウラナイ教とやらを非常にお説きになつて居ます。初稚姫様のお話を聞いて、次に御両人のお話を聞きますと、それはそれは詳しう分ります。つまり初稚姫様は、ほんの概略を仰有るなり、杢助、高姫様は噛んで含めるやうに細かう説いて聞かして下さるので、どちらの方にもお世話になつて居ります』
徳『エエ一寸承はりたいですが、此お館に小北山の教主松姫様が、牢獄に打ち込まれお苦しみとの事、それは事実で厶いますか。今ここに松姫の娘、お千代さまと云ふのが、泣いて吾々に頼まれましたから、実否を探らむと参つたのです。何卒包み匿さず事実を仰有つて貰ひたいものですな』
『ハイ、何でも松姫さまとかが見えまして、大変な、高姫様、杢助様との間に争論が起つて居たやうです。其後は、どうなつたか妾は存じませぬ。大方仲直りが出来たかと存じます』
千代『イエ皆さま、お母さまは牢の中へ打ち込まれたのよ。さうして此初花姫さまに化けて居るのは、妖幻坊の眷族ですから用心なさいませ。私だつてこんなものよ』
と云ふより早く獅子のやうな古狸となつて、ノソリノソリと奥を目蒐けて這ひ込んで了つた。お菊は又もや、
『をぢさま左様なら、私の正体はこれだわ』
と云ふより早く、以前のやうな大狸となつて又もや駆け込んで了ふ。
 四人の男は不審に堪へず、初花姫の正体を見届け呉れむと、眼を怒らして目ばなしもせず睨んで居た。
『ホホホホ、まア皆さまの六つかしいお顔、サウ睨んで頂くと私の顔に穴があきますよ。この浮木の森には古狸が居まして、チヨイチヨイ ワザを致しますので、それを防ぐために三五教の神様をお祀りして居るので厶いますよ。貴方等の御神力によつてあの可愛らしい女の正体が現はれたのですよ。何が化けて居るのか分つたものぢやありませぬ。ほんに化物の世の中ですからな。妾も何かの変化ぢやないか、よく調べて下さい』
ガリヤ『イヤ決して決して貴女は疑ひませぬ。併し浮木の森は妖怪の巣窟ですから、斯様な所へお館をお建てになれば、随分狸の巣がなくなるから、ワザを致しませう』
『ハイ父も困つて居ますの、自分の小間使だと思つて居れば、毛だらけの手を出したりして仕方がありませぬ。何卒初稚姫様が居られますから、あの方と力を合せて妖怪退治をして下さい。高姫さま、杢助さまも何だか怪しいやうな気がします。中にも杢助さまなぞは耳がペロペロ動くのですもの』
ケース『成程、吾々も実は狸に化かされ、真裸になつて相撲を取らされて来ましたよ、なア初さま、徳さま、アハハハハハ』
『ホホホホ、本当に悪い狸が沢山居ますので、何とかして退治せねばならないと申して沢山の家来を四方に遣はし狩立てましたけれど、到底人間の力ではいけませぬ。神力高き御方の法力に依らねば駄目だと申し、俄に信仰を致したので厶います。サア斯様な所で立話をして居ては詮りませぬ。何卒奥へ行つて休息して下さいませ』
ガリヤ『然らば遠慮なく御厄介になりませう』
と幾つかの門を潜つて玄関口についた。
『サア何卒お入り下さいませ。俄作りで準備も整はず、不都合の家で厶います』
ケース『いやどうも有難う、実に立派な御殿で厶います。以前とは面目を一新し、吾々が駐屯して居た時の面影は少しも厶いませぬ。まるで別世界へ行つたやうで厶います』
ガリヤ『サア皆さま、御免を蒙つて通らして頂きませう』
『ハイ』
と一同は初花姫他七人の美女に後先を守られて、奥へ奥へと進み行く。観音開きの庫のやうな一室に請ぜられた。以前にランチ、片彦両人が請ぜられた居間である。五脚の椅子が丸いテーブルを中にして行儀よく並べてある。さうして随分広い居間であつた。初花姫は四人を案内し各椅子に着かしめた。四人は何とはなしに気分のよい居間だと、満足の体で安全椅子に凭れかかり、欄間の彫刻などを眺めて頻りに褒めちぎつて居る。初花姫は、
『一寸父に報告を致して来ますから、皆さま此処で御休息を願ひます。左様なら』
と軽く挨拶して七人の侍女を伴ひ此場を立ち去つた。四人は八人の女の綺麗な事や、何ともなしに淑やかな事、どれもこれも優劣のない美人なる事などを涎を垂らして語り合つて居る。初公は思ひだしたやうに、
『皆さま、吾々はかうして結構な座敷に休んで居るのもよいが、此処へ来た目的は松姫さまを救ひ出す為ではなかつたかなア』
ガリヤ『そりやさうだつた。併しお千代、お菊と云ふ奴、劫経た狸の正体を現はしよつたぢやないか。あれから見ると吾々は一寸狸に騙されよつたのだ。さうすると、あいつの云ふ事は当にならぬ。松姫様の此処に囚はれて居るのは全く嘘だと思ふが、君達はどう思ふ』
『サア』
と三人は首を捻つて居る。そこへ光つたものを衣服一面に鏤めた妙麗の美人が、ドアを開いてニコニコしながらやつて来た。最前見た初花姫以下も美しかつたが、これは又素的滅法界のナイスである。そして背は少し高く、どこともなしに犯すべからざる威厳が備はつてゐる。四人は思はずハツと頭を下げ敬意を表した。美人は一脚の空椅子に腰を下し淑やかに、
『妾は三五教の宣伝使初稚姫で厶います。よくまアお越し下さいましたなア』
『拙者は治国別様の弟子でガリヤと申します。何卒お見知りおかれまして御指導を願ひます』
『拙者はケースと申します、何分宜敷くお願ひ申します』
『某は初公別と申します』
『拙者は徳公別と申す、未来の宣伝使で厶います。何分宜敷く、万事お引き立てを願上げ奉ります』
と、ド拍子のぬけた声で挨拶をする。
『早速ながら貴方等にお願ひ致したい事が厶います。それは外の事では厶いませぬ。杢助、高姫と云ふ三五教に於けるユダがこのお館へ旨く入り込みまして、妾の説を極力攻撃致し、又ランチ、片彦の両人を石牢に打ち込み、その上松姫様まで何処かへ匿して仕舞つたので厶います。彼高姫、杢助は狸を使ひまして人の目をくらまし、変幻出没自在の魔力を発揮致しますれば、妾一人のみにては如何ともする事が出来ませぬ。誰かのお助けを借りたいと大神様を念じて居ました。所が明日は三五教の信者を四人ばかり寄こしてやらうと仰有つたので、首を長くして待つて居ました。城主如意王様も初花姫様も大変な御心配で厶います。どうかお力をお貸し下さいますまいか』
ガリヤ『ハイ、お頼みまでもなく吾々は一旦主人と仰いだランチ、片彦様の御遭難を聞いて、これが黙つて居られませうか。最早義のためには命を捨てます。なあケース、一つ獅子奮迅の活動をやらうではないか』
ケース『イヤやりませう、姫様、御心配なさいますな。きつと悪魔を退治してお目にかけませう。高姫、杢助、如何に妖術を使ひましても、此方には正義の刃がありますから、大神の愛善の徳と信真の光によつて、見事化を現はしてお目にかけませう』
『何卒宜しくお願ひ致します』
初『吾々と雖もお師匠様の松姫様を、どうしても取返さなくてはなりませぬ。徳公と両人力を協せて高姫、杢助の魔法を破つて御覧に入れませう』
『館の様子はほぼ呑み込んで居りますれば、ランチ、片彦様初め松姫様の在処を力を協せて探し出し救ひ出して頂きませう。唯些し心配なのは松姫様の事で厶います。何でも水牢に放り込んだのではあるまいかと存じます』
初『猪口才な高姫、杢助、今に見よ、思ひ知らして呉れるぞ』
と思はず知らず大音声に呼ばはつた。慌しくドアを押開けて入つて来たのは杢助、高姫の両人であつた。両人は棒千切を振り上げ、初稚姫の左右より目を怒らせながら、
杢助『ヤア初稚姫、よくも吾々が計略の穴に陥つたなア、覚悟致せ』
と打つてかかる。初稚姫は椅子を取つて受け留める、高姫は又棍棒にて空気を切りブンブン唸らせながら、
『ヤア初稚姫、覚悟を致せ、観念せい』
と一人の女に二人の男女が渡り合ひ、互に秘術を尽して戦ふ。四人は黙視するに忍びず、各椅子を取つて、杢助、高姫に打つてかかる。七人は渦をまいて室内を荒れ狂ひ、漸くにして高姫、杢助は隙を窺ひ棍棒をなげつけ、雲を霞と此場を逃げ出した。
 初稚姫は涙ながらに四人に向ひ、急場を救はれし事を感謝した。
(大正一二・一・二七 旧一一・一二・一一 加藤明子録)
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