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文献名1霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
文献名2第2篇 文明盲者よみ(新仮名遣い)ぶんめいもうじゃ
文献名3第9章 黄泉帰〔1345〕よみ(新仮名遣い)よみがえり
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-11-19 14:59:56
あらすじイクとサールは、お菊にもてなされて夜中ごろまで酒を勧め、互いに歌などを詠み交わして過ごしていた。イクとサールは、どうしても初稚姫にお供を許してもらえそうにないこと、夜が明けたらどうにかしてもう一度願い出て、それでも聞き入れられなければ自由行動でハルナの都まで行く覚悟であることなどを話し合っていた。お菊はすでに初稚姫が小北山を発ったことを知っていたが、気の毒で二人にそのことを告げることはできなかった。お菊は、せっかくだからこの小北山に留まってはどうかと二人を慰め、歌を交わしながら夜を過ごしていた。俄かに騒がしい人の声が聞こえ、お千代があわただしく入ってきた。お千代は文助の様子が変になったとお菊を呼びに来た。イクとサールも、お菊とお千代について文助の病室に駆けこんだ。見れば、松姫が一生懸命に魂返しの祝詞を奏上していた。イクは夜光の玉を松姫に預けて文助の額に当てるように頼むと、自分たちは河鹿川で禊をしに出て行った。お菊も共に河に飛び込み、三人声をそろえて文助の蘇生を祈った。河鹿川の激流に危険を冒して祈る三人の赤誠を、大神も赦し給うであろう。平素はいたずら好きで口が悪くあまり親切らしく見えないイクとサール、お転婆娘のお菊も、人の危難に際してはその赤心現れ、我が身の危険も忘れて神に祈る。これぞ全く美はしき人情の発露にして、神に従い、神を信じ、誠の道を悟りうるものでなくてはできない所為である。三人は文助の身を気遣いながら帰ってきた。たちまちお菊は神がかり状態となって病床に駆けてきて、松姫の手から夜光の玉を受け取り、小声で称えながら何事か祈っている。イクとサールの両人は、裸のまま文助の足をもんだり息を吹いたり、あらゆる手段を尽くした。文助はウンとひと声叫んで目を開け、あたりを見回した。文助は昏睡していた間に、初と徳と会ったり目が見えるようになって美しい光景を見たことを語った。文助がさまよったのは、第三天国の広大な原野であった。そこで初と徳の精霊と出会ったのである。もとより初と徳は文助を尊敬していたが、一時の欲に駆られて高姫や妖幻坊に誤られ、文助に怪我を負わせる騒動が勃発したのであった。初と徳の精霊は、呼び戻すために第三天国に現れたのであった。そこへ、熱心なイク、サール、お菊、松姫らの祈祷の力によって現世の残務を果たすべく、蘇生せしめられたのであった。文助は肉体的には目が不自由であったが、霊界に至るやたちまち外部的状態を脱出し、第二の中間状態を越えて、第三の内分的状態にまで急速度をもって進んだ。そのため、神に親しみ神に仕えたる赤心のみ残存し、心の眼が開けて天界を見ることができたのであった。文助はまず天の八衢についていたが、なぜこのようなところへ来たかについては一行考えなかった。そして現界に残してきた人々のこともすっかり忘れていた。ただ、神に関する知識のみますます明瞭になっていた。文助は八衢の守衛にここがどこか尋ねたが、守衛は、文助がまだ現界に寿命を残していることを知っていたので、答えることはできないときっぱり応じた。文助は何とはなしに愉快な気分に満たされ、足も軽々と進んで行った。途中、現界にある知己友人の精霊や、すでに帰幽した人間にも出会った。されどそのときの彼の心は、帰幽した者と帰幽していない者を判別する考えはなく、いずれも自分と同じように肉身を持って働いていると思っていた。人間は現世において神に背き、真理を無視し、社会に大害を与えない限り、死後は肉体上における欲望や観念、自愛の悪念は払しょくされ、内分に属する善のみ自由に活躍することを得る故に、死後の安逸なる生涯を楽しむことができるのである。肉体のあるうちはどうしても善悪混交、美醜相交わる中有的生涯に甘んじなくてはならない。しかし虚偽と罪悪に満ちた地獄界に籍を置く人間は、生前においてせめて中有界なりと救われなくては、死後の生涯を安楽ならしむることは不可能である。神は至仁至愛にましますがゆえに、いかなるものもあらゆる方法手段を尽くしてこれを天国に導き、天国の住民として霊界のために働かしめ楽しき生涯を送らしめんと念じ給うのである。神は宇宙を一個の人格者とみなしてこれを統制し給う。ゆえに、いかなる悪人といえども、一個人の身体の一部である。神は、人間をはじめ宇宙一切を吾が身のごとく愛し給う。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月30日(旧12月14日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年1月28日 愛善世界社版128頁 八幡書店版第9輯 425頁 修補版 校定版134頁 普及版56頁 初版 ページ備考
OBC rm5209
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本文  侠客育ちのお菊は年にも似合はず人馴れがして、二人の男をよくもてなし、夜中頃まで酒を勧め互に歌などを詠み交してゐた。イク、サールは初稚姫にお供を願つた処、あの様子では到底許されさうにもない。夜光の玉は戴いて嬉しいが、其為に自分の目的を遮られるのは、又格別に苦しい。初稚姫さまも宝を与へて、吾々の進路を壅塞せむとし給ふ、其やり口、随分お人が悪い……と時々愚痴りながら、お菊の酌でチビリチビリと飲んでゐた。されど神経興奮して、或は悲しく或は淋しくなり、ま一度夜が明けたら、所在方法を以て姫に願ひ出で、どうしても聞かれなければ、自分等二人は自由行動をとり、後になり先になりしてハルナの都まで行かねばおかぬ。神様が吾々の決心を試して厶るのかも知れぬなどと、積んだり崩したり、ひそびそ話に時を移した。お菊は既に既に初稚姫が此聖場を出立された事はよく知つてゐた。併し二人に余り気の毒と思つて、其実を明さなかつたのである。

イク『黙然と手を組みし儘寝もやらず
  息の白きに見入りけるかも』

サール『悲しみは冥想となり歌となり
  涙となりて吾をめぐるも』

お菊『益良夫が固き心をひるがへし
  帰り行きます事のあはれさ』

イク『何事の都合のますか知らねども
  強ひて行かましハルナの都へ』

サール『益良夫が若き女に弾かれて
  恥の上塗するぞ悲しき』

お菊『皇神は何処の地にも坐ませば
  いまし二人は此処に居たまへ』

イク『イク度か思ひ返してみたれども
  思ひ切られぬ初一念なり』

サール『玉の緒の命惜しまず道の為に
  進む吾身を許させ給へ。

 神国に生れあひたる吾々は
  神より外に仕ふるものなし』

イク『いかにして此難関を切抜けむ
  ああ只心々なりけり』

お菊『汝が心深くも思ひやるにつけ
  われも涙に濡れ果てにける。

 魔我彦の司なりともましまさば
  かくも心を痛めざるらむ』

イク『兎も角も初稚姫に今一度
  命を的に願ひみむかな』

サール『千引岩押せども引けども動きなき
  固き心をいかにとやせむ』

お菊『夜の間にもしも嵐の吹くならば
  汝等二人はいかに散るらむ』

イク『イク度か嵐に吹かれ叩かれて
  実を結ぶなり白梅の花は』

サール『敷島の大和心は白梅の
  旭に匂ふ如くなりけり。

 大和魂振ひ起して進み行かむ
  千里万里の荒野わたりて』

イク『岩根木根ふみさくみつつ月の国
  進まにやおかぬ大和魂』

 斯く三人は夜更けまで眠もやらず、淋しげに歌を詠んで、初稚姫の拒否の如何を気遣ひつつあつた。俄に騒がしき人の声、足駄の音、何事ならむと耳をすます処へ、お千代は慌しく入り来り、
『お菊さま、文助さまの様子が変になりました。何卒来て下さいな』
お菊『そら大変です、もしお二人さま、此処に待つてゐて下さい。一寸文助さまの居間まで行つて来ます』
と早くも立出でむとする。二人は驚いて、
『私もお供しませう』
とお菊の後に従ひ、文助の病室へ駆け込んだ。見れば松姫が一生懸命に魂返しの祝詞を奏上してゐる最中であつた。数多の役員信徒は室の内外に狼狽へ騒いで、殆どなす所を知らざる有様である。イク公は、
『御免』
と云ひながら、文助の側に寄り、松姫に向ひ、
『御苦労さまで厶います』
と軽く挨拶し、懐中から夜光の玉を取出して、文助の前額部に当て、赤心を捧げて十分間ばかり祈願を凝らした。此時既に文助は冷たくなつてゐた。只心臓部の鼓動が幽かにあるのみ。
『ヤア此奴ア駄目かも知れませぬな、実に困つた事です。松姫様、此玉を貴女にお預け致します。何卒之を前額部に離さぬやうに当てておいて下さい。私はこれから河鹿川で禊をして参ります』
とイクはサール、お菊を伴ひ、河辺に向つた。そして神政松の根元に衣類を脱ぎすて、ザンブとばかり飛込んで、鼻から上を出し、三人声を揃へて、文助の再び蘇生せむ事を祈つた。

お菊『赤心を神に捧げて仕へたる
  司の命救ひ給へよ。

 惟神神のまにまに行く人を
  止めむとするわれは悲しも』

イク『何事も速川の瀬に流しすてて
  清き身魂を甦らせよ』

サール『死して行く人の命をとどめむと
  願ふも人の誠なりけり。

 今一度息吹返し道の為に
  尽す真人とならしめ給へ』

お菊『日頃より誠一つの此翁を
  神も憐れみ救ひますらむ。

 道のために世のため尽す此翁を
  救はせ給へ神の力に。

 無理ばかり神の御前に宣る心を
  あはれと思へ天地の神』

と心急くまま、口から出任せの歌を歌ひ、激流に浮きつ沈みつ、危険を冒して祈り出した。大神もこの三人が赤心を必ず許し給ふであらう。平素は悪戯好の茶目男、余り親切らしく見えぬイク、サールの口の悪い連中も、お転婆娘のお菊も、人の危難に際しては其赤心現はれ、吾身の危険を忘れて神に祈る。これぞ全く美はしき人情の発露にして、常に神に従ひ、神を信じ、誠の道を悟り得るものでなくては出来ぬ所為である。
 三人は文助の身を気遣ひながら帰つて来た。忽ちお菊は神懸状態となつて病床に駆け入り、松姫が手より夜光の玉を取り、左右の耳の穴に代る代る当て、何事か小声に称へながら、汗を流して祈つてゐる。イク、サールの両人は赤裸のまま文助の足を揉んだり、息を吹いたり、あらゆる手段を尽した。「ウン」と一声叫んで目をパチリとあけ、起上つた文助、四辺をキヨロキヨロ見廻しながら、大勢の集まりゐるを知つて、
『皆さま、何ぞ変つた事が出来ましたか、大勢さまがお集まりになつて居りますが』
お菊『気がつきましたか、それはマア嬉しいこつて厶います。本当にお菊も心配いたしましたよ』
『私は或美はしき山へ遊びに行つて居りました。何だか急に目が見え出して、そこら中の青々とした景色や咲き匂ふ花の色香、久し振りで自分の目が見え、世の中の明りに接した時の愉快さ、口で云ふ様な事ぢやありませぬ。ああ又目が見えなくなつた』
と力なげに云ふ。
松姫『文助さま、貴方は此間から人事不省で、皆の者が大変に心配をして居りました。初、徳の両人が貴方を打擲したきり姿を晦まし、貴方はその時からチツとも性念がなかつたのですよ。毎日日日囈言ばかり云うてゐられました。マアマア正気になられて結構で厶いますワ。松姫も蘇生の思ひが致します』
文助『成程、さう聞けば、そんな事もあつたやうに仄に覚えて居ります。つひ最前も小さい村の四辻で二人に会ひましたが、大変親切にしてくれました』
お菊『文助さま、貴方は此処に寝たきり、そんな男は来ませぬよ。大方夢でも見たのでせう。チツと確りなさいませ。一旦貴方は死んで居たのですからなア』
『イエイエ、私は決して死んだ覚はありませぬ。どこの方か知らぬが、美しい娘さまが私の手を曳いて、いろいろの所へ連れて行つて下さいました。そして目を直して下さつたお蔭で、永らく見なんだ現界の風光に接し、本当に楽しい旅を続けました。そした処に、自分の顔の二三間ばかり前に、大変な光物が現はれ、眩しくてたまらず、暫く目を塞いで居つた所、今度は祝詞の声が聞え出したので、よくよく耳をすませて考へてゐると、松姫さまやお菊さま其他の方々の声であつた。ハツと思うたら又目が見えなくなりました』
と惜しさうにいふ。
 文助は初、徳の二人の若者と格闘した際、頭蓋骨を打たれて昏倒し、一旦仮死状態になつてゐたのである。此時若しもイク、サールの両人が夜光の玉を持つて居らなかつたなれば、或は蘇生しなかつたかも知れぬ。文助が幽冥界に入つて彷徨うたのは、第三天国の広大なる原野であつた。そして或村の十字街頭で初、徳の両人に出会つたのは、何れも其精霊であつた。初、徳の両人は元より文助を尊敬してゐた。併しながら一時の欲に駆られて、高姫や妖幻坊に誤られ、文助の拾うておいた妖幻坊の玉を受取つて帰らうとしたのを文助が拒んだので、止むを得ず、こんな騒動が突発したのである。併しながら二人の精霊は肉体の意思と反対で、文助を虐待したことを非常に怒り、暫く両人の体を脱出して、文助を現界に今一度呼戻さむと此処までやつて来たのである。そこへ熱心なるイク、サール、お菊、松姫等の祈祷の力に依つて、再び現世の残務を果すべく蘇生せしめられたのである。文助は肉体の眼は既に盲し、非常な不愍な者であつたが、霊界に到るや、忽ち外部的状態を脱出し、第二の中間状態を越えて、第三の内分的状態にまで急速度を以て進んだ。其為、神に親しみ神に仕へたる赤心のみ残存し、心の眼開け居りし為に、天界を見ることを得たのである。
 すべて現界に在つて耳の遠き者、或は手足の自由の利かぬ者、其他種々の難病に苦んでゐた者も、霊肉脱離の関門を経て霊界に入る時は、肉体の時の如き不具者ではない。すべての官能は益々正確に明瞭に活動するものである。併しながら仮令円満具足せる肉体人と雖も、其心に欠陥ありし者は、霊肉脱離の後に聾者となり盲目となり、或は痴呆者となり不具者となり、其容貌は忽ち変化して妖怪の如くなるものである。総て人間の面貌は心の索引ともいふべきものなるが故に、其心性の如何は直に霊界に於ては暴露さるるものである。現界に於ても悪の最も濃厚なる者は、何程立派な容貌と雖も、之を熟視する時は、どこかに其妖怪的面相を認め得るものである。形体は申分なき美人にして、凄く或は厭らしく見える者もあり、又どことなくお化の様な気持のする人間は、其精霊の悪に向ふ事最も甚だしきを証するものである。
 文助は先づ天の八衢の関所に突然着いてゐた。されど本人は自分の嘗て死去した事や、如何なる手続きによつて、こんな見ず知らずの所へ来たかなどと云ふ事は一向考へなかつた。そして現界に残してある妻子のことや、知己朋友の事などもスツカリ忘れてゐた。只神に関する知識のみ益々明瞭になつてゐた。彼は八衢の関所の門を何の気もなく潜つて行つた。後振り返つて見れば、白面赤面の守衛が二人、門の左右に立つてゐる。
『ハテ不思議な所だ、地名は何といふだらうか、あの守衛に尋ねて見たいものだ』
と再び踵を返して側に寄り、文助は、
『此処は何と云ふ所ですか』
と尋ねてみた。二人の守衛は、
『何れ後になつたら分るでせう。お尋ねには及びませぬ。又吾々も申し上げる事は出来ない』
とキツパリ答へた。これはまだ現界へ帰るべき因縁がある事を守衛が知つてゐたからである。もし此処は霊界の八衢であるといふ事を知らしたならば、或は文助が吃驚して、現界に於ける妻子のことを思ひ浮かべ、美はしき天国の関門を覗く事も出来ず、又其魂が中有界に彷徨うて、容易に肉体に還り得ない事を知つたからである。文助は何とはなしに愉快な気分に充たされ、小北山の事も念頭になく、只自分の行先に結構な処、美はしき所があるやうな思ひで、足も軽々と進むのであつた。そして俄に目の開いたのに心勇み、フラフラフラと花に憧憬れた蝶の如く、次へ次へと進んだのである。途中に現界に在る友人や知己並に自分等の知己にして、既に帰幽せし人間にも屡出会うた。されど其時の彼の心は帰幽せし者と帰幽せざる者とを判別する考へもなく、何れも自分と同様に肉身を以て生きて働いてゐることとのみ思うてゐたのである。
 斯の如く、人間は仮死状態の時も、又全く死の状態に入つた後も、決して自分は霊肉脱離して、霊界に来てゐるといふ事を知らないものである。何故ならば、意思想念其他の総ての情動に何等の変移なく、且現界に於けるが如き種々煩雑なる羈絆なく、恰も小児の如き情態に身を置くが故である。之を思へば人間は現世に於て神に背き、真理を無視し、社会に大害を与へざる限り、死後は肉体上に於ける欲望や感念即ち自愛の悪念は払拭され、其内分に属する善のみ自由に活躍することを得るが故に、死後の安逸なる生涯を楽しむ事が出来るのである。
 天国は上り難く地獄は落ち易しと或聖人が云つた。併しながら人間は肉体のある限り、どうしても外的生涯と内的生涯との中間的境域に居らねばならぬ。故に肉体のある中には、どうしても天国に在る天人の如き円満なる善を行ふ事は出来ない。どうしても善悪混淆、美醜相交はる底の中有的生涯に甘んぜねばならぬ。人の死後に於けるや、神は直に生前の悪と善とを調べ、悪の分子を取り去つて、可成く天国へ救はむとなし給ふものである。故に吾々は天国は上り易く、地獄は落ち難しと言ひたくなるのである。併しながら之は普通の人間としての見解であつて、今日の如く虚偽と罪悪に充ちたる地獄界に籍をおける人間は、既に已に地獄の住民であるから、生前に於て此地獄を脱却し、せめて中有界なりと救はれておかねば、死後の生涯を安楽ならしむることは不可能である。されど神は至仁至愛にましますが故に、如何なる者と雖も、あらゆる方法手段を尽して、之を天国に導き、天国の住民として霊界の為に働かしめ且楽しき生涯を送らしめむと念じ給ふのである。
 前にも述べたる如く、神は宇宙を一個の人格者と看做して之を統制し給ふが故に、如何なる悪人と雖も、一個人の身体の一部である。何程汚穢しい所でも、そこに痛みを生じ或は腫物などが出来た時は、其一個人たる人間は種々の方法を尽して之を癒さむ事を願ふやうに、神は地獄界に落ち行く……即ち吾肉体の一部分に発生する腫物や痛み所を治さむと焦慮し給ふは当然である。之を以ても神が如何に人間を始め宇宙一切を吾身の如くにして愛し給ふかが判明するであらう。惟神霊幸倍坐世。
(大正一二・一・三〇 旧一一・一二・一四 松村真澄録)
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