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文献名1霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻
文献名2第1篇 神授の継嗣よみ(新仮名遣い)しんじゅのけいし
文献名3第1章 子宝〔1387〕よみ(新仮名遣い)こだから
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2024-03-28 16:35:30
あらすじビク国は治国別一行に助けられて復興をなしつつあった。叛将ベルツとシエールは国法により重刑に処すべきところ、治国別らの斡旋により大赦が行われ、両人は百日の閉門を申し付けられた。刹帝利ビクトリヤ王は世が治まるにつけて、前途の事を思い嗣子がないことに胸を痛めていた。実際にはビクトリヤ王には前王妃ビクトリヤ姫との間に五男一女があった。それぞれアール、イース、ウエルス、エリナン、オークス、ダイヤ姫といった。ある夜の夢に五人の男子が自分を放逐して国を分割する、という恐ろしいありさまを見たので、ビクトリヤ姫に男子を殺そうと謀った。ビクトリヤ姫は自分の子に危険を告げ、五人の男子を城から逃がした。その後、ダイヤが生まれたのである。五人は照国ケ岳の山谷に逃れ、猟師となって命を保っていた。最後に生まれた王女ダイヤは兄たちの存在を知らずに育ったが、あるとき母から兄たちが生きていることを聞いた。そして十歳になった夜に密かに城を抜け出して照国ケ岳の谷間にやってきた。兄たちが猟師となって隠れ住んでいる洞窟の入り口で、ダイヤは兄のオークスと出会った。オークスはダイヤの話を聞いて、自分の妹が訪ねてきたことを確信したが、兄弟は自分たちの生存を隠すため、洞窟にたどり着いた者は決して生きて返さないきまりになっていた。オークスは、兄たちがきまりにこだわって、妹に危害を加えることを心配した。ダイヤは、兄たちに会えるのであれば命を取られても本望だと答えたが、オークスに促されて、皆が帰ってくるまでつづらの中に隠れることになった。オークスは妹が訪ねて来たが追い返したと言って、兄たちの気持ちを探った。兄たちは、妹を帰さずに兄弟六人が一つになって仲良く暮らし、非情な父親が亡くなった後に復帰して国を治めるという目的をいつか果たしたいものだ、と心中を吐露した。オークスはやっと安心して、実際は妹を追い返しておらず、つづらに隠しておいたことを明かした。こうして、それ以来兄妹六人はさびしい山住まいを続けていた。さて、ベルツの乱が治まったビクトリヤ城では、刹帝利の奥の間にヒルナ姫、治国別、タルマン、キュービット、エクスが小酒宴を開きながら四方山話にふけっていた。その席で世継ぎの話が出た。治国別は、ビクトリヤ王に五男一女がいたことを知っており、もし子供たちが帰ってきたらどうするつもりか、王の意中を尋ねた。ビクトリヤ王は、悪魔に魅入られて悪夢を見たせいで子供たちを殺そうと図ったことを告白したが、一方で城から逃げ出した子供たちがいつ自分を滅ぼしにやってくるかもしれない、と日々悩み苦しんでいることを明かした。治国別は、ビクトリヤ王の子供たちは今はみじめな生活をしているが、国を思う温良な王子たちであり、王が改心して招きよせればきっと孝養を尽くしてくれるだろう、ビクトリヤ王を諭した。治国別のきっぱりとした言葉に、ビクトリヤ王は半ば不安ながら一切を任せることになった。その場にいた重臣たちも賛成し、治国別に王子たちの帰還を頼み込んだ。治国別は自分の館に帰ると、松彦、竜彦、万公と相談の上、六人の王子・王女を迎える計画をはかった。松彦、竜彦、万公の三人は治国別の命により、ビクトル山を越えて照国ケ岳の山谷を目指して出立して行った。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月21日(旧01月6日) 口述場所竜宮館 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年3月26日 愛善世界社版11頁 八幡書店版第9輯 623頁 修補版 校定版9頁 普及版4頁 初版 ページ備考
OBC rm5401
本文のヒット件数全 9 件/ビクトリヤ=9
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本文  叛将ベルツに荒されし  見るかげもなきビクトリヤ
 王の住家は漸くに  治国別の宣伝使
 其一行に助けられ  九死の中に一生を
 得たる心地の初夏の空  塵も芥も根底より
 吹き払はれて太平の  再び御代となりにけり
 ヒルナの姫は復元の  位に居直り忠実に
 アーチヂュークに仕へつつ  神を斎りて城内は
 云ふも更なり国中も  いと安らけく平けく
 治まりしこそ芽出たけれ。
 叛将のベルツ及シエール其外の一派は国法に従ひ、反逆罪として重刑に処すべき所なりしが、治国別、松彦、竜彦、万公の斡旋に仍り、大赦を行ひ、両人は百箇日の閉門申付けられ、門口は四人の守衛をして厳重に守らしむる事となつた。
 刹帝利(太公)は追々老齢に及び、世が治まるにつけて、前途の事を思ひ出し、嗣子の一人も無きに胸を痛めて居た。ビクトリヤ王はアーチ・ダッチェス(太公妃)との間に五男一女があつた。アール、イース、ウエルス、エリナン、オークス、ダイヤ女といふ子供があつたが、王は或夜の夢に……五人の男の子が自分を放逐し、ビクの国を五分して各覇を利かし、国内を紊した……といふ恐ろしい夢を見たので、ビクトリヤ姫に向ひ、深夜ソツと五人の実子を殺さむ事を謀つた。そして……今度腹にある子が男であつたならば、それも殺して了ふ、もし女であつたならば助けよう……とまで言つた。ビクトリヤ姫は之を聞いて大に驚きつつも、ワザと素知らぬ顔をして、……何程諫めても言ひ出したら後に引かぬ気象のビクトリヤ王は、到底五人の子を助けることはせまい、そして又自分の腹に出来た子が男であつたら如何しようか……と大変に心配をしてゐた。併し乍らワザと素知らぬ顔をして、胸に万斛の涙を湛へてゐた。それからソツと五人の男の子に父の決心を囁き、……一時も早く身を以て遁れよ……と命じたのである。五人の兄弟は大に驚いて、ビクトリヤ姫よりいろいろの物を与へられ、夜に乗じて、城内を抜け出でビクトル山の峰続き、照国ケ岳の山谷に穴を穿ち難を避け、猟師となつて生命を保つてゐたのである。ビクトリヤ姫は月盈ちて生み落した、慌て調べて見れば女の子であつた。ヤツと安心して、ダイヤといふ名を付けた。ダイヤ姫は七才になつた時、母に向つて、自分の兄弟のない事を歎いた。そこでビクトリヤ姫は五人の兄があつて照国ケ岳に猟師となり隠れて居ることをソツと物語つた。ダイヤ姫は之を聞くより五人の兄に会ひたくて仕方がなく、十歳になりし折夜秘に城を脱け出し、繊弱き足に峰をつたつて、照国ケ岳の谷間に漸く辿り着いた。行つて見れば、可なり大きな土窟があつて、獣の皮等が干してあつた。兄の四人は猟夫に出て不在であつたが、五人目の兄オークスが一人番をしてゐた。発覚を恐れて、如何なる人間も此処へ来た者は、一人も、打殺して帰さない事に五人は定めてゐたのである。そこへダイヤがヘトヘトになつてやつて来たので、オークスは目をギヨロつかせ乍ら、
オークス『お前は何処から来た者だ』
と尋ねた。ダイヤは涙を拭き乍ら、
ダイヤ『ハイ、私はビクトリヤ王の娘ダイヤと申します。お母さまに承はれば、……父上に秘密で、十年許り前から、此照国山に五人の兄さまが猟師をして隠れてゐられる。お父さまも年よりだから国替をしられたら帰つて来い……と云つて隠してあると仰有いましたので、私は兄さまに会ひたくて会ひたくて仕方がありませぬので、両親に隠れて尋ねて参りました』
と云つて、ワツと許りに泣き伏した。オークスはよくよくダイヤの顔を調べてみると、どこともなしに自分の兄に似た所がある、又母にも似てゐる。併し乍ら四人の兄が帰つて来たら何と云ふであらうか、仮令親兄弟と雖も命を取ると定めた以上は、此可憐な妹を殺しはしようまいか……と大変に心配をし、声を曇らせ乍ら、
オークス『お前は如何にも妹に間違ひはない、よう来てくれた。頑固一片の父王は夢を見たと云つて、吾々五人の兄弟を殺さうとなさつたのだ。それを母の情けに仍つて命丈を保つてゐるのだが、お父さまはまだ達者にしてゐられるかな』
と尋ねて見た。ダイヤは涙乍ら、
ダイヤ『ハイ、お父さまは極めて御達者で厶います。そしてお母さまは私の七つの年に兄さま達の事が苦になつて、それが元で病気にかかり、亡くなつて了はれました。跡へヒルナ姫といふ小間使がお父さまの妃となつて、今年で一年になります。私はお母さまは亡くなる、兄さまはゐられないし、城内に居る気がしませぬので、お後を慕うて参りました。モウ城内へは帰りたくありませぬから、何卒此処に何時迄もおいて下さいませ』
と両手を合せて、涙と共に頼み入る。
オークス『ああそれはよう尋ねて来てくれた。併し乍ら兄が帰る迄、お前は此葛籠の中へ隠れてゐてくれ、そして兄の腹を聞いた上、若も助けるというたら、公然と兄妹の名乗をさすなり、叩き殺すといつたら、気の毒乍らお前を此葛籠に入れておいて、兄の行つた後で、何ツ処へ送つてやるから……』
ダイヤ『何分宜しく頼みます、兄さまに会うて殺されても満足で厶います』
と唏嘘泣く。
オークス『モウ兄貴の帰る時分だから、サ、之へ入つてくれ』
と葛籠の中へダイヤを入れて素知らぬ顔をしてゐた。そこへ兄のアール、イース、ウエルス、エリナンの四人が兎や狸を捕獲してイソイソと帰つて来た。オークスは出で迎へ、
オークス『兄さま、今日は大変早う厶いましたな』
アール『ウン、此通り兎と狸が都合好く取れたので、今日は何だか気が急いて、お前の身に異状が出来たやうな気がしてならないので、急いで帰つて来たのだ』
と云ひ乍ら、足装束を了ひ、広い穴の中へ這入つて腰を下ろした。
アール『俺の不在中に変つた事はなかつたかなア、どうも気が急いて仕方がなかつたのだ』
オークス『ああさうで厶いましたか、実の処は妹が尋ねて来ました。けれ共吾々の規約に従つて叩き殺さうと思うたが、余り不愍なので、化者の真似をして追つ返してやりました』
と云つて、兄の意見を探つてみた。
アール『吾々に妹があるとは、ハテ合点が行かぬ、さうすると自分の出た後で、両親の間に出来た子であらうかな』
オークス『母が吾々が逃出す時に孕んで居つた、それが出産したのが女で、ダイヤと云ふ妹なんですよ』
アール『お前はなぜそんな者を追ひ返すのだ、俺も一遍会つてみたいのだが、ハテ困つた事をしたなア』
イース『モシ父にこんな所を悟られたら、沢山な軍勢を伴れて、又攻めに来るか知れない。帰なす位なら、なぜ可愛相でも殺さなかつたか』
アール『ヤ、殺すには及ばぬが、何故妹を止めておかぬのか、城内の様子も分るであらうに、何時迄も父が長生する筈もなし、お母さまさへ達者であれば、吾々は後へ帰つて、ビクの国を治める事が出来るのだが、妹が帰つたとすれば、コレヤ大変な事が起つて来る、一時も早くここを逃げ去り、どつかへ身を隠さねばなるまいぞ』
と心配相に言ふ。
オークス『妹の言葉に仍れば、お母さまは三年以前に亡くなり、お父さまは極めて壮健で、ヒルナ姫といふ腰元をアーチ・ダッチェースとなし、大変な元気だといふ事だから、吾々兄弟の望みは到底達しますまい』
 四人の兄は慈愛深き母が亡くなつたと聞いて、一時に声を上げて号泣した。
オークス『兄さま、モシ妹が此処へ尋ねて来たならば、貴方は大切にしてやりますか、但は殺す考へですか』
と四人の兄の顔を覗いた、四人は声を揃へて、
『妹に怨みもないのだから、斯うなれば兄妹六人が何処迄も一つになつて、仲よう暮らし、時節を待つて目的を成就させやうだないか』
 此言葉にオークスはヤツと安心し、
オークス『実は此葛籠の中に妹を隠しておいたのです』
と言つたので、直ちにアールは葛籠を開き、妹を労り、外へ出して五人がよつてたかつて、頭を撫で、背を撫で、兄弟六人しがみ付いて嬉し涙にくれてゐた。そして兄妹は此処に淋しい山住居を続けてゐたのである。
 さて刹帝利の奥の間にはヒルナ姫、治国別、タルマン、キユービツト、エクスが小酒宴を開き乍ら、四方山の話に耽つてゐた。キユービツトは治国別に向ひ、
左守『三五の神様のお蔭、貴師方の御尽力に依りまして、叛将ベルツも漸く降服を致し、あの通り閉門を申付けられ、あ、これで一安心致しましたが、刹帝利様は御老齢の事なり、御世継がないので大変に心配を致して居られます。何とかして子を授かる法は厶いますまいかなア』
と心配相に尋ねた。治国別は此処ぞと、膝を進め、
治国『刹帝利様には、アール、イース、ウエルス、エリナン、オークス、ダイヤ様といふ五男一女があるぢやありませぬか。其方を礼を厚くしてお連れ帰りになれば、立派に御世継が出来るでせう』
左守『ハイ、仰の如く六人のお子様が厶いましたが、今は其お行衛が分りませぬので、実の所は刹帝利様もお年が老つて子が恋しうなり、心秘にお尋ねになつて居ります。併し乍ら、どうしても其お子様は行衛は知れず、仮令行衛は知れても御帰り遊ばすことは厶いますまい』
治国『刹帝利殿、拙者が六人のお子様を貴方にお渡し申せば、貴方は如何なさいますか。昔のやうな考へを起して、皆殺して了ふ心算ですか』
 刹帝利は涙を拭ひ乍ら、
『実の所は悪魔に魅入られ、悪い夢を一週間も続けてみましたので、敵が吾子となつて生れて来たものと信じ、五人の男子を一人も残らず打殺さうと、残酷な考へを起しましたが、それをどう悟つたものか、夜の間に城内を逃出して了ひ、どつかに潜んで計画をなし、何時自分を亡ぼしに来るか知れないと思うて、夜の目も碌に寝た事は厶いませぬ』
治国『それは貴方の御心得違ひといふもの、貴方のお子様は実に温良な方で、今はみじめな生活をし乍らも、国を思ひ、王家を思ひ、少しも恨んではゐられませぬよ。貴方が今改心して、六人のお子様を城内へお招きになれば、キツと孝養を尽されるでせう』
刹帝『まだ此世に生きて居るでせうか。但は生きて何か悪い事を企んで居りは致しますまいか……と心配でなりませぬ』
治国『決して御心配なさいますな。私が引受けませう』
刹帝『治国別様のお言葉なれば、決して間違はありますまい。何卒此世に居ります者なれば、一度会はして頂き度いもので厶います』
治国『宜しい、二三日私にお任せ下さい。キツとお会はせ致しませう』
 刹帝利は半喜び、半不安の態乍ら、外ならぬ治国別の言葉を力とし、一切を任して了つた。左守、右守を始めタルマン、ヒルナ姫も一同に頭を下げ、治国別に、
『何分宜しく頼みます』
と涙と共に頼み入る。治国別は自分の与へられた美しい館へ帰り、松彦、竜彦、万公と相談の上、六人の子女を迎へ帰る事を謀つた。
 茲に三人は治国別の命に依つて、ビクトル山を越え、照国ケ岳の山谷を指して旅装を整へ、六人の子女を迎ふべく、草鞋脚絆に身を固め、奉迎といふ各手旗を翳し乍ら、誰にも知らさず秘に尋ね行く事となりぬ。
(大正一二・二・二一 旧一・六 於竜宮館 松村真澄録)
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