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文献名1霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
文献名2第4篇 猩々潔白よみ(新仮名遣い)しょうじょうけっぱく
文献名3第22章 獣婚〔1497〕よみ(新仮名遣い)じゅうこん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじバーチルやようやく懐かしの我が家に帰ってきたが、妻のサーベルは床の間に厳然と控えてニコニコしていた。そしてバーチルの姿を見るとヒラリと床の間を飛び下りて、猿のような怪しい声を張り上げた。サーベルは、自分は猩々の女王であり、賤しい獣の肉体のままサーベルに着いていくわけにも行かず、身を投げて死し、バーチルの妻の肉体に懸ったのだと語り始めた。玉国別は、サーベルは一体二霊だから因縁としてこのまま仲良く暮らすのがよいとバーチルを諭した。バーチルは納得がいかない面持である。サーベルに懸った猩々の女王はその因縁を語りだした。それによると、猩々の女王の夫の猩々王は、アヅモス山を守護していたが、バーチルの父バークスの罠にかかって命を落としたという。そして夫猩々王の精霊は、バークスの息子であるバーチルの肉体に納まったのだという。猩々女王は夫の死後、眷属をひきつれてアヅモス山を逃げ出し、船に乗って猩々島に隠れ、夫の精霊がやってくるのを待っていたのだという。バーチルが漁をやめられずに船に焦がれていたのも、猩々王の精霊がなした業であり、そのために難船して三年前に猩々島に流れ着き、猩々の女王と夫婦となっていたのだと明かした。玉国別は不思議な因縁を受け入れるようバーチルを諭した。一同はこの不思議な物語を聞いてそれぞれ述懐の歌を歌った。サーベルは我に返った。そして自分の肉体に宿っている猩々姫が語ったことや歌った歌を聞いて、覚悟はできたから、このまま一体二霊にて夫婦として過ごそうとバーチルに呼びかけた。玉国別は、人間は精霊の宿泊所のようなものであり、その精霊は一方は愛善の徳を受けて天国に向かい、一方は悪と虚偽の愛のために地獄に向かっていると説いた。善悪混淆の中間状態にあるのが人間であるから、愛と善と信の真によってあらゆる徳を積み、天国天人の班に加わらなければならないと続けた。そこへ下女がたくさんな馳走をこしらえて膳部を運んできた。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月30日(旧02月14日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年6月15日 愛善世界社版269頁 八幡書店版第10輯 465頁 修補版 校定版285頁 普及版108頁 初版 ページ備考
OBC rm5822
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本文  玉国別を先頭にバーチルは三年振りに恋しき吾家の表門を潜つた。四辺の光景は自分の不在にも似合はず、極めて生々として居る。庭の手入れも殊更行届き、牡丹、芍薬、燕子花、日和草、その外鳳仙花、鶏頭等が、広庭の彼方此方に主人の不在を知らず顔に、艶を競ふて咲き誇つて居る。雀や燕は主人の帰りを祝するものの如く、殊更高い声をして囀り出した。バーチルは感慨無量の面持にて表玄関より玉国別に従ひ、奥の間深く進み入る。
 自分が久し振りに帰つて来たのだから女房のサーベルは道の四五丁も喜んで迎へに来て居さうなものだのに、どうしたものか、玄関口迄も迎へに来ないのは、何か大病でも患つて居るのではあるまいかと案じ乍ら、吾居間に宣伝使と共に進み見れば、サーベル姫は床の間に儼然として胡座をかき、両手をキチンと合して、莞爾し乍ら控へて居る。
 バーチルの姿を見るより床の間をヒラリと飛び下り、『キャッキャッ』と怪しき声を張り上げ乍ら、
サーベル『ホホホホホこれはこれはお旦那様、えらう遅い事で厶いましたね。妾は一歩お先へ参りまして僕に準備をさせ、待つてゐましたのよ。貴方も妾と三年が間、あの離れ島に御苦労なさいましたね。もう此処へお帰りになれば何かにつけて便利もよく、何卒幾久敷く偕老同穴の契を結んで下さいます様にお願ひ申します。宣伝使様も妾の肉体を連れて帰つてやらうかと親切に仰有つて下さいましたが、何と云つても畜生の肉体、到底立派な貴方様のお側に仕へる事は出来ぬと存じまして海中に身を投じ、性を変じて奥様の肉体に憑りました。妾は貴方の愛して下さつた猩々夫人で厶います。第二夫人として使つて下さいませ』
バーチル『はて、合点のゆかぬ事だな。もし先生様、奥は発狂したのではありますまいか。怪体な事を申すぢや厶いませぬか』
玉国『いや決して発狂でも何でもありませぬ。精神清浄潔白にして純朴無垢な猩々姫様が、貴方を慕つて精霊となり、奥様の肉体にお宿りなさつたのですよ。これも因縁で厶いますから仲良うお暮し下さいませ』
バーチル『何だか化物の様な感じが致します。嫌らしい者ですな。さうして奥の魂はどうなつたでせうか』
玉国『奥様とお二人ですよ。つまり一体二霊ですから之も因縁と諦めて仲良くお暮しなさるが宜しい。これには何か深い因縁が此家に絡つてあるに違ひありませぬ』
バーチル『へー………』
サーベル『妾の夫はアヅモス山の天王の森を守護して居る猩々で厶いましたが、バーチルさまの父上バークスさまが妾の夫を罠にかけ命を奪られました。それ故精霊の行く処がありませぬので、バークス様の御息子、即ち此夫バーチルさまの肉体に納まりましたので厶います。云はばバーチルさまの精霊は妾の夫で厶います。妾は眷族を引き連れ、アヅモス山の森を逃げ出し、磯辺に繋いであつた船に眷族を乗せ、漸く猩々の島に渡つて夫の来るのを待つて居りました。それ故妾の精霊が夫の精霊と通ひし為めバーチルさまは海を見るのが好きになり、漁を遊ばし到頭漁船は難破して妾の島へ漂着遊ばす様に夫の精霊が致したので厶います。決して三年前から夫婦になつたのでは厶いませぬ』
バーチル『はてな、さうすると私は矢張り二人暮しであつたのか。何とまア合点のいかぬものだな。いつの間にか猩々彦の生宮となつてゐたものと見える。扨ても扨ても合点のゆかぬ事だな』
玉国『霊魂の力と云ふものは恐ろしいもので厶いますよ。云はば貴方の肉体はバーチルさまと猩々彦の合体、奥様の肉体はサーベル姫と猩々姫の合体ですから一夫婦で二夫婦の生活を営んでゐる様なものです』

バーチル『思ひきや猩々彦の肉宮と
  知らず知らずに世を過ごしける。

 夜も昼も湖の上のみ憧憬れて
  漁りせしも仇事でなし』

サーベル『心なき人の矛をば避け乍ら
  猩々ケ島より魂通はせつ。

 猩々の果敢なき身をば持ち乍ら
  物云ふ人に宿る嬉しさ』

伊太彦『これはしたり思ひも寄らぬローマンスを
  目のあたり見る訝かしさかな。

 三千彦の神の司よ心せよ
  汝も猩々の身霊ならずや』

三千彦『バーチルは宝に富める人なれば
  二重生活苦しからまじ。

 さり乍ら宝貧しき三千彦は
  二重生活する術もなし』

デビス姫『吾とても矢張二重生活よ
  神の任さしの正守護神在す』

伊太彦『それならば俺も矢張同じ事
  本正副の三重生活』

真純彦『世の中の人は何れも同じ事
  善と悪との魂の容物』

玉国別『天地の誠の道を悟りけり
  心より来る人の生涯。

 猩々も皆天地の生神の
  尊き霊の分れなりけり。

 猩々姫主人に尽す誠心を
  見るにつけても涙こぼるる』

三千彦『人の皮着た獣の多き世に
  獣の皮を着たる人あり。

 毛衣を脱いで芽出たく猩々姫
  今更めて人の皮着る。

 つまを持つ二人の中に又二人
  つま持つ人を獣婚(重婚)と謂ふ』

サーベル『有難し神の大路に目覚めたる
  道の司の厳の言霊』

バーチル『斯うならば只何事も神様に
  任せて世をば安く渡らむ。

 猩々姫妻の体を宿として
  吾に仕へよ千代に八千代に』

アンチー『これは又思ひもよらぬ出来事よ
  呆れ果てたる吾心かな。

 さり乍ら情の道は同じ事
  殊更清き姫の御心』

アキス『奥様と只一心に思ひつめ
  猩々の姫に仕へけるかな』

カール『肉体はよし猩々に在すとても
  心の清き姫ぞ尊き』

玉国別『霊界のその消息を詳細に
  教へ玉ひぬ厳の大神。

 鳥獣虫族草木に至るまで
  皇大神の珍の霊よ。

 立ちて行くばかりが人の所作でなし
  誠を立つる人ぞ人なれ。

 人多き人の中にも人ぞなき
  あらぬ獣が人の皮着て。

 表面こそ人と見ゆれど魂は
  獣の多き今の世の中』

サーベル『猩々姫暫く控へ奉る
  サーベル姫に口を譲りて』

サーベル『背の君の帰りまししと聞きしより
  心勇みぬ身もたなしらに。

 背の君を庇ひ玉ひし猩々姫
  吾身を宿と定めましける。

 何となく身も健かになりにけり
  腹に力の充ち満ちしより。

 猩々の姫の命の生身霊
  吾身を強く守りますらむ』

伊太彦『何事も神のまにまに人の身は
  仕ふべき由今や悟りぬ』

サーベル姫『これは これは旦那様、お懐しう厶います。ようまア無事でお帰り下さいました。貴方の行衛が分らなくなつてからと云ふものは朝夕アヅモス山の天王の森へ参拝致し、種々と御祈願を籠めましたが、どうしても御所在が分りませぬので、荒波に呑まれて魚腹に葬られた事と観念しまして、形許りの野辺の送りを済ませ、朝は天王の森に夫の冥福を祈り、夕はアヅモス山の山腹の墓に参詣し、悲しき光陰を今日迄送つて参りました。さうした所、二三日以前より俄に妾の体が重くなり、腹の中から種々の事を囁き出し、貴方が近い中に無事にお帰りになるとの知らせ、それ故二人の僕を浜辺に出し、お帰りを待たせて居りました。妾の肉体には猩々姫とやら云ふ精霊が宿つてる様で厶いますが、最前からの猩々姫の歌を聞きまして、最早覚悟は致しました。何卒仲良くして添ふて下さいませ。お願ひで厶います』
バーチル『ああ女房、どうやら本性になつたらしい。実の所はお前の本当の声が聞きたかつたのだ。今詠んだ歌はお前覚えて居るかな』
サーベル『はい、妾は貴方の御存じの通り歌なんか一つも出来ませぬ。猩々姫様が妾に代つて歌を詠んでやらうと腹の中で仰有いまして、あの通り珍らしい歌を詠めたので厶います』
バーチル『うん、さうに違ひない。到底お前の考へではあんな詩才があるとは思はなかつた。ほんに不思議なものだな』
伊太彦『さうすると奥様よりも猩々姫さまの方が余程詩才に富んでゐられると見えますな。いや恐れ入つた。之では人間も廃業し度くなつて来る』
玉国別『伊太彦さま、お前だつてチヨコチヨコ妙な歌を歌ふが決してお前の知識の産物ぢやないよ。皆副守先生がお前の口を借つて厶る丈けだよ。人は精霊のサツクの様な者だからな。アハハハハ』
伊太『精霊のサツク、ヘー、つまらぬものですな。さう考へて見ると別に歌を稽古したでもなし、直に当意即妙の名歌が浮んで来ると思つたら、矢張守護神さまが仰有つたのですかな。さうすると私の御本体は何処にあるのでせうかな』
玉国『人間は凡て精霊の宿泊所の様なものだ。そして其精霊は一方は愛善の徳を受けて天国に向ひ、一方は悪と虚偽との愛の為に地獄に向つて居る。善悪混淆の中間状態にゐるのが所謂人間だ。それだから八衢人足と神様が仰有るのも決して誣言ではないよ。どうしても人間は愛の善と信の真に依つて所在徳を積み天国天人の班に加はらなねばならないのだ。生き乍ら天人の列に加はつて厶るのは、あの初稚姫様だ。あの様な立派な御精神にならなくては到底人間として生れて来た功能がないのだ。それで私等も早くその域に達したいと思つて神様の御用を勤めて居るのだよ』
 斯く話す所へ下女は沢山な馳走を拵へ、
下女『さア皆さま、御飯が出来ました。悠くりお食り下さいませ』
と云ひ乍ら膳部を運び来る。
(大正一二・三・三〇 旧二・一四 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)
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