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文献名1霊界物語 第71巻 山河草木 戌の巻
文献名2第1篇 追僧軽迫よみ(新仮名遣い)ついそうけいはく
文献名3第3章 門外漢〔1792〕よみ(新仮名遣い)もんがいかん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじかつて日の出別の宣伝使に使えていた玉清別は、バラモン教を逃れて、タニグク山の峰続きに神谷村を作って時期を待っていた。玉清別には、妻玉子姫との間に、神の子、玉の子という二人の子があった。神の子は小さいころより、神童と呼ばれていた。玄真坊はダリヤが庄屋・玉清別の屋敷にいると知ってさっそくたずねてくるが、玉子姫に正体を見破られ、言い負かされて閉め出しをくってしまう。玄真坊は自分は改心し、神の柱となって福音を述べにきたと歌うが、神の子・玉の子に逆に心を見透かされ、馬鹿にされてしまう。
主な人物 舞台 口述日1925(大正14)年11月07日(旧09月21日) 口述場所祥明館 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1929(昭和4)年2月1日 愛善世界社版40頁 八幡書店版第12輯 513頁 修補版 校定版42頁 普及版18頁 初版 ページ備考
OBC rm7103
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本文  千年の齢を保つ丹頂の鶴は枯木に巣は造らない、空を飛ぶ鳥さへ突かれた巣には怖れて帰らず、地を潜る獣も一たん狙はれた穴には再び近づかぬ道理、バラモン教の悪神に根城を覆へされ、タラハン城下を立出で、打ちもらされし残党を集めて人跡稀なる谷蟆山の峰つづき神谷の平原に三十余戸の家をつくつて飽迄も祖先伝来の三五の道を遵奉し昼夜孜々として家業を励み、時を得れば再び三五の法城を築いて天下に雄飛せむものと、日の出別の宣伝使に仕へたる玉清別は此処に千代の住家を定め、遠大な望を抱いて時期の到るを待つて居た。
 玉清別には神の子、玉の子と云ふ二男子があつた。神の子は幼少より神童と呼ばれ、村内に其神名を轟かして居た。玉清別の妻、玉子姫は夕餉の用意をなさむと門先の井戸端に出でて釣瓶に片手をかけ水を汲まむとする時しもあれ、異様の托鉢僧が錫杖をがちやづかせ乍ら、三文奴を従へ、さも鷹揚な態度で現はれ来り、玉子姫の美貌を不出来な目鼻を一つに寄せて微笑し乍ら眺め、手鼻をツンと噛み、
天真坊『拙者は天帝の化身天来の救世主天真坊と申す名僧知識で厶る』
と、さも鷹揚に出歯をむき出して語る。玉子姫は一目見るより思はず吹き出さむとする臍茶の苦痛を奥歯に噛殺してしみじみ見れば見る程醜男も醜男、不男も不男、これ程念入に出来上つた面がまへでは横町の雌犬にけしかけても叶はぬ筈の恋、まして図う図うしく人間の美人、匿ひおいたダリヤ姫に向つて慕ふて来るとは、恋なればこそと可笑しさに堪へかね、「ホヽヽヽヽツ」と笑へば、天真坊はますます居丈高になり、
天『これはしたり、当家の奥様とあらう者が吾々の顔を見て、一言の挨拶もなく冷笑するとは何事で御座る、貴女の御心底心得申さぬ』
玉『これはこれは天帝の化身様とやら、何用あつてお越し下さいました。エー御用があらば手つ取り早く仰有つて下さいませ。エー一寸御様子を伺へば貴方は他宗のお方と見えますが、当家は宗旨が違ひますから、何卒御帰りを願ひます』
 天真坊は……ハハア最前の化小僧が此村は三五教と云ひよつたが、これや一つ三五教に化けてやらねばなるまい……と態と素知らぬ顔をしながら、
天『エー宗旨が違ふと今仰せられましたが、要するに宗旨なんかは枝葉の問題で厶います。神様は元は一株、時代とエー、国との都合によつて、或は神と現じ、或は仏と現じ、自由自在の活動を遊ばすのが誠の神で御座る。拙者は斯様な僧形をして居れど真実は三五教を信仰いたすもの、拙者の弟子には照国別、梅公、照公などの宣伝使も御座いますから、何宗か知りませぬが、暫く拙者の申す事を一応お聞き下されたい』
玉『アヽ左様で厶いますか、有名な照国別の宣伝使のお師匠様と仰有る以上は貴方はお名前は何と仰有いますか、それを承はつた上、都合によつてはお話を聞かして貰ひませう』
天『拙者は最前も申す通り、天来の救世主、天帝の化身シーゴーヨリコ別の命で御座る』
玉『ホヽヽヽヽ。まるきりオーラ山の山賊みたやうなお名前で御座いますな』
天『これは怪しからぬ、拙者はオーラ山に立ち向ひ、シーゴー、ヨリコの頭目を言向け和し一泡吹かせ、天下の禍を除き記念の為めに彼等頭目の名を吾名と致した剛のもので御座る』
玉『あら左様で御座いますか、エー、オーラ山には天帝の化身天来の救世主、玄真坊とか云ふ山子坊主が居つたやうに噂に聞いて居りますが、其玄真坊はどうなりました。定めし貴方の御神力によつて打ち滅されたことで御座いませうねえ』
 コブライは天真坊の袖をグイグイ引き乍ら、
『もし天真さま駄目ですよ。足許の明るい中にとつとと帰りませう。此女一通の女ぢや御座いませんよ。グヅグヅしてをると化が現れますぜ』
 天真坊は小声で、
『馬鹿云ふな、ダリヤ姫が当家に匿れて居ると云つたからは、何とか彼とか云ふて彼女を引張りだす迄、此処を動かない積りだ。貴様去にたければ勝手に去ね』
 玉子姫は耳ざとくも二人の囁き話を聞き終り、
『ホヽヽヽ、やつぱり貴方はオーラ山の玄真坊様でせう。実は奥座敷にお前さまの尋ねて御座るダリヤ姫さまが、バルギーと云ふ気の利いた男さまと休んで居られますよ。それはそれは睦じさうな御夫婦ですわ。玄真坊と云ふ修験者がやつて来ら、何卒入れないやうにして呉れと呉々も頼まれて居りますから、何卒お帰り下さいませ。妾は夕飯のお仕度で大層忙しう御座いますから』
天『如何にも拙者は天帝の化身、玄真坊で御座る。一度はオーラ山に於て悪神に嗾され些と許り善からぬ事を致したなれど、悪に強ければ善にもつよい道理、今日の玄真坊は清浄無垢、昔日の玄真坊では御座らぬ。それ故に天帝より天真坊と神名を賜はつた者、拙者を一夜お泊め下されば家の御祈祷にもなり、子孫長久、福徳円満疑ひなし、まげて一夜の宿をお願ひ申したい』
玉『左様ならば一寸まつて居て下さい。妾一量見には行きませぬ、主人に相談して参ります』
と言ひ乍ら足早に奥にかけ込んだ。
 何時迄まつても手桶に水を汲んで入つたきり、ピシヤリと中から錠を卸し、猫の子一匹顔を見せぬ。玄真坊は門口に立ち、三五教の宣伝歌を歌つて主人の疑ひを晴らさむものと皺枯声を張りあげ仔細らしく歌ひ出した。
『朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 たとへ大地は沈むとも  誠の力は世を救ふ
 誠の力と云ふ事は  天地造化の初めより
 世の末々に至る迄  此世を独守ります
 宇宙唯一の神人の  珍の力と云ふ事だ
 あゝ惟神々々  霊幸倍ましまして
 天来唯一の救世主  産土山の聖場に
 現れ給ふ瑞霊  神素盞嗚の大神の
 化身とあれし玄真坊  天帝の化身と云ふ事を
 此家の主人委細かに  悟らせたまへ惟神
 慎み敬ひ願ぎまつる  神が表に現れて
 善と悪とを立てわける  抑神は何者ぞ
 際限もなき大宇宙  作り給ひし造物主
 これこそ誠の神なるぞ  抑神は無形なり
 無声に居ますその限り  何程力があるとても
 そのまま此世を守るてふ  仕組は到底むつかしい
 それ故神に選まれし  地上唯一の予言者を
 神の機関と相定め  神素盞嗚の精霊に
 珍の聖霊を宿しまし  下らせたまひし肉の宮
 これこそ世界の太柱  神の柱は天真坊
 決して間違ひ御座らぬぞ  早く疑ひ晴らしませ
 神は此家に幸を  与へて霊肉諸共に
 天国浄土に救はむと  門の戸たたき立ちたまふ
 心の暗き人々は  神の柱を見誤り
 門の戸開いて迎へ入る  礼儀を知らぬ愚かさよ
 後の後悔間に合はぬ  早く心を改めて
 二つの眼にかけたまふ  青赤黒の眼鏡をば
 外して吾身の顔を見よ  さすれば疑ひ晴れるだらう
 総て化身と云ふものは  人間並の顔ぢやない
 五百羅漢か不動さま  悪鬼羅刹の相をして
 人の心をひくために  現れ出づるものなるぞ
 何程顔がきれいでも  心に潜む枉神に
 注意せなくちや臍をかむ  やうな失敗出来るぞや
 省みたまへ玉子姫  此家の主玉清別の
 為めに化身が宣示する  あゝ惟神々々
 霊幸倍へましませよ』
 神の子は窓から二人の姿をのぞき、此歌を聞いて吹き出しながら、小さい手を拍つて弟の玉の子と共に歌ひ出した。
『お化のやうな坊さまが  泥棒の乾児をつれて来て
 誠ぢや嘘ぢや化身ぢやと  甘い事をば言ひ並べ
 家のお父さまをごまかして  此家に一夜とまり込み
 ねてもさめても夢現  忘れられないダリヤさまを
 連れて帰らうと企みつつ  嘘八百を並べたて
 目玉をむき出し嘴を  無性矢鱈にとがらして
 臭い呼吸をば吐き乍ら  屋敷の空気を汚しよる
 もはや観念するがよい  万劫末代門口は
 お前の為めには開かない  三五教に化けて来て
 甘い事せうとはそれや何だ  お尻喰ひの観音だ
 早く帰つたがよからうぞ  お杓に水を汲んで来て
 頭の上からぶつかけよか  尻尾を股へ捻ぢこんで
 一時も早く帰れかし  女を逐ふよな面でない
 早くいんで呉れ貧乏神  アハヽヽヽヽヽあの面を
 一寸見なされお母さま  小田の蛙の鳴き損ね
 夜食に外れた梟鳥  形容の出来ないスタイルだ
 ほんとに怪体な売僧坊主  神の館を逸早く
 尻に帆をかけ去んで呉れ  お前の去んだその跡で
 お塩の三俵も振り撤いて  隅から隅迄大掃除
 致さにやならぬ厄介な  山子坊主が来たものだ
 イヒヽヽヽヽヽイヒヽヽヽ』
と腮をしやくり頭を窓から突き出し、小さい足音を刻み乍ら奥に引つこんでしまつた。
 コブライは馬鹿らしくて耐らず、チエツと歯噛をなし、睨みつけながら、斜になつて門口を出た。天真坊もチエツと舌うちしながら駆けだす、待ち構へて居た下男は手早く門の閂を箝めて仕舞つた。
 夕陽傾いて暗の扉は四方より拡がつて来る。執念深き玄真坊は現在恋慕ふダリヤが此館に居ると聞いては、仮令命を的にかけても目的を達せねばおかぬと門先の石の上に腰をうちかけ、双手を組んで思案に暮れて居る。塒求むる夕烏、近所の森の上から阿呆々々とおちよくるやうに頭の上から喚いてゐる。
(大正一四・一一・七 旧九・二一 於祥明館 加藤明子録)
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