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文献名1霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
文献名2第3篇 孤軍奮闘よみ(新仮名遣い)こぐんふんとう
文献名3第9章 闇の河畔〔1926〕よみ(新仮名遣い)やみのかはん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ太元顕津男の神を探して、朝香比女の神はとある河辺に着いた。闇の中、駒に水をやりながら顕津男の神を恋うる歌を歌い、河を越える術を思いたたずんでいた。すると、八十曲津神は、青白い大火団となって朝香比女のそばに来ると、目ひとつ口八つの怪物となり、口から蜂を吐き出しながら、襲い掛かってきた。駒は驚いて河の中に飛び込んでしまったが、朝香比女は気丈にも八十曲津神を迎え撃つ歌を歌いかけた。ますます襲い来る蜂と怪物に、朝香比女は一計を案じ、懐から火打ちと石を取り出して曲津神に向かって打ち出した。たちまちほとばしり出る真火の光に、曲津神は驚き、怪物の姿は煙と消えてしまった。この勝利に朝香比女は勇気百倍し、火打ちを懐に収めると、両手を合わせて天に向かって感謝の御歌を歌った。そのうちに日が昇り、かささぎの声が河辺に響いてきた。朝香比女は水馬の法に長けていたので、駒の背にまたがり、たてがみにつかまって河を泳ぎ渡り、激流をこえた。朝香比女は感謝と馬の働きをたたえる歌を歌い、再び駒の背にまたがると、大野ケ原の草原を東南指して進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年12月07日(旧10月20日) 口述場所水明閣 筆録者白石恵子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年3月23日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 545頁 修補版 校定版337頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7609
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本文  別れて程経し背の岐美の  太元顕津男の神を
 恋ふる心の矢も楯も  たまらぬままに朝香比女
 神の神言は唯一騎  高地秀山を後にして
 白馬の背に鞭うちつ  桜の花の風に散る
 夕べの空をしとしとと  諸神の諫言もきかずして
 進ませ給ふ旅の空  道の隈手にさやりたる
 八十曲津見を悉く  生言霊に打ち払ひ
 駒の蹄に踏み躙り  初心を貫徹せむものと
 勇み進むで出で給ふ。
 闇の幕はますます深く大地一面を包み、悽惨の気四方に漂ふ。
 朝香比女の神は、とある河畔に着き給ひ、闇の流れに駒を水飼ひながら、声もひそかに歌はせ給ふ。
『天晴れ天晴れ
 わが背の岐美は今いづこ
 たづねいゆくも夏の夜の
 月空になく星かげは
 御空の雲に包まれて
 あやめもわかぬ真の闇
 河の流れはしろじろと
 北より南に光りつつ
 せせらぎの音ひそひそと
 囁く聞けば淋しもよ
 果てしも知らぬ大野原
 心は闇にあらねども
 岐美を慕ひし真心の
 つもりつもりて常闇と
 なりにけるかも今日の旅
 𪫧怜に委曲に照らしませ
 高地秀山の聖場に
 長き年月仕へたる
 われは朝香比女神よ
 主の大御神心あらば
 この河やすやす渡しませ
 千里の駒は嘶けど
 深き浅きもしらなみの
 越す術もなき闇の河
 守らせ給へ惟神
 神の恵みを乞ひ奉る。

 常闇の河畔にたちて思ふかな
  恋にくもれる心の闇を

 一条の闇を縫ひつつしろじろと
  流るる水瀬はわれに似たるも

 星かげもなき闇の野を馳せて行く
  駒の蹄の音を力に

 かくならば駒の嘶き力にて
  進まむほかはなかりけらしな

 天界に闇と夜とのなかりせば
  わが旅立ちも安けからむを

 小夜更けて眠らむとすれど眠られぬ
  心の駒のはやりたつれば

 広々と果てしも知らぬ荒野原を
  辿るも岐美を恋ふるが為なり

 闇よ闇早く去れかし朝津日よ
  はや昇れかしわれを守りて

 すいすいと闇を縫ひゆく螢火の
  燃ゆるおもひを消さむ術なし

 螢火も瑞の御霊を慕へるか
  岸の小草にかすかに光れり

 初夏の夜は更けにけりわが袖を
  吹く風さへも涙にしめりつ

 万斛の涙流るる闇の夜の
  河瀬にたちて燃ゆる螢火

 如何にしてこの闇の河を渡らむと
  思へば悲しはてなきおもひに』

 かく御歌詠ませ給ふ折しもあれ、八十曲津見は青白き大火団となりて、河下より長き尾を引きながら、闇の空に波を打たせつつ進み来る。
 朝香比女の神は、曲津見の神御座むなれと、両手を組み合せ水も漏らさぬ身構へしながら、
『一二三四五六七八九十
 百千万千万の神
 曲津の怪し火退け給へ』
と祈り給へど、火団は何の頓着もなく、朝香比女の神の傍近く進み来り、四辺を真昼の如く照らしながら、忽ち目一つ口八つの怪物となり、比女神に向つてその口よりは各自巨大なる蜂を吐き出し、比女神の身辺目がけて噛みつかむとするにぞ、駒は驚きて前後左右に跳ねまはり、忽ち河中にざんぶと飛びこみ、水底深く沈みける。朝香比女の神は気丈の女神、

『御樋代の神と仕へしわれなるぞ
  さまたげするな八十の曲津見

 主の神の御水火に生りし天界に
  何をさやるか退け曲津見

 われこそは朝香の比女神言霊の
  水火足らひたる面勝神ぞや』

 かく御歌詠ませ給へども、怪物は容易に去らず、益々無数の蜂を吐き出し、比女神の全身を襲はむとするにぞ、比女神はここに一計を案じ、懐より燧と石を取り出し、曲津見に向つてかちりかちりと打ち給へば、忽ち迸り出づる真火の光りに驚きにけむ、怪物の姿は煙と消えてあとかたもなく、かすかに野を吹く風、せせらぎの音聞ゆるのみ。
 この光景を見て朝香比女の神は、勇気日頃に百倍し、燧を懐に納め、両手を合せ、天に向つて感謝の御歌詠ませ給ふ。

『主の神の恵み畏し曲津見は
  真火の力に消え失せにけり

 曲神の醜の猛びをやらひましし
  主の大神の御稜威を感謝す

 わが駒は河の底より現はれぬ
  醜の曲津の消え失せしより

 水底を潜りてかしこき駿馬は
  蜂のなやみを免れしはや

 幾千万の蜂となりたる曲津見の
  拙き業は真火に亡びぬ

 東の空はやうやくしののめぬ
  新しき日は昇りますらむ

 新しき日光を浴びて曲津見の
  伊猛り狂ふ野路を進まむ

 常闇の真夜を曲津見に襲はるも
  岐美を恋ふるが為なりにけり

 背の岐美にあはむ日あらば幾万の
  曲津見の妨げわれは恐れじ

 玉の緒の命捧げし背の岐美の
  為には如何なるなやみも恐れじ

 岐美恋ふる心は炎と燃えたちぬ
  河の流れの底あするまで』

 かく御歌うたひ給ふ折しも、鵲の声かすかに響き、高照山の谷間より、天津日の神は悠々と昇らせ給ひける。

『暁を告ぐる鵲の声清く
  響きわたれり狭葦の河畔に

 闇の幕大野の奥にしりぞきて
  天津日かげは昇らせ給へり

 かくならばわれは恐れじ底深く
  碧める河も安く渡らむ』

 かく歌ひつつ駒の背にひらりと跨り、駒の腹帯をゆるめ、鬣をしつかと掴み、駒諸共に水底深き激流を、流れ渡りに彼方の岸にやうやうにして着き給ひける。
 すべて深き流れを駒にて渡る時は、腹帯をゆるめ、駒を水中に飛び込ませ、鬣を片手に握り、駒も騎手も共に水中に浮き、泳ぎ渡るを以て、水馬の法となすものなり。
 朝香比女の神は水馬の法を深く覚り給ひければ、かくの如き方法をもちて、無事彼岸に着かせ給ひけるなり。

『われも駒も無事に狭葦河渡りけり
  水馬のわざの今あらはれて

 玉鞍も手綱も鞭も濡れにけり
  暫し休らひ日に干さむかも

 罪のなき獣なるかもやすやすと
  岸辺の草をむしりゐるとは

 駿馬の食ふべき餌は満ち満ちぬ
  草もて命つなぐ身なれば

 われもまた主の大神の水火吸ひて
  長き命を保ちけるはや

 玉の緒の命の糧は言霊の
  清けき水火の幸はひなりける

 あけぬれば八十の曲津の影もなく
  虫の音清く冴えわたるなり

 鵲はあしたをうたひ真鶴は
  天界を祝言ぐ狭葦河のほとりよ

 名も知らぬ草にいろいろ花咲きて
  狭葦の河瀬の水かをるなり

 高地秀の山の尾の上に雲わきぬ
  宮居の神たち如何ますらむ

 わが立ちし後の宮居に百神は
  伊寄り集ひて言議りますらむ

 西方の国土は遥けしわが駒は
  万里の駒とおもへど淋しき

 曲神の雄猛び狂ふ荒野原を
  一人進むも岐美恋へばなり

 大空はただ一片の雲もなく
  わが旅立ちをあかして澄めり

 駒の鞍漸く乾きはてぬれば
  手綱握りてまたも進まむ』

 ここに朝香比女の神は、再び駒の背に跨り、青草萌ゆる大野ケ原を、あてどもなく東南さして進ませ給ひける。
(昭和八・一二・七 旧一〇・二〇 於水明閣 白石恵子謹録)
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