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文献名1霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻
文献名2第1篇 忍ケ丘よみ(新仮名遣い)しのぶがおか
文献名3第5章 三つ盃〔2009〕よみ(新仮名遣い)みつさかずき
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ忍ケ丘から笑い婆が火の玉となって出て行ったのを見て、幽霊の里人たちは、頭の茄子という精霊を先頭に、婆の館に様子を見に来た。山、川、海の三人は、笑い婆が三人の客人のおかげで逃げ去ったことを報告した。幽霊の里人たちは婆が逃げ去ったことを喜び、歓呼の声を上げて踊り祝った。茄子は、婆が帰ってくる前に根城を固めておこうと、冬男と山、熊公と川、虎公と海を見合わせ、幽界の結婚式を挙げさせた。幽冥界は意思想念の世界であれば、くどくどしい式もいらず、挙式は極めて簡単に終わった。それぞれの夫婦はお互いに誓いの歌を歌いあった。鬼婆が逃げ去り、村人の心は清新の空気が注がれた。また三組の結婚式が行われ、この丘の里は、霊界ながら平和な花園となり、安らかに治まったのである。
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年07月26日(旧06月15日) 口述場所関東別院南風閣 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年12月5日 愛善世界社版 八幡書店版第14輯 314頁 修補版 校定版86頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm8005
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本文の文字数3062
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本文  忍ケ丘の笑ひ婆の館の辺りより、怪しき雲気立昇ると見る間に、空中を譏り婆アが「笑ひ」を背に負ひ、二つの火の玉となつて、遥か南の空に消えたるを見て、里人等は意地悪き婆の逃げ去りしならむ、さるにても囚はれ居る三人の乙女は如何にと案じ煩ひつつ、二人の婆の次に位する里人の頭なる色の黒き「茄子」と言ふ精霊は数多の精霊を引連れ来り、男女六人の精霊が婆が抜け殻の館に黙然として立ち居たるにぞ、茄子は門口より力限りの声を張上げて、

『この宿の笑ひ婆さんは如何なりし
  怪しき雲に乗り行くを見し。

 家の内に人の気するなり何人か
  名乗らせ給へ吾は茄子よ』

 此声にハツと気がつき、山、川、海の三人は門口に走り出で、

『珍しくよく出でますも此家の
  主は雲に乗りて逃げたり。

 里人を虐げ艱めし笑ひ婆は
  あと白浪と消え失せにける。

 山鳥の尾の長々しき年月を
  忍び来にけり婆さんが館に』

 茄子は歌ふ。

『此里の司ながらも笑ひ婆は
  よきことをせぬ魍魎なりしよ。

 今日よりは里人等も喜びて
  忍ケ丘に光りて住むべし。

 笑ひ婆一人のみかは譏りまで
  忍ケ丘を逃げ去りしはや。

 里人は何れも笑ひに玉の緒の
  生命とられし人のみならずや』

 山は之に答へて、

『吾も亦笑ひ婆アの手にかかり
  生命亡せにしものなりにけり。

 今日よりは忍ケ丘の里人は
  歓ぎ喜び世を寿がむ。

 兎も角も茄子の君よ奥の間に
  進ませ給へ客人いませば』

 茄子といへる精霊は、

『何人の客人なるか知らねども
  吾は一先づ会ひて語らむ。

 今日よりは醜の雲霧吹き払ひ
  月日並びて輝き渡らむ。

 此里の雲は晴れたり笑ひ婆
  譏り婆アの逃げ去りしより』

と歌ひつつ奥の一間に進み入り、三人の男子に向ひ目礼しながら、

『此館におはす三人の客人は
  何れの精霊か聞かまほしけれ。

 吾こそは忍ケ丘に永遠に住む
  茄子と申す精霊なりけり』

 冬男は歌ふ。

『吾こそは水上の山に輝ける
  巌根が末の御子なりにける。

 これに立つ二人は家臣熊、虎と
  世にひびきたる大丈夫なるよ。

 御樋代の神の神言を畏みて
  旅行く道を謀らはれける。

 鬼婆の毒牙にかかり水奔草の
  茶を飲まされて鬼となりし吾。

 三柱の男の子は何れも精霊の
  世界にありて婆をきためし』

 川は歌ふ。

『三柱の大丈夫の君の力にて
  二人の婆は逃げ失せにけり。

 斯くならば忍ケ丘の里人は
  世を楽しみて送るなるらむ。

 吾とても心明るくなりにけり
  醜の黒雲吹き散りしより』

 茄子は之に答えて、

『ありがたき御世となりけり忍ケ丘の
  里は忽ち楽園となりぬ』

 海は歌ふ。

『終日を婆の眼に射られつつ
  心ならずも忍び来にける。

 水奔鬼となりて此世を忍ケ丘の
  婆の館に過ぎにけらしな。

 斯くならば恐るるものは更になし
  茄子の君よ喜びたまへ』

 里人は庭一面に群がり来り、二人の婆アの逃げ去りしと聞くより勇み立ち、歓呼の声は天地を揺がすばかりなりける。群衆の中より「水菜」と言へる女身は長袖を纏ひながら、広庭の中央に立ち、身振り品よく踊り舞ふ。群衆は之に和して手拍子足拍子を揃へ、満面喜びに充ちながら、月の輪を作り踊り狂ひけり。
『アア有難し有難し
 忍ケ丘を包みたる
 醜の黒雲晴れ行きぬ
 科戸の風の幸はひに
 醜神笑ひ婆アさんも
 妹の譏り婆アさんも
 雲を霞と逃げ行きて
 今は清しき神の苑
 吾等里人ことごとく
 惜しき生命を奪はれて
 世に愧かしき水奔鬼
 精霊の身となり果てて
 恨みを返す術もなく
 笑ひ婆さんの意の儘に
 頤の先にて使はれつ
 艱み苦しみ今日が日まで
 涙と共に暮れにけり
 水上の山にあれませる
 冬男主従現れまして
 里の悪魔を退けまし
 天地晴れたる今日の日を
 里人此処に集まりて
 心限りに歓ぐなり
 ああたのもしや、たのもしや
 不老不死なる精霊の
 此国人は今日よりは
 常世の春を楽しまむ
 常世の春を楽しまむ
 冬男の神よ供神よ
 堅磐常磐に鎮まりて
 此里人を治めまし
 偏に願ひ奉る
 偏に願ひ奉る』
と水菜は音吐朗々として精霊の気分も何処へやら、愉快気に歌ひ終る。
 斯くして歓喜の中に其夜は明け放れたれば、各自巌窟の住家へ帰り行く。
 茲に茄子は六人の男女に向ひ、又もや婆の帰り来るやも計られざれば、今の間に根城を堅め置かむと、六人の男女に幽界の結婚式を挙げむ事を勧誘しければ、冬男は乙女の山を、熊公は乙女の川を、虎公は乙女の海を妻と定め、盛大なる幽界の結婚式を挙ぐることとはなりぬ。
 茲に婆の館を利用して、三夫婦の結婚式は目出度く挙げられたり。媒酌役は茄子の司にして茄子は祝歌を歌ふ。

『幽界に例もあらぬ三つ組の
  嫁ぎの盃かはす目出度さ。

 今日よりは冬男の神のましませば
  此里人は安けかるべし。

 三柱の乙女は何れも夫もちて
  忍ケ丘に栄えましませ。

 里人も今日の喜び寿ぎて
  常世の春を楽しむなるらむ。

 吾も亦これの嫁ぎの媒酌人と
  なりたる今日を嬉しく思へり。

 里人にかはりて今日の喜びを
  恭しくも寿ぎ奉らむ。

 常世行く闇につつまる此丘も
  君の天降りに晴れ渡りけり。

 此里にさやりし二人の鬼婆は
  行方知れずとなりにけらしな。

 鬼婆の再び帰り来るとも
  里人力を協せてこばまむ。

 八十日日はあれども今日の吉き日こそ
  生く日足る日と祝ひこそすれ』

 茲に幽冥界の結婚は行はれたれど、意志想念の世界なれば、現界の如く諄々しき式もいらず極めて簡単に挙式は終れり。
 冬男は妻の山に向ひ歌ふ。

『木枯の吹きて冷たき此冬を
  凌ぎて吾は春に逢ひぬる。

 ときじくに花の香りを保てかし
  山なる乙女の紅き心に。

 思ひきや精霊の身を持ちながら
  斯かる乙女に見合ひせむとは。

 年月を忍ケ丘の雲晴れて
  乙女の胸に月日照るなり。

 此丘の笑ひ婆アに謀られて
  今日は嬉しき吉き日に逢ひぬ』

 山は歌ふ。

水上山の麓に住みし吾にして
  冬男の君にまみゆる嬉しさ。

 精霊となりて忍ケ丘の辺に
  妹背を契ると思へば嬉し。

 今日よりは冬男の君を夫として
  此里人を安く治めむ』

 熊公は妻の川に対して歌ふ。

『精霊となりて久しくひそみたる
  清水ケ丘を出でし吾なり。

 鬼婆の腕をむしりて吾此処に
  来りて姫に見合ひぬるかな。

 苦しかるうきめ忍びて喜びの
  丘に盃とりかはしける。

 眉目形たぐひ稀なる乙女川と
  結びし夢は常世にもがも。

 長かれと千代の契りを結び昆布
  ほどけずあれや互ひの心に』

 妻の川は歌ふ。

『吾夫と定まりにける熊公の
  雄々しき姿に心足らへり。

 大丈夫の君にしあれば鬼婆の
  強きもただにくじき給ひし。

 鬼婆の笑ひ、譏りを追ひ退けし
  吾背の君は猛者なりけり。

 今日よりは恐るる事は世になけむ
  二人の婆のかげはかくれて』

 虎公は歌ふ。

『幾年の艱みを忍ケ丘の辺に
  妹背の契り結びけるはや。

 幽世といへども地上に生ふるもの
  皆現世とかはりなきかな。

 男女妹背の道も現世の
  心と更にかはりなきかな。

 鬼婆の逃げたる跡の広庭に
  国を造ると嫁ぎけるかも』

 海は歌ふ。

『醜草のまばらなりける此丘に
  身も安らけく見合ひせしかな。

 玉の緒の生命永くも保てかし
  吾背の君と世を楽しまむ。

 主の神の貴の守りの深くして
  千代万代の喜びに逢ふも』

 茲に鬼婆の二人まで此里を逃げ去り、村人の心に清新の空気を注入したる上、三組の結婚式を挙げられ、霊界ながら此丘の里は百花爛漫の花園と変り、一人の不平をいふものもなく、世は安らけく治まりにける。
(昭和九・七・二六 旧六・一五 於関東別院南風閣 森良仁謹録)
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