言霊別命はまた、稚桜姫命、大八洲彦命の命により、オコツク海方面の猛将・岩高彦を招くことになった。
しかし岩高彦は、オコツク海方面には邪神が多くはびこっているため、自分がこの場所を開けて地の高天原に参向するわけには行かない、代わりに部下の滝津彦を遣わそう、と提案した。
言霊別命は、その言を地の高天原に奏上しようと述べた。そこへ、天の一方から雷鳴が一時に百も轟くほどの大音響を発して、黒雲を押し分けて降ってくる巨神人があった。たちまち天に群がる悪竜・邪鬼を、左右の鉄棒で打ち悩ませると、降ってきた。
そして、自分は天神の命によって国治立命の補佐を命じられた神である、と明かした。この神の名を天道別命といい、後のモーゼの神となって神則を定めた神である。またの名を天道坊と言う。
また、西方の海から雲霧立ち上り、中天で天地を輝かす明るい玉となって大陸を越えてオコツク海に落ち、海面に渦巻きを立てると、その波間から現れた巨神人があった。これを天真道彦命、またの名を天真坊と言う。
天真坊は、国治立命が天地を創造した際に、神命を奉じて海中に玉となって沈み、神命が下るのを待っていた神である。この混乱期に現れて、予言警告を発して神人を戒める、エリヤの神である。
言霊別命は、天道別命、天真道彦命、オコツク海の部将・滝津彦の三神人を得て、天にも上る心地で相伴って竜宮城に帰還した。