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文献名1霊界物語 第12巻 如意宝珠 亥の巻
文献名2第3篇 天岩戸開(三)
文献名3第23章 短兵急〔519〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ深雪姫の館から海上を見下ろすと、幾百千もの戦船が島へ押し寄せてくるのが見えた。深雪姫は老臣・高杉別に、敵軍の見定めを命じた。
深雪姫は部下の大国別を呼ぶと、敵軍が何者にせよ、決して剣を抜いてはならぬ、善言美詞をもって対する素盞嗚命の御心を忘れるな、と申し付けた。
大国別は攻め寄せる大軍に対して今、日ごろたくわえ鍛えた武を用いるときではないのでしょうか、と深雪姫に反問する。深雪姫は再度、決して三五教の精神に則って、武に対して武を持って応えてはならぬ、ときつく宣示した。そして、今から御神前に祈願をして寄せ来る敵を言向け和す、といって奥殿に去ろうとする。
大国別は去っていこうとする深雪姫を留めて、なにとぞ今武勇を発揮することをお許しください、と懇願した。しかし深雪姫は悠々と宣伝歌を歌いながら奥殿に姿を隠してしまった。
数万の敵軍は上陸し、殺戮しながら城下に迫っている。深雪姫の将卒たちは、攻撃命令を今か今かと息を潜めて待っている。大国別は深雪姫の宣示にもろ手を組んでただ思案するのみであった。
そこへ、高杉別が帰って来た。高杉別は大国別が防戦の準備をしないで手をこまねいている様をなじり、自ら敵軍に対そうと外へ行こうとする。大国別は声をかけ、至仁至愛の神様の御心を考慮するように、と諭すが、高杉別は聞かない。
高杉別が敵に対しようと外に出ると、御年村の虎公こと手力男神は、ゆうゆうと敵軍の有様を見物している。高杉別は防戦を命じるが、手力男は取り合わない。
高杉別は怒って手討ちにしようとするが、逆に手力男に抑えられてしまう。手力男が手を離すと高杉別はまた討ってかかるが、手力男がひらりとよけたはずみで、抜き身のまま倒れてしまった。
黒煙は館を包み、攻め寄せる人馬の物音は近づいてきた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月11日(旧02月13日) 口述場所 筆録者藤津久子 校正日 校正場所
OBC rm1223
本文の文字数3720
本文のヒット件数全 8 件/深雪姫=8
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本文  一つ島なる深雪姫ケ館の高楼より、眼下の海面を見渡せば、幾百千とも限りなき軍船、魚鱗の備へ堂々として島を目蒐けて押寄せ来る物々しさ。唯事ならじと深雪姫は近侍の老臣高杉別を近く招き宣り玉ふ。
『高杉別殿、妾は今此の高楼より海面を眺むれば、此方に向つて攻め来る数多の兵船ウラル彦の魔軍か、天教山に現れませる皇大神の神軍か、慥に見届け来られよ』
と下知すれば、高杉別は、
『委細承知仕りました。われは是より当山を下り、事の実否を糺した上直に報告仕るべし』
と云ふより早く馬に跨り、深雪ケ丘を浜辺に向つて戞々と下り行く。深雪姫は又もや大国別を近く招き、
『アイヤ大国別殿、当山に攻め寄せ来る数多の軍勢唯事ならず。仮令ウラル彦の魔軍にもせよ、必ず武器を以て之に敵対すべからず、善言美詞の言霊を以て曲を言向け和すは神須佐之男の命の大御心、この館には数多の武器、兵士、充ち備へありと雖も、決して敵を殺戮する目的に非ず。天下の神人が心に潜む曲津軍を、剣の威徳に依つて怯ぢ怖れしめ帰順せしむるの神器なれば、弓は袋に、剣は鞘に納まり返つて、総ての敵に臨むべく部下の将卒にも此旨厳しく伝へられよ』
と言厳かに宣示された。
大国別『敵は雲霞の如く、当山に向つて攻め来り、島人を殺戮し、民家山林を焼き払ひ、火は炎々として最早館の間近く燃え寄せたり。日頃武術を鍛へたるは斯る時の用意ならめ。研き置いたる弓矢の手前、胆を練りたる将卒の今や武勇の現はれ時、この時を措いて何れの時か戦はむや。みすみす敵に焼き滅されむは心もとなし。神は至仁至愛に坐ませども時あつて折伏の利剣を用ひ給ふ。况んや、コーカス山に鎮まり給ふ、十握の宝剣の御魂の威徳に成り在せる貴神に於てをや。血迷ひ給ひしか、今一度反省されむ事を希ひ奉る』
深雪姫『剣は容易に用ふ可らず。剣は凶器なり。凶を以て凶に当り、暴を以て暴に報ゆるは普通人の行ふ手段、苟くも三五教を天下に宣伝する天使の身として、また宣伝使の職として、善言美詞の言霊を閑却し、武を以て武に当るは我が心の許さざる所、ただ何事も至仁至愛の神に任せよ。武を尚び雄健を尊重すると云ふは、構へなきの構へ、武器あつて武器を用ゐず、武器無くして武器を用ゐ、能く堪忍び、柔和を以て狂暴に勝ち、善を以て悪に対し、神を以て魔に対す、柔能く剛を制するは神軍の兵法、六韜三略の神策なり。汝此主旨を忘却する勿れ。吾はこれより奥殿に入り、大神の御前に神言を奏上し、寄せ来る敵を言向け和さむ。一兵一卒の端に至る迄、今日に限り武器を持たしむるべからず』
と宣示し、悠々として奥殿に入らむとなしたまふ。大国別は、深雪姫の袖を控へて、
『まづまづ暫くお待ち下さいませ。追ひ追ひ近づく矢叫びの声、如何に善言美詞の神嘉言を以て言向け和さむとすればとて、暴力には及び難からむ。吾はこれより部下の将卒を励まし、寄せ来る敵を縦横無尽に斬り立て、薙払ひ、日頃鍛へし武勇を示さむ。此事計りは強つて御許し下さいませ』
と拳を握り身を震はし、雄健びしつつ願ひ居る。深雪姫は悠々迫らず、悠長なる音調にて、
『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直せ聞き直せ
 世の曲言は宣り直せ  正義に刃向ふ剣なし
 誠の力は世を救ふ  神を力に三五の
 神の教を杖として  如何なる敵の来るとも
 神の嘉言に言向けて  敵を傷つく事勿れ
 神は汝と倶にあり  神は誠を立て徹す
 誠で人を救ふべし  今は身魂の試し時
 心の持方一つにて  善も忽ち悪となり
 悪も忽ち善となる  善悪正邪の分水嶺
 天が下にはおしなべて  敵も味方も無きものぞ
 味方も時に敵となり  敵も味方となり変る
 只何事も人の世は  神に任せよ悉く
 心を焦ちて過失つな  神は汝と倶に住む
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  此神島は焼けるとも
 神は必ず吾々が  赤き心を御覧し
 安きに救ひ給ふべし  誠一つの玉鉾に
 寄せ来る敵を言向けて  神の力を現はせよ
 神の稜威を輝かせ』
と歌ひながら、奥殿に姿を隠させ玉ふ。
 数万の軍勢は全島に火を放ち、折からの風に煽られて黒煙濛々として四辺を包み、数多の将卒は何れも雄猛びして、防戦の命の下るを今や遅しと固唾を呑むで控へゐる。
 大国別は双手を組むで、青息吐息、如何はせむと思案に暮るる時しもあれ、駒の足音戞々と走せ帰りたる高杉別はヒラリと駒を飛び下りて、大国別の前に現はれ、
『ヤア大国別殿、貴神は何故防戦の用意をなさらぬか、敵は四方より数万騎を以て当山を囲み、山林に火を放ち既に当館も烏有に帰せむとする場合、何を躊躇さるるや』
と膝を叩いて呶鳴り付けたるにぞ、大国別は何の答もなく双手を組むだ儘俯むき涙さへ腮辺に伝ふるを見て取つた高杉別は悖かしげに、
『エイ、日頃の武勇にも似ず、千騎一騎の此の場合、敵の勢力に萎縮して、周章狼狽の余り、憂苦に沈む卑怯未練な貴神の振舞、最早斯くなる上は、貴神に相談するも何の益あらむや。吾れはこれより館の将卒を率ゐ、此処を先途と一戦を試み、勝敗を一時に決せむ』
と雄健びし乍ら、スタスタと此場を立つて表に出むとするを、大国別は言葉をかけ、
『ヤア高杉別殿、貴下の御意見御尤も千万、吾れとても当館の主宰神、闇々敵の蹂躪に任せ袖手傍観するに忍びむや。さは然り乍ら、至仁至愛の大神が天下救済の御神慮は慎重に考慮せざる可からず。貴神暫く熟考せられよ』
『大国別殿の言葉とも覚えぬ。卑怯未練な陳弁、貴神は本島を守り給ふ深雪姫の神の宰神ならずや。斯かる卑怯未練の御心掛にて闇々敵に占領されなば、何を以て深雪姫の神に言解けあるか。アレアレ聞かれよ、山岳も轟く許りの敵の叫び声、到底貴神の賛成は覚束なければ、吾れは是より単独にて自由行動に出で、本島に攻め寄せ来たる雲霞の如き大軍を、日頃鍛へし武力を以て鏖殺せむ』
と勢込んで表をさして駆出す。
『ヤアヤア高杉別殿、暫く暫くお待ちあれ』
『何ツ、此期に及むで暫時の猶予がならうか、勝てば官軍負くれば賊、大国別殿、拙者が武勇を御目に掛けむ』
と云ひ捨てて表門へと駈出だし、部下の将卒に向つて、戦闘準備を命令せむとする折しも、深雪ケ丘より帰り来れる手力男の神は此体を見て、
『ヤア、大変に面白くなつて来ましたね。一つ敵軍の行列を緩りと、酒でも飲むで見物致しませうか』
高杉別『汝は、御年村の自称丑寅の金神手力男ではないか。かかる危急存亡の場合、何を悠々として気楽さうに構へて居らるるや。千騎一騎の此場合、防戦の用意をなされ』
『アハヽヽヽ、ヤア面白い面白い、高杉別のその狼狽かた、イヤもう臍が宿換いたすワイ。アハヽヽヽ、マアマア緩り落着いて敵軍の襲撃を見てそれを肴に一杯やらうかい。ヤア誰も彼も酒だ酒だ、殺伐な剣や槍や弓の様な物は神様の鎮まり給ふ聖地に於て用ふる物ではない。武器は兇器だ』
 高杉別はクワツと怒り、
『放縦無責任の汝の言葉、門出の血祭りにせむ』
と一刀を抜いて真向より斬りかかる。手力男神は、門柱をグツと引き抜き頭上高く振り翳し、高杉別を押へ付けた。
高杉別『ヤア、貴様は今まで忠実なる味方と見せかけて、内外相呼応して、此聖地を占領せむと計画しつつありし曲者ならむ。たとへ吾身は殺されて帰幽する共、我誠忠正義の霊魂は地上に留まり、汝が悪念を懲さで置くべきか』
手力男神『アハヽヽヽヽ、モシモシ高杉別殿、誤解されては困りますよ』
と云ひながら門柱をサツと取り除けた。高杉別はその刹那、飛鳥の如く飛びかかつて、
『反逆無道の曲者思ひ知れや』
と云つて、手力男の脇腹目蒐けて突きかかる。手力男はヒラリと体を躱したる途端に、高杉別は狙ひ外れて勢余り、七八間も前方にトントントントンと走つて抜刀の儘ピタリと倒れた。
 黒煙は益々館を包み、風に煽られて全山樹木の焼ける音、攻め寄せ来る人馬の物音、刻々に近付高まり来たりぬ。
(大正一一・三・一一 旧二・一三 藤津久子録)
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