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文献名1霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻
文献名2第1篇 毘丘取颪
文献名3第4章 蜜語〔1367〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじビクトリヤ城の一室には、ヒルナ姫がひとり、琴を弾じながら述懐を歌っていた。ヒルナ姫は、新しい思想の右守と、旧弊な思想の左守が衝突して国内が割れていることを嘆いていた。歌の中には、姫が右守と道ならぬ仲となっていることもほのめかされていた。
そこへ右守のベルツがやってきた。ベルツは人払いをした。しかし属官の三人は、左守の内名を受けて右守の様子をうかがっており、立ち去ったふりをして次の間でベルツとヒルナ姫の密談を聞いていた。
右守は、ヒルナ姫に妹のカルナが左守のせがれに恋をして、すっかり左守家のひいきになってしまっている事を相談に来たのであった。ヒルナ姫は、これは左守家と右守家の内紛を収める願ってもない機会だと主張した。
ベルツも左守家が身内となることは、自分の計画にもかえっていいかもしれないと姫に賛同し、この縁談を進めるよう、ヒルナ姫に任せることになった。
右守はヒルナ姫の居間を退出し、城を出ると自分の館に帰って行った。密談を聞いていた三人の属官は、左守の館へ報告に行く。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月12日(旧12月27日) 口述場所竜宮館 筆録者松村真澄 校正日 校正場所
本文の文字数4283
本文のヒット件数全 1 件/竜宮館=1
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本文  ビクトリア城の一間にはヒルナ姫が只一人、琴を弾じながら述懐を歌つてゐる。
ヒルナ姫『此世の司と現れませる  盤古神王塩長彦命は
 四方の神々民草を  常世の春の神国に
 救ひまさむと御心を  悩ませ玉ふぞ有難き
 妾は若き身を以て  ビクトリア姫に宮仕へ
 朝な夕なに赤心を  籠めて誠を尽しつつ
 楽しき日をば送る折  王妃の君は如何しけむ
 無常の風に誘はれて  あの世の人となりましぬ
 妾は歎き悲しみて  朝な夕なに大神に
 其冥福を祈れども  逝きにし人は帰り来ず
 いとど淋しき秋の夕  野辺にすだく虫の声
 いとど晴れを催して  生くる甲斐なき悩みに沈む
 草葉の露に照る月も  何処ともなく光褪せ
 星の影さへおぼろげに  見ゆる折しも後より
 ヒルナ ヒルナと玉の声  乙女の胸は轟きつ
 後振返り眺むれば  思ひもかけぬビクトリア王の君
 此方に来れとさし招き  妾を居間に伴ひて
 いとも優しき言の葉に  姫君様の御心を
 推し量らひて一度は  否みつれ共なかなかに
 許し玉はぬ吾君の  厚き心に絆されて
 女御更衣を踏み越えて  后の宮とのぼりける
 さはさり乍ら何となく  心おちゐぬ思ひにて
 三歳四歳を越ゆる内  此上なき者と妾をば
 慈まししあが君は  今は冷たきあき風の
 吹き荒むこそ悲しけれ  せめて妾が心をば
 慰めくるる者あらば  永き一夜を語らひて
 吾身の憂を晴らさむと  思ふ折しも顔容
 いと美はしき右守の司  ベルツ司が忠実かに
 何くれとなく妾が身を  守り玉へる嬉しさよ
 誠のこもる彼が心に絆されて  割りなき仲となりつれど
 人目を忍ぶ恋の仲  女御更衣や下女
 下僕等に二人が仲を  悟られはせぬかと朝な夕な心を砕き
 身を苦しむることは幾度か  日に日に積もる恋の淵
 深くはまりし二人が仲  もしや吾背の御耳に
 響きはせぬかと  心を千々に砕きつつ
 悲しき月日を送る身の  何と詮方なく涙
 尽きせぬ縁を永久に  守らせ玉へウラル教の
 教を守り玉ふ  塩長彦の大神よ
 吾背の君は七十路を  早くも越えさせ玉ひぬれど
 いとど頑固にましまして  妾が新しき思想を
 汲ませ玉はず  古き聖の道をのみ
 朝な夕なに楯となし  世は追ひ追ひと紊れはて
 社稷危くなりつれど  左守司のキユービツト
 彼が頑迷不霊より  時代思想に逆行し
 益々世をば乱し行く  実に浅ましの世の中よ
 時代に目醒めし右守司  ベルツの司は逸早く
 妾が心を汲み取りて  古き尊きビクの国
 いや永久に守らむと  赤き心の限りをば
 尽させ玉へど背の君や  左守の君は一々に
 右守の言葉を否みつつ  至治太平の経綸を
 申上ぐれど何時とても  手もなく拒絶ましましぬ
 ああ如何にせむビクの国  柱ともなり杖となり
 千代に八千代に支へむと  思ふ人とてあらざるか
 右守司は幸に  兵馬の権を握れ共
 妄に兵を動かすは  却て世人の心をば
 悪化せしむるものなりと  平和の意見を主張して
 防ぎもやらず何時迄も  如何なる奇策のましますか
 動かざるこそうたてけれ  さはさり乍ら妾とて
 吾背の君を振り棄てて  道ならぬ道を行くべき
 女にあらねども  世の成行を伺へば
 右守に依るより外はなし  ああ惟神々々
 神の御魂の幸ひて  一日も早く背の君や
 左守の司の頑迷を  晴らさせ玉ひてビクの国
 いや永久に守らせ玉へ  ヒルナの姫が大前に
 玉の小琴を弾じつつ  神慮を慰め願ぎまつる』
 斯かる所へ恭しく衣紋を繕ひ、二三の城内の役員に導かれて、参上したのは右守司のベルツであつた。ベルツは主人気取りで、さも横柄に入り来り、三人の役員に向ひ、
ベルツ『ヤア、御苦労で厶つた。少時国政上の事に就いて、姫様にお伺ひ致したい事あれば、汝等は元の席に帰つたがよからう』
 『ハイ』と三人は其場を立去つた。そして三人はソツと次の間に姿を隠して、二人の談話を一言も洩らさじと聞耳立ててゐた。之はラム、リツト、ベールといふ城内の属官である。そしてヒルナ姫と右守司の間柄が此頃少し変なので、左守司の内意を受けて常に注意の眼をみはつてゐたのである。
 ヒルナ姫、ベルツはラム、リツト、ベールの三人が次の間に聞いてゐるとは少しも気付かなかつた。ベルツは横柄に姫の前に胡座をかき、煙草を燻らし乍ら、
ベルツ『姫さま、俄に御相談申したい事が出来ましたので、一寸参りました』
ヒルナ姫『貴方は何とか かんとか云つて、妾に遠ざかること計り考へて居りますね。今日の御相談と云ふのは、又、例のお惚気でせう。左様な事は、国家多事の今日、耳を藉す訳には参りませぬ。貴方はテーナさまの所へ行つて、御相談なさる方が可いでせう、チツと方角違ひぢやありませぬか』
ベルツ『さう、いきなり攻撃の矢を向けられては恐れ入ります。八尺の男子も到底太刀打が出来ませぬ。今日参りましたのは左様な陽気な事ぢや厶いませぬ。小にしては右守家の一大事、大にしてはビク一国の一大事で厶います。夫れ故貴女様にトツクリと御相談を申し、御意見を承はつた上処決しようと思ひ、罷出でました。何卒真面目にお聞き下さい。貴女は此右守を薬籠中の者となし、御都合の好い時計りうまく利用して、用がなくなれば、弊履を捨つるが如き残酷な目に会はす御考へでせう、どうもマ一つ、貴女に対して気のゆるせない所があるやうに思はれてなりませぬワ』
ヒルナ姫『ホホホホ、ようそんな事が、どこを押へたら仰有れますか、貴方と私の仲は切つても切れぬ関係が結ばれてゐるぢやありませぬか。イターナルにユニオンして此国家を守らうと御約束されたでせう。それに就いても貴方の要求を入れて、女の行く可らざる道迄行つたではありませぬか。左様な事を仰有るとは、実に残酷と申すもの、少しは妾の心も推量して下さいませ。仮令二人がインフエルノの底へ墜ちても、共々に国家の為に尽さうと誓つた仲だありませぬか』
ベルツ『イヤ、恐れ入りました。それに間違ひは厶いませぬ。併し乍ら今日御相談に参つたといふのは真剣です、私の妹カルナ姫、人もあらうに左守司の馬鹿息子ハルナに恋着致し、何時の間にかラブ・レタースを往復させ、最早挺でも棒でも動かない様になつて了つたので厶います。就いては貴女も御存じの通り、頑迷不霊な左守の伜ハルナの如き柔弱漢に、妹をやるといふ事は、総ての計劃上に於て、大変な番狂はせを来しはせまいかと、家令のシエールと共に頭を悩めて居ります。姫様の御考へは如何で厶いますか』
 ヒルナ姫は俯むいて少時考へてゐたが、やがて微笑を洩らし乍ら、
ヒルナ姫『コレ右守さま それは願うてもなき出来事だありませぬか、此結婚がうまく行けば、カルナさまは貴方の妹、何かにつけて万事都合が宜しいでせう、言はばスパイを敵の陣中に放つた様なもの、こんな好都合はありますまい』
ベルツ『併し乍らカルナといふ奴ア、左様な融通の利く女とは、どうしても考へられませぬ。彼は只々ラブ・イズ・ベストだと云つて、恋愛計りに心を傾け、且又拙者の行動を諫め様とする傾向が厶いますから、却て左守司の家に遣はさうものなら、なまじひ道徳論に惑溺して、兄貴に弓を引くやうな事が出来致さぬかと、それ計りが心配に堪へませぬ。願はくば貴女様より刹帝利様に言葉を尽して、此縁談が成功せない様に水をさして戴きたいと存じまして、御相談にあがりました。刹帝利様の言葉ならば鶴の一声いかに熱烈な恋の擒となつた妹のカルナも、之には反く訳には参りますまい。何卒一つ御骨折を願ひたいもので厶います。家令のシエールと種々協議を凝らしてみましたが、どうしてもそれより方法はなきものと考へます。一度は妹を左守家へ遣はした方が目的遂行上、都合が好からうかと存じ、略それに内定して居りましたが、翻つて熟考すれば、こんな危険なことはないと考へました。何卒此縁談に就いては到底兄の力では破ることは出来ませぬから、貴方の御力を借るより道は厶いませぬ』
ヒルナ姫『御心配なさいますな、今日右守家左守家の暗闘を融和させるには、これ位好い機会はありませぬ。如何にビクの刹帝利家が古くから続き、権力があるとは云へ、肝心の左守右守の司たる竜虎互に争ふ時は、どちらも勢全からず、遂には内部より破綻を来し、国家の滅亡を来すは目のあたりで厶います。実に国家の為、刹帝利家のために、こんな結構な縁談はありますまい。此事許りはヒルナ姫、飽く迄も熟考をして貰ひたい事を主張致します』
ベルツ『成程、それも却て可いかも知れませぬ。然らば何事も姫様にお任せ致します。何分宜しく御願ひ致しませう』
ヒルナ姫『左様ならば、これから左守司を呼びよせ、篤と妾より申渡すで厶いませう。サア又壁に耳あり、天に口あり、或時機まで此秘密が洩れないやう、早くお帰り下さいませ』
ベルツ『大変に秋風が吹いたと見え、箒で掃くやうになさいますな。マア一服して帰れと仰有つても、余り罰は当りますまい。又私は一息や二息、ここで煙草位頂いても、余り差支へない様に考へますがなア』
ヒルナ姫『又そんな事を云つて、私を困らせるのですか、そんなら百年なつと千年なつと ここでお煙草をあがつて下さい』
ベルツ『ハハハハ、イヤ真に恐れ入りました。左様なれば邪魔者は直様、御前を下りませう。そこらに箒を逆様にして頬かぶりがさしてあれば、どうぞ元へ直して下さいませ、エヘヘヘヘ』
と厭らしい笑を残し、スタスタと廊下に足音をさせ乍ら、吾館をさして帰り行く。ラム、リツト、ベールの三人は互に顔を見合せて苦笑し乍ら、足を忍ばせ左守司の館をさして急ぎ行く。
(大正一二・二・一二 旧一一・一二・二七 於竜宮館 松村真澄録)
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