文献名1開祖伝
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名316 算盤師の占いよみ(新仮名遣い)
著者愛善苑宣教部・編
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あるとき、吉美村の小呂というところに、算盤で占って憑きものをよく封じるので有名な男があると聞かされ、人の勧めるままに開祖様は小呂へお出かけになりました。
開祖様としては、開祖様にかかられた神様はしきりに世界の立替えという事を申されるが、そういう偉い神様が無学文盲な自分などにかかられるということからしておかしな話である。かりに自分に宿っておられる神様がそういう偉い神様であるとしても、その日の食物にも困りきって居る自分としては、世界の立替どころの話ではないから、いずれにしても、そんな大それた神様は一日も早く自分の身体から立ちのいて貰いたいというお考えもあったのです。
小呂のそろばん師は開祖様の生年月日などを聞いて、机の上にある小さなそろばんをコチコチはじいておりましたが、やがて興奮した顔をして、
「お直さん、これはドエライこっちゃ、とてもドエライ神様じゃ。しかしこんなドエライ神様のお宮をどうしてお前さんは建てるつもりか、これは天朝様のお力でないと出来るものでない。こんなドエライ神様に使われて、しゃべって歩いておっては、人から気狂いだといわれるから、一つ封じてあげよう」
と早速何かクシャクシャやって居りましたが、箸箱の半分ほどの小さな白木の箱を渡して、
「これを神棚へ上げて置くように」といいました。
開祖様は後生大事にその木箱を持ってお帰りになり、神棚の上へ置こうとされますと手がけいれん的にはね返って、木箱をバッと土間へ叩きつけてしまいました。そして例の神様のお声が出ました。
「やれやれ御苦労じゃった。しかしあれは確かに日本一の易者じゃワイ。封じたくらいでこの神はこたえるようなそんな小さな神じゃない。あの男は今はじめてこの方を封じたのではない。大昔この神を艮へ封じ込めた身魂であるから、大昔からの宿業だけのことはあるがいたしかたがない」
と言われるのでした。
開祖様はそろばん師の身の上が気がかりでしたから、一週間ばかりしてわざわざ小呂まで行って見ますと、そろばん師の家の門口に忌中の札がはってあって、近所の人達が忙しそうに出入しておりますから、怪しんでお聞きになりますと、そろばん師は開祖様の神を封じた後で腹痛を起こし、キリキリ舞いをして、医者に見せても薬をのんでも更にその痛みが止まらず、一週間わずらって昨夜十時ごろに死んでしまったということでした。
開祖様はこれを聞かれて、目に一ぱい涙をためて太息を吐かれました。
その他あちこちの祈祷師や、八木、島原、大阪、福知山の金光教の教会へも行かれましたが、どこへ行かれても開祖様の神の身上を見分ける者はいませんでした。