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文献名1座談会
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3出口王仁三郎氏を囲む座談会 第三夜 第一回よみ(新仮名遣い)
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OBC B108500c10
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本文

【時】  昭和六年十一月六日 午後六時半
【所】  天恩郷 明光殿 奥ノ間
【出席者】
出口王仁三郎
本誌側……伊藤栄蔵 遠田直三郎 速志英春 富田如安 大崎勝夫 細田東洋男
速記者……井上照月


各地からの通信「座談会記事を続けよ」出口氏は大多忙であるにもかかわらず本誌のこの乞いを入れられて十一月六日、さかれぬ時間をさかれて御出席被下またまた金玉の言華を談ぜられ読者の歓喜はまた新たとなった訳である。幸いにこの努力を諒せられん事を。(編者)


 出口氏卓上の短歌雑誌を盛んに見ていられる。
【出口氏】 『近頃出してやらんもんやで、前に出した詠草で抜かなかったのを載せてるわい』
【速志】 『「さざなみ」ですか』
【出口氏】 『そうや、しかしもう同人扱いくらいにしたって詠草なんか出してやらんのや、特別扱いにせんと……』
【速志】 『本誌の座談会はとても評判が良くて是非続けてくれるようにって方々から言うて来るんです……でまたお願いする訳なんで……』
【出口氏】 『座談会もええが、後から直さすので困るわい』
【速志】 『今度は詩人の富田氏がいますから……』
【出口氏】 『後で見ると妙な事を書いているでよ』
【富田】 『昭和青年はあれだけが読み物でしょう』
【速志】 『ほんまにあれだけは特別なんだよ』
【富田】 『誌代が二十銭になると十銭分だけ余計に座談の記事を出さんと……』
 ── 一同軽い笑声 ──
【速志】 『一月はウント出します。今度は亀岡の人から問題を集めるように言うたのですが、みんな偉くて何も問題がないと見えて、一ツも集まりませんから、コッチだけで問題を出さしてもらう事に致しました』
【出口氏】 『問題がないのは、頭がないのや』
【富田】 『偉くて分かり過ぎてないのでしょう』
【出口氏】 『そうやみんな偉過ぎるのや、偉過ぎで俺に聞く必要なんかあらへんのやろう』
【速志】 『今日からは二代様もいらっしゃいましたから、出て頂こうと思いましたが、案の定、今夜結婚された別嬪のお嫁さんの所に行ってしまわれましたので……』
【伊藤】 『あの根占さんのですね』
【速志】 『今日の嫁さん、とても別嬪なんやでよ……』
 ── 一同笑声 ──
【速志】 『どうです、伊藤さんあなたからそろそろお伺いしたら』
【伊藤】 『既成宗教は──仏教なんかは今でもほとんど亡びつつありますが、神道なんかは行く先で聖師様の御手でなんとかして使われるようになるのでございましょうか』
 出口氏しばらく無言
【出口氏】 『モウしょうがないの、白蟻の入った柱は。……あれだけ乱れてしもうてるでの』
【富田】 『今月号の「神の国」だと思いましたが、最初の所に既成宗教について今までのお言葉と少し違った事が出ていたように思いましたが──既成宗教もつぶさないで助けるというような意味の……』
【出口氏】 『つぶれるものはつぶそうと思わんでも、ほっといてもつぶれてしまうがな、つぶそうと思うてもつぶれんものはつぶれやせん。つぶれるものは自然につぶれるからしょうがない。どうにかそのままに改良して役に立つものは助ける事が出来るが、白蟻の入ってしもうた材木はあかんでの』
【富田】 『反宗教運動は神様の篩ですね』
【細田】 『あれは篩と見ていいですね』
【出口氏】 『お筆先に「今までの神の取次つらくなるぞよ」それから「どうしても誠の判らん、今まで通りにやっているものは取り払う」と書いてある。「取り払う」と書いてあるやろ、あれやで』
【速志】 『随分急テンポで堕落して来るんですね』
【出口氏】 『山の上からころがった石は途中でとまらんでの、落ちつく所まで行かんと』
【富田】 『先頃聖師様が「神の国」に「我道も年所を経れば堕落せん今より永久の基礎定めおかん」という御歌をお書きになりました事がありましたが、あれを見まして、聖師様はもう大本の基礎を定められましたが、どうかと心配しました。聖師様が、取越苦労をしちゃったと言うてみんなで笑っちゃいました……』
【出口氏】 『それは釈迦も言うているではないか、正法千年、像法千年、末法万年であって、正法千年の間は正法そのままの道が伝わり、像法の時代にはお堂を造ることとか、建物が立派になるばかりで、その後になったら、末法万年で坊主のうちから強盗や、強姦する奴や、嬶盗みが出て来る。像法の間は形なっと、坊さんらしゅうしているが、末法になって坊主が色々な事をしだして洋服も着出すやら道も形もない、それが無茶苦茶の末法や、そんなもんや』
【速志】 『坊さんが尖端になったのと違いますか』
【出口氏】 『坊主がこの世の中を左右したのが、今は世の中を地獄へ導く尖端やさかい、悪い尖端を切っているのは坊主やがな』
【富田】 『尖端を切りそこなって地獄落ちですか』
【出口氏】 『耶蘇坊主は天国に墜落するし仏教坊主は極楽に墜落しているのや』
 ── 一同笑声 ──
【富田】 『間違って地獄に落ちた人がよくあるようですが、間違って天国に行った人もあるのでございましょうね』
【速志】 『あるやろ、中には』
【富田】 『いいことをするつもりでなく、ウッカリ天国に行っている人もあるでしょうね』
【速志】 『さぞかし面くらったろうな、しかしこんな面くらい方はしてもいいな』
 ── 一同笑声 ──
【出口氏】 『それはやはりある。それは自分で悪いことをしておったつもりでも神様からご覧になればよいことをしていることがある。また自分で善いことをしているつもりでいい気になっておっても、神様からご覧になって邪魔ばかりしている者もたくさんいるでな』
【速志】 『そんな調子で、自分はさばきを受けるつもりでおったのがウッカリ天国行きになっておったものも勿論天国に登り切りなんだろうなア、追い返されるような……』
 ── 一同笑声 ──
【出口氏】 『そりゃ、そうや。御用があってまた再生して来るのは別やが……。兎も角これから人間は気が利かんといかんぞ。杓子定規ではあかん、本当に気が利かんとあかんでよ。この間チョット妙なことがあった。ワシには判っておるのや。反宗教運動の奴が大本を誤解しとるし……。随分、お筆先にも出ている通り、要心せな、いかん。この間もこんなことがあった……
 ○○の○○さんが立派な男やと言うて手紙をつけて、これなら御神業の間に合うと手紙をつけてよこしたが、ここで一週間妙に修業して、ワシもチョット面会したが、ここの幹部連をみんな感服さした。あんな立派な人はない、という風な訳でそして綾部に行って○○さんや○○さんらを全部惚れさした。そしてワシにその男が一人で会いたいと言うのや、そんな調子やったさかい、みんな安心してワシに一人会わした。そしたらどうや「ワシはこれから蒙古に行こうと思う。それで五千人の者が下関で私を待っている。行くにも行けんから困るが、蒙古に行くのはよいと思うが、悪いと思うか」と言うから「この際、国家のために行くことはよいと思う」と言うたら「そんなら五十万の金を出してくれ」と言いよった。「五十万円金があればワシが行くわい」と言うてやった。そしたら「そんなら何故よいと言うた」と喰ってかかる。「勝手にせい」と言ってやったら、知らん顔をして役員の方に行って挨拶して帰って行った。あんな者をよこしてくれては困る。○○も○○やが、幹部連中に「お前らも困る」と言うたら、「そんなことはどうしてもおまへん」と言うて信じよらん。そこまで瞞されていたのや」
【速志】 『そんな男には妖幻坊のような兇党界の霊がついているのじゃないでしょうか』
 (続く)

注意 先号にて「梅干しを用意せよ」と御伝告しましたが、それは「今食べよ」ではなく「用意してとっておけ」の意です。なお「食べてよき、食べるべき」時は御通告致します。 編者

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