文献名1道之大本
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3第6章よみ(新仮名遣い)
著者出口瑞月
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OBC B117100c06
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一、王仁かつて穴太なる産土の神殿に夜毎参りて三條の教の旨を授かりければ、ここに始めて百万の味方を得たる心地して勇気頓に加わり、いよいよ道のため賤しき一つの身を捧げんことを思ひ定めたりき。ここに王仁、三條の神則の旗を押し立てて世の中の哲学を改めしめ、宗教を立直さんものと、身を忘れ家を忘れて、学者、宗教家を尋ね、神の御則を説き廻はしたりしが軽薄なる世の中の事とて、一人としてこの道の旨を覚り得る者なかりしのみならず、かへつて王仁を気狂人となし、偽り者と誹り遂には狐使いなどと悪しくいふ者のみなりき。日頃親しき友達も親族も親も兄弟も飽くまで疑へり。山子飯綱天狗狸などと罵りて神の道を破らんとする枉津神五月蠅の如く群り起りて大いに妨げをなす。
二、神の言葉は泰山よりも重し。いかで小人等の妨げに心を飜さんや。たとへ絶壁前に聳ゆとも頭上に剣閃めくとも、真理の為には恐るべけんやと、自ら荒魂に依りて能く忍びたりき。王仁は心を岩の如くに固め、寄せ来る悪魔の敵を防ぎつつ真理を開き明かさんと万の妨げを押し分け掻い潜り、神国の為めに人生のために、世界の哲学を一変し麗しき惟神の大道を現はし開かずんば止まざるの決心をもつて、虎の如く龍の如くに奮ひ進みぬ。