文献名1道之大本
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3第16章よみ(新仮名遣い)
著者出口瑞月
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ページ53
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本文
一、瑞の霊の大神現世に再び現はれ給ひて昔より世に隠れたる事を、筆と口もて証し玉へども、今の世の中の人々は、敏き目敏き耳なれば、少しも覚らず、かへつて虚偽の言葉と思ひて或は譏り或は笑ひ、或は罵りて顧みる者なきは、誠に皇国の為に悲しむべき事なり。
二、貧しき人といへども神の国に至るべき誠の教を覚りたるものはいとも幸ひなり。そは人のこの限りある現し世の生命のみにあらず、限りなき生命を継ぐ事を得べければなり。
三、富めるものといへども、誠の道を踏み、神の御恵みを弁へ覚らざる人は大なる災禍なり。たとへ現し世にて形の上の宝に富むとも、後の世の宝とならざればなり。
四、誠の神に仕へ誠の道を行ひたる、正しき事の酬ゐより外に、宝となるべきもの無し。
五、富めるものは、大方は心驕ぶりて、神を知らず識らずの間に軽んじ、拭ふべからざる罪を作り居るものなり。
六、罪その霊魂を苦しめて、根の国底の国に誘ひ行かんとす。故にこの世において、富める人の高天原に至らんとするは、枯れたる木に花を咲かせ、実を結ばせんとするに等し。
七、されど富める人にして神を知り道に従ひ、悔い改め信仰を養ひ得たるものは、また一層幸ひなり。そは富める人は、神の御業を補ひ助け奉るの便宜を得ればなり。
八、世の中の事柄は多く、黄金の力にて高きに登り得べく、また知識を研き学問を勉め励みて以て高き位に登り得るなり。されどそは身に付ける欲にして、霊魂につける誠の栄にはあらざるなり。
九、誠の栄へは、高天原の神の国の取次、証し人となり、万世動きなき天津日嗣を守る道の武士となるにあり。
一〇、生きて神の為め、天皇の為め世の為めに力を尽し、心を尽し死しては忠義の鬼となりて、神の御道を守り、皇室を永へに守るは、人と生れしものの本分なり。
一一、日本の国に生れたりとも、日本人たるの行ひなきものは、外つ国人に等し。
一二、日本民族の正に行ふべき道は、万世一系の皇室を崇めて神を第一とするにあり。
一三、外国人たりとも、日本の神の国の誠の教を守りて、天立君主たる吾大君に仕へ奉るものは日本の民に等しかるべし。
一四、方今吾国民の多数は、皇国の大本たる神教を覚らず、外尊内卑の慣習常となり、外教に沈溺して聖明の御世を汚さんとす。実に悲しむべきの至りなり。
一五、妖魅の独り蔓れる世は、善を善とするものなし。善は善人に善とせられ、悪人には悪とせらるるものなり。
一六、鬼大蛇悪魔の得意なる現世の民は、敬神忠君愛国の神教を忌みて、怪しき教に心酔す。国家の為めに将来恐るべきものなり。
一七、本教を奉じて悔ひ改むるものは稀れなり。敵するものは五月蠅の如し。されど最早瑞の霊天より降り玉ひて、黄金の光を放ち普ねく暗きを照し玉へば、本教によりて悔い改めざるものは、厳しき神の審判を免がるる事あたはざるなり。一日も早く直日の霊によりて省みよ。
一八、天より選まれたる瑞の霊は、誠の神の霊を享けて、この暗き世の中の直霊となりて現はれたり。されど瑞の霊の大神は、至仁至愛にましませば、人を別ち玉はず外の教と競ひ玉はず、争ひ玉はず、善し悪しをも審判き玉はざりき。
一九、ゆゑに王仁に懸り玉ひても、今迄はよく隠忍して時を待たせ玉ひしなり。
二〇、されど、いつまでも教へず、云はざれば救ひの道を伝へ、天が下を清むる能はず。すなわち王仁瑞の霊の大神の御命を畏こみて、家を出で普ねく世界の為めに、悪鬼邪神の群に忍び入りて曲津神の根城を覆へさんと、八歳の間心を苦しめたり。
二一、この世界は神の田にも畑にも、苅入るべきものは沢山にして働くものは、いと少し。刈入るるものとは、誠の信者なり。働くものとは神の道を宣伝する教役者なり。
二二、この刈入れしものは、神の国の、万世朽ちぬ宝の倉に安く収めらるべし。
二三、今の世に瑞の霊の審神者現はるるは、あたかも盗賊無頼の徒の群に一人の捕吏来りしが如く。逃げ惑ふものあり、恐れ謹しみて、心を改むるものあり、罵るものあり、一人として驚き迷はざるはなし。されど誠の人は直日の霊の光りによりて、正しき道なる神を賞め称へ、親に会ひたる如く喜び勇むものなり。