文献名1道之大本
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3第19章よみ(新仮名遣い)
著者出口瑞月
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本文
一、神はいと高き天津御空にましませども、慎み深く卑下る優しき人の心に、天降り玉ひてその身を神の宮となし、奇しき光を放たせ給ふものぞ。
二、真の勇智愛親あるものは、その身もその魂も神と倶にあるものぞ。
三、天津御空の神風は、綾の高天原に穏かに吹き起りて、四方八方の青人草を正しきに靡き玉へり。神の教は風なり、人は草なり。
四、人は神の霊と力と体を別け与へられて、この世に住むものなれば、人は神に等しく尊ときものなるに、我が身の何たる事をも覚らず、神の御恵を知らず、驕り倣り、我と我が手に、曲津の群に走り行きて、遂に根の国底の国に陥り、苦しみの種子を蒔くもの多きは、誠に誠に嘆かはしきの至りなり。
五、かくの如き愚なる人々を説き諭して、善に導くは、人たるものの勤めにして神の大御心に叶ふものなり。教役者は云ふも更なり、信者たるもの常にこの心をもつて心とすべし。
六、この心掛なき信者は、誠の信徒としての資格なきものにして、皇神の大御心に叶はざるなり。何となれば我身ばかりの信仰は、世を益し人を利する事なくして、私心私情を充たす為めの信仰となるべければなり。
七、第一に天帝を崇め奉り次に天祖を始め天津神国津神八百万神を崇め奉るべし。
八、神のすべての取次なる瑞の霊の大神を取り分け敬ひ愛すべし。
九、物凄まじき黒雲または雷の中にも、神の御恵は隠れありて、雨となり雪となりて人の頭の上に滌がせ給ふ。
一〇、王仁神の美はしき御詔を顕はさんと思ひて、瑞の霊の大神の御言に従ひて、荒き波路を打渡り、険はしき深山に別け入りて、心を磨き仕へたりき。
一一、天津御空を仰ぎて見よ、いとも高きは神の大稜威の限りもなく高きを現はせるものぞ。その御空の清く美はしく、明らかなるは、神の大なる御業、その大御心の現はれ居るものぞ。
一二、梅の花の厳しき寒さを耐へ忍びて、霜と争ひ雪と戦ひし、その勲功は、初春の栄え花の兄として酬はるるを見よ。汝ら神の子よ、忍耐に忍耐を積みて神を祈れ、道を歩め、心一つに。
一三、香も高く色も清けき白梅の花こそ物優し。神の御心の清く香ばしき事、またこの梅の花に優りて高く聳へ玉へり。
一四、口より出づる言の葉は、清く正しくして美はしく、神に喜ばれん事を思ふべし。心の思ひも正しく直くして、神の御心に叶ひ奉らん事を祈るべし。
一五、神の教は心を用いてよく味はひ見るべし。よく味ひ見るときは、苦きに似たれども苦からず。水よりも甘く黄金よりも玉よりも尊とき事を覚り得べし。
一六、神は姿もなく声もなし。されど真智の眼をもつて見るときは、神の御姿もあり、真智の耳をもつて聴くときは、神の御声も確かに聞こゆ。
一七、正しく直ほく厳かなる神の道によりて、神の御名を顕はし神の御心を喜ばせ奉りて、その厚き御慈しみに、酬ひん事を勉むべし。
一八、心の憂い身の悩みを救ふものは、大本教の御文によりて養はれたる信仰の力なり。
一九、千座の置戸を負ひて、人々の深き罪を贖ひ玉ひし大慈の大神は瑞の御霊の大神なり。
二〇、暗き闇路に彷徨ひ、罪に穢れたる人を憐みて、赤き美はしき神の御国に、救ひ玉ふ神の御諭しは、大本教の御文の中に籠れり。
二一、この教は、高天原へ登り行かんとする、道の案内なり。
二二、苦しみ悩みの時は更なり、その身健かなる時にも、心を尽し思ひを尽し身を尽して縋るべし。神の御手に御袖に力限りに。
二三、慈愛全き誠の神の恩は、一と日も忘るることなかれ。忘れたるときは、その身の亡びに向ひしときと覚るべし。
二四、富士の御山の姿、正しくして永久に動かざる心をもつて、末永く愛の神を敬愛し奉るべし。
二五、神の道は末永く、生みの子の弥次ぎ次ぎ変りなく守るべし。堅き信仰は松の心なり、大和魂なり。松の心は神に良き供物なり。
二六、豊かにして欠くる事なき、稜威の深き神の正道に躍入りて求むるにおいては、何事か神は与え給はざる事あらんや。求めて与へられざるは、その求むるものに正しからざるが故なり。
二七、清き心をもつて神の御許に至り、まめやかに敬いて仕へ奉るべし。神より外に安きと力を与え給ふもの無し。
二八、憂ひ悲しみは、神の御手に預けて、神を祝ひ奉り嘉ぎ奉るべし。
二九、天地揺り動き、海鳴り山裂け、川溢れ風荒み、たとへ火の雨降るとも、神の御恵は確かにあり。神の道を正しく歩むものは、必ず神の救ひあり。ゆゑに如何なる事ありとも決して恐るる事なく、道を守りてよく忍ぶべし。
三〇、いとも清く、いとも穏かなる神の懐は、その御諭しもいと懇なり。真愛なる神の懐に抱かれて、心を任かせ身を任かせよ。世の中に一つとして恐るべきものはあらじ。
三一、天地を造り、日月を造りて、万世動きなく支へ保ちたまふ御力の現れませる天津神は青人草の願ひ望みを、許し玉はぬ事なく、守り玉はぬ事なし。喜び敬へ無始無終の神の功業を。