文献名1霧の海
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3尾上の月よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要28歳の頃
備考
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データ凡例
データ最終更新日2023-05-08 22:09:07
ページ209
目次メモ
OBC B119800c053
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本文
二十八歳の頃
松ケ枝をさわたる風の音さえて夜はしんしんと更け渡りゆく
大空の楕円の月は猪の熊の高嶺かすみてかくろひにけり
猪の熊の山かげたちまちわが前に倒れかかりて闇はふかめり
闇の幕おそふまもなく小夜嵐松のこずゑをもみつつうなる
猪の熊の山より颪す小夜嵐咆哮怒号のすさまじき夜半
小夜嵐しきりに吹けば山の蚊の一つも居らずなりにけらしも
ちぎれ雲ちぎれぬ雲の大空にさまよひにつつ星まばらなる
小夜嵐あとなくやみて大空にかがやき初めぬオリオンの星
何気なくオリオン星座を仰ぎみれば月のごとくに輝きてをり
オリオン星次第しだいに光まし七つの月の出たるごと見ゆ
山かげも何時しか消えて岩ケ根のあからに見ゆる星月夜かな
オリオンの星の明るさ大いさにわれを忘れて見とれゐたりき
オリオンの星は次第にひろがりて容姿端麗の女神あらはる
いつの間にかわが魂は霊界に入りて見つらんオリオンの星
オリオンの星よりくだる姫神のあとより続くあまたの姫神
姫神は次第しだいに雲の橋くだりてわが前近くに立ちます
何神にお在しますかや願はくば御名宣りませと謹み宣るわれ
姫神は数多の侍臣したがへてわれに近づきほほゑみませり
霊界の恋
淡雪のしろきはだへに薄衣の透く姫神のすがたなやまし
霊界に恋の許しのあるならば御手になりとも触れたく思ひぬ
姫神のその艶麗さ気高さに言とふさへも胸をののきぬ
霊界と知りつつ若きわが魂は血潮はをどり胸はたかなる
姫神は御名も宣らさでにこやかに笑くぼたたへて笑ませ給へる
侍らへる女神のこらず面白く御肌やはくおん袖かをる
みよしのの一目千本の山桜花のさかりを見るここちせり
霊界の修行に出でし身ながらも迷ひてしかな花の色香に
わが胸の高なり止まず面ほてり恋のほのほに焼かれむとせり
白魚の手をさしのべて姫神は握手のぞます気配みえけり
をののける心おさへて姫神の御手握らむとすれどかなはず
麗はしき女神数多にとりまかれ青息吐息の苦しさに居りぬ
男子われ心弱くてかなはじと姫神めがけていだきつきたり
抱きつきしそのたまゆらを姫神は笑みつつ肱鉄食はし給へり
肱をもてはじきたまひしたまゆらに吾よろめきて地上に倒れぬ
はづかしさくやしさ胸にこみ上げて面を地に伏せ歯がみなしけり
姫神は数多の女神に何事か宣らせたまひぬ声おごそかに
姫神の言葉をはるや女神らはわれをいだきて起したまへり
倒れたるはづみに岩にきずつきて足もうごかずなりにけらしも
女神らの柔手車にのせられて大空たかくはこばれて行く
神の音楽
紫の雲は四辺を包みつつ音楽しきりにひびき来たれり
地上にて聞く名人の音楽に百倍ましてさわやかなりけり
かむながら御霊幸はへましませとわれ祈りつつ悔いごころ湧く
姫神は礼なきわれのふるまひをさげすみますかと案じつつゐる
姫神の御顔ひそかにながむれば以前にまして笑まひたまへり
姫神の笑ませる面をみつつわれ魂はふたたび迷ひそめたる
天国は愛の御国と聞くからは恋すてふこと恥なしと思ひぬ
雄心のやたけごころを振りおこし見送られつつ雲わたりゆく
天津女に抱かれて生命とらるるも吾惜しからずと思ひけるかな
何時の間にかわが足の傷なほりつつ雲路をわけて歩みゐたりき
一方の女神の姿目に入らず煙のごとく消えたまひたる
わがこころ俄にさびしくなりゆきて行方も知らず雲の上行く
えゝまゝよ行く所まで行きみむと雲ふみなづみ高のぼりゆく
忽然と女神一方現はれてよく来ませりと慇懃に宣らす
オリオンの星座のわれは使神汝を迎へに来ますと宣らす
有りがたしかたじけなしと会釈して女神のあとに従ひ行けり
行きゆけば不思議なるかな雪の上に碧瓦赤壁の館ならべる
瑞月門
金銀をもちてかざりし門の前に呆然としてわれはたたずむ
この門は瑞月門よと宣らしつつ女神は扉をあけて入ります
われもまた女神の後にしたがひておそれ抱きつ金門くぐりぬ
嚠喨と音楽のおと四辺よりひびき来たりて春ごこちしぬ
よく見れば以前の女神右左前と後にうごなはりましぬ
拍手をうちつつ階段のぼりゆけばギーと音たて神門あけり
開きたる扉の中をうかがへばまばゆきばかり光ながるる
姫神は左右のわが手をとりながら扉の中にみちびきたまへり
目もくらむばかり金色燦然と扉の中はひかりみちたり
しばしの間まなこをとぢて黙し居れば耳にすみきる音楽のおと
天も地も宇宙一切金色の世界となりしここちせし吾
オリオン星座
どことなく姫神の声おごそかに此処はオリオン星座と宣らせる
オリオンの星座と聞きてまなかひを開けば以前の姫神おはせる
姫神のわれ御前に額づけばきみ安かれとおごそかに宣らす
御声にこころの駒をたて直し御姿みれば金色のひかり
姫神は紫摩黄金の肌にて笑みたまひつつわが面みませり
汝こそは男の中の男よと口を極めてほめたたへましぬ
ほめられて顔紅にそめながら手もちぶさたに黙し居たりき
姫神は金色の手をのべたまひわが肩かるく打たせたまひぬ
願はくは御名を聞かせ給へかしと再び問へども答へたまはず
われこそはエロの神よと微笑みて御袖に面をおほひましける
今までの無礼を許したまへよとわびつつ顔を赤らめしわれ
姫神はつと立ち御殿の奥深くかがやきながら入らせたまひぬ
姫神の御後われは見おくりつ怪訝の念にしばしかられし
至聖殿
二はしらの女神は左右の手をとりて吾を導き奥に入ります
音楽の音いやましにさえにつつ衣ずれのおと静かに聞ゆる
姫神はほほゑませつつ御手づから御宝箱さづけたまひぬ
天地の心をこめし玉手箱汝にはなくてならずと宣らせり
諸天人異口同音に万歳を宣らせるこゑは天地どよもす
玉手箱いただきまつるたまゆらを松風の音ちかく聞ゆる
よく見れば高熊山の岩ケ根に夜のくだちを端坐してをり
ほのぼのと東の空は白みつつ松風の音しづまりにけり
晃晃と日は山の端をてらしつつ高熊山の岩ケ根照らせり
何となくこころ清しき朝なりわれ霊界ゆたからもらひて
○
人間は所詮動物性を離れないものだ霊界の修行中にもエロ気分が出る
天馬空を行く霊界の旅行をいつ迄も続けたい気分が湧いて来る