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文献名1青嵐
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3亡霊の述懐よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2024-10-31 04:40:00
ページ127 目次メモ
OBC B120200c18
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本文 宣伝の旅に立たむとわれ一人船岡殿田をさして出でゆく
北桑田五箇庄村にさしかかり杣人にあひて神憑談きく
神憑の親爺は小林貞蔵といふ人にして材木商なり
貞蔵はわが姿みて勇み立ち是非泊れよとすすめて止まず
黄昏れて旅費なきわれは幸といはるるままにこの家に泊れり
十五六年前より腹からものをいふ病があると貞蔵氏いふ
腹中の天狗の言葉を信じつつ相場にまけて財産失ひし
つきものの審神者頼むと貞蔵氏頭を下げて合掌してをり
貞蔵氏を神主となしわれは審神者神笛吹けばウンウンとうなる
鎮魂をするや間もなく発動し長き鼻汁ずるずると出す
その方は何者なるやとなじり問へば鞍馬の山の僧正と宣る
その方は天狗にあらぬ人間の縊死した霊と急所をつきさす
亡霊は小林貞蔵の叔父なりとそろそろ本音をふき出しにけり
貞蔵にわが財産を横領されわれは縊死して悪霊となる
この恨みを報ぜむためと貞蔵に相場をすすめて損をさせたり
貞蔵にだまされ家倉田地まで横領されたと亡霊の述懐
山奥に縊死して死骸は三ケ年骨になるまでさらされしといふ
貞蔵がわが霊魂をまつりなば許してやると亡霊のいふ
わが口ゆ出づる言葉に貞蔵氏ふるひをののき土色の顔
叔父の言間違ひなしと貞蔵氏をののきながら亡霊をまつる
いつ迄もなやめゐるとも仕方なしこの肉体を去るといふ亡霊
亡霊は小林貞蔵を投げ倒しキヤツと怪声はなちて去りぬ
亡霊の去りたるあとの貞蔵氏面貌にはかに柔和となれり
恐ろしき奴につかれてゐましたと言ひつつ昔の懺悔談なす
二十戸の村人つぎつぎ訪ひ来りわが神力に感じて帰依せり
四五日間小林邸に滞在し村人たちに宣伝をなす
   不思議の邂逅
小林の家を立出で海老坂の峠にかかればたそがれにけり
海老坂の峠に立てる古寺の地蔵堂へとしのび寝ねたり
真夜中を読経の声に目覚ませば提灯さげて坊主立ちをり
ことわりもなくこの堂に寝る奴は何者なるかと坊主は呶鳴る
神様の道を宣伝するものといらへばいかる古寺の坊主
神といひ仏といふも同根といへば坊主の顔やはらげり
この寺は愚僧一人よわが部屋に来りて話せと慇懃にいふ
この僧の言葉に従ひ一室に入りて四方山はなしにふける
汝が君は上田さんにはあらざるか私は人見弥吉と名乗る
よくみれば千代川村の親戚の極道息子の弥吉なりけり
財産をのこらず費ひ警官となりて酒のみ免職されたり
已むを得ずこの空寺に留守居坊主托鉢をして露命つなげり
不思議なる邂逅なるよとあきれつつ昔語に夜をあかしけり
この坊主酒と女と博奕うちて身を破りたる果なりにけり
   ○余白に
細矛千足の国はつむがりの太刀ならずしてをさまるべきやは
真寸鏡信をあらはし剣太刀稜威あらはす神の食す国
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