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文献名1浪の音
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3荒浪の上よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2024-10-31 06:24:00
ページ148 目次メモ
OBC B120900c28
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本文 大なる浪つぎつぎに襲ひ来て冠島の磯を洗ひつつ鳴る
御開祖の一行六人沓島沖荒浪わけて進みたりけり
岩高く浪荒くして舟を寄す手だてもあらずしばしためらふ
荒浪に押されて巌に近づきし舟の舳ゆとびあがりけり
釣鐘岩くぼどにわれは佇みて綱をたぐれば舟寄り来る
わが綱に舟はひかれて御開祖はほほゑみながら島にのぼらす
   巌上審神
釣鐘の岩の頂きにささやけき祠をすゑて神を斎きぬ
わがもてる綱にすがりて御開祖をはじめ一行汀におりたり
いやはてに綱をしまひて吾もまた釣鐘岩を下りたりけり
からうじて一行六人舟にのり荒浪わたり帰路につきたり
   大鯛の群
海水をうす紅色にそめながら大鯛の群おそひ来れり
数十万の海鳥声をうちそろへ啼くさま今も耳にのこれり
約二里の荒波わけてやうやくに冠島の磯に舟をつけたり
   神言詫言
竹村は腹をいためて神前に顔色あをく倒れゐたりき
竹村はみにくき心あらはれしとわれに詫びつつ合掌なしをり
神前に神言しづかに奏上し祈れば直ちに恢復したりき
この後はあしき心はもつまじと涙ながらに詫び入りにけり
御開祖は老人島神社の大前に声さわやかに祝詞のらせり
王仁すみ子他六人も一せいにつつしみゐやまひ神言をのる
沖をゆく漁師まねきて新らしき鯖をあがなひ神前に捧ぐる
   海辺の珍味
神前のお供物の鯖数尾徹して磯べに塩もて煮たりき
塩水に浸して鯖を煮てくへば意外の珍味に心たらへり
   帰航順風
帰り途は波おだやけく順風に麻の帆あげつつ博奕崎に入りけり
港口の横波松原に帰りみれば日は西山に落ち給ひけり
夕暮の風はぴたりととどまりて再び水夫は艪をあやつりぬ
水夫のとる櫂に波紋をゑがきゆく月の流るる内海すがし
大橋のふもとに舟を横へて大丹生屋旅館に入りてやすらふ
綾部より四方春蔵はじめとし四五の信徒出で迎へたり
汽車もなく車さへなき舞鶴の宿に一夜をやすく眠れり
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